過去記事「警備会社は儲かるのか」
(前編・後編)警備を含む中小企業の
在り方を紹介しました。
人やモノに対する積極的な投資をしない
ことで、コストを抑え利益を出す仕組み。
今回は上記の前提で、中小警備会社の
人事の沼というか、有為な隊員を辞め
させない仕組みについて観ていきます。
地場中小警備会社は人材が足りません。
もっと言えば、有為な人材が足りません。
一つの現場を任せられて、大きな問題
なく回せるリーダーは重宝します。
そんなリーダーも自前で育成するのでは
なく、他の警備会社から移籍して来れば
しめたもの。
検定受験のための教育もいらないし、
コストだってかからない。いわゆる
人のふんどしで相撲を取っている。
前に僕は、いい警備会社の条件として
教育(特に検定受験)に力を入れている
か、と言いました。
施設・交通誘導・雑踏も2級検定を持てば
警備業界では食いっぱぐれはないでしょう。
ところが、会社がこうして人材に投資する
のにはリスクが伴う。
それは何かと言えば、もっと待遇のいい
警備会社に、移籍されてしまうこと。
会社としては、他所から移籍してきた
リーダー格の隊員を徹底的に捕縛して
使い倒す、これが一番おいしい。
なんでこんなことを言うのかと言えば、
かつての僕がターゲットになっていた
事があるからです。
カテゴリ「エピローグ〜さらば警備業界編」
のD社がまさにそうでした。当時僕は40代
半ば。
検定資格を持ち、10年近い経験がある。
指導教育責任者を取らせればあと20年は
使えるだろう。
これを実現しようと、D社は徹底的捕縛
作戦に出ました。もうお前は警備しか
できない、という呪縛です。
加えて、疲弊させて思考を奪う。
具体的には施設警備なら、どこにでも
お荷物隊員が1人はいるものです。
空白になっているポストさえある。
それをカバーするのは、リーダーの仕事
で、要は2人分の負荷がかかる。
リーダーが故に、指導する責務も加わり
ます。業務をこなすだけでヘトヘトです。
疲弊して他のことが考えられなくなる。
こうして、人材育成のコストを省くのと
同時に、有為な隊員を捕縛して使い倒す
一石二鳥なわけです。
形だけの賞賛と雀の涙ほどの手当が報酬。
「君には期待している」「俺の目の黒い
内には、お前を幹部にしてやる」
使う側の本音は「大変だけど頑張ってね
〜安い給料でご苦労なこっちゃ」
警備でそれだけの業務をこなせるので
あれば、もう少しましな待遇の仕事に
就くことも可能なのです。
それに気づかれ、辞められては困るから
捕縛して気づかせないようにする。この
戦略に長けている経営陣。
D社社長が地場警備業界でやり手と噂され
ていたのは、いかに安く人材を使い倒すか
(揶揄ですが)に長けていたのでしょう。
この使い倒し無限ループから抜け出すには
どうすればいいのでしょうか。これが今回
の結論です。
まずは警備を含む中小企業の儲かる仕組みを
知ること。人材育成のコストを渋ることで
利益を上げている。
次に、今の業務の延長上に何があるのかを
イメージすること。上司のリップサービス
に騙されてはなりません。
給料は上がるのか?部下隊員の人選ができる
権限を得られるのか?情けない話、雇用が保証
されるのか。
何をどれだけこなせれば合格なのか?この
基準を上司が大まかにでも示せないのでは、
キャリアとしてはおぼつかない。
そんな上司や会社に、人生の多くの時間を
捧げて後悔しないのでしょうか。
他の仕事をしたかった、と歳を取ってから
の嘆きを聞いたことがあります。警備業界で
指導者たる立場にある人からです。
コストカットに貢献したのに疲労困憊して、
将来をイメージする思考を奪う。個人の
リソース(資源)を搾取される仕組み。
この使う側の戦略に気づくことが、後悔しない
ための秘訣ですね。
もちろん、警備が天職で会社に骨を埋める
覚悟がある人は、話は別です。
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