2015年06月24日
歯磨き粉なしでも虫歯は防げるって本当?
食後のエチケットに欠かせないハミガキ。口臭防止はもちろんのこと、虫歯になったら自然には治らないので、毎日のケアが重要だ。
もし歯磨き粉を使わなかったら、すぐに虫歯になってしまうのか? 歯磨き粉を使えば効果的にみがけるが、虫歯の原因である歯垢(しこう)の除去率はブラッシングの回数で決まるので、ていねいに磨けば歯磨き粉なしでも充分な効果が得られるのだ。
■歯磨き粉なしなら回数で勝負
歯垢(しこう)が虫歯の原因であることは、いまさら説明する必要はないだろう。歯垢は「食べかす」と思われがちだが、じつは菌と代謝物のかたまりで、1mg中に1億個以上の細菌が存在する。歯垢を取り除くのは至難のわざで、きちんとみがいたつもりでも意外と多く残っている。
ハミガキ直後に歯の隙間や歯グキとの境目をこすり、白いネバネバが付着するようなら要注意だ。2〜3日経つと歯垢は石灰化して固い歯石(しせき)に変化し、歯の表面に付着する。こうなると歯ブラシに触れない部分が生まれてしまい、虫歯になるリスクが一段と高まるので、歯垢の段階で取り除くことが重要だ。
歯磨き粉なしでみがいても、効果はあるのか? 歯磨き粉の有無とブラッシング回数、歯垢の除去率を比較すると、
〇歯磨き粉あり
・10回 … 29.2%
・20回 … 54.6%
・30回 … 78.4%
〇歯磨き粉なし
・10回 … 14.6%
・20回 … 35.1%
・30回 … 56.9%
となり、「歯磨き粉・20回」と「なし・30回」は同等なので、回数でカバーできるとも表現できる。歯磨き粉を使わなくても、1.6倍ブラッシングすれば「ほぼ」同等の効果が得られるのだ。
■ブラッシングでは落ちない「着色」
ブラッシング回数を減らす以外に、歯磨き粉はどんな役割を果たしているのか? 誰もが実感できる要素としては口臭の除去/防止や歯の着色落としだ。
多くの歯磨き粉にはミント系の香りや刺激が採用され、ハミガキ中はもちろん、その後もにおいを抑えることができる。ただし虫歯や歯グキ、舌の病気になると、それ自体がにおいの元となるので、普通の歯磨き粉では防げない。
根本原因である病気の治療に加え、はれや炎症を抑える「薬用」を使うのが良いだろう。
歯の着色の代表的な原因はタバコだが、タバコを吸わないひとも食品に含まれるポリフェノールによって汚れてくる。歯の表面にあるタンパク質・ペリクルがポリフェノールと結びついて、水に溶けない汚れに変わってしまうからだ。
日常的な飲み物100mlに含まれるポリフェノールの量を比較すると、
・赤ワイン … 230mg
・コーヒー … 200mg
・緑茶 … 115mg
で、コーヒーやお茶を飲むだけでも汚れがつきやすい。また、カレーやチョコレートにも多く含まれているので、スモーカーじゃなくても油断は禁物だ。
これ以外にも、歯垢をつきにくくする、カルシウムやリンが溶け出した歯を元通りにする「再石灰化」など、歯磨き粉には多くの機能があるので、あえて使わないようにしてもメリットは少ない。ただしブラッシング回数を増やせば「ナシ」でも歯垢は除去できるので、歯磨き粉を切らしたときは念入りにハミガキしておこう。
■まとめ
・虫歯の原因・歯垢は、菌と代謝物のかたまり
・1mg中に1億個以上の細菌が含まれている
・歯磨き粉なしでも、ブラッシング回数を増やせば歯垢は取り除ける
・カレーやチョコレートも、歯の「黒ずみ」の原因になる