僕が警備員を辞めた理由

施設警備につきものなのはクレーマー。
この対処に心身をすり減らす現場警備員。



今回は、クレーマーに対処する組織の
在り方について、深堀りします。



カテゴリ「施設警備２〜市役所迷走編」
泥縄式で立ち上げたA社市役所警備隊。
業務にも慣れ、軌道に乗りつつあった時。



上司が現場に来て、クレーマーに対して
毅然とした対応を、と指示しました。



当時は相手の挑発に乗らず、社会人として
常識的な対応を取る、くらいにしか感じて
いなかったのです。



後に、上記の指示を出すだけではクレーム
対応の正鵠を得ていない（本質を突いて
いない）事に気づきました。



部下に対して「毅然とした対応を」とだけ
指示して丸投げでは、片手落ちなのです。



クライアント（ここでは市役所管財課）が
悪質クレーマーは市役所のお客様ではない
と明確に示す必要があります。



そして悪質と判断した場合には、毅然とした
態度で部下を守る、というリーダーシップ
を取ることなのです。



という事は、上司は市役所管財課と協議して
クレーム対処について詰めなければいけない。



上司は、協議をするはずがありません。
隊員からの評判もよくありませんでした。



対照的に「部下を守る」ことについて、
辣腕を振るったのが、同じくA社時代の
Y課長でした。



市役所玄関前の身障者用駐車スペースで、
駐車した後、車に傷がついていると因縁を
付けて来た男がいました。



隣に止めていた別の車が接触した、が彼の
言い分。



対応した現場隊員は、状況からしてそれは
ない、と自信満々でしたが、相手の剣幕に
段々トーンダウン。



因縁を付けてきた車と隣の停めていた車の
ナンバーも控えていない。



さらに、当事者同士のやり取りで第三者が
立ち会っていないのと、監視カメラも
なかったのが、問題をこじれさせました。



市役所管財課もどうしたものか。対応に
苦慮している時に、Y課長が介入。



Y課長は管財課に対し、これ以上苦情が
あるのなら、苦情主の男に警察に電話して
もらうよう、アドバイスしました。



Y課長は知り合いの警察署交通鑑識係に
話をして、その男が電話をしてきたら
事実無根と突っぱねるよう根回し。



実際鑑識に掛ければ、接触したかどうかは
直ぐに判ります。そこまで言い出せない
のを見越していたようです。



こうして苦情主の男はおとなしくなり
ました。単に因縁を付けたかっただけ
なのか、それとも金が欲しかったのか。



この部下をクレーマーから守るリーダー
シップまで発揮してこそ、現場レベルの
毅然とした対応が活きてきます。



それには、前に述べたようにクライアント
側と協議をして、どこからが悪質クレーマー
なのか、基準を決めなくてはいけない。



ある旅館の女将さんは、４０分が悪質
クレーマーとみなす目安としている
そうです。



物理的な暴力を振るえば、即１１０番
ですが、そこまでいかないクレームには
どこからが業務妨害かの線引きが要る。



いわゆるガイドラインが必要なのです。
組織として、クレーマーに対応する為。



苦情対応を現場に丸投げすれば、疲弊した
隊員が辞めていきます。



そして部下を守ることのできない上司は
無能のレッテルを貼られるのです。



自ら出向いてクレーマーと渡り合う、
そんな気骨のある上司がどれだけ居る
でしょうか。



官公庁もそうですが、商業施設などは
クレーマー対処で組織の真価が問われ
ます。



ちなみに、クレームはエスカレートする
につれ、本題から離れて行きます。



自分より先に電話を切った、というのも
対応が悪いと揚げ足を取られる事も。



これまでは、上司の対応について述べて
きましたが、現場レベルでクレーマーに
渡り合う時の留意事項は何か？



できるだけ多くの人を巻き込むこと。
第三者、四者と増えるほど、一方の
言い分が通らなくなります。



もう一つは、記録を残すこと。録音や
監視カメラに映る場所での対応も有効
ですが、文言をメモに残すのもいい。



ベストなのは、警備会社とクライアントが
協議して、現場レベルに落とし込んだ
クレーム対応指示書を用意することです。

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