2018年07月30日
ランナーのメンタルトレーニングを読んだ。
◆ランナーのメンタルトレーニング (ジョー・ヘンダーソン)
今年2月末の本命レースで撃沈後、自暴自棄で暴飲暴食の毎日。フォームや練習方法を見直すのもよいが、自分の弱いメンタルを何とかしなくてはならないと思った。著者は外国人で昔の本だがこのジャンルでは評価が高いので購入。
まぁ、斬新なことが書いてあるわけでないが勇気づけられる言葉が多く書いてある。翻訳が下手で意味が分かりづらい点が多くあったが読み終えたので、参考になる点や自分に当てはまった部分を抜粋しておく。
◆爽快感
苦痛を感じたくて走るのではなく自分の力を出し切った時の爽快感は人生の中でそれほど経験できるものではない。マラソン未経験者からすればランナーは「走る」という苦行を自ら好んでやる変人にしか見えないだろうが、初めて完走した時、自己ベスト更新時の爽快感、満ち足りた幸福感はこれまで生きてきた中で味わったことがなかった。何をやっても長く続かない自分だったが、マラソンだけは7年も続いているし今後も「爽快感」を味わうため走り続けるだろう。
◆誰でも勝者になれるマラソンの魅力
一般ランナーに取って「勝利」とは参加する、完走する、記録更新することであるので、マラソンは誰にでも勝つチャンスがあるスポーツである。自分が完走すれば不参加、棄権のランナーに「勝利」したことになる。1位以外は敗者だと参加者全員が思っているのならレースに何千人も参加しない。毎回記録を狙って走るのは苦行に過ぎない、全力を出し切って完走することは「勝利」を意味する。
◆レース後半まで肉体的、精神的な余力を残す。
あるエリートランナーのレースプラン例。眠気を感じるくらい無意識な状態でスタートを切り、競争意識を持たず景色や他のランナーを見ながら走る。後半に入ってからレースに対する情熱を高めて加速していくと気分が高揚してそのままのスピードでゴールできる可能性が高い。
自己ベストを出したレースを思い返すとスタート時の緊張感はあまりなく気合も入っていなかった。ほとんどの区間は淡々と走り本気を出したのはラスト7kmからである。現在は心拍数を確認しながら後半余力を残すレース管理をしているのでペース配分に関しては失敗することはなくなったが、スタート前から記録更新を意識し過ぎて極度の緊張状態になってしまう精神的弱さがある。
◆勝利の定義
・勝利とは全てのレースでうまく走れるわけではないので結果を素直に受け入れる。失敗があるから、うまくいったレースの嬉しさが際立つ。
・勝利とは悪かったレースから何かを学ぶこと。
・勝利とは絶頂期を過ぎて記録が出なくなっても走り続けること。
◆練習
長い距離の練習、スピード練習、その間に行う楽な練習の3種類が基本。スピード練習ではレースのペースを短い距離を使ってリハーサルすること、長距離練習はレースより遅いペースでレースの距離を経験することが目的。レースペース(それ以上)での長距離練習は体を痛めつけるだけ、普段は「距離」と「スピード」は切り離して考え別々に練習をする。
・モチベーションが高過ぎると怪我をする。
練習をし過ぎるとパフォーマンスが落ちてくる。もっと練習しなければならないと頑張るがパフォーマンスはさらに落ちていく悪循環。たいていの生真面目なランナーは、練習量を減らせば健康状態が改善してレースの成績も上がるだろう。
自分よりはるかに実力のあるSNSフレンド何人かがトライアスロンの練習をしている。自転車、水泳はランニングに効果があるとも言われているので自分も取り入れようかと思ったこともあるが、この本によればトライアスロン練習では複数種目の練習をする必要があるため、結果としてランニング練習量が減り健康状態が改善しパフォーマンスが上がるのではないかと考察している。
・ギリギリのペースで走る。
快適と不快の境界線を見つけ、そこよりもほんの少し下のペースで走ることを繰り返すことにより境界線が動き、以前苦しく感じたペースを楽に走ることができるようになる。
これはダニエルズ本で例えるなら快適なキツさで行う「閾値走」と似ている。昔やっていた限界に近いペースでのインターバル走、最近では疲労困憊まで追い込む「タバタ式トレーニング」どちらも疲労蓄積してパフォーマンスが落ちるだけで効果はなかった。やみくもにキツい練習をしても逆効果ってこと。
・距離ではなく時間で走る。
決められたコースと距離を走ると早く終わらせようという意識が働いて無理をしてしまうので、ポイント練習ではない日は時間だけ決めて快適なペースで走る。
自分はいつも同じコース(距離)を走っているので、たまには時間制に切り替えコースを変えるなどして気分転換するのも悪くない。
・好不調の波
3ヶ月以上高いパフォーマンスを保っていられる人はまず居ない。3ヶ月を目安にするか最初にエネルギーの枯渇症状を感じたら頻繁にレースに出ることはやめる。ある選手の例では3ヶ月の「好調」と、同じ長さの「不調」な期間があった。「好調」な時期に厳しい練習やレースを集中させ、「不調」な時期にはこれらのストレスを避けるとレースの成績が上がったのだそう。「好調」な時期は春、秋、「不調」な時期は夏、冬に訪れる傾向があるとのこと。
好不調の波についてはこれまで気にしたこともなかったし、ハードな練習で疲労蓄積したから「不調」になるものだと思っていた。多くのマラソン本の練習メニューが2〜3ヶ月になっているということはそれ以上の期間、パフォーマンスが保てないからである。以前は夏場も厳しい練習をしていたが、今シーズンの夏場はジョグ程度の軽い練習しか予定していないのは正解かもしれない。
◆オーバーワークのチェック
毎朝、「睡眠時間」「心拍数」「体重」チェックを行う。心拍数はベッドから起きる前、体重は朝トイレに行って食事を摂る前に測る。
「いつもの睡眠時間より1割以上短い」「いつもの心拍数より10%以上高い」「いつもの体重より3%以上減っている」
イエスが1つなら、その日の練習できついと感じたら練習量を少し減らす。2つなら軽い練習にとどめる、3つなら、その日の練習は中止。一日休む決断を早めに行えば後に長期休まなくてはならない事態を避けることができる。
自分の場合、いつの間にかオーバーワークになっていることが何度もあったので、こういったチェックは必要だと思う。
◆レース後の回復期間
出場したレースのマイル数だけ軽い練習日(休養期間)を設ける。ただし、エリートランナーでさえこれだけの休養が必要ということであり、自分のような中年の一般ランナーはこれ以上の休養期間にしなくてはならないだろう(フルマラソンなら26日以上の休養が必要ということ)
◆まとめ
長く走ってきて失敗レースやスランプを繰り返してきたランナーであれば、なぜそうなってしまったのかという原因は自分自身で大体分かっており、本書でその原因を再確認でき今後に生かすことができるだろう。レース前後の自己管理ポイントが細かく書かれているので参考になる。繰り返し読むべき内容だが、ページ数が多く翻訳が小難しいため気軽に見返すという気にはならない本である。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7928864
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック