2015年06月04日
鹿の王
おはようございます
今日は、少し肌寒いですね……
お昼からは暑くなるのかしら
さて、本日はこちらです
上橋菜穂子著『鹿の王』
上橋さんのファンタジーの壮大さは、やっぱりすごい。
主人公のヴァンが、奴隷として働いているところから
はじまる、というなかなかのシリアスっぷりですが
少しずつ、ヴァンの素性、奴隷として墜ちるまでの過程が
分かってきたところで、ヴァンが捕らわれる塩鉱に
黒い狼が襲撃してくる、という事件が起きます
鎖に繋がれた奴隷たちは、なすすべもなく、次々と
襲い掛かる牙にかかってしまう
ヴァンも、攻防を繰り広げるも傷を負います。
しかし、他の奴隷含めて、致命傷になるような傷を負った
者はおらず、また、いつも通りの地獄が戻って・・・
くるかと思いきや、嫌な風邪が蔓延しはじめ、気付くと
ヴァンの周りは、奴隷の死体で埋め尽くされ、生きている者が
いなくなってしまう……
ヴァンは、なぜ生き残ったのか。
そして、その一方で、その奴隷での惨状が、その場を支配していた者達
の耳に届き、原因究明に凄腕医師のホッサルが奔走しはじめます
そうする中で見えてくる、黒い狼の正体。何者かの意思。
政治的な思惑。民族同士の対立。宗教的な狂気。
様々な民族が、様々な苦しみと思いを抱えた結果として、
黒い狼は生み出されてしまったのか
黒い狼を生み出した人がいたとするならば、一体目的は何か
何をしようというのか、
病を用いた攻撃にホッサルは憤怒を露わにしつつ
その病の治療法を必死に探ります
そして、また一方ヴァンは、己の体に現れた変化に気づくのですが……
まずは、このホッサルとヴァンの物語が
複雑に関係しあいながら、しかし全く別の場所で
展開していく、という物語としては王道の面白さ
そして、世界観もさることながら、政治的に対立する王同士や
迫害された民族の憎しみ、家族を失った虚無など
本当に様々な人の切実な心の内が描き出され
その感情に少し恐怖を覚えつつも、
一方で、命とは何なのか。病とは何なのか。
身内とは、家族とは、目に見えない繋がりとは何なのか……
という物語全体を覆う主題に関する展開も
非常に面白く、またはっと考えさせられて
そうしているうちに、ひきこまれて一気に読んでしまいます
いやはや、さすが。
お勧めです
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タグ:小説
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