頭痛がつらいとき、どうしていますか。痛みを我慢できないときは、市販の鎮痛薬を利用する方もいらっしゃると思います。
ですが、この鎮痛薬、ひんぱんに飲んでいると“薬物乱用頭痛”という、別の頭痛を起こすことがあるのをご存じでしょうか。片頭痛などの慢性的な痛みをかかえ、痛みを感じるたびに薬を飲んでしまう、という方は注意が必要です。
そこで今回は、10月に開催されたファイザーとエーザイによる『女性に多い痛みとその最新治療動向』セミナーでの、順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔・ペインクリニック教室 臨床教授の井関雅子先生の講演を参考に、鎮痛薬を自己判断で使うリスクについてお伝えします。
■痛みに鎮痛薬で対処する女性は多い
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の『飲酒・喫煙・くすりの使用についてのアンケート調査(2013年)』によれば、鎮痛薬をこの1年で使用したことがある人の割合は、女性全体の6割以上を占めています。
また、鎮痛薬を週3回以上使用している人の割合は、決して多くはないものの、女性全体の3%以上となっています。
どちらの割合も、増減はあるもののこの10年で少しずつ増加傾向にあります。頭痛などの痛みに対して、市販の鎮痛薬で対処する女性が増えているのかもしれません。
■鎮痛剤を飲み過ぎると、別種の頭痛を起こす危険が
こうした鎮痛薬、医師の処方で適切に使っていればよいのですが、自己判断で長期に飲み続けていると、薬物乱用頭痛を引き起こすことがあります。薬物乱用頭痛を起こしてしまうと、それまでの頭痛よりも頭痛の頻度が増えたり、症状が重くなったりするので、注意が必要です。
まずは、何気なく飲んでいる鎮痛薬にはこうしたリスクもある、ということを知っておいた方がいいでしょう。そして、自己判断で鎮痛薬を利用するのは、ほどほどにしたほうがよさそうです。とくに、慢性的な頭痛をかかえている方は注意してくださいね。
■女性に多い片頭痛など、慢性的な頭痛があれば一度受診を
井関先生によれば、慢性的な頭痛は“片頭痛”、“緊張型頭痛”、“群発頭痛”の大きく3つに分けられるとのこと。
この中でも女性に多いのが“片頭痛”。片頭痛とは、片側、あるいは両方のこめかみから目のあたりにかけて、脈を打つように“ズキンズキン”と痛むのが特徴。痛み出したら4〜72時間続くこともあるそうです。
こうした片頭痛を抱える方の中には、医療機関を受診したことがなく、痛みに対して市販薬だけで対処されている方もいるそうです。ですが、こうした自己判断での対処は、薬物乱用頭痛を起こすリスクを高めてしまいます。
そもそも、痛みには種類があり、種類に応じた治療法があります。だからこそ、自己判断で対処するのではなく、専門家の診断を受けることが大切なのだそうです。
病気として医療機関で治療すれば、薬物乱用頭痛を起こすリスクも減らせます。慢性的な頭痛がある方は、一度、医療機関を受診するのがいいでしょう。
鎮痛薬を自己判断で使うリスクについてお伝えしましたが
市販の鎮痛薬は、忙しい女性に頼りになる薬ですが、使い過ぎは禁物。日ごろから頭痛をかかえている方は、一度、医療機関を受診なさってみてくださいね。