今回は安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』二曲目、「ラン・オブ・ラック」です。
本ブログはハードロックハードロック言い続けていますが、この曲はハードロックのハの字も感じられないギター・ポップに仕上がってます。安全地帯の懐深さというか、底力を感じる一曲です。
これも「ワインレッドの心」的な安全地帯を期待して聴くとコケちゃうでしょうし、「ラスベガス・タイフーン」的なハードロックを期待して聴いてもやっぱりコケちゃうでしょう。それくらい意外な一曲になります。
ここを超えられるかどうかが、「安全地帯全曲ナイスだ」プロジェクトたる本ブログの正念場の一つになるのですが、
安全地帯を昔から聴き続けてきたコアなファンのかたなら、きっとこの感覚を分かってくださると思います。
これは、玉置浩二の弾き語りによるデモ感を、そのまま楽曲として洗練させたものでは? いってみれば、いい魚が取れたら、下手に焼いたり揚げたりしないで、刺身にして食べるようなものです。
わたくしの勝手な感覚で恐縮なのですが(そういうブログなのでご勘弁ください)、ドラマ「キツイ奴ら」や『アンプラグド・ライブ』等で聴くことのできた玉置浩二の弾き語りによる、どこか民謡を思わせる、それでいて洋楽的な、言葉の意味ははわからないけど楽し気な音楽の源泉に遭遇した、あの感覚です。あの感覚が、この「ラン・オブ・ラック」にはあります。いわば玉置浩二によるナマの素材を、安全地帯という包丁の達人たちが素材の味をそのまま生かす調理にした……と思えてならないのです。
シングルのカップリングや、五枚目の三十六曲アルバムにも散見される手法(だと思えるの)ですが、安全地帯はけっしてこういう曲をシングルA面にはしてきません。シングルA面的な作りこみをしたら素材が死んでしまうようにすら感じられます。
イントロやエンディングで聴けるクリーン・トーンのギター・リフと、サビの「ダバダバ」コーラス・ワークという、ごくあっさりした味付けだけを施し、あの、なんともいえない魅力のある玉置浩二の弾き語り民謡的デモを、「勝負!」の一曲目であるコッテリの「ラスベガス・タイフーン」の次に持ってきて、対比の妙を生み出した…ように思えるのです。
もしここに「ラン・オブ・ラック」でなくて「エイジ」だったら…「ビッグ・ジョーク」だったら…『リメンバー・トゥ・リメンバー』はもっと疲れるアルバムになっていたに違いないのです。
もちろん、ハシ休めだから捨て曲を…ではないところが、安全地帯の凄いところです。サーロイン・ステーキの次は、なんとヒラメのおつくりでした、的なビックリ感です。
ぜひ、この、じつに安全地帯的な、玉置浩二のナマ素材勝負をじっくり味わってみたいものです。
安全地帯1 Remember to Remember [ 安全地帯 ] 価格:1,545円 |
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ドゥービー天国にスタンピード!いや、買い逃してるうちにBOXが出て、最初の二枚は持ってるじゃんくそおおと思ってて買わないままでした!いま注文しました(笑)。田中さんのことを思いながらドゥービーを楽しみたいと思います。なんかそこだけ買い逃してるんですよね……お恥ずかしい。中期以降も結構持ってるのに。
なるほど。不思議なリズムを刻む、フレーズを叩くというのも納得いきます。田中さんはドゥービーブラザーズが大好きだったとお聞きし、私も田中さんが薦められた、ドゥービー天国、スタンピードを高校時代にそう言えば買って練習したのを思い出しました。今もよく聴いてます。今年来日公演ありますね!何となくタイム感が似てるのでしょうか。私もドゥービーブラザーズを最初聴いて「スーッ」と入ってきました。
なので、このランオブラック!は、たぶんドゥービーブラザーズの影響も入ってるのは間違いありません。田中さんはドゥービーをアマチュア時代に完コピしていた、と自分で話してました。
玉置浩二ショーでは驚きましたねえ、うお!ランオブラックじゃん!まさか!という選曲でした。安全地帯を一通り知ってる人、くらいでは到底知らない曲ですんで、多くの人にとって謎の曲だったと思います。
田中さんは不思議なリズムキープをすることがありますね。独特のノリなんですが心地よい、田中さんの心身がもつリズムなんだと思います。それは安全地帯のもつノリの一つでもあるわけなんですが、こういうあっさりの曲で一際光りますよねえ。
もうかれこれ7年程前に書かれた?トバさんの
ランオブラック評。素晴らしいです。よくぞそのラスベガスとの対比にまで着目されました。私もこの曲大好きでして、ライヴで生で聴いたことはありませんが、ユーチューブの84年原宿ルイードと、2012にソルトモデラートが発足した時の番組で、5人で玉置さん宅?での演奏。それとコロナが始まる直前?の玉置浩二ショーしかありませんが、一番は
やはりリメンバートゥリメンバーの2曲目です。
トバさんがおっしゃるように、何処か牧歌風もしくは民謡のエキス、即興的なものを、安全地帯のメンバーが料理してアレンジしたであろう、という匂いを感じます。これも、田中さんが良い太鼓叩いてますね!安全地帯はこのリズムパターンは必須!王道に近いです。前につっこみ気味でかつ、ちょっと戻る?みたいな(笑)そこが、民謡風なのかもしれません。お見事でした。ありがとうございます!