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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2016年07月03日

ビッグ・ジョーク


安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』七曲目、「ビッグ・ジョーク」です。

歌詞がなぜかカタカナで書かれているのですが、これもどういう趣向なのか、正直よくわかりません。もう30年も安全地帯を聴いていますが、聴くだけではわからないことがいっぱいあります。

そういえば、この曲名がファンクラブの名前になっていましたね。もしかしたら、ファンクラブの会報などではこういった謎が語られているなんてことがあったのかもしれませんね。あてずっぽうですが。

そんなわけで、もし、カタカナの謎をご存知の方がいたら、教えてくださるととてもうれしいです。30年来の謎が解けるのは快感でしょうね……。単に「小椋さんは最初は普通に書いたんだけど雰囲気が出なかった。なんとなくカタカナで書いてみた。そしたら不可解な感じが出てこれでいいやという話になった」とかでも、当時の息吹が感じられて感激モノでしょう。

また、小椋佳さんと並んで、リンダ・ヘンリックさんなる作詞家の名がクレジットされているのですが、このリンダさんも謎の一つです。さまざまな曲の作詞をした記録があるのですが、それ以外のことがほとんどわかりません。いや、作詞家でしょうからそれでいいんですけど、現代というデシャバリ情報垂れ流し(そうじゃないと生き残れない?)時代から見れば、信じられない奥ゆかしさです。ぜひ、こういう人になりたいものです。

さてこの曲、ギターとベースがひたすら刻みです。のちの「マスカレード」「真夏のマリア」でもそうですが、安全地帯ではこういう指先の体力・忍耐力をもって正確さをひたすらキープすることを要求する曲がたまに出てきます。これは玉置さんの発想じゃないように思われます。これは、矢萩さんなのでは……? この曲は、『ENDLESS』ライブでは派手なギター・シンセでソロが弾かれていますので、武沢さんがソロとアオリを担当したことでしょう。それを矢萩さんがひたすら刻みで支えたのではないでしょうか。こういう、「縁の下の力技」とでも呼ぶべき現象が、安全地帯ではごく当たり前にみられるのです。80年代中盤以降に流行ったバンドブームのバンドたちとは完全に一線を画する(古い側に入るということでもありますが)実力とバックグラウンドを垣間見ることができます。

この曲、歌詞とコード進行が醸し出す勢いだけでいえば、スティングのいたポリスを彷彿とさせます。しかし、矢萩・武沢のテクニカル・ツインギターがそう聴こえさせないように頑張っている……ヘンな頑張りに感じられなくもないんですが、「よく見ておきな。俺たちがやるとこうなるんだぜ……」的なこだわりを感じてしまいます。

相変わらず偏りまくった聴き方ですみません。でも、こうとしか聴こえないのがワタクシなのです。

ポリスはスリーピースですが、安全地帯は強力ツインギターを擁する五人組です。かつ、80年代日本のサウンドテクノロジー、70年代ハードロック・ヘビーメタルのテクニック、ウェストコーストの哀愁サウンド、そしてニューウェイブの息吹さえも取り込んだ安全地帯が、いかに物凄いバンドであったかは、歴史が語ってくれています。何といっても、いままで続いていますからね。少しずつ少しずつ、その凄さが理解されながら。

そんなわけで、この曲をお聞きになるときは、ぜひ八分の「刻み」にご注目を!

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2016年06月19日

オン・マイ・ウェイ


安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』六曲目、「オン・マイ・ウェイ」です。

この曲は、セカンドシングルでもあるのですが、売れたという話は聞いたことがありませんので、残念ながら埋もれていった名曲という扱いになるのでしょう。

玉置さん「レコードは全然売れないし」

の時期なんですね……。井上陽水のバックバンドをしながら、コツコツとレコーディングしていった中の、「今度こそ!」の勝負曲だったことと思います。

デビューシングル「萠黄色のスナップ」が、ギターポップとしかいいようのない、よくぞここまでギターでこんなに可愛い曲になったものだ、それでいてギタリストのハートをワシヅカミにする「そう!こういうのが聴きたい、弾きたいんだ」というフレーズ満載に仕上がっているのはもう脱帽だ、という、実に玄人好みの曲であるのに対して(だから売れなかったんでしょうね)、

セカンドシングル「オン・マイ・ウェイ」は、玉置さんふうにいえば「エレキギターバリバリの」爽快ハードロックになっていて、「じゃあ、これならどうだ!」という意気込みを感じます。こういう曲、ライブだと気持ちいいんですよね。演奏するほうも聴くほうも。

1982年…聖子ちゃんが「渚のバルコニー」、あみんが「待つわ」をヒットさせた年です。ロックっぽいところでは清志郎と坂本龍一「い・け・な・いルージュマジック」、サザン「チャコの海岸物語」の年です。そりゃ売れないでしょう、オンマイウェイ。あまりにも爽やかでストレートすぎます。

「絶対売れると思った」「流行っている曲より絶対いい」とは、この曲に限ったことではなく、この時代の安全地帯を玉置さんがそう思っていたということなんですが、

そりゃいい曲だし、演奏力も歌唱力もアレンジの力も文句の付けどころがないし……、

かりに自分が中学生・高校生だったとしたら、こういう音楽を好んで聴きそうな人がクラスにどのくらいいたかと考えてみたら……。シブガキ隊とかマッチとかにキャーキャー言ってるクラスメイト達を、一人だけサザン好きな子が少し冷めた目で見ている……くらいの時代ですからね。もう八年前に陽水の『氷の世界』が100万枚売れたことなど知らないに等しい世代です。そこでクラスに一~二人は買って聴く子がいて、その他大勢がカセットテープに録音してもらって聴いている、というのが「売れる」ということなんです。ちょっと無理があるのは、後だからわかることではあるんですが、明らかでしょう。

さて、この曲は、エレキギターがバリバリのハードロックでして、ギタリストならコピーしてみるととてもスカッとする曲です。コピーするときにぜひ気を付けたいのは、大事なのは歪みの深さでなく、音量だということでしょう。ゲインでなくボリュームで迫力を出すような感覚でないと、単音弾きがギザギザと汚くなりますので注意したいところです。

イントロでは、ちょっとした手癖なんだと思うんですけど、Dのルート、五度の飾り音を入れて刻み、ルート音や飾り音を四拍目で半音ずらしながらリズムをとるリフになっています。このリフが、曲全体の印象を決めていますね。なお、バッキングはD、Cの繰り返しです。ベース、ドラムは基本的にタイトな八分ですね。

スタジオ版では、おそらく川島裕二さんのシンセが「ギュワーン」とスピード感、「北海道的な広がり」感を演出します。

歌全体を通して、基本的にスリーコード(G、C、D)で、Gの裏コードEmが挟まるだけのコード進行なんで、コピーもおそろしく簡単なんです。ただ、こういうところがニクイんですけど、間奏で、ギターソロのバッキングではDの代わりにBmを使っています。CDに合わせて調子よく弾いていると、ソロに入った時になんとなく合わなくて、アレッと思い「じゃあこうかな?」と試してみて合う、といった具合になるでしょう。

松井さんに出会う前に、英語の歌詞をバンバン歌っていた珍しい時代の、far awayとかだけで済まない英語の歌詞を玉置さんが歌うという、珍しい曲でもあります。これはぜひライブ盤We're Aliveでも聴いてほしいですね。武沢さんのノリノリなアクションも必見です。武沢さん、ずっとこういうノリでやりたかったんだろうな~と、ちょっと切なくなります。

もしジャーマンメタルとか北欧メタル、みたいに、北海道ハードロック、というのがあるのであれば、まさにこれだと思います。アメリカでも古くはウェストコーストロック、もう少し現代に近づくとモトリークルーなどの「L.A.メタル」、都会的なBON JOVIらの東海岸ふうハードロック、シアトルのグランジ、といった郷土ロックがあるのです。安全地帯はそういうバンドの旗手として、日本の音楽界に郷土色というバラエティーをもたらす革命を起こせたかもしれません。90年代、沖縄ブームがあった時代に、北海道はこれなんだ!といえるものがあるとすれば、それはきっと安全地帯か、そのフォロワーだったかもしれないのです(千春やみゆきでなく)。以前にも書いたことですが、安全地帯の才能と技量が、残念ながら(幸運にも?)そういうスケールをはるかに上回っており、「ワインレッドの心」以降、完全に日本全国・アジアを制覇する勢いで売れていきます。

わたくしにとって、「オン・マイ・ウェイ」は、いまだ実現せざる「北海道ハードロック」の夢を見られる名曲なのです。

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2016年06月05日

サイレント・シーン


安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』五曲目、「サイレント・シーン」です。

余談から始まって恐縮なのですが、映画『プルシアンブルーの肖像』にはノベライズ本がありまして……。ノベライズと言っても、脚本担当の西岡琢也さんが書いたのですから本家本元でもあります。この本にはですね、撮影中の写真がいくつも載っていまして、それぞれのページになぜか「あなたに」とか「Yのテンション」とかの、安全地帯の曲名が書かれていたのです。今となってはまったく訳がわからない趣向なんですが、当時は「なるほど」と思わせる雰囲気があったのです。何が「なるほど」なのかは、さっぱりわかりません。

それで、「サイレント・シーン」の曲名もそこにはあったのですが、なぜか玉置さんが衣装の用務員服で煙草をふかしている写真でした。撮影の合間に、現場がシーンと静かになって(だからサイレント)、そこで玉置さんが無言でタバコをふかしていた……にしても、曲の中身とまるで合いません。

意味は、おそらくないのでしょう。ここに曲名を載せた担当者が曲の内容を理解していたかどうかもあやしいものです。

……と、ここまで書いておいて、実は玉置さんがこうするようにアイデアを出したというのが真相です、とかだったら、もうわたくし平謝りですね。申し訳ありませんでしたああ!

さて、曲の内容です。

前回「イリュージョン」と同じような話なんですが、この曲をお聴きになるときは、リズムにご注目していただきたいです。起伏に富んだ(富みすぎの?)曲展開がよくわかります。

それなのに玉置さんは、サビ以外はほとんど同じ調子で歌い続けています。サビだけやけに叙情的に昇降激しいメロディーを歌いあげていますが、それ以外の部分では、曲全体の起伏を「意図的に」感じにくくしているように感じられます。玉置さんの歌の威力がよくわかります。これはデビューシングル「萠黄色のスナップ」に通じる手法です。

のちの時代まで比較対象を探すのであれば、「Hen」や「スケジュール」といった、ソロ活動初期によくみられた手法ともいえるかもしれません。わたくしこれらの曲を「もうひとつの玉置節」と呼んでいるのですが、もしかしてこの「サイレント・シーン」は、この路線の、ルーツにごく近いところにある曲なのではないか、と思っています。

さて、(わたくしの仮説がある程度当を得ているものとすれば)この手法の利点は、ずばり聴きやすいことです。稀有なアレンジ力・演奏力を擁する安全地帯の曲は、凝りすぎて時に耳が疲れる楽曲を生み出しがちだったのかもしれません。のちに井上陽水さんや、松井五郎さんが尽力された歌詞の「シンプルさ」こそが安全地帯の売れセン楽曲を支えていたことは疑いありませんが、アレンジの面でも同じことが言えるのかもしれません。安全地帯の曲は、高い音楽センスと演奏能力を有するがゆえに、アレンジが凝りすぎになりがちだった、それを感じさせなかったのは、ひとえに玉置さんのボーカルの威力によるものだ……。ご本人が自覚的にそうなさったかどうかはともかく、シンプルでないものを、シンプルそうに聴かせていたのではないかと思っています。

それが証拠に、カラオケ等で素人が安全地帯の曲を歌うと、ほとんどが聴けたもんじゃないですよね。よほど地の能力が高い歌い手でないと、聴かせるレベルにまでいきません。そんなに難しそうでないように聴こえるし、覚えやすい(ものもある)から、とりあえず歌ってみるんだけど、ちっとも歌えない。歌唱力の差がはっきり出てしまいます。

どれがどう、というわけじゃないんですが、音程、強弱、リズムとアクセント、ビブラート……一つひとつが相当に高いレベルにあるのは当然として、それ以外の何かがあるんだと思わざるを得ない謎の歌唱力です。

珍しく歌のことをこんなに書いてますが、この曲はそう書かざるを得ません。このアルバムのなかでも、とくに歌の威力が際立っているように感じられます。

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2016年05月29日

イリュージョン


安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』四曲目、「イリュージョン」です。

クリーントーンのギター・アルペジオ、ベースでのリズム、おそらくキーボードでのホーンっぽいリードメロディーで始まるこの曲は、二曲目「ラン・オブ・ラック」ととても似た、玉置デモ・ナマ素材さっぱり調理風の曲です。

クレジットを確認していまさら知ったのですが、川島裕二さんは、このときすでにキーボードで加わっていたんですね。もしかしたら、ホーンっぽい音は川島裕二さんが弾いているのかもしれません。

この曲で特筆すべきは、見事なリズムワークだと思っています。いや、もちろん全曲見事なんですけど、この曲のサビ~間奏~サビ~後奏を、あっさりしすぎのリズム(ただのエイトビートとか)で刻むと、ひどく凡庸な曲になるのではないでしょうか。ズシーンと深めのスネア音、高音域をカットしてそうなベース、そのぶんシャリーンと音の通るギターで、タイトなリズムワークを見事にキメるのは、さすが職人!とうならざるを得ないアレンジ・演奏スキル・ミキシングです。安全地帯からすれば、なんでその程度のことを?と不思議がるでしょうけど、アマチュアのわたくしでは、とても自分のバンドでこんなリズムをキメる自信がありません。ましてや、ライブなんかもってのほかです。

玉置さんのメロディーメイキングと歌唱の能力は相変わらず凄まじいですが、あくまでバンドの曲なんだということを意識している感じがあります。これはハードロックバンドではごく普通の意識だとは思うのですが(違うと思う方にはお気を悪くさせてしまうかもしれませんが)、ボーカルは楽器の一つに過ぎないのです。それを、おそらく玉置さん自身がのちの時代よりももっと強く意識していた(よく言えば洋楽志向、ハードロック志向ですが、悪く言えばアマチュア時代のそういう意識のままだったと言えなくもありません)のではないか……とわたくしは想像しています。

「ボーカル以外誰も聴いていないよ! そんなところ作りこんだって無駄なんだよ!」

わかってる、わかってるんだ……でも、こうとしか、できないんだ……いや、そうじゃない!こうとしか、したくないんだ!

もし、こんなわたくしの想像が少しでも当たっているのだとしたら、安全地帯はさぞ辛かったと思います。

最近でこそ、インターネット上に個人の文章が蓄積されてきまして、安全地帯の歌「以外」の部分を聴きこんで、その難しさ・素晴らしさに惚れている人が、私以外にもいたのだと、わかってきました。しかし、少なくとも2000年ころまでは、そんな情報は私の知る限り皆無に近かったのです。80年代前半では、なおさらでしょう。ファン・レターを書く熱心な人もいたかもしれませんから、本人たちにそういうファンからの評価フィードバックがなかったわけでもないでしょうけど、玉置さんばかりが注目されていったのは、はた目に明らかでした。注目の集まった玉置さん自身も、「こんなんでいいの?」「え? (注目するのは)そこかい?」といった違和感をお感じになったかもしれませんね。

すべては推測・妄想ですが……(そういうブログなんです)。

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2016年05月08日

エイジ


安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』三曲目、「エイジ」です。

ライブ『We're Alive』では、指名手配中らしき玉置さんがビルの屋上で電話帳を読んでいて、メンバーは地面で横一列に並んでリンゴを剥いている、という、とにかく不穏なんだけど趣向がよくはわからない映像で盛り上げようとしていた曲です。

ライブの映像で見るとわかりますが、前奏が、これは当時武沢さんが使っていたギターシンセだったんですね。スタジオ版は、なんともいえません。キーボードでしか作れない音にも聞こえますし、ギターシンセの音に聴こえないこともありません。

仮にギターシンセだったとして、ボリュームを上下させながら冷たい風が吹いてくるような雰囲気を演出します。スタジオ版ならあとからレバーを上下させれば済みますが、ライブ盤でもギターシンセでこれをやってしまうのが武沢さんの凄いところです。いわゆるバイオリン奏法ってやつです。

そしてクリーントーンのギターとベースのユニゾンの八分刻みで徐々に盛り上げ、(この演出はスタジオ版にはないのですが)深く歪んだオーバードライブのギターとドラムで一気に最高潮に達し、歌に突入します。

ふう(前奏だけで書き疲れるほどこの曲は凝っているのです)。

さて、歌に入ってからはテクニカルなツイン・ギターとタイトなベース・ドラムのバッキングで、いつもの安全地帯、という感じになります。一枚目のアルバムですでにこのスタイルが完成していることがわかります。

つまり、安全地帯は、「ワインレッドの心」~「悲しみにさよなら」のような曲をまだ当時は作れなかったということはなく、作らなかったのだということがはっきりとわかります。作れるけれど、演奏できるけれど、しなかったともいえます。少なくとも、売れると思ってアピールしようとする気はなかったのでしょう。

それくらい、この曲はのちの安全地帯に近いスタイルで作られています。のちのライブでもしばらく演奏されているところを見ると、メンバーもそれが後からわかって、あるいは気に入って、セットリストに組み込んでいたものと思われます。ずっと後の「銀色のピストル」に近い立ち位置でしょうね。

とりわけENDLESSのライブで聴くことのできる演奏は完成度が高く、まだ『リメンバー・トゥ・リメンバー』を聴く前だったわたくしは、これを聴いて「なんだ、このやたら凄い曲は!」と慌ててレンタルレコード屋さんに行ってスタジオ盤を探したことを覚えています。

さて、お気づきの方も多いと思われますが、スタジオ盤はキーがAm(イ短調)で、ライブ盤より一音高いんですよね。玉置さんが歌いづらかったから低くしたという可能性もなくはないですが(のちの「どーだい」も同じ事情かもしれません)、一音低いGm(ト短調)のほうが響きがよりさみしく感じられて、曲に合っているように思われます。

Bメロ、サビと、このアルバム随一の寂しくも美しい歌詞に彩られ、「エイジ」はギターソロを迎えます。オーバー・ドライブの効いた、指板を広く使うダイナックで美しいメロディーです。ライブを見るとどうやら武沢さんが弾いているようですが……わたくし個人的にこれが安全地帯のギターソロで最も好きなものです。

そしてBメロ、サビと繰り返し、後奏でギター・ソロの続きをさらに響かせるライブ盤と、それを省きサビのバッキングを繰り返してフェードアウトで終わるスタジオ版といったように分かれます。スタジオ版に詰め込まず、ライブで少しだけ披露するところがニクいですね。底知れぬ実力を秘めているようにしか思えないじゃないですか。なんでもかんでもスタジオ版に詰め込んで、ライブでさっぱり再現できない見栄っ張りミュージシャンとはわけが違います。

さて、ギターのことばかり書いてしまいました。歌はさきほども少し述べましたように、このアルバムでは数少ない、「ワインレッドの心」以降の安全地帯が好きな人にそのままウケる可能性が高い曲といえるでしょう。

もし、「ワインレッドの心」がなければ……安全地帯はこの路線をしばらく突き進み、アルバムにひとつかふたつ、このような極上のミドルテンポの哀愁ロックを残してくれたのではないか……と思わずにはいられない曲です。

のちの安全地帯のスタイルですでに作られている曲、ではあるのですが、のちの安全地帯ではけっして作られないタイプの曲でもあるのです。「この路線を主にやって行くぞ」という気負いがない状態で作られたであろうこの曲は、この時代の安全地帯にしかない絶妙の緊張感とそれゆえの儚い美しさに包まれています。

「ワインレッドの心」がなければ……という思いは、「ワインレッドの心」以降の安全地帯の大ブレイクを思えば、想像することすらメンバーや陽水さん、松井五郎さん、そしてほかのファンの方々に失礼千万なことなのかもしれません。

「あれが破滅の始まりだった」と、「ワインレッドの心」を振り返った玉置さんの心情も、いまでは変わっているのかもしれません。

ですから、「ワインレッドの心」がなければ、という思いを、この曲を聴いてふと思い出す、というのが、わたくしのこの曲の楽しみ方であって、それ以上でもそれ以下でもない、としか言いようがないんだと、つい熱くなって考えてしまう自分への戒めにしつつ、最高に好きな曲の一つであるこの曲のご紹介を終えたいと思います。

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2016年05月01日

ラン・オブ・ラック


今回は安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』二曲目、「ラン・オブ・ラック」です。

本ブログはハードロックハードロック言い続けていますが、この曲はハードロックのハの字も感じられないギター・ポップに仕上がってます。安全地帯の懐深さというか、底力を感じる一曲です。

これも「ワインレッドの心」的な安全地帯を期待して聴くとコケちゃうでしょうし、「ラスベガス・タイフーン」的なハードロックを期待して聴いてもやっぱりコケちゃうでしょう。それくらい意外な一曲になります。

ここを超えられるかどうかが、「安全地帯全曲ナイスだ」プロジェクトたる本ブログの正念場の一つになるのですが、

安全地帯を昔から聴き続けてきたコアなファンのかたなら、きっとこの感覚を分かってくださると思います。

これは、玉置浩二の弾き語りによるデモ感を、そのまま楽曲として洗練させたものでは? いってみれば、いい魚が取れたら、下手に焼いたり揚げたりしないで、刺身にして食べるようなものです。

わたくしの勝手な感覚で恐縮なのですが(そういうブログなのでご勘弁ください)、ドラマ「キツイ奴ら」や『アンプラグド・ライブ』等で聴くことのできた玉置浩二の弾き語りによる、どこか民謡を思わせる、それでいて洋楽的な、言葉の意味ははわからないけど楽し気な音楽の源泉に遭遇した、あの感覚です。あの感覚が、この「ラン・オブ・ラック」にはあります。いわば玉置浩二によるナマの素材を、安全地帯という包丁の達人たちが素材の味をそのまま生かす調理にした……と思えてならないのです。

シングルのカップリングや、五枚目の三十六曲アルバムにも散見される手法(だと思えるの)ですが、安全地帯はけっしてこういう曲をシングルA面にはしてきません。シングルA面的な作りこみをしたら素材が死んでしまうようにすら感じられます。

イントロやエンディングで聴けるクリーン・トーンのギター・リフと、サビの「ダバダバ」コーラス・ワークという、ごくあっさりした味付けだけを施し、あの、なんともいえない魅力のある玉置浩二の弾き語り民謡的デモを、「勝負!」の一曲目であるコッテリの「ラスベガス・タイフーン」の次に持ってきて、対比の妙を生み出した…ように思えるのです。

もしここに「ラン・オブ・ラック」でなくて「エイジ」だったら…「ビッグ・ジョーク」だったら…『リメンバー・トゥ・リメンバー』はもっと疲れるアルバムになっていたに違いないのです。

もちろん、ハシ休めだから捨て曲を…ではないところが、安全地帯の凄いところです。サーロイン・ステーキの次は、なんとヒラメのおつくりでした、的なビックリ感です。

ぜひ、この、じつに安全地帯的な、玉置浩二のナマ素材勝負をじっくり味わってみたいものです。

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2016年04月17日

ラスベガス・タイフーン


安全地帯アルバム『リメンバー・トゥ・リメンバー』一曲目、「ラスベガス・タイフーン」の紹介です。

この曲は3rdシングルの曲でもあります(カップリングは、『リメンバー・トゥ・リメンバー』三曲目の「エイジ」)。

アルバム紹介のページでも書いたことの繰り返しにもなってしまいますが、これはハードロックです。

なかなかに重くて印象的なギター・リフ(繰り返しフレーズ)で始まり、ドラムを合図に、もう一本のギター(メロディ)とベースが入り…と、ハードロック・アルバム幕開けの曲としては実に王道的な曲なんですね。

安全地帯は、おそらくですが、少なくとも当時は、あんまりシングル曲を作ってアピールするって考えがなかったのではないでしょうか。
その意味で、洋楽的なんですね。

「ホテル・カリフォルニア」とか、「天国への階段」とかのシングル盤って、みなさん見たことありますか?
あるところにはあるんでしょうけど、これほど有名な曲でも、シングル盤で買ったという人を、わたくし見たことも聞いたこともありません。
世の洋楽好きはみんな、シングル単位でなくアルバム単位で聴いていたと思いますし、おそらくイーグルスとかツェッペリンだって、そのつもりでアルバムを作っていたのではないかと思われます。つまり、アルバム全体をひとつの単位として作るわけです。

安全地帯のメンバーも、「ワインレッドの心」が売れるまで、日本におけるシングルの威力を本当の意味では知らなかったのではないでしょうか。わかっていたのはキティのみなさんで、だから売れる曲書こうよって玉置に迫ったのでしょう。その結果、名曲「ワインレッドの心」や「恋の予感」ができたのですから、まあ良し悪しなんですけどね。

さて、売る気があったのかなかったのか、「ラスベガス・タイフーン」は王道ハードロック路線で玉置さんの歌を重ねていきます。コブシの少ない、ハードロック・ボーカルとして特級のボーカルで、いわゆるAメロBメロを歌いきります。ギターも、切れのあるクリーン・トーンと伸びやかなオーバードライブ・サウンドのアオリ、キメで曲を盛り上げ、六土さん田中さんのリズム隊は終始一貫、タイトな音で曲を運んでいきます。このアレンジ・パターンは、その後の安全地帯とほとんど変わりありません。ファーストアルバムからサードアルバムの『抱きしめたい』くらいまで、非常によく見られたパターンです。

いわゆるサビは、オーバー・ドライブサウンドのギターの刻みに合わせて、三声(四声?)ボーカルで聴かせます。これは昔のフォーク、ハードロックではごくスタンダードなスタイルなのですが、その後の安全地帯では「悲しみにさよなら」「プルシアンブルーの肖像」などでもこのスタイルを用いるものの、しっとりと玉置さんだけのメインメロディを聴かせることを選んだとみられる曲が増えていきます。

余談といえば余談ですが、わたくし初めて安全地帯のコンサートに行ったとき、メンバー全員の歌の巧さに驚いたものです。スタジオ版CDでは巧くて当たり前だろうとも思うのですが、ライブであのハーモニーを聴かされて、一曲でノックダウン、あっさり虜になりました。旭川でのデビュー前の安全地帯も、武沢さん兄弟と玉置さんとで無敵のハーモニーを聴かせていたのでしょうね。

さて、間奏・エンディングでは、矢萩さんのものと思われる伸びやかなギター・ソロが挟まれていますが、スタジオ版ではごくあっさりとまとめられています。聴くべきはライブ版です。

『We're ALIVE』でも『ENDLESS』でもいいのですが、これらのライブ版では、この曲のエンディングがやけに長いことに、おそらくみなさんお気づきでしょう。ここはじっくりとギターに耳を凝らして聴きたいところです。武沢さんのオーバー・ドライブの利いた切れのいいバッキング(これはかなり難しいのです)にのせて、矢萩さんが弾きまくります。アドリブなんだと思うのですが、洋楽のギター・ヒーローさながらの弾きまくりタイムです。

えー、トシちゃんとかマッチとか聖子ちゃんとかの時代に、こんな凄いのやってたの?で、武道館いっぱいに響き渡る黄色い声の中で、これを演奏したんですか?

「音楽性で評価されたい」と武沢さんがどこかで答えていたのを呼んだ記憶がありますが、
まさに「俺たちはハードロック・バンドなんだ!」という意地と、その見事な実力を知らしめるに十分な演奏です。

歌謡曲的には残念ながらあまり売れそうもないと思わせる曲です。ハードロック的には実にかっこいいのですが、日本のハードロック好き達の耳に入る前に、フェードアウトしていった感が否めません。時代が…あと五年早ければ…安全地帯が早すぎたのかもしれません。ハードロック道をひたすら驀進して五年ほど踏ん張れば、あるいはハウンドドックやこどもバンドのような売れ方をしたかもしれません。ただ、安全地帯はハードロック道で踏ん張ることができませんでした。それをするには、玉置さんの作曲能力と安全地帯の演奏力、そして適応力が高すぎたというべきでしょう。

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2016年04月02日

『安全地帯I リメンバー・トゥ・リメンバー』


安全地帯ファーストアルバム『リメンバー・トゥ・リメンバー』です。

「ワインレッドの心」以前のアルバムで、「ワインレッドの心」的な曲調を期待して聴くと驚くでしょう。

曲によっていろいろジャンル分けできると思うのですが、ベースにある音楽はハードロックといっていいのではないでしょうか。

六土開正バンド(六土、矢萩、田中)はジェフ・ベックの完コピ・バンドだったそうですし、

安全地帯(玉置、武沢ら)もずいぶんハードロックの影響を受けていたようですから(玉置のお兄さんは玉置に「ロバート・プラントのように歌え」とおっしゃったそうです)、

メンバーにハードロックの素養がずいぶんあるのも、オリジナル曲にハードロックの色彩が濃いのも、ごく自然なことであって、まったくおかしくありません。

安全地帯の技術レベルがやたらに高いのも(ライブ音源を聞くと、全メンバー、ゾクッとするほど技術が高いです)、ハードロックの時代・環境が影響を与えているのかもしれませんね。

アルバムの一曲目、三枚目のシングルでもある「ラスベガス・タイフーン」や、六曲目、二枚目シングルでもある「オン・マイ・ウェイ」、そして田中さんも好きとおっしゃっていた十曲目「アイ・ニード・ユー」は、そんな安全地帯のハードロックが聴ける貴重な曲たちです。

いっぽう、三曲目「エイジ」(「ラスベガス・タイフーン」のカップリングでもあります)は、「ワインレッド」以降を予感させる軽快かつムードたっぷりのミディアム・テンポのロックになっています。


「あなたに」的なバラードはありませんが、どの曲もメロディアスすぎるくらいメロディアスですので、きれいなメロディーが聴きたい方にもその点では心配ないと思われます。

ブログ主はギターが趣味でして、安全地帯のギターをコピーして弾くこともあるのですが、「ラスベガス・タイフーン」や「オン・マイ・ウェイ」のようなハードロックはコピーしやすい一方で、「エイジ」のような曲はリズムがとても難しいです。矢萩さん、武沢さんのツインギターは本当にすごい!あの複雑なパートを、ライブでも息ぴったりに聴かせてくれます。

ハードロックな安全地帯の、ハードロック的な技巧極まるアルバムは、後にも先にも(現時点では)これきりの、たいへん貴重な音源になっています。

【追記】カテゴリ表示でこのアルバムが表示されなくなっていますので(カテゴリ表示数の限界)、一曲ずつのリンクを追記してトップページからのアクセスルートを確保したいと思います。

1.ラスベガス・タイフーン
2.ラン・オブ・ラック
3.エイジ
4.イリュージョン
5.サイレント・シーン
6.オン・マイ・ウェイ
7.ビッグ・ジョーク
8.リターン・トゥ・フォーエバー
9.冬CITY-1
10.エンドレス
11.アイ・ニード・ユー

さて、今回はアルバム全体のお話でした。次回から、一曲ずつのご紹介をしていきたいと思います。

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2016年03月26日

このブログの説明


こんにちは。本ブログは、安全地帯と玉置浩二の曲を語るブログです。

このブログでは、執筆者が知っている限りの曲を一曲ずつすべて語っていこうと思っています。

アルバムをひとつまるごと語ることもありますが、その場合でも、アルバムに収録されている曲を別に一曲ずつ語ろうと思っています。

というのは、アルバム全体を通しての魅力を語りたいという思いもあれば、一曲ずつの魅力を語りたいという思いもあるからです。

それに、アルバムごとに一つの記事で収録曲を全部語ると、とんでもない長さの記事になってしまいますしね。

もう一つ、このブログでは守りたい方針があります。

それは、「安全地帯・玉置浩二に捨て曲なし!」をどこまでも信じぬこうという方針です。

もちろん今までに「なんだろうコレ……何のつもりでこんな曲を入れたんだろう……」と思うことがないではなかったのですが、

何年もたってから、その曲の魅力に気づいたということがよくあるのです。

「ああ、これは私に聴く耳がなかっただけだったんだなあ」と反省しきりになります。

リアルタイムで「なんだろうコレ……」もないではないのですが、

そういう曲もきっとその魅力がわかる時が来る!
それまではその曲について語らない!

つまり、安全地帯・玉置浩二の曲は全曲いい曲である!

いずれは全曲を語る!

そのために自分の聴く耳を育てる!

そういう、やや鼻息の荒い意気込みを、ここに表明させていただきます。

さて、私の手元にある安全地帯・玉置浩二の曲は、ざっと400~500曲くらいでしょうか。

めざせ!コンプリート!

そんなわけで、一つずつ記事を書いていきますと、400~500記事くらいになりますが、一つずつコツコツ書いていこうと思います。どうぞ、お暇なときにでもおつきあいくださいますと、とても幸いです。

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posted by toba2016 at 15:52| Comment(14) | TrackBack(0) | その他
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