今回は、警備時代の回想を元に
使う側と使われる側には温度差が
あるのが前提です。
これを理解し、有為な人材を使い続ける
には、どうすればいいか。隊員にとって
価値ある職場とは何なのか、という話です。
カテゴリ「エピローグ〜さらば警備業界編」
のD社での事。
D社は、地場中堅警備会社で社長はやり手
と言われていました。
確かに、施設・交通誘導・イベント雑踏・
身辺警備など県下に広く展開。
そんなD社で、僕が最初に配属されたのは
ビジネスホテル駐車場警備。
そこの隊長(責任者)は、D社創業時から
のベテラン。20年前、社長と一緒に
道路で旗を振っていたそうです。
その隊長は、夜勤専門。当現場は日勤2名
と夜勤2名のシフトで動かしていました。
夜勤の方が、車の出入りが少なく日給も
高い。約4時間の仮眠時間があっても。
立ち上げて、形にするまでは大変だった
でしょうが、トラブルも少なく安定した
職場にありついた。
ところが、迎え入れた警察OBの部長が
来てから、人事状況は一変しました。
まず、上記隊長を夜勤から日勤に異動。
隊長は抗いましたが聞き入れられなかった。
そこまでならいいのですが、その後新たに
取れた、地元放送局の施設警備隊長として、
異動を命じられたのです。
これには隊長は怒り、退職します。
一般の勤め人なら、上記のような異動は
珍しくありません。警察OBの部長も
当たり前、と考えていたでしょう。
ここで使われる側の言い分を見てみると、
@異動するメリットよりデメリットが多い
A安心して働ける環境を根底から覆した
@新たに取れた施設を立ち上げる。僕も
知っていますが大変です。前業者が
まともな引継ぎをするとは限らない。
この異動経験が、将来の待遇アップに
つながるかも怪しい。給与面でも期待
薄でしょう。
A実際、ビジネスホテル駐車場の
現場もそうやって立ち上げてきたが、
簡単に異動させられるとは何事だ。
要するに、過去行った苦労と引き換えで
安定した立場で仕事ができる、といった
インセンティブだった。
この安定した環境は、待遇を凌駕する
事もあります。警備員ならではの既得
権益ですね。
これを社長が担保してくれていると
思ったのでしょう。無理もありません、
創業時からのベテランですから。
それを簡単に反故にされてしまった。
D社への帰属意識は崩れて行きます。
隊長は年金まで、カウントダウンの
年齢に来ていました。あと数年辛抱
すればいい。
彼は退職後、別の警備会社で商業施設
警備に就き、カートを集めていました。
今回の件は、会社が隊員に求めるもの
と、隊員が会社に求めるものの温度差が
招いた。
会社は個人の事情で動いているわけでは
ない。これは正論でしょう。
一方隊員も生活があり、理不尽な人事に
対しては、退職というカードを迷いなく
切ります。
警察OBの部長は、この辺の温度差に
気付かず、従来の価値観で人事を行って
しまったようです。
使う側が、代わりはいくらでもいると
考えれば、使われる側も勤め先は
いくらでもある、と考えます。
D社社長が、隊長に対して現場である
ビジネスホテルとの契約が続く限り、
そこを任せるよ、と言えば違ったかも。
中小企業ならではの、社長との信頼
関係で成り立つ人事ではなかった
ようです。
苦労して現場を立ち上げた、会社だって
あまりフォローしてくれなかったじゃ
ないか。
どれだけクライアント側に詰められて、
背水の陣で臨んできたんだよ。業務が
軌道に乗ったのは、俺たちの力だ。
上記のような想いは、僕も持って
いました。これが上司と衝突して
干される原因となったのです。
業務が形になり、お客様に評価される
と、体制側との葛藤が生まれてきます。
そこまでの境地に来たならば、
会社にしがみつく必要は無く、新天地
を求めてもと、個人的に思います。
警備を含むビルメンテナンス業界なら、
特にそうでしょう。
会社はしがみつくものではなく、利用
するもの。こういう価値観が、これから
拡がっていくでしょう。
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