安全地帯『リメンバー・トゥ・リメンバー』六曲目、「オン・マイ・ウェイ」です。
この曲は、セカンドシングルでもあるのですが、売れたという話は聞いたことがありませんので、残念ながら埋もれていった名曲という扱いになるのでしょう。
玉置さん「レコードは全然売れないし」
の時期なんですね……。井上陽水のバックバンドをしながら、コツコツとレコーディングしていった中の、「今度こそ!」の勝負曲だったことと思います。
デビューシングル「萠黄色のスナップ」が、ギターポップとしかいいようのない、よくぞここまでギターでこんなに可愛い曲になったものだ、それでいてギタリストのハートをワシヅカミにする「そう!こういうのが聴きたい、弾きたいんだ」というフレーズ満載に仕上がっているのはもう脱帽だ、という、実に玄人好みの曲であるのに対して(だから売れなかったんでしょうね)、
セカンドシングル「オン・マイ・ウェイ」は、玉置さんふうにいえば「エレキギターバリバリの」爽快ハードロックになっていて、「じゃあ、これならどうだ!」という意気込みを感じます。こういう曲、ライブだと気持ちいいんですよね。演奏するほうも聴くほうも。
1982年…聖子ちゃんが「渚のバルコニー」、あみんが「待つわ」をヒットさせた年です。ロックっぽいところでは清志郎と坂本龍一「い・け・な・いルージュマジック」、サザン「チャコの海岸物語」の年です。そりゃ売れないでしょう、オンマイウェイ。あまりにも爽やかでストレートすぎます。
「絶対売れると思った」「流行っている曲より絶対いい」とは、この曲に限ったことではなく、この時代の安全地帯を玉置さんがそう思っていたということなんですが、
そりゃいい曲だし、演奏力も歌唱力もアレンジの力も文句の付けどころがないし……、
かりに自分が中学生・高校生だったとしたら、こういう音楽を好んで聴きそうな人がクラスにどのくらいいたかと考えてみたら……。シブガキ隊とかマッチとかにキャーキャー言ってるクラスメイト達を、一人だけサザン好きな子が少し冷めた目で見ている……くらいの時代ですからね。もう八年前に陽水の『氷の世界』が100万枚売れたことなど知らないに等しい世代です。そこでクラスに一〜二人は買って聴く子がいて、その他大勢がカセットテープに録音してもらって聴いている、というのが「売れる」ということなんです。ちょっと無理があるのは、後だからわかることではあるんですが、明らかでしょう。
さて、この曲は、エレキギターがバリバリのハードロックでして、ギタリストならコピーしてみるととてもスカッとする曲です。コピーするときにぜひ気を付けたいのは、大事なのは歪みの深さでなく、音量だということでしょう。ゲインでなくボリュームで迫力を出すような感覚でないと、単音弾きがギザギザと汚くなりますので注意したいところです。
イントロでは、ちょっとした手癖なんだと思うんですけど、Dのルート、五度の飾り音を入れて刻み、ルート音や飾り音を四拍目で半音ずらしながらリズムをとるリフになっています。このリフが、曲全体の印象を決めていますね。なお、バッキングはD、Cの繰り返しです。ベース、ドラムは基本的にタイトな八分ですね。
スタジオ版では、おそらく川島裕二さんのシンセが「ギュワーン」とスピード感、「北海道的な広がり」感を演出します。
歌全体を通して、基本的にスリーコード(G、C、D)で、Gの裏コードEmが挟まるだけのコード進行なんで、コピーもおそろしく簡単なんです。ただ、こういうところがニクイんですけど、間奏で、ギターソロのバッキングではDの代わりにBmを使っています。CDに合わせて調子よく弾いていると、ソロに入った時になんとなく合わなくて、アレッと思い「じゃあこうかな?」と試してみて合う、といった具合になるでしょう。
松井さんに出会う前に、英語の歌詞をバンバン歌っていた珍しい時代の、far awayとかだけで済まない英語の歌詞を玉置さんが歌うという、珍しい曲でもあります。これはぜひライブ盤We're Aliveでも聴いてほしいですね。武沢さんのノリノリなアクションも必見です。武沢さん、ずっとこういうノリでやりたかったんだろうな〜と、ちょっと切なくなります。
もしジャーマンメタルとか北欧メタル、みたいに、北海道ハードロック、というのがあるのであれば、まさにこれだと思います。アメリカでも古くはウェストコーストロック、もう少し現代に近づくとモトリークルーなどの「L.A.メタル」、都会的なBON JOVIらの東海岸ふうハードロック、シアトルのグランジ、といった郷土ロックがあるのです。安全地帯はそういうバンドの旗手として、日本の音楽界に郷土色というバラエティーをもたらす革命を起こせたかもしれません。90年代、沖縄ブームがあった時代に、北海道はこれなんだ!といえるものがあるとすれば、それはきっと安全地帯か、そのフォロワーだったかもしれないのです(千春やみゆきでなく)。以前にも書いたことですが、安全地帯の才能と技量が、残念ながら(幸運にも?)そういうスケールをはるかに上回っており、「ワインレッドの心」以降、完全に日本全国・アジアを制覇する勢いで売れていきます。
わたくしにとって、「オン・マイ・ウェイ」は、いまだ実現せざる「北海道ハードロック」の夢を見られる名曲なのです。
安全地帯1 Remember to Remember [ 安全地帯 ] 価格:1,545円 |
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この歌を歌っているといつのまにかどーだいになってしまうのですがどうしてなんでしょう笑
なんかうちの親世代も、最近気候がおかしい、人間がいろいろ自分の都合でいろいろ作ったり壊したりしたからだなどと、宮崎駿とか手塚治虫のアニメとかマンガのようなことを電話で言ってきます。うーん、人間のすることが地球に影響与えるくらい強いと仮定するならばそうだねえ、そっちのほうがよほど人間の驕りじゃないの?たんに太陽活動の周期とかじゃない?と答えています。昭和三十〜四十年代に多感な青春時代を過ごした世代は科学技術は人間の罪だと信じる癖があるようです。
「We're alive」と兄弟曲って感じしますね。爽快でノリノリの佳曲です。歌詞はおっしゃるようにもうちょっと歌いやすくすればよかったのにと思いますねえ。
人間が住む世界、地球は人間だけのものでなく、森や鳥、虫や花、生き物のほうが圧倒的にパーセンテージは多いのですから、近い将来にまたビニール袋やペットボトルは無くなってるかもしれません。車が空を飛べる日くらいには。
話しはオンマイウエイでした(笑)
私はこの曲も出だしが好きで、ノってきます(笑)ドラムの「ダッダッドッドッドッドン デーン!」
のデーン!と一緒に聞こえる楽器?が
もう昔からおならの(笑)音に聞こえてしょうがなく、毎回毎回おならだと思い聴き続けて37年が過ぎました。これからもオンマイウエイ〜おならとともに聴こうと思います。
ただ、やはりサビは当時はあれで良いと思いますが、サビの「ウェンドライビングロード」の処は(笑)なんか他にうまい日本語無かったのかな、と今思えばですが思います。「俺は探す、鮮やかな胸打つ響き」は凄い良いですね。よく考えたら、ウイアーライヴと兄弟曲(笑)なんですかね。
オンマイウエイでした。ありがとうございました。