『安全地帯IV』一曲目、「夢のつづき」です。
もうわたくしのパソコンでは、「つづき」が「続き」と変換されることがほとんどなくて、逆に困ることがあります(笑)。
一曲目にこんなスケール大き目のバラードをもってくるのは、安全地帯史上初なのではないでしょうか。「安全地帯II」をいきなり「あなたに」で始めるくらいの衝撃です。
そう、安全地帯では、バラードが一曲目になることはほとんどないのです。玉置浩二ソロですと「花咲く丘」や「願い」、「明りの灯るところへ」がありますけれども。ですから、『安全地帯XI STARTS 「またね…。」』で一曲目の「またね…。」を聴いたとき、「夢のつづき」の再来だ!と喜んだものです。
「ふは…っ」と息を吸う音がきこえて、リバーブ(残響)の効いた玉置さんの声「ゆ〜め〜の〜」で始まります。もう、ほとんど使われることはないであろうリバーブ。なんて効果抜群なんでしょう。リバーブを用いることがたとえ玉置さんの本意ではなかったとしても、玉置さんのスキルならばリバーブなしでも十分に聴かせることのできる歌であったとしても、このリバーブは、効いています。
そしてアルペジオのギター、シンセのストリングスにのせて、Aメロはしめやかに歌われます。
そして、ドラムとベースが入って、Bメロ…Aメロと後半のメロディーが異なるフレーズ、いわゆるブリッジが紡がれて、曲は早々にサビへと入ります。
ヴァースとかブリッジ、コーラスって言い方にあんまり慣れていないもので、AメロBメロサビと書いてしまいますけども、ほんとうはAとかBとかはリハーサル譜に書かれたAとかBとかのことであって、リハーサル譜を見ていない聴衆の側がそんなことをいうのはおかしいのかもしれないですね。玉置さんの曲はつくりが洋楽チックなので、ヴァースとかコーラスとかいったほうがぴったり当てはまる場合も多々あるのだというのは、なんとなく承知しております。わたくしの音楽理解の浅さと慣れの問題です、はい。
「エクスタシー」ではじめて知ったことばを使ってみるならば、いわゆる「ファルセット」でサビが歌われます。しかし……これほど豊かな「ファルセット」なんてあるんでしょうか。マネして歌う気にもなれないほど、いや、若いころマネはしてみたんだけど見事に撃沈した(笑)、信じられない歌声です。
そして、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーの安全地帯フルセット(笑)のまま、二番が演奏され、ああ〜もっとこのままこの恍惚に浸っていたい〜と思っていたところで、間奏にハーモニカらしき音が加わり、ノックアウトされます。歌詞が、恋人たちがこれまでの時間を振り返って、「手帖」だの「記念の指輪」だの「帽子」だの言ってちょっと懐かし気な雰囲気に浸っているような情景を描いているそのときに、そのハーモニカの音色はちょっと完璧すぎます。完璧すぎて卑怯です(笑)。だって安全地帯にハーモニカいないじゃんか!予想できないよ!……あ、玉置さんが吹けばいいのか、すみません、読みが浅かったです、と頭を下げざるを得ない完璧さです。
やや、すみません、熱くなりすぎました。熱くなりすぎたんですが…これじゃすまないのがこの歌の凄いところです。
歌はその後、サビを繰り返してフィナーレを迎えるんですが……なんと、後奏ではピアノが聴こえます。ピアノですよピアノ!遠くで聴こえていたピアノ!こもれ陽のピアノ!なんだよ卑怯じゃんか、安全地帯にピアノいないじゃんか!……あ、六土さんが(以下略)
……とまあ、ややムリに熱くなった感もなくはないですが(笑)、このくらい思う存分誰かに語りたくなるくらい、このハーモニカとピアノに若き日のわたくしはやられたのです。わずか4分31秒の曲なのに、ハーモニカとピアノに強烈な懐かしさを覚えさせられるのです。
歌詞と歌、ギター、ベース、ドラム、シンセのストリングス、そしてハーモニカとピアノ、使っているものはごく普通の、現代のロックと何も変わりのないものです。それなのに、これ以上の「懐かしさ」を演出・表現できる曲が、現代までにいったいいくつあるというのでしょう。サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」、ロッド・スチュアートの「パープル・ヘザー」くらいです、他にこれに似た気分になるのは……。ほかに知っていたら、誰か教えてください。この種の刺激にわたくしは飢えています(笑)。
この頃の玉置さんのゴシップを知っていたら、けっして自分の恋人に歌いたいなんて思いつかないかもしれないんですが(それ以前に大概歌のスキルが足りなくて歌えないだろう、というのはおいといて)、それでもこれは、恋人に歌って聴かせたい曲です。片思いではおススメできません。この曲の「懐かしさ」は、少なくとも幾月かの恋人期間があって、その間に記念的な何かがあって指輪をさがしたことがあるくらいの経験がないと、かなり共感しにくいものです。
……そう考えると、安全地帯はもの凄いですね。中高生を対象年齢外にしているも同然です(笑)。生徒手帳とか、露店のファッションリングとかでもいいんでしょうか。それならあるいは……というのは冗談としても(笑)、かなりオトナなラブソングだというのは確実でしょう。
一曲目からいきなりテンション高く語ってしまって、残りの曲どうしようと思わないでもないんですが、それを考えると先に進めなくなるので、このへんで終わりにしてしまいたいと思います(笑)。『安全地帯IV』一曲目、「夢のつづき」でした。
価格:1,545円 |
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image