警備に限ったことではありませんが、
クレーマー対応には手を焼くもの。
攻撃されるばかりでは、心身病んで
しまうかもしれない。
今回は、ある同僚の一言が
クレーマーを撃退したエピソード
から。
カテゴリ「エピローグ〜さらば警備
業界編」のD社での事。
青果市場の警備に異動になった僕は
ある夜勤時に、クレーマーに遭遇。
警備した青果市場は日曜の夜、
卸売業者の荷受け社員がいません
でした。いわゆる休市日。
遠路はるばる到着したトラック運転手が、
荷受け社員がいない事を知ると、
警備室の前で激怒しました。
深夜時間帯で、市場には我々警備員
しかいません。
ものすごい剣幕でまくしたてる彼。
その彼を、同僚の一言が沈めました。
「俺は雇われているだけ!」
おとなしくなった彼は、荷物を手で
降ろしていました。
その同僚は当時50代後半だったと
記憶していますが、パチンコ店での
勤務が長く、修羅場を知っている。
上記の文言は、クライアント側から
の指示を忠実に遂行し、自分たちに
落ち度がない場合のみ有効です。
日曜夜に荷受け社員がいないのは、
警備の責任ではありません。市場側
が周知に努めるべきです。
そこまで激しく言わなくても、自分
たちに食ってかかっても無駄だと
分からせれば勝ちです。
例えば、苦情なら〇〇の担当窓口に
言って下さいと振る。官公庁あたり
の警備で使えそうです。
さらに前提から、予防線を張る方法も
あります。
僕らの後に、地元市役所警備を落札した
警備会社の隊長。
当時はまだ、守衛室に多くの苦情電話が
かかってきていました。休日は特にそう
です。電話対応業務も悩ましい。
隊長曰く、自分らは「建物」の警備を
しております、と苦情の多くを
シャットアウト。
「悪いな、他をあたってくれよ」
(宇崎竜童風に)と言わんばかり。
(苦情)電話をかけてくる方は、電話口
の向こうは、市の正規職員と思っている。
ところが、対応しているのは「建物」を
警備している民間委託の警備業者。この
落差も肩透かしになるのでしょう。
いずれにせよ、理不尽なクレーマーには、
文句を言う相手が間違ってますよ、と
解らせる。
そもそもこういった事案への対応策は、
クライアント側と協議をして詰めていく
べきなのです。
外部委託だから対応も丸投げではNG。
問題を起こした隊員を替えたり、警備
会社を替えただけでは、解決しない。
警備会社も、現場の隊員に対して
こういうときはこうする、的な
対応策を授けるのが危機管理。
トラブルになれば、警備隊から除外
されるかもしれない、と現場隊員は
分かり切っています。
だからこそ、心擦り切れる想いで
苦情に対応するのです。
現場丸投げでは、隊員は疲弊して
去っていくでしょう。
上記の文言は、そんな修羅場を
経験した先輩警備員の英知なのです。
警備では、どんな施設にも苦情対応の
うまい隊員がいます。まずはその人を
真似る事です。
ただ形だけ真似るのではなく、置かれた
状況や背景まで思いを馳せてみる。そう
すれば、自分で応用が利きます。
僕は個人的に、経験という言葉が好き
です。警備では一番大事な要素と思い
ます。
クレーマーと渡り合ってきて、辛酸を
舐める中で、編み出した知恵やノウハウ
は財産です。
それらを蓄積していくことが、警備隊の
財産にもなるのですが、いかんせん入札
で業者が変わってしまう。
警備に限らず、民間委託の弱点と言える
でしょう。仲の悪い業者同士なら、
交代時の業務引継ぎもろくにしない。
警備は、クレーマーの矢面に立たされ、
施設の顔としての職責があります。
ところが、その重要性を理解している
クライアント側は多くはありません。
警備にもお金はかけたくない。
そんな環境で個人でできることは、
クレームに精通した先輩たちの知恵
を授かり、まず自分を守る。
下手に立ち向かうのではなく、
大けがをしないようにやり過ごす。
これが、警備の待遇から見て妥当
ではないか、そう思います。
しじみエキスWのオルニチン
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image