2016年08月03日
特効薬は離婚? 夫がもたらす妻の病気「夫源病」って何だ
「愛し合って結ばれた夫がなぜ、ストレスを感じさせる存在になってしまうの? 自販機の缶飲料ひとつ、私に買わせなかった男が、いまは『オイ、ティッシュ』」…。
こんなキャッチコピーの本が、少し前に話題になった。「夫よ!あなたがいちばんストレスです 家庭内ストレス解消法」という本だ。この本のように夫の変わりようを愚痴っているうちはまだいいが、夫が妻の病気を引き起こしているとあっては放っておけない。病名はズバリ「夫源病(ふげんびょう)」。
■夫の世話に明け暮れ…そのストレスが妻の病気「夫源病」を招く
命名者は、大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授。専門は循環器内科だが、中高年のメンタルケア、うつ病治療にも取り組んでいる。
石蔵教授による夫源病の定義は次の通りだ。夫が定年退職して家にいるようになり、朝から晩まで夫の世話に明け暮れ、ストレスがたまった主婦が、めまいや頭痛、動悸(どうき)などに苦しめられ、時には救急搬送され、ひどい時には寝たきり状態になってしまう…。
■若い世代にも夫源病の“感染”拡大 病気の“デパート”に
「亭主元気で留守が良い」と自由を謳歌(おうか)していた専業主婦たちの優雅な生活は、夫の定年と共に崩れ去るのだ。そして夫源病という名が付いて世に出ると、妻たちから圧倒的な支持が集まった。夫が定年退職した妻だけでなく、中年、さらには若い妻たちへと、症状が“感染”していった。
症状も、夫の言動や存在自体へのストレスから自律神経やホルモンのバランスを崩し、便秘や下痢、不眠、イライラ、気分の落ち込みなどさまざまで、身体、メンタルの両面にわたるようになった。さながら病気の“デパート”の趣きだ。
■対人関係でストレス 2人に1人が「原因は夫」
妻は夫からそんなにストレスを感じているのだろうか。サンケイリビング新聞社が主婦を対象に行った調査がある。
それによると、97.7%が「ストレスがたまっている」と答え、ストレスの原因では「対人関係」が全体の半数以上。その元凶が「夫」と答えた人は48.5%にもなった。対人関係でストレスを感じている主婦の2人に1人が、夫がストレスの原因だと答えたことになる。
■夫と「会話が成立しない」「やることなすことイラッと」
夫の何がストレス源になるのだろう。この調査では、「男性は仕事、女性は家事という価値観を強く持っている人」「外面の良い人、体裁を気にする人」「細かなことが気になる人」が上位にランクイン。具体的には、「気が利かない。思いやりがない」「会話のキャッチボールが成立しない」「やることなすことイラッとする」などなど。
■あなたは大丈夫? 夫源病チェック
夫源病の命名者の石蔵教授が監修したというサイトには、夫源病の原因のチェックシートが掲載されている。チェック項目は10。紹介すると…。
・ 人前では愛想がいいが、家では不機嫌
・ 上から目線で話をする
・ 家事に手は出さない(手伝わない)が口は出す
・ 妻や子どもを養ってきたという自負が強い
・ 「ありがとう」「ごめんなさい」の言葉がほとんどない
・ 妻の予定や行動をよくチェックする
・ 仕事関係以外の交友や趣味が少ない
・ 妻が1人で外出するのを嫌がる
・ 家事の手伝いや子育てを自慢する自称「いい夫」
・ 車のハンドルを握ると性格が一変する
該当することが4つ以内ならセーフ、5〜7なら予備軍、8つ以上あれば明らかに夫源病、となっている
■どうやら「妻源病」もありそう
なるほど、と思う。しかし、オトコの端くれとして筆者も言いたい。このチェック項目、「夫」を「妻に」、「妻」を「夫」に言い換えれば、妻も夫の病気を引き起こすこともありそうだ。いわば「妻源病」。
夫源病としてこれまで書いてきたことは、のしを付けてそのまま奥さま族にお返しできそうな気がしてきた。パートナーの病気を治すには、離婚が特効薬、などということがないよう気を付けたいものである。