僕が警備員を辞めた理由

SNSである意見を目にして、考えさせられた
件があるので、今回は検定について深堀り。



警備検定資格は、自動車等の運転免許制度を
参考にして作られたもの。



本来２級は、当該警備業務を行うにあたって
当然持っていなきゃいけないレベルの資格。
配置基準の強化は間違いなくくるでしょう。



といった意見でした。概ねこの流れで動いて
います。



需要に対して資格者が伸びない背景は一体
何でしょうか。これをクリアしないと配置
基準を厳しくしたところで意味がない。



まず第一に、検定取得に金がかかりすぎる。
２級検定でも、警備業協会の講習を受けて
受験する場合でも、６〜７万かかる。



隊員個人の負担で取らせるには、敷居は高い。
取得したら、しがらみが無い分、もっと
好待遇の警備会社に移籍される可能性も高い。



会社負担で取得する場合も、移籍のリスクが
あります。ただ義理を感じてお礼奉公よろしく
数年勤めてくれる隊員も、いるかもしれません。



運転免許試験場の一発試験のような「直検」も
あります。合格率は警備業協会の講習を受けて
受験するよりも、低い傾向が。



いずれにせよ、会社内のフォロー体制が鍵に
なってきます。会社に地元警備業協会の講師を
している上司がいれば、俄然有利に。



一方、受ける側にもメリットはあるのでしょうか。
これもお寒い現実です。



多くの検定未取得者にとって、検定を取って何に
なる、と言うのが本音でしょう。



要は検定を取るメリットが見当たらない。
僅かな手当と引き換えに、業務の負荷は
うなぎ上り。



その苦労の延長上に何があるのか？といった
問いに、まともに答えられる上司はどれだけ
いるのでしょうか。



一般の企業のようなキャリアパスもなく、
理不尽な負荷を受け入れろ、では誰も
受けたがらない。



困ったことに、冒頭SNSの理論で行けば
検定２級はデフォルト、即ち運転免許の
ような許可証である、という位置づけ。



その延長上に、未検定隊員は警備補助という
位置づけになる、といった予測もあります。



警備補助ならば、最低賃金でいいと考える
経営者も出てくるでしょう。



年金を貰いながら働く高齢者（概ね６５歳以上）
は検定がなくていいから警備補助の賃金でいい、
となる可能性も。



検定者の負荷が相対的に増えることになります。
これまで以上に割に合わない仕事になるかも。



最後にこれを踏まえた上で、今後どうなって
いくのか、また検定取得を義務付けられる
隊員はどうすればいいのか、考えてみます。



警備会社が検定者をデフォルト（最低条件）
で配置するようになれば、そのコストを
警備費に上乗せするようになります。



すると受けきれない現場（多くは施設）が
出てくる。過去記事：ホテル支配人の憤り
前編・後編を参照願います。



これは何を意味するかと言えば、自主警備
が増えてくる。



自主警備とは、その施設の直雇用職員に
よって警備や保安業務を行う。警備業法
の範疇外になります。



配置基準の縛りもなければ、制服や装備品の
縛りもありません。



労務管理などの手間を考えても、警備員を
外注するより、自主警備がメリット大。



こう考えるクライアント側が増えてきます。



ホテルやマンション、病院の夜間当直など
自主警備が増えてきているようです。



警備検定を取って、割に合わない仕事と
感じているなら、上記のような自主警備の
求人を捜すのも手です。



警備検定を持っているなら、経験者＋の
価値があると思われるメリットが。



検定者が警備業界、いやビルメンテナンス業界
の外に流出してしまう。かくいう僕もそうです。



このように、配置基準を厳しくする流れは
警備業界の縮小を意味します。ラディカル
（急進的）にやれば尚更でしょう。



このジレンマを解っているからこそ、配置基準
の縛りがなかなか進まないのではないでしょうか。

お名前.com
↑Let's click