今回は、以前の記事で取り上げた
感情労働について深堀りしてみます。
感情労働とは、肉体労働・頭脳労働に
続いて、第三の労働形態として
アメリカの社会学者が提唱したもの。
詳しくは、このリンクをどうぞ。
施設警備で、クレームに対応する警備員
の状態をイメージすると、感情労働は
分かりやすい。
トラブルにならないように、言葉を選び
対応する。相手の挑発に乗らないのも
かなりの負担です。
商業施設では、感情労働はかなり大きな
ウェイトを占めます。
官公庁でも、警備員の発した一言が
行政のトップまで波紋が広がる事も。
マスコミの餌食にもなりやすい。
では、交通誘導警備では感情労働はない
のでしょうか?
上記施設警備よりは、件数は少ない
けれど、地域住民、特にドライバー
からの苦情はあります。
僕が交通誘導警備に従事していた時、
ガス管の埋設工事で、片側交互通行の
夜勤現場で起こった事。
通常は朝5時ごろには、現場は
終わるのですが、その日は段取りが
悪く、終了したのは朝の8時。
その道路は路線バスも走る、通勤道路
でした。ドライバーから怒鳴られる
規制区間両端の警備員。
本来ならば、現場監督が頭を下げるべき
ことなのです。ところが監督は現場を
終わらせるのに精いっぱい。
自分に原因がないのに警備員が怒鳴られる。
これが感情労働と言わずに何なのでしょう。
警備員としては、警備会社の事務所で
愚痴るくらいしかありません。上司と
しても、そうか・・・で終わり。
工事看板には地元大手ガス会社の名前が
あるので、そこへ苦情が行ったでしょうが
警備員に対するケアは皆無でしょう。
こういったわだかまりが蓄積して、ある時
突然辞められてしまう。感情労働に対する
手当がなかった、当然の帰結です。
幸い僕の場合は希望通り、施設警備に
異動できた「報酬」がありました。当時の
部長に感謝しかありません。
ある警備会社の経営者さんは、警備業界の
課題は、警備員の社会的地位向上もさること
ながら、以下の課題が最重要と言っています。
それは、ノウハウの蓄積と職責への理解。
感情労働による負担も、職責として評価する
考え、労働者に報いる仕組みが必要なのです。
さて困ったことに、こういった感情労働の
矢面に立つ労働者は、ワーキングプアが多い。
官公庁の窓口では、非正規職員や民間委託
の社員が、来庁者の対応に当たっています。
クレーマーから最初に攻撃される。
感情労働が評価されるどころか、嫌なこと
面倒なことを、待遇の悪い立場の弱い側へ
押しやっている現実。
トラブルを起こせば、次の契約はないで
しょう。心を病んで離職する人も多いの
では。
官公庁だけでなく、商業施設もそうです。
トラブルの矢面に立つのは警備員。
警備であっても、トラブルにならないよう
コミュニケーション能力や、メンタルの
強さが要るのです。
クレームは初期対応がキモです。これを
失敗すれば、被害は広がります。警備に
丸投げするクライアント側もありそうです。
最後に、こうした感情労働軽視の環境で
どうすればいいか、提案してみます。
委託や派遣といった労働形態が、感情労働
を軽視する考えになると個人的に観ています。
それならば、警備業者という「委託」では
なく、その施設の(守衛)職員という
ステータスで従事する。いわゆる自主警備。
自施設の直雇用の職員ならば、クレームを
他人事とする考えは減ります。労務管理に
直接影響してきますからね。
これが委託業者なら、クレームをいなして
くれる役割くらいにしか思われないでしょう。
する人がいなくならない限り。
警備員が、感情労働軽視の環境で働かない
対策とは、クレームに対抗するバックボーンの
ある職場で働く。例え大きな組織でなくても。
その手段として、委託形式の就労よりも
直雇用のほうがベター(あくまで比較的)。
但し直雇用は、雇用主と直接労働契約を
結ぶので、ぶっちゃけ雇用主次第ですね。
いわゆるガチャの要素も排除できないので、
転職は自己責任でお願いします。
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