今回の記事は、過去記事「下衆な下水道
クレーマー(前・中・後編)を元に、
以下2つのテーマについて深堀りします。
@苦情対応一つで、契約打ち切りの危険
A苦情を迎え撃つ、組織の危機管理とは
まず最初に、苦情事案の背景から説明します。
僕が最初に勤めた地場警備会社A社の警備員と
して、地元市役所の警備に従事していた頃。
休日は、守衛室に詰めています。定時巡回以外
は出入管理・電話対応が主な仕事。
もう一人、守衛室には市役所職員OB(嘱託)
の守衛さんがいます。市の公印を使って
戸籍関係の受付をするためです。
こうして休日守衛室には24時間の当直勤務
(当務)をこなす2名がいます。
僕らが市役所警備委託業者として従事し、3年
ほど経った頃、苦情事案は起こりました。
ある土曜日、守衛室に電話がひっきりなしに
かかってきます。声の主はおっさん。
自分の敷地にかかる工事が不服らしい。
この手の案件は自治会を通じて根回しを
行うものですが、1人くらいは言う事を
聞かない輩がいるとのこと。
クレーマーの男は、罵詈雑言を吐きながら
誘導尋問を仕掛けてきました。
「お前たちとの会話は録音しているぞ」
電話対応にあたっていたM隊員はこう返して
しまったのです。
「はい、こちらも録音しています」
この文言が禍根の一つとなりました。
守衛室では、道路関係の職員に連絡を取り
対応を試みるも心当たりはないとの事。
日曜日になっても、朝からクレーマーの攻撃
は止みません。警備員はM隊員からK隊員に
交代していました。
こちらからは平日開庁日に話を、と説得するも
そんな時間はない、と一蹴され。
後で分かったことですが、道路工事の苦情では
なく、下水道工事の苦情であったとのこと。
対応が分からないまま、クレーマーの攻撃を
受け続ける日曜日の守衛室。
クレームは、長くなると段々本題からずれて
いくものです。
電話口で罵声の波状攻撃に耐えかねたK隊員は、
ついに舌打ちをしてしまいます。
クレーマーの計算通りだったのでしょうか、
必殺の決め台詞。
「お前たち、仕事をできなくしてやる」
クレーマーは、僕ら警備員が委託業者であると
市役所での立場を理解していたようです。
K隊員が申し訳ございませんでしたと謝るも、
「そんな謝罪はいらない、みんなで謝りに来い」
とバッサリ。これが二つ目の禍根となりました。
週明けの月曜日、散々守衛室をかき回した
クレーマーの男からは電話はなし。
下水道課の職員が対応したからでしょうか。
しかし、翌火曜日我々のクライアントである
管財課に、クレーマーの男から電話あり。
彼の剣幕に電話では済まされないと判断した
管財課係長は、当事者であるM隊員とK隊員を
管財課に呼び寄せます。
M隊員は「録音している→録音することもある」
とクレーマーに謝罪を含め言い直します。
K隊員も改めて謝罪したようです。
M隊員に続き、舌打ちで傷口を拡げたK隊員には
厳しい断罪がありました。
課長以上のレベルで、A社を市役所警備から外せ
という話になれば、警備業者交代だ。
係長レベルではかばいきれない、というもの。
幸い、A社営業担当の上司も奔走した結果、
事態は収束に向かいました。
このように苦情は対応一つで、警備業者交代
まで行くリスクがある。
職員と連携しても苦情の正体を見つけるまで、
手間がかかったりします。まず合う鍵から
見つけなければいけない。
当時A社警備隊は、業務が軌道に乗った反面
権力闘争モードに入っていました。前出のM
&K隊員は、別の隊員を攻撃していました。
自業自得、いや因果応報というべきか。
M&K隊員には責任を取らせ1か月以内に、
別の現場へ「懲罰的」異動を行うのが
会社としてのケジメでしょう。
ただそれができない事情がありました。市役所
警備は、一人前になるまで電話対応など経験が
必要であり、数日の研修で投入するのは無理。
たまに日勤だけ応援に来る隊員がいましたが、
当務をこなせる隊員を育成できなかった。
守衛さんとの連携もできなくてはいけない。
この背景には、市役所を無理して安い価格で
落札し、ギリギリの隊員で回すという、今なら
到底許されない労務管理だったのです。
この冗長性(余裕)のなさが、クレーム対応の
改善を図ることをできなくしていました。
組織としての改善がなされなかったわけです。
また、問題を起こしたM&K隊員は市役所警備
隊の人事を牛知っている、Y課長のお気に入り。
この2人に懲罰的異動はあり得ません。
上記が積もり積もってカテゴリ「施設警備2〜
市役所迷走編」のラスト悲劇に繋がったのか。
カテゴリ「施設警備3〜ブラック企業編」の
B社も、地元に施設が一つしかなく隊員の浄化
ができない環境でした。
リーマンショックの後、解雇という大ナタを
振るいましたが、これが禍根となり結局B社は
クライアント側から切られる形で撤退。
目先の効率ばかりを見て、いざと言う時の
組織浄化の余裕をケチってしまったツケなの
です。合理化&少数精鋭の美名の下に。
隊員交代が可能な現場を複数用意して、組織の
浄化を定期的にできない業者は、危機管理が
できないツケを、別の形で支払うでしょう。
最後に皆さんも、このような職場に勤めている
かもしれません。参考までに言えば、息苦しい
現場(施設)は要注意です。
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