2016年07月16日
アイ・ニード・ユー
安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』十一曲目、すなわちラストチューン、「アイ・ニード・ユー」です。
深く歪んだツインギター、重めに響くドラム、ルート弾きを中心に重さを際立たせるベース、これはまさにハードロック!
それなのに「アビーロードの真似して渡る」とは泣かせます。こんな曲でロック少年の一般教養でもあるビートルズを、聴くものに思い起こさせるなんて、ニクい演出です。
余談ですが、玉置さんが『カリント工場の煙突の上に』をたった一人でレコーディングしていたとき、ポール・マッカートニーの『ラム』のように、自分だけでやってみたかたんだ、と話していたということが、志田歩さんの『幸せになるために生まれてきたんだから』には記されています。そうは言わないかもしれませんが、玉置さんにもビートルズの時代があったんだ……と思わされることは、ある年齢層以上のロックファンには、特別な意味をもちます。同じ時代を生きていてくれて本当にありがとう、と思わせてくれるのです。
さて「アイ・ニード・ユー」の話に戻ります。この曲のいわゆるAメロには、聴きなれてしまうともうこれがごく自然にしか聴こえないのですが、ある仕掛けがあるように思われます。「さみだ」「れ〜」と、いわゆる弱起で始まり、「まねしてわたる」で一旦小節内に収まるため、歌が始まって六小節で何か区切れのようなものを聴くものは感じます。八小節なら何も違和感は感じないのに、六小節ですから、なんだかAメロが「足りない」感をもつのです。その後すぐさま「だれもいない」と畳みかけられますので、「ああ、まだ区切れていないんだ」と感じますが、「おうだんほど」「うお〜うお〜」と三小節かけて歌っているように聴こえますが、実際には「うお〜うお〜」で次のサイクルに入っていますから、結局は八小節で辻褄があっているわけです。ただ、弱起で始まり終わりが次の小節に食いかかっていますので、なんだか長い感じを受けます。ただ、「辻褄が合っている」(あまり適当な言い方でないですが)ため、聴きなれると違和感は消え失せます。
あまり理解していない音楽理論っぽい言葉を使って、恥を承知で書いてみましたが、わたしがかつてこれを聴き始めたころに感じた違和感を、現時点でわかるように書くとこうなるのです。
悶絶もののダイナミックなキメ(演奏するとさぞかし爽快でしょう!)を挟み、この曲が好きと言っていた田中さんのドラムがクレッシェンドのフィルインを唸らせ、曲はサビへと向かいます。
Far awayなのはやや残念ですが(笑)、美しいコーラス・ワークを聴かせ、印象的なメロディーをメンバーは歌い切ります。ああ、なんていい曲なんだ、とハードロック好きも安全地帯好きも納得の名曲、アルバムの最後を飾るにふさわしい曲であることを確信させます。しかし!しかしこの曲はそれだけじゃすまないのです。なんと第二のサビとでもいうべきパートがあり、これを聴くと、それまでの曲を一瞬忘れ、ついもう一度この曲を最初から聴きたくなるのです。昔はレコードやカセットでしたからそれが容易にできず、やむを得ずB面の最初から聴き、なんどもこの感覚を味わいます(笑)。
「おまえ そして俺 雨の中 歌いながら歩いた」と、最初のサビ直前の歌詞を、この第二サビでもう一度用いて、さらにキメで悶絶させ、サビを繰り返し、ダメ押しとばかりに第二サビを断行します。
小さなことかもしれませんが、第一サビの頭のコードはFです。それなのに第二サビはF#mから始まるのです!こんなことがあっていいのでしょうか。いや、いいんですけど(笑)、これが第一サビを一瞬忘れさせる要因なのかもしれないなあ……と、わたくしの足りないコード進行知識で解釈しています。勉強になるなあ〜さすが安全地帯だなあ〜とか勝手に心の底から感心していて、実はメンバーはそんなことちっとも考えてなくてただ自然にこうなっただけかもわからないのが面白いところです。いや、面白いのはわたくしだけですけど。滑稽で。
さて、『リメンバー・トゥ・リメンバー』の記事は、これで終わりになります。次回からは『安全地帯II』に進むわけですが、これだけハードロックハードロック騒いでしまいましたので、自分でもちゃんと整理して次のアルバムを語れるか、ちょっと不安になっています(笑)。
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この曲は、田中さんが好きだとおっしゃってたんですよ。いい曲です。シングルでもなんでもない、ライブでも演奏されにくい、ファンの間でも知名度はそんなに高くない、それでも名曲です。困っちゃいますね、話すこと多くなって。酔いつぶれないように気をつけるにも限度があります。加トちゃんになってからではもう遅い(笑)。
カセットのオートリバースはあるあるですね。そして風邪で学校休んで聴いて治りが遅くなるのもあるあるです。あの頃はまだ昭和でしたから……ラジカセから聴こえてくる音にどれだけ夢を見せてもらったか、今からでは想像しにくい程ですね。
安全地帯ファーストの、アイニードユー。僕も小学生の時に安全地帯にハマって、最初カセットテープで聴いてました。安全地帯の音楽は熱量が半端なく、風邪で熱が出て学校を早退し家で安全地帯を聴きながら寝ると、当然熱は下がらず風邪が治ってから聴くようにしたり、ラジカセのエンドレス機能でかけながら寝たら、朝起きてもラスベガスタイフーンがかかっていて驚いたりしてました。
アイニードユーですが、ファーストアルバムのラストを飾る、なんかジャケット写真の裏表紙?で5人が素朴に立って映っている写真のままのような、まだワインレッドが出来るちょっと前のアルバムということに驚きます。ダダダン!の田中さんのドラムから始まり、田中さんで始まる安全地帯の名曲って沢山あって、アイニードユー、真夜中過ぎ、真夏のマリア、Yのテンション、エクスタシー、どーだい、他にもありそうですが、カッコいいす!エレキギターがうねったあと、「ピーポーピーポーピーポピーポー」と救急車みたいなキーボードが入って、エンディングもそれで終わるという。何でピーポーピーポーなのかは今田に謎ですが(笑)
私は晴れの日も雨の日も玉にですが気分いいときなんかは「五月雨〜」と唱うと気持ちが上がります。サビも、誰もいないところで玉置さんに合わせて無理してサビの一番高い部分をシャウトすると、凄いストレス解消になります(笑)以上です。