2016年10月06日
関東と関西で姿が変わる!? 「きつね」と「たぬき」
関東で「たぬきそば」を注文すれば、揚げ玉が入ったそばが出てきます。麺がうどんなら、「たぬきうどん」ですね。なぜ揚げ玉が「たぬき」なのでしょうか。
これは、そばやうどんの具のことを意味する「たね」が変化したものといわれています。揚げ玉は「たね」というほどの具ではないので、もともと「たね抜き」と呼ばれており、そのうちに「たぬき」となって定着したというわけです。一方、関東で「きつね」といえば油揚げが乗ったそばやうどんのこと。これは稲荷神社に使いであるキツネの好物が油揚げであることに由来しています。
関西で揚げ玉を入れたそばやうどんは「たぬき」と呼ばず、それぞれ「天かすそば」「天かすうどん」と呼びます。「天かす」とは天ぷらを揚げるときにできる揚げかすのことです。この揚げ玉入りのそばやうどんは「ハイカラ」と呼ばれることもありますが、これは関東でうどんの具に天かすを入れることを知った関西の人たちが「捨てるような天かすを入れるなんて、ハイカラやな」と皮肉ったことの名残りだとか。
そして、大阪の「たぬき」は油揚げを入れたそば、「きつね」といえば油揚げを入れたうどんのことになります。つまり、大阪には「きつねそば」や「たぬきうどん」はないということですね。また、大阪では油揚げを乗せたそばのことを「しのだ」と呼ぶことがあります。
これは信田(しのだ)の森に伝わるキツネの伝説に由来しています。さらに、京都で「たぬき」を注文すれば、短冊切りにした油揚げをのせてトロミをつけたあんをかけたうどんが出てきます。なんともややこして、地方によって変わる「たぬき」と「きつね」の化けっぷりは、慣れないとすぐには理解できそうもありませんね……。