2016年06月09日
クラシック=眠くなる は本当? 眠れない人必見!睡眠と音楽の深い関係
クラシックコンサートの会場では必ずと言っていいほど、こっくりこっくりと、心地よい眠りに付いている人を見かける。「きっと楽しくないんだな」と想像していたが、実は、クラシック音楽には睡眠と深い関わりがあったのだ。
■あなたが眠る時に聞きたい音楽は?
あるウェブメディアで、「眠る時に好きな音楽は何か」という投票スタイルのアンケート調査が行われている。
リアルタイムで結果が更新されていくアンケートなのだが、筆者がアンケートに答えてみた段階では、1611人の回答のうち67%が「クラシック音楽」と答えていた。他の選択肢は1割以下だったので、クラシック音楽は睡眠に関して圧倒的な「支持」があると言える。
筆者もクラシック音楽に1票を投じた。落ち着いた雰囲気のレストランや、エステティックサロンなどのヒーリングスペースではクラシック音楽がかかっていることが多く、何となくリラックスでき、心が落ち着くのは実感している人も多いだろう。
■「クラシックを聴けば眠れる」を科学的に解明
クラシック音楽を聴くと眠れると感じるのは、「何となく」という感覚だけではない。科学的にも実証されている。
関西学院大学の教育心理学専門の研究チームは、クラシック音楽が人の体に与える影響を調べた。33人の大学生に、ほとんどの人が耳にしたことがあるであろうパッフェルベル作曲の編曲された「カノン」3曲を聴いてもらった。1つは原曲に近い一般的な弦楽合奏。1つはドラムビートを刻んだポップ調に編曲されたもの。残りの1つは弦楽合奏のカノンに並行して波の音が流れるものだ。33人の脳波、呼吸数、心拍数などを調べた。
その結果、リラックスしている時に出る アルファ波が最も誘発されたのは、原曲に近い弦楽合奏によるカノンだった。
一方、ポップ調に編曲されたカノンでは、心拍数、呼吸数が増えるなど軽い興奮状態が認められた。また、波の音が並行して流れたカノンでは、脳波に関して覚醒水準が低下して睡眠が促されたものの、波の音が耳触りだったというケースもあった。
■クラシック音楽は効果的な“睡眠導入剤”
クラシック音楽にリラックス効果があることが、科学的に裏付けられた。眠れない時の対処方法は音楽以外にもたくさんあるが、クラシック音楽を試してみるのも良いだろう。
前述のウェブサイトでは、研究チームが実験に使った、パッフェルベルの「カノン」の他、「月光」の通称で知られる、ベートーベン作曲「ピアノソナタ第14番」や、バッハ作曲「G線上のアリア」(「管弦楽組曲 第3番 BWV1068」 )などが眠りにいい曲として挙げられている。クラシックコンサートで、ついうとうとしてしまうのも仕方のないことなのかもしれない。