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2019年09月06日

番外編最終章:他人の評価

理不尽極まる出張応援も、終わりに
近づいた頃、僕は実家に帰省した際に
ある喫茶店に行きました。



大学時代、ランチを食べに行っていた
お店です。



応援先から実家へは、高速バスで帰れる
距離だったので、時々帰省していました。



喫茶店のマスターは初老の女性で、
感じの良い方です。



僕は大学時代いつも頼んでいたパスタを注文し、
食後のコーヒーを飲みながら、応援に至った
経緯を話し始めました。



上司に嫌われ退職勧奨され、畑違いの
半導体工場へ応援に行く余剰人員と
なってしまった。



僕は能力が低いと評価されたからだ。
このままではリストラされる
かもしれない・・・



バブルが弾け氷河期の走りとなっていた
とは言え、20代でこの立場は情けない
ものでした。



しかしマスターは僕を励ますように、
学生時代聞けなかった話をしたのです。



「私も会社を倒産させたことがあるの。人生
悪いことがあった分、いいことがあるものよ」



当時はこんな状況に置かれれば、
先が見えなくなる。いわゆるお先真っ暗に
陥っていたのでしょう。



しかし、後から見れば大したことでは
ないのかも知れない。



マスターの人生を振り返るような言葉に、
僕は上記のように思えて来たのです。



僕が兼務課長に退職勧奨を受け、針のムシロ
状態から、口減らし同然で半導体工場へ行く
直前の出来事を思い出しました。



職場でグループリーダーであった先輩社員の
メッセージです。以下の通り。



君の掲げた目標に邁進すれば、応援先では評価
されるでしょう。諸輩の先入観のない新天地で
頑張って下さい。



諸輩の先入観・・・グループリーダーも、
会社内での立ち位置は環境、上司次第である事を
うっすら分かっていたと感じました。



話は脱線しましたが、マスターの話を聞くにつれ
底なしの不安が薄らいでいきました。そして
とどめの一言が心に突き刺さったのです。



「他人の評価なんてどうでもいいじゃないの。
その人からお金貰っているわけじゃないでしょう」

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かつて10年ほど警備業界で従事してきましたが 限界を感じ、同業界を去りました。 今は港湾施設保安職員として、港湾管理業務に従事しています。
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