2016年08月10日
「寝る」は簡単かつ効果的なダイエット でもそれって何で?
食事は1日1回が健康に良いとか、朝食を食べない方が良いなどということが一部でいわれていることもある。しかし、質の良い睡眠をとる上では、1日3食の規則正しい食事が大切だ。
特に朝食は、覚醒レベルを上げる上で欠かすことができない。朝食をきちんととることで脳と体の活動性が高まるのだ。朝食を食べないと認知能力が低下するという報告もある。
□なぜ朝食を食べないのか
最近は朝食を食べない人たちが多くなっている。それは、夜遅くまで起きていて、朝は出掛ける時間ぎりぎりまで寝ているからなのだ。朝食を食べない傾向が最も強いのは20歳代で、週2日以上朝食を食べない人が男性で4割強、女性で3割強もいる。
夕食を食べる時間が遅くなったことと朝食を食べない人が多くなったことは関連している。夕食を食べるのが遅くなればなるほど、消化されるのも遅くなるので、朝はまだおなかがすいていない状態となり、どうしても食欲はわかない。また、寝るのも遅くなって、朝はぎりぎりまで寝ているので食事の時間もないということになる。
□夜型生活では睡眠不足も慢性化
こうした夜型生活では睡眠不足も慢性化している。その睡眠不足を解消しようとすれば、休日の寝だめということになり、休日は平日より起床が遅くなり、悪い生活リズムが繰り返されることになる。
また、遅い時間に夕食を摂ることは、肥満につながりやすい。消化に時間がかかる肉類などは、就寝3〜4時間前までに食べた方が良いといわれる。逆算すれば、夜12時に寝る人は、午後8時、遅くとも9時までには食事を済ませておいた方が良いわけだ。
□睡眠時間は長くても短くても肥満になる
また、睡眠時間は肥満と関係がある。睡眠時間が短い方が起きて活動している時間が長いので、それだけカロリーを消費して太りにくいと思うかもしれないが、実際はそうではない。睡眠時間は長すぎても短すぎても肥満の傾向が高いという研究がある。
アメリカで、30〜60歳の1400人を調査した結果によると、睡眠時間7.7時間の人が最も肥満度が低く、それよりも長い人も短い人も肥満度が高くなっている。特に、6時間になると肥満度が最も高くなる。(日本ではBMI25以上が肥満とされるが、世界保健機関(WHO)では25以上は体重過多、30以上が肥満とされている。)
□睡眠と食欲ホルモンの関係
さらに、起床直後に血液を採って、食欲抑制ホルモンであるレプチンと食欲亢進ホルモンであるグレリンを測定すると、睡眠時間が短いほどレプチンの分泌量が少なかった。グレリンの方は反対に、睡眠時間が短いほど多かった。
睡眠時間8時間の人と5時間の人を比べると、5時間の人はレプチンが約15%少なく、グレリンの方は逆に約15%多いという結果だった。
睡眠時間が短い人は、食欲の抑制がきかず、食欲が高まっている状態であることがうかがえる。
普段は十分な睡眠をとっている人が睡眠不足になったときにも、やはりレプチンが少なくなりグレリンが増えるという報告がある。睡眠時間が短くなると、食欲が増して食べてしまうので、太りやすくなるというわけだ。