2015年11月23日
「水槽で泳ぐ魚を見る」だけでよく眠れる?
金魚や熱帯魚などが泳ぐおしゃれな水槽はインテリアとしても楽しめるが、魚が泳ぐ水槽を眺めると、血圧や心拍数が下がるなど人の健康に良い働きがあることが研究により明らかになった。
歯科や手術室の待合室に水槽が置かれていることがあるが、患者を落ち着かせるために良い影響があることが科学的にも証明された形だ。なぜか夜は仕事のことや心配なことばかり考えてしまい、眠れない…そんな人にも朗報かもしれない。
■泳ぐ魚を眺めて心拍数が低下
この研究は、アメリカの国立海洋水族館で行われたもの。そこでは巨大な水槽の一つを改修しており、その水槽には魚が入っていなかった。そして、研究の参加者が見守る中、この水槽にたくさんの魚がゆっくりと入れられた。このときの様子を眺める参加者の血圧や心拍数の測定が行われ、感情の変化も調べられたという。
その結果、水槽に魚が入っていく様子を見た参加者の心拍数は7%低下したという。また、魚がいない空の水槽を見るだけでも、少なくとも心拍数が3%低下していた。
■水槽に自然と同じ効果
これまでの研究で、自然の景色を見たり感じたりすることが、人々の健康に良い影響を与えることが明らかにされているが、気軽に海などに行くことができない人もいる。
今回の研究の結果、自然を満喫できる場所が近くになくても、インドア派でも、水族館に出掛けたり自宅に水槽を置いたりして魚や水槽を眺めることで、自然のもつ健康への効果を十分に感じることができることが分かった。
■脳波でも判明 リラックス効果
魚のいる水槽には脳へのリラックス効果があることが別の研究で証明されている(※1)。岐阜大学とジェネックスとの共同研究で、魚が泳いでいる水槽を眺めてもらったところ、脳の司令塔といわれる前頭葉にδ(デルタ)波が強く現れる人がいたという。δ波とは脳が休んでいる状態に現れる脳波の波長で、心地よいときに表れる。
魚が泳ぐ水槽を身近に置いておけば、リラックスした生活を送ることができそうだ。
■ストレス社会を生き抜く救世主?
現代は、多かれ少なかれ誰もがストレスを感じるストレス社会ともいわれる(※2)。原因はそれぞれだが、手軽にストレスを解消する方法を見つけ、上手にストレスと付き合っていきたいものである。
気持ちを鎮めたり落ち着いたりする場所も時間もないという人は、水槽を部屋に置いてみてはどうだろうか。1日の終わりにゆらゆらと泳ぐ魚たちの姿を眺めれば、ぐっすり眠れ、心身ともに健康な毎日を送れるかもしれない。