「―――22ユーロと88サンティーム。
それが今の僕に残された、なけなしの全財産。」舞台はフランス
とある事情からお金と住む家を失った主人公コウタは、偶然見かけたアルバイトのビラ1枚に、一縷の望みをかける
面接に向かう駅のホームで、見知らぬ少女と目が合う。
彼女の頭からは、見慣れないツノのようなものが生えていたこのビラ1枚こそが、コウタの運命を決定的に変える
「ふしぎけもの」との出会いだった…
人間に紛れて暮らしている、ふしぎけもの
人間には見えない筈の、ツノや尻尾が生えている
ところがなぜか、コウタだけはそれを見る事ができる…
主人公自身にも秘密があるわけだ。好奇心をそそられる
まるで童話やジブリのようだ。わくわくする
そんな、いまだ未完の長編ノベルADV。現在配信中のリン編を攻略。
プロローグ編からリン編クリアまでで、およそ8〜9時間。非常にボリュームがありましたね。
もうそろそろ終わるかなと思っても、そこが中盤です。
ゲームとしてのクオリティは、どこをとっても高い
何せイラストとスクリプターが、ほぼプロだからね(ほぼというのは、それ1本で食っているか未確認という意味)
2000年代アニメ風の作画は綺麗だし、ヨーロピアンで癒し系の音楽も雰囲気にマッチしてる
サントラや素材から使っているようだが、オリジナル曲もとてもいい
タイトル音楽がかなり好きだ。なかなかゲームスタートせずに、聴き入ってしまう
商業ゲーム
エッチなゲームにも参加しているスクリプターが有能で、システム面や画面演出が、非常に良くできている。プレイはノンストレスだ
ADVは紙芝居だと揶揄されるが、魅せ方を知ってる。全く飽きない
そして…
予想を遥かに上回る完成度だったのだが、同作者の担当している
シナリオが、精神的、かつ情緒的に訴えかけてくる、とてもいい物語だった
スクリプトより、シナリオを書くほうが向いているんじゃないかと思ったほどだ…
小話というサイドストーリーでバッドエンド後まで書かれていたり、細部まで凝っている
一部を除いて特定のキャラクターと恋愛するゲームではない、BLゲー、乙女ゲーやギャルゲーではないというコピーが強調されており、リン編はその一部で、即ち
恋愛の話なんだが…
でもこれは
ギャルゲーじゃないよ…
あとがきにも「甘酸っぱい恋の物語」とあるけど…
命をテーマにした、切ない運命の物語…
鮮やかな純愛ドラマだね…
純粋すぎるヒロインのリンと、コウタの熱意に、私はとても心洗われてしまったよ…
近年のファンタジー恋愛ものでは、間違いなく屈指の出来
正直半泣きっすわ…ネタバレ感想
主人公が家庭教師という設定なんで、さぞやリンを教育するのに大変だろうと思えば、賢い子で次々に知識を吸収していくのがよかった
これ重要。失敗ばかりの阿呆の子って苛々するんですよ
1度だけコウタの学校に来てしまったくらいで常軌を逸した行動もしないし、素直ないい子というキャラクターを立ててる
寧ろ、家庭教師設定は途中で消えていたな…
コウタとリンがかつて夢の中で出会っていて、最初の出会いが実は再会だったなんて、なかなかロマンチックだ。
お姉ちゃんは、今では年下(見た目年齢が)
ふたりにはジージの死が絡んでいて、花が枯れる=死ぬことを布石として打ってるのが、とても巧い展開だった
どうもこういう話に弱い。
ジージがリンに自分の墓を掘らせ、礼を言い永遠の眠りにつくシーンは、泣けてしまったな
花が枯れるまでがふわふわしたラブコメだっただけに、急激だ。
本作は恋愛ゲームではないものの、こういうところは恋愛ゲーム、ギャルゲーの王道だ
人間の命は短い。だがふしぎけものの人生(?)は途轍もなく、長い…
このファンタジー設定を恋愛に絡めたのもよかった。非現実的なのに、現実を感じてしまう。命なんてテーマを持ち出されるとね
「ルーンファクトリー4」のマーガレット編もこういう話だったな
でもここからがこのゲームが王道に見えて本当に一癖も二癖もあるところで、リンの所為でコウタが不老不死にされてしまう展開が怖いね
これまで築き上げてきたふたりの関係や甘酸っぱい空気が、全て消え失せる
画面だけじゃなく、気分まで暗くなるヒロインが主人公を嫌う展開はよくあるが、その逆で主人公がヒロインを嫌う(本当に嫌いになったわけじゃないが)パターンはかなり珍しい
胸が締め付けられる想いがした
ヒロインの告白に安易に答えた主人公が、手痛いしっぺ返しを食らう訳だ。何かへのアンチテーゼが込められている気がするな
エンド3は、コウタがリンをまるで獣のように犯したんだろうね。コウタが大好きだったリンが、コウタを怖がってるのが悲しすぎる
エンド4。メリーバッドエンド。将来破滅が待っているのに、短絡的な今だけの幸せを選ぶ…
作中でも何故か言及されていないが、コウタが不老不死になったからといって、リンとずっといっしょにいられるわけじゃないよね。
だってリンはあと数千年で死ぬんだから。
コウタがリンを受け入れてたとしても、リンが先に死ぬ…
リンもその事に気づいてないようだ…
独善的だからというのが、その理由ではないだろうが
まあだからこそ、これはバッドエンドだ
エンド2。意外といいエンディングじゃない?
少なくとも人間としての死が訪れるまでは「ずっと」一緒にいられるわけだし、そもそもずっといっしょにいたいと言ったのはリンなのだから、自分から人間に寄せるのは、当然のこと。
寧ろリン編の結末は、こうなると思っていた
エンド1。他人行儀で悲しい。ハチに至っては見送りにすら来ない。でもいつかまた会えるなら、希望はある
まあなんといってもハッピーエンドはその結末もさることながら、ストーリー展開が素晴らしい。伏線も上手だ。
かつて瀕死のリンを救ったのが、記憶を失う前のコータだなんて想像もしなかったよな。ましてや序盤も序盤
ちょっとマイナス面も挙げておくと…
色が薄くなる演出はいいが、絵をちゃんと描けなくなってる設定なので、色彩も狂ってると良かった。「画面が暗くなった」くらいの誤差しか感じなかった
ハッピーエンド後は、キャラクターを総出演させてもよかった。カドルたちにも、散々心配かけたわけだし…
そしてゲーム内容ではないが、宣伝文…
『もし、わたしとずっと一緒にいられるようになるなら……そうして、くれる?』
麒麟の少女、リンの「教育係」となることを選んだコウタ。
何も知らない真っ白な状態の教え子に
ひとつひとつ、知識を授けていく日々。
そんな日々を通して、二人は互いに惹かれていく。
けれどもある日、少女は識る。
人間とふしぎけものの間にある「歳月(じかん)」と言う名の隔たりを。
別離(わかれ)のいつかに怯える彼女が犯したのは、たったひとつの白いあやまち。
……
なぜかリン編のテーマや結末までを、ほとんど書いてしまっている
制作側にも何か思惑があったのだろうけど、これはネタバレしすぎじゃないか
ふたりの関係に変化が…くらいに留めた方がよかった
私はこのテキストをクリア後に読んだのでよかったが、クリア前だと面白さが半減していたかも
「どんな話になるのか」を想像するのが面白いのが、「ゲーム」だからね「コヌル・コピア」は、特にそういうゲームだし
評価S+
90点
いやぁ…
面白かった…あくまで「コルヌ・コピア 〜不思議の住む街〜 リン編めぐる春色」の評価であり、このゲームはまだまだ未完
ヨハンにふしぎけものが見えていたり、伏線もほとんど回収されていないので、総評できる日を楽しみに待ってます
ハティ編「夏夜の影狼」もやりましょうかね。アマル編とジャック編が配信されるまでにはね
しかしキャラクターの実年齢と外見年齢は、何歳という設定なのでしょうね…
コウタがリンを自分と同い年くらいだろうかと言ったが、身長差もあるし全然そうは見えない
まあぶっちゃけ、
犯罪にしか見えないカップルファンタジーで、見た目がロリでも何千年生きてるから
セーフという風潮