2016年05月11日
命を縮めるテレビ? 視聴時間2時間増加ごとに14%の死亡リスク増大
ちょっとした空き時間があればすぐテレビ。そんな生活を送ってはいないだろうか? 何気ない、もしくは至福のテレビタイムが、知らず知らずのうちにあなたの命を刻々と削っている可能性がある。
アメリカ国立がん研究所(NCI)が行った調査によると、運動の有無にかかわらず、1日にテレビを見る時間が2時間増えるごとに、がんや心臓病などの重大な病気によって死亡する確率が上がることが判明したのだ。
■アメリカで約22万人を対象にテレビ視聴のアンケート調査を実施
協力したのは、アメリカに在住する50〜71歳までの22万1426人(男性57%、女性43%)。調査開始時点(1995〜1996年)で生活習慣病を患っていない被験者たちが、病歴、食事、テレビ視聴などについてのアンケートに答え、被験者が死亡するか、2011年12月31日まで調査が行われた。
■テレビの視聴時間が増えるにつれ、生活習慣病のリスクが上昇
調査の結果、死亡した3万6590人のうち、1日にテレビを見る時間が2時間増えるにつれ、すべての死因によって死亡するリスクが14%上昇した。
また、視聴時間が2時間上昇するごとに、がん、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患、冠動脈疾患(狭心症と心筋梗塞)、糖尿病、インフルエンザもしくは肺炎、パーキンソン病、肝臓病、自殺という8つの死因リスクが増加した。テレビを見る時間が長い被験者ほど、カロリーやアルコールの摂取量増加、肥満、喫煙、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の傾向が見られた。
そして驚いたことに、運動の有無により結果が変わることはなかった。
■主な原因は、テレビの長時間視聴による運動量の減少
ではなぜ、テレビを長時間見続けることで、生活習慣病によって死亡するリスクが高まるのだろうか? 諸説あるが、テレビの前で長時間動かずにいることで引き起こされる身体活動の低下が、主な原因だという仮説が立てられている。
実際に今回の調査では、余暇に費やす時間の55%がテレビ視聴に充てられたが、視聴時間が増えるごとに、総合的な身体活動や心肺持久力は低下した。
また、2009年にワシントン大学助教授ジェニファー・オッテン氏ら研究チームによって行われた研究では、テレビを毎日最低3時間見ていた大人の視聴時間を50%減らすと、身体活動量が1日100キロカロリー上昇したという。
最近では、テレビよりもパソコンやスマホを同じ姿勢で長時間使用する人が増えているが、これも同様の結果につながるかもしれない。生活習慣病を避けるには、頑張って運動する時間を増やすよりも、まずはテレビやスマホなどに触れる時間を減らすことから始めてみるといいだろう。