はあああああああぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(クソでかため息)
どうやら本作に関して、根本的に見込み違いをしていました。
夜底奇劇・星空物語は体験版の宣伝を見た時から、直感的に面白そうだ、って思ったのですよ。
そして実際に体験版をプレイし、非常に気になる終わり方だったので、本編の配信を、たった数日とはいえ、一日千秋の想いで待っていたのです
そしてファーストインプレッションや、レビュー感想でも面白いと絶賛し、「これは凄い良作だ」と評価しましたが…
申し訳ないんですが…
その評価は取り消しとさせて頂きます
全然良作なんかじゃなかったです。余りにも見込み違いでした
いざクリアすると、全く違いました。
このゲーム……
「名作」でした…
うおおおおおおああああああああああん!!!!!(号泣)
さて、という訳で(急に真顔)プレイ日記2と、総評
エンディングまでのネタバレがあり、ストーリーの核心に触れています
▼自分とブライドは完全に相いれない存在に思えた詩織が自分を見失うも、導いてくれる部長が余りにも格好良すぎる…
こら詩織も惚れますわ
「お前を、この夜(このよ)の底から救いたいんだ!!」と、告白にも近い言葉を叫ぶ部長
詩織も唐突な事を言われたと思ったのか、「こ、この夜…」と思わず真顔になって冷静にさせられる
詩織と部長の関係ってなんなのだろう。って思ってたんだけど、詩織にとって部長ってヒーローだったんじゃないかなあ…
お互い恋愛感情か、それに近い感情の。
加藤に襲われた時も「部長…部長…」って、寝取られもののヒロインみたいに、ちょっとアンアン言ってるくらいの勢いでつぶやいてたし…(ここ体験版にはなかったような)
無意識の発言って、その人の最たる本心だしね(まあ他に呼べそうな助けもなかったかもしれないが…)
作中で誰誰がいなかったらこの革命はない、という台詞があるんだけど、部長がいなかったら詩織はとっくにブライドに殺されてるからね。
詩織にとっての救世主が部長だったというのは、よくわかる
▼度々怪しい言動が目立ったマイスだったが、まさか兄であるブライドを裏切り、殺し合いに発展するとはね
マイスとは詩織としてケリをつけたかったのだが、詩織にとっての宿敵はあくまでブライドであってマイスとはそこまででもないので、この流れの方が自然かもしれない
本当はお互いを必要としているのに殺し合い。切なかった。
マイスの脆い素顔を知ってしまうと、もう悲しかった。
▼いざ革命という段階で、ブライドを追い詰めるも、剣で部長を貫くアドリク。
元々メンバーではなかったので、裏切るキャラクターとしては一番臭かったかもしれない。関係が薄いだけに、ショックも余りなかった。
裏切りにより、彼とも戦う事になるが…
殺す前に、マイスによって戦いは終わる…
「アドリクの息子」というより「双子の親」は登場するのかなあ…くらいに思ってたら、まさかアドリクだったとは。しかもそれが、裏切りによって行われるとはね
このゲームのテーマを「親子」だと前回書いたけど、よりそれがクローズアップされた展開。しかもこの3人は、義理でもなく実の親子
アドリクが邪道に堕ちた息子2人のことも平等に愛してるのが、物凄い父性愛を感じる展開だね。
双子にとっても、おじいちゃんは義理だけど、アドリクは実の父だしね…
▼アドリクと違って最初から詩織を守ってくれた人物なので、部長の死は、ショックだった。
RPGでいうヒロイン死亡でもあるからね…
好きな女を守って死ぬ…という劇的な死に方じゃなくて、割と流れで逝ってしまうのが妙にリアルだった
アドリクが部長を刺したのも、あの場の流れでしかない。
(中盤にあった、式術では怪我を直せないという台詞は伏線だったのかしら)
あ……これまで守ってくれてた部長はもういないんやな……って泣けてきちゃうね
部長、本当に最後までいい男すぎる。
作中で一番成長した人物は詩織やブライドではなく、部長かもしれない。
最初は本当にただの眼鏡の少年だったのに、勇敢で頼りになる、主人公の相棒へと…
革命軍の戦力としても、かなり強い。
思えば、本当に最初から詩織の心配ばかりしていた。間違いなくこのゲームの良心ですわ
▼そして頼りになる部長もおらず、遂にラスボスブライドとの一騎打ち。
背景がおじいちゃんと双子の写真になってるのが、最高にアツイ演出だ。
最後の一撃がお互いの奥義で、カットインが同時に出るのはカッコいいね。
こういうところを見ても思うんだけど、このゲーム、ツクールながらに演出が最高に上手い。
グラフィックだけではなく音楽の使い方も上手で、戦闘音楽がターニングポイントで変わるのは、かなり燃えた
▼革命を終え、これまでともに戦った仲間たちや、殺しあった敵との会話。
加藤に関してはかなり簡素な扱いだったかな。部長の死にも余り触れていないし。
これについてはもっと上手くやれたんじゃないかと。
髪の毛で隠れた目がブライドによって抉られている…と分かるシーンで、てっきり詩織を殺す命令に背いたからやられたのだと思えば、全然関係ない任務失敗だったんだね。ちょっと拍子抜けした(笑)
▼更生したマイスとも、もっと、ちゃんと話したかったかなあ。
そしてミユアが記憶喪失になるが…
なるほど、おめでとうございます…
ミユアさん……
あなたが私や仲間たちに塩酸をかけたこと、忘れてませんよ(威圧)
この程度では、悲劇というほどでもないかなあ。てっきり全身に大やけどを負ったとか、失明したくらいを想像してた。
だって、こっちは仲間を2人も殺されてるからね。
でも敵メンバーは結果としてほぼ無傷…
終わってみれば本当に勝ったとは言えない戦いだったね。
それを、リーダーすらも直々に許してしまっているからね。余りにも優しすぎて。
革命するには、彼らは優しすぎたね。シーラもカヤも善人過ぎた。
悲しいけどこれ戦争なのよね…
革命なんて、悲しいね…
▼元の世界に戻らず(ママ可哀想)、詩織が夜明け前に旅立つエンディングもとてもよかった。
舞台装置的な演出と、タイトル回収が星空のように綺麗。
なるほど星空物語、ね…と感心
評価S+
90点
いやあ、凄いゲームでした。
これまで遊んだフリゲRPGで、1,2を争う面白さ。
喜劇上演団体Bという学生同人サークルの製作ゲーム1発目らしいんですが、ここまでクオリティの高い1発目は稀有じゃないでしょうか。
次のゲームはどうなるのでしょうね。楽しみです。
特にシナリオと台詞回しのセンスが良いですね。時代が変わって作業環境が良くなり、上手い絵を描ける人はフリゲにもpixivなどにもゴロゴロいるけど、シナリオ、文章が上手い人はフリゲにも例えばなろうとかにも、殆どいないんですよ。
やっぱり文字だけでの表現って、誰でも出来る創作だけど、一番難しいんです。
▼ただ客観的に見ても、決定的、寧ろ致命的にプレイヤーを選ぶゲームではあるでしょうね。
革命、復讐劇、愛憎劇であること。絵は萌え系じゃないし、変な語尾で喋るプレイヤーに媚びるキャラも出てこなければ(詩織は寧ろ挑戦的かつ、好戦的…)、ロリもショタもいない。
分かりやすい勧善懲悪でもヒーローものでもない。極めつけとして、単純なハッピーエンドでもない
もしかしたらまだサークルメンバーも生まれてない時代かもしれませんが、90年代末期、新世紀エヴァンゲリオンという小難しいSFロボットアニメがブームになり、どの業界も明らかにエヴァに便乗し、難解な作品ばかりが乱造されていた時代がありました。のちのちセカイ系という言葉も生まれた
クールで囁くように喋る女性キャラ(綾波系と呼ばれていた)や、精神世界、多重人格キャラが決まって出てくる
あれから時代は変わり傾向も真逆になり、今では何も考える要素がなく、シリアスやストーリー要素も無い萌え作品が主流になったので、男女がいても恋愛関係にはならない、グロテスクやシビアな要素があり人も死ぬ、最後もハッピーエンドではない、という本作は流行りからは逆行しています(でも多分敢えてだろう)。
よって、寧ろ当時の作品にテイストは近い
私は絶賛しましたが、今後同じくらい批判的な人間が出てくることも予見しています
▼難易度「簡単」で、7時間30分(フリーズバグの所為でやり直したから、実際には7時間15分くらいかな)
「簡単」といいながらも、ボスの攻撃は一撃で死にます。終盤のミユア、チハヤコンビが一番の強敵だったかな。
長すぎず短すぎず、濃密なゲーム時間でした。
10時間未満とは思えない、途轍もない大作。
長いムービーなんて無くても、インパクトのあるシーンは作れる。演出はアイディア次第で、プレイヤーを引き込む事が出来る。そのお手本。
▼フリゲRPGの名作って、実は非常に少ないんですよ。
検索してもRuinaとか月夜に響くノクターンとか、ほぼ決まりきったゲームばかりが挙げられており、多くのプレイヤーはもう遊びつくしている状態。
だが本作は、今後その定番の名作の1本に加わる事でしょう
「夜底奇劇・星空物語ってゲームが、すげえ面白いよ」って
▼それではこれにて、喜劇上演団体B謹製、夜底奇劇・星空物語のプレイ日記を閉幕したいと思います。
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