2014年11月15日
各書名言集(小説pert9)
続けて、各書名言集、と
いきたいのですが、、、
加賀乙彦さんの
『帰らざる夏』
こちらがですね、
予想以上に、短い名言!
みたいなのではなく
長い引用をしたくて
たまらない作品だったため
各書名言集というか
折角なので、いくつか引用して
『帰らざる夏』名文集ということで
お届けいたしますm(__)m
加賀乙彦『帰らざる夏』
―省治が「ハイ」と答へて立上つた時、
わたくし嬉し涙がホロホロ、嬉しうございました。
これであの子は軍人になれる、
この世で一番立派な人間になれる、
あとは一切を御国におまかせすればよい。
母として安心と誇りでいつぱいでした。
(中略)
宿に帰つて、ひとりになって、何だかがつかりしました。
省治がわたくしから離れたのは初めてで、
もう二度と帰つてこない、そんな気がしました。
新介さんを失くしたお義姉さまのお気持ちわかるやうな気がします。
省禄は軍人にしたくないなんて思ひながら寝ました。
明日は晴れの入校式だといふのにわたくしどうしたことでせう。―
読んでいて、まずはっとした文章。
我が子が軍人になることを
軍人に「とられる」というような
考え方ではなく、ここまで喜べる
心の奥底から…
しかし、省治の母親は本気で
心の奥から、そのことを喜びつつ
自分でも気づかないような
深層心理で、そのことを憂いている……
しかも、そのことをお母さんは不思議に
さえ思っていて…
でも、実際には案外こういう人も
多かったのだろうか、等と
考え出すと……
―ふと悲しみのなかにぼんやりとした喜びの念が、
丁度暗闇に点る一本のマッチの焔のように頼りなく見えてきた。
敗けたとなると、ひょっとすると自分は生きていけるのかも知れない、
そう思うと正直なところほっとした気持ちが強くおこってくる―
玉音放送を聞いた時の省治の気持ち。
彼らは死ぬことを、強がりでもなんでもなく
恐れていなかった
それでも、生きてもいい、と言われて
ほっとした。
ほっとしたのだけれども…
―いままでおれたちは死ね、
死ねと何千回も何万回も教わってきたろう。
陛下は死ねと御命じになった。
義は山岳よりも重く死は鴻毛よりも軽しとお諭しになった。
それは明治天皇と今上天皇とは違われることは確かだろう。
しかし今上天皇はこのお諭しを御訂正にはならなかった。
その御方が今度は生きろとおっしゃる、それがわからんのだ―
もう、真っ直ぐ過ぎて、泣けてきます
こうまで思い詰めることが
出来てしまうんですね……
そして、子どもをこうまで
思い詰める程洗脳教育を
しながら、
敗戦とともに、洗脳された
子ども達を嘲笑って
「うまく」生きようとする教師たち
本当に、ぞっとする光景でした
如何でしょうか?
私はこれを読んだのが
確か高校?だったかな
為、それまでの教科書に
描かれているような
「一般市民」と
イメージが違い過ぎて
本当に、衝撃を受けたのですが
少しでも、はっと
驚いたのなら、
是非読んで頂きたいな、と思います
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