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2017年10月24日

母を怒鳴らせた一言

私の母は温厚で優しい人だった。
誰にでも同じように接することが出来、
人の悪口は叩かない、こぼさない人で
他人を寄せ付ける力のある人だった。


子供の頃から甘えん坊で短気の典型的な末っ子の私にでさえ
怒鳴ることはなかった・・・少なくとも怒鳴られた記憶はない。


そんな母が私に一度だけ怒鳴ったことがある・・・。
母が他界する2週間ほど前の出来事だった。

最期の一ヶ月を切った頃から息苦しさと胸の痛みに耐えかねて、
幾度となく病院に足を運ぶようになった。
緩和薬が殆ど効かなくなってきていたのだ。


今考えると、もはや打つ手なしの状況だった。
母がどれほどの苦しみと恐怖を目の前にしていたかと思うと
胸が張り裂けそうになる。


そんな切羽詰まっている時、
下半身のむくみ、息苦しくて寝れない、胸の痛み・・・
肺がんの末期症状が次々と母を襲う中、
トイレに行くことが大変だと悩む母に対して

「紙おむつを履けば解決できるんじゃないかな?」

言葉はハッキリと思い出せないが、そんな内容の事を並べて母を諭そうとした。
次の瞬間・・・母の口から出た言葉は・・・

「うるさい!」

だった・・・。

母の心の叫び、イライラ、すべてがその一言に詰まっていただろう。
その一言で私は黙らざるを得なかった・・・同時に、母の心情に気付いて深く反省もした。

しかし、なぜだろう・・・「ゴメン」の一言が言えなかった。


幼少期以外で、オムツを履いたことなんて一度も無い。
それは母も同じことだ。

「紙おむつを履け」と促される側の気持ちなんて理解する気もなかっただろう。

紙おむつを履くということがどんなに屈辱的か・・・
それは父が身をもって教えてくれた。
脳梗塞を患い、初めて紙おむつを履かされた父のあの悔しそうな表情と
あの姿は今でも忘れない・・・。
あの時父はまだ56歳だった。


紙おむつを履けと迫られて、いろんなことが母の脳裏を駆け巡っていたことだろう。

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緊急入院した母が,非小細胞肺がん(腺癌)「ステージ4」を宣告され、1年後に他界・・・母の闘病中の記録や、がんに関することを中心に記事にしているブログです。
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