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2021年12月14日
人間椅子(江戸川乱歩)
人間椅子とは江戸川乱歩による短編小説。
その内容は読後感を何ともいえないモノにさせる作品である。
【内容】
佳子は、毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十字を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ籠るのが例になっていた。
(中略)
美しい閨秀作家としての彼女は、此の頃では、外務省書記官であり夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやってきた。
(中略)
簡単なものから先にして、二通の封書と、一枚のはがきをみて了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。別段通知の手紙は貰っていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。それは、多くの場合、長々しく退屈極まる代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題だけ見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
それは、思った通り、原稿用紙を綴じたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
(中略)
奥様、
奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様な不躾な御手紙を、差上げます罪を、幾重にもお許し下さいませ。
こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様な不躾な御手紙を、差上げます罪を、幾重にもお許し下さいませ。
こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
との冒頭から始まる。
その名づけのない原稿の内容は、二重の意味で背筋の凍る内容が書かれていたのであった。
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2021年12月13日
寝る子は育つ(銀魂) 2
まるで妊婦の如く全ての飯を食らい尽くしてしまった神楽であるが、また運動すれば眠くなるのではないかと思いフルマラソンを開始しようとするも、負のループを止める銀時である。
そこで妥協策として出されたのは、音を小さめにした深夜ラジオで流れて来た内容は……。
最初のお便り紹介します
ラジオネーム トムさんからのお便りですね
「ごめんね ジェリー」
ラジオネーム トムさんからのお便りですね
「ごめんね ジェリー」
私に初めて友達ができたのは忘れもしない十年前の秋
引っ込み思案でいつもポツンと遊んでいた私を気遣い
父が連れて来た友達
それがジェリーだった
私とジェリーはいつも一緒
どこへくにも一緒
何をするにも一緒
まるで本当の友達のようだった
色んな芸を教えた
ジェリー十八番は「待て」
どんな御馳走を前にしても私が一度待てと言えば
ジェリーはまいつまでも待っていた
ジェリー以外に友達なんていらない
当時そんなことを思ってた私だったが
そんな思いとは裏腹にジェリーに興味を持った子供達が
私の周りには増え続け いつの間にかジェリー以外にも友達が沢山できていた
それから
私の興味がジェリーから他にうつるのにそう時間はかからなかった
引っ込み思案でいつもポツンと遊んでいた私を気遣い
父が連れて来た友達
それがジェリーだった
私とジェリーはいつも一緒
どこへくにも一緒
何をするにも一緒
まるで本当の友達のようだった
色んな芸を教えた
ジェリー十八番は「待て」
どんな御馳走を前にしても私が一度待てと言えば
ジェリーはまいつまでも待っていた
ジェリー以外に友達なんていらない
当時そんなことを思ってた私だったが
そんな思いとは裏腹にジェリーに興味を持った子供達が
私の周りには増え続け いつの間にかジェリー以外にも友達が沢山できていた
それから
私の興味がジェリーから他にうつるのにそう時間はかからなかった
以前のように私と一緒に遊びたがるジェリー
そんな時 彼の十八番が役に立った
私はジェリーに一言
「待て」
ジェリーはいつも私が帰って来るまでそこで待っていた
一歩も動かず
ただじっと動かず私の帰りを待っていた
そんな時 彼の十八番が役に立った
私はジェリーに一言
「待て」
ジェリーはいつも私が帰って来るまでそこで待っていた
一歩も動かず
ただじっと動かず私の帰りを待っていた
そんな折 父の店が倒産し
裕福だった私の家は一気に没落
私達は借金にとり追われ着の身着のまま夜逃げするハメになった
自分達の生活もままならないような状況の中
まっ先に切り捨てるべき対象は 子供の私にも理解できた
自分の運命を察したのか
手足がちぎれんばかりに追いすがるジェリーに
私はいつもの一言を冷徹に浴びさせた
「待て」
私は一度も振り返ることなく ジェリーの前を去った
裕福だった私の家は一気に没落
私達は借金にとり追われ着の身着のまま夜逃げするハメになった
自分達の生活もままならないような状況の中
まっ先に切り捨てるべき対象は 子供の私にも理解できた
自分の運命を察したのか
手足がちぎれんばかりに追いすがるジェリーに
私はいつもの一言を冷徹に浴びさせた
「待て」
私は一度も振り返ることなく ジェリーの前を去った
それから数か月
私の足はあの場所へと向かっていた
既に遠い街に引っ越していた私であったが
どうしてもジェリーのことが頭から離れなかった
ジェリーならきっと大丈夫
きっと誰かが拾っていてくれてるはず
きっと生きているはず
私は早く安心したかった
私には罪はない事を
私は非道い人間ではないことを
ジェリーの生きている姿を見る事で
それを早く確認したかった
ジェリーは誰のものにも
亡骸にもなっていなかった
ジェリーは いつものようにそこで待っていた
一歩も動かずにただじっと私の帰りを待っていた
「ひどいもんじゃろう
二月程前にそこに捨てられておってのう
親切な人が連れて行こうとしたり
エサやろうとしたり色々しとったんだが
こ奴 どういう訳か頑として一歩も動かなくてな
そのうち 誰も相手にしなくなってしもうた
まさか主人が戻ってくるとでも思って待っておったのかのう
いずれにしても哀れな話じゃ」
そっと手を伸ばし頭をなでると
微かに開いた虚ろな目で私を見る
ジェリーは微かに尻尾を振る素振りを見せると
それきり 動かなくなった
私の足はあの場所へと向かっていた
既に遠い街に引っ越していた私であったが
どうしてもジェリーのことが頭から離れなかった
ジェリーならきっと大丈夫
きっと誰かが拾っていてくれてるはず
きっと生きているはず
私は早く安心したかった
私には罪はない事を
私は非道い人間ではないことを
ジェリーの生きている姿を見る事で
それを早く確認したかった
ジェリーは誰のものにも
亡骸にもなっていなかった
ジェリーは いつものようにそこで待っていた
一歩も動かずにただじっと私の帰りを待っていた
「ひどいもんじゃろう
二月程前にそこに捨てられておってのう
親切な人が連れて行こうとしたり
エサやろうとしたり色々しとったんだが
こ奴 どういう訳か頑として一歩も動かなくてな
そのうち 誰も相手にしなくなってしもうた
まさか主人が戻ってくるとでも思って待っておったのかのう
いずれにしても哀れな話じゃ」
そっと手を伸ばし頭をなでると
微かに開いた虚ろな目で私を見る
ジェリーは微かに尻尾を振る素振りを見せると
それきり 動かなくなった
「お嬢ちゃん
…そうかアンタがこいつの御主人じゃったのか」
「ジェリーはいつもずっと私が帰ってくるのを待っていたのね
あの頃から…
ずっと…ずっと…
ジェリー!!
私はあなたに何て謝ればいい!!
何度謝ればいい!!
あなたは私にたくさんのものをくれた!
独りぼっちの私のさびしさを忘れさせてくれた
世界を広げてくれた
初めての…友達に…なってくれた
なのに…私は…私…はあなたには大切な…友達に何て事を…!!」
「わびることなど…ないさ
こ奴は…ずっとアンタを待っていた
そしてアンタはココに来た
それ以上に何がいる
最後に ぬしに会えてこ奴も幸せだったじゃろう
…そうかアンタがこいつの御主人じゃったのか」
「ジェリーはいつもずっと私が帰ってくるのを待っていたのね
あの頃から…
ずっと…ずっと…
ジェリー!!
私はあなたに何て謝ればいい!!
何度謝ればいい!!
あなたは私にたくさんのものをくれた!
独りぼっちの私のさびしさを忘れさせてくれた
世界を広げてくれた
初めての…友達に…なってくれた
なのに…私は…私…はあなたには大切な…友達に何て事を…!!」
「わびることなど…ないさ
こ奴は…ずっとアンタを待っていた
そしてアンタはココに来た
それ以上に何がいる
最後に ぬしに会えてこ奴も幸せだったじゃろう
「そんなことはない きっと恨んでいるわ!!
だってジェリーを死なせたのは他でもないこの私だもの!!」
「ジェリーは死んではおらん
ちゃんと生きておるよ」
「どこに
どこにいるっていうのよ」
「それは勿論…
お前の…
だってジェリーを死なせたのは他でもないこの私だもの!!」
「ジェリーは死んではおらん
ちゃんと生きておるよ」
「どこに
どこにいるっていうのよ」
「それは勿論…
お前の…
その後「ぎゃあああああああああ!」の悲鳴と共にラジオが銀時の手……というより足によって蹴り飛ばされるのだが、感動的な話からいきなり怪談になりラジオ放送をストップするのだが、神楽はすでに夢の中である。
ようやく眠れると思った銀時は布団の中に潜り込むのだが、ラジオのオチである「お前の後ろにだぁ!」が耳にこびりついてはなれなくなり、神楽の傍へ寄るもとうとう眠れることができず、朝日を迎えるのであった。
2021年12月10日
寝る子は育つ(銀魂)
寝る子は育つとは銀魂、二十七巻最終話で登場するストーリーである。
そのショッキングな内容から、銀時は不眠を余儀なくされたとかされなかったとか。
【内容】
内容はまず冒頭はじめに
「眠れないアル」
と、血走った目で神楽がドラえもんの如く寝床にしている押し入れの中から、出ていくところから始まる。
神楽は布団を蹴り飛ばしながらまんじりともしない毛ほども眠くない状態から、銀時の部屋に行くことになる。
神楽が眠れない状態を伝えても、銀時は相手にしないいい加減な状態であったのだが、翌朝仕事があるにもかかわらず、安眠を神楽に妨害されてしまうのであった。
致し方なしと思った銀時なのか、布団を変えたりするのだが
「だって銀ちゃんよくよく考えるアル
寝るって一体何アルか
目ェつぶっても結局私達まぶた閉じているだけで
眼球はゴロゴロしているアル
真っ暗だけど結局それは 瞼の裏側
見ているってだけで眠っているワケじゃないアル
こっから眼球どうすれば眠れるアルか
まっすぐ瞼の裏見ていればいいアルか
それとも上の方見ていればいいアルか
どうすれば眼球は休んだ状態になるネ どうすれば」
寝るって一体何アルか
目ェつぶっても結局私達まぶた閉じているだけで
眼球はゴロゴロしているアル
真っ暗だけど結局それは 瞼の裏側
見ているってだけで眠っているワケじゃないアル
こっから眼球どうすれば眠れるアルか
まっすぐ瞼の裏見ていればいいアルか
それとも上の方見ていればいいアルか
どうすれば眼球は休んだ状態になるネ どうすれば」
神楽の質問に銀時も眠り方を忘れて、眼球の位置を気にし始めるのであったが、そもそも彼女が眠れない最もたる原因は常日頃からゴロゴロして新八から怒られている所為である。
神楽の睡眠に足りないものは「運動」だと悟った彼女は町をフルマラソンの如く走り出していくのだが、逆に全神経の細胞を活性化させる結果にしかならなかった。
次いで出されたアイデアは、満腹になるということであったのだが、明日の朝食用の分も用意していた銀時の飯はすべて食い尽くされる結果になるとのである。
寝る子は育つ(銀魂) 2へ
2021年12月09日
鼻歌(洒落怖)
夜に口笛を吹けば泥棒が来るといった言い伝えがある一方、今回紹介する話は「鼻歌」である。
今回はその内容について取り上げていきたいと思う。
【内容】
現在も住んでいる住宅での話
今私が住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系に住んでいる土地なので、この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。
ここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえて来ます。
「ん〜…ん〜ん〜…」
最初はよ〜くみみをすまさなければ気がつかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、放っておくとだんだん近づいてきます。
「ん〜…ん〜ん…」
それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほど近づいてきます
「ん〜…ん〜ん〜…」
なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしています(これしか知らないもので……)
とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていきます。
このリビングではテレビにも集中できません。
声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。
今私が住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系に住んでいる土地なので、この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。
ここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえて来ます。
「ん〜…ん〜ん〜…」
最初はよ〜くみみをすまさなければ気がつかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、放っておくとだんだん近づいてきます。
「ん〜…ん〜ん…」
それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほど近づいてきます
「ん〜…ん〜ん〜…」
なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしています(これしか知らないもので……)
とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていきます。
このリビングではテレビにも集中できません。
声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。
「ん〜…ん〜ん〜…」
そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売されました。
発売日を楽しみにしていたので、お店で買った時はもうテンション↑↑
さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聞き終え、よかったな〜と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ったら耳元で、
「ん―――――――――――――――」
って。
そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売されました。
発売日を楽しみにしていたので、お店で買った時はもうテンション↑↑
さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聞き終え、よかったな〜と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ったら耳元で、
「ん―――――――――――――――」
って。
内容は小野不由美の残穢を思わせる何気ない物音であり、正しく身近でありそうな内容であり、恐怖体験の短さと多くを語らない内容が、特に秀悦な内容である。
ヘッドフォンを外した書き手はどうなったのか……。
その鼻歌はどういった意図で鳴らされているものなのか……などといった、色々な想像をかきたてられる。
個人的に「望遠鏡で野外を見ていたら謎の白い人物が家にまで猛ダッシュで押しかけて来た」と同系統の内容だと思っているので、洒落怖の中で特にお気に入りの内容である。
やはり、こういったホラー創作物は由来や何やらが語られるよりも、手短に済まされた方がインパクトがあるように思える。
また、個人差はあるだろうが他人が歌う鼻歌特有の不快感をうまく表しているものだと思われる。
2021年12月08日
カルナ(サンタ)
カルナ(サンタ)とは、前回サンタクロース役であったナイチンゲール(サンタ)の後任キャラとして、2020年「栄光のサンタクロースロード」に登場した配布サーヴァントである。
クラスはセイバーだが、剣を持っておらず拳で語るスタイル。
「サンタとは子供たちの太陽。むしろスーリヤこそサンタと言えるだろう」と食堂で淡々と語るサンタ。その後ろでカレーを食べていたアルジュナは終始「?」顔である。
繰り出されるそのパンチの最高速度は光速を超え、相対したものは閃光のような拳の軌跡のみを目にする……かもしれない。それは迷いなき剣閃にも似て、すなわち彼の拳はまさしく抜き身の刃の如し。「故にこそ、今のオレはセイバーなのだろう」と食堂で朗々と語るカルナ。その後ろでチキンを食べていたアシュヴァッターマンは終始「?」顔である。
ぐだぐだ邪馬台国と平安京曼荼羅に登場した☆4セイバーで、誰が好きか一時期賑わった思い出がある。
邪馬台国、Artsの斎藤一。
平安京曼荼羅、Bastardの渡辺綱。
サンタクロースロード、Quickのカルナ。
あなたは誰がお好き?
【内容】
FGOでは12月になるとサンタサーヴァントが登場するのであるが、カルナさんはサンタなのに初の男性が務めることになった。
ちなみに絆礼装では、
『初代はさすが初代だった。全てが高いレベルでまとまっていたが、特にあの膨らんだプレゼント袋の重さは黒き聖剣の斬撃にも劣らぬ脅威だった。勝因は……あのソリにとってリングは狭すぎた。それだけだ。
二代目は階級が違い過ぎた。ノーコンテストだ。戦ってはいない。ベルトの所有権も譲られただけだ。しかしサンタの在り方について話すことはできた。このベルトには彼女の想いも間違いなく載っていることだろう。
三代目も強敵ではあった。相手の体調が万全であれば危うかったかもしれん。……知っているか? ヒツジの体毛は拳の衝撃を吸収する。あれはいい学びだった。いい学びだった。
ああ。四代目こそが最大の強敵であったと言える。真向からの肉弾戦だった。不思議なステップから繰り出される、パンチの届かぬあのクリスマス殺法の数々……正直、次やればどうなるかはわからん。再戦を願いたいものだ。おそらく向こうもそう思っているのだろう。オレもあのリズムをフットワークに取り入れるべきだろうか。サンバ……とか言ったか?
五代目は別の意味で怖ろしい相手だった。ボクサーに注射を撃とうとするとは……。たとえ厚意からであっても、一発も貰うわけにはいかなかった。ドーピング違反と判断されてはこちらの負けだ。ある意味で最も緊張感のある勝負だったと言えるだろう。
そしておそらく来年はまた新しいサンタが増えるのだろう。その者とのタイトルマッチが組まれるまで、修行あるのみ、だな……』
と、語っている。
ほとんど歴代サンタと拳法スタイルで戦っている……。
なお、今年(2021年)のサンタはマルタ(キャスター)であり、
スキル
フットサンタ A
3ターンにわたり、クリティカル・Quick・Bastard性能アップ。
閃光の拳 A
1ターンの間、スター集中とQuickのクリティカル威力アップ。
3ターンに渡り、2回回避。
施しの英雄(聖夜)EX
味方単体のNPをチャージする。
3ターンの間、三回弱体無効を付与。
宝具
聖人連続拳(ウィニングアルカプトラ)
敵単体のガッツを解除。
敵単体に超強烈な攻撃。
1ターンの間、Quick性能アップ。
猿夢
猿夢とは夢から段々と現実に迫ってくるホラー体験である。
この夢を見た書き手は、次にこの夢を見たら後がないものだとされている。
【内容】
ある日、何気なく夢を見ていた書き手。明晰夢のように夢を見ている自覚があり、猿夢に関するモノもそうであった。
何故か私は薄暗い無人駅に一人いました。
ずいぶん陰気臭い夢だなぁと思いました。
すると急に駅に生気の無い男の人の声でアナウンスが流れました。
ずいぶん陰気臭い夢だなぁと思いました。
すると急に駅に生気の無い男の人の声でアナウンスが流れました。
そのアナウンスの内容は「もうすぐ電車が来る。電車に乗るとあなたは恐ろしい目に遭いますよ〜」と声には張りはないものの忠告めいた言葉であった。
やがて電車が来るのだがその電車は、遊園地などにあるチープじみた猿の電車で先に数名顔色の悪い男女が乗っていたらしい。
変な夢だと思いつつも、書き手は思い切ってその電車に乗ってみることにした。
もし何かあっても、明晰夢なら目覚めたい時に目覚めることが出来た為、問題はないだろうと判断したらしい。
私は電車の後ろから3番目の席に座りました。辺りには生暖かい空気が流れていて、本当に夢なのかと疑うぐらいリアルな臨場感がありました。
「出発します〜」
とアナウンスが流れ、電車は動き始めました。
これから何が起きるのだろうかと期待と不安の入り混じっている書き手であるが、結果からいえばそれは非常に悲惨なものである。
「次は活けづくり〜活けづくりです」
活けづくり? 魚の? などと考えていると、急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえてきました。
振り向くと電車の一番後ろに座っていた男の人の周り四人のぼろきれのような物をまとった小人がむらがっていました。
よく見ると、男は刃物で身体を裂かれ、本当の魚の活けづくりの様になっていました。
強烈な臭気が辺りをつつみ、耳が痛くなるほどの大声で男は悲鳴をあげつづけました。
男の体からは次々と内臓がとり出され血まみれの臓器が散らばっています。
「出発します〜」
とアナウンスが流れ、電車は動き始めました。
これから何が起きるのだろうかと期待と不安の入り混じっている書き手であるが、結果からいえばそれは非常に悲惨なものである。
「次は活けづくり〜活けづくりです」
活けづくり? 魚の? などと考えていると、急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえてきました。
振り向くと電車の一番後ろに座っていた男の人の周り四人のぼろきれのような物をまとった小人がむらがっていました。
よく見ると、男は刃物で身体を裂かれ、本当の魚の活けづくりの様になっていました。
強烈な臭気が辺りをつつみ、耳が痛くなるほどの大声で男は悲鳴をあげつづけました。
男の体からは次々と内臓がとり出され血まみれの臓器が散らばっています。
猟奇的な場面だが、書き手のすぐ後ろの女性は気にも留めていない様子であった。
書き手はこれが本当に夢なのか疑いながらも、もう少し夢を見て目を覚まそうとするのである。
「次がえぐり出し〜えぐり出しです」
とアナウンスが流れました。
とアナウンスが流れました。
とアナウンス直後、すぐ後ろの席の女性が目玉をえぐられるというスプラッターを目撃することになる。
次は自分の番だと悟った書き手は、すぐ目覚めるようにしつつも、次のアナウンスを確認してから逃亡を行うことにする。
「次は挽肉〜挽肉です〜」
とアナウンスが流れました。
最悪です。どうなるか、安易に想像が出来たので神経を集中させ、夢から醒めようとしました。
とアナウンスが流れました。
最悪です。どうなるか、安易に想像が出来たので神経を集中させ、夢から醒めようとしました。
どうにか悪夢から目を覚ますことが出来たのだが、その出来事を忘れた数年後、またしても同じ夢を見ることになる。
「次はえぐり出し」の場面から悪夢が始まるのだが、「挽肉」の順番になった途端、前回同様全力で悪夢から醒めろと願うと無事帰還できた。
しかし、
「また逃げるんですか〜次に来たときは最後ですよ」とあのアナウンスの声がはっきり聞こえました。
目を開けるとやはり、もう夢からは完全に覚めており自分の部屋にいました。
最後に聞いたアナウンスは絶対に夢ではありません。現実の世界で確かに聞きました。
私がいったい何をしたと言うのでしょうか。
それから、現在まであの夢は見ていませんが次に見た時はきっと心臓麻痺か何かで死ぬと覚悟しています。
こっちの世界では心臓麻痺でも、あっちの世界では挽肉です。
目を開けるとやはり、もう夢からは完全に覚めており自分の部屋にいました。
最後に聞いたアナウンスは絶対に夢ではありません。現実の世界で確かに聞きました。
私がいったい何をしたと言うのでしょうか。
それから、現在まであの夢は見ていませんが次に見た時はきっと心臓麻痺か何かで死ぬと覚悟しています。
こっちの世界では心臓麻痺でも、あっちの世界では挽肉です。
と、まだ終わっていない最後を終わらせるラストになっている。
全体的に作品の評価としては「まるで自分も夢に見そう」といったリアリティの高いものになっており、非常に人気の高い読み物になっている。
2021年12月07日
ポケモン ダイヤモンド・パール リメイク
ダイパリメイクとは、十一月の下旬に販売されたゲームである。
ダイパ発売から数十年という月日を隔ててか、リメイクの方について期待度と感心が高かった人が多い様に見受けられたが、出来上がった作品はバグだらけの問題作であった。
【内容】
どうしてリメイクにはバグが多いのか
待望のリメイク作品。通常、ポケモン本編作品における製作はゲームフリークスたる母体が行っているのだが、2022年1月下旬に発売される「アルセウス」に力を入れてか、ダイパリメイクの方については外注が行っている。
つまり本家から離れたところで分家が下請けする形でリメイク作を発売したのだが、納期がやばかったのか、ゲーム内におけるバグの数は相当数に及ぶ。
パルキア増殖やRTA殿堂入り、なぞのばしょへのワープ……また、裏技以外の方法でしか入手できないダークライやシェイミなどがゲットされている。
今現在ではゲーム本編において修正が為されており、ある程度バグの数が減少したとはいえ、未だ発見されていないバグが存在しているかもしれない。
バグの他に残念なのは、全体的なグラフィックである。
開始早々、主人公をはじめとした登場人物の全てがバトル以外で二等身スタイルとなっており、リメイク前に発売された剣盾と比較すると、どうしても粗が拭えないのは事実であろう。
もしもダイパリメイクの販売が、XY前後であるならば特別問題視されるようなものではなかったかもしれないが、最近のソシャゲのグラフィックにも劣るようなキャラクターの表情表現や伝説のポケモンにおけるムービーシーンは、残念と言わざるを得ない。
スイッチで販売されているのにも関わらず約五年ほどまえにリメイクされたルビサファの方が、あらゆる面でグラフィックが優秀とさえいえる。ゲーフリーではなく、外注であるとはいえども、この面はいい訳ができないほど出来の悪さが目立つように思われた。
総論として、ダイパ発売当初も「なぞのばしょ」に行けるなどバグ技が存在していたが、ゲームボーイからアドバンス・DSに移行したルビサファの次回作であるだけに、グラフィックの向上などの企業努力は認められ、作風独特のおどろおどろしい雰囲気があったにも関わらず、妙に明るくしてしまった所為でシンオウ地方特有の神秘的な雰囲気がぶち壊しになってしまっており、リメイクではなくリマスターだと声にする人たちが一定数いる。
リメイク最高峰といっても過言ではない金銀のポケモン同様の連れ歩き機能も手伝ってか、細微にわたり不満を持つ人も多く、剣盾で不評だったわざマシンの消費も負の要素である。
リメイク作品における良い点
一方、ダイパリメイクにおいてリマスターでありながらも、すべてが悪い、というわけではない。
というか正直な話、『この要素があったからダイパリメイクは辛うじて受け入れられて』いるのではないかと思われる要素である。
それは、四天王とチャンピオン、そうしてクリア後のジムリーダー再戦を含めたバトルであるが、なんと(ポケ廃人が蠢く)対戦を思わせるような、ガチ仕様。
まず筆頭にあげられるのが、四天王・オーバーであるが、初手ギャロップのさいみんじゅつという絡め手だけではなく、フワライドの「ちいさくなる」&「バトンタッチ」における戦術である。
フワライドのバトンタッチ先は、オーバーの切り札であるゴウカザルであるのだが、戦術のフワライドのちいさくなるで回避率が上がっているだけではなく、もちものが「きあいのたすき」で決して一撃では倒れない。
その上、あと一撃というところで体力を回復されたら、こちら側の技を避け、マッハパンチで先制攻撃を行うなど、非常にいやらしい相手となっている。今作におけるオーバーは、四天王の関門といっていいかもしれない。
しかし、一番の問題はチャンピオンであるシロナであり、これまで彼女が金銀リメイクやBWで登場し、バトルを行うことができる。そのため、手持ちのポケモンが知られている所為か、ダイパにおける手持ちは同じでありながらも(初手ミカルデなど)、技の構成と持ち物などが、様変わりしているのであった。
中でも特筆すべきはシロナの切り札といっても過言ではないガブリアスであり、ドラゴン物理最強の技である「げきりん」と「りゅうのまい」を習得していない温情はこそあれども、フェアリー対策としてか、どくづきを覚えているので要注意。
素早さが全国図鑑が解禁する前では、S102というトップメタの素早さを誇るため、先制して潰すことは、ほぼ非現実的である。
しかも、自身を上回る速攻型がいないことをいいことに、つるぎのまいで自身の攻撃力をあげる。
ここで一瞬の隙が生まれるのだが、ここで「こおりのきば」か「りゅうのまい」を自力で覚えるギャラドスを向かわせるか、じめん・ドラゴンの四倍弱点を突くことが可能なユキメノコで「おにび」を撒くなどの工夫が必要となる。
ここでうまくガブリアスを止める事ができなかったら、冗談でも何でもなくごぼう抜きもかくやと言わんばかりにパーティが壊滅の危機に陥る。
しかもガブリアスの特性が通常では手に入らない、夢特性の「さめはだ」であり、物理でぶつかってくる人にも対策に余念がない。しかもそれだけではなく、努力値も振られているため、シロナとぶつかる際は一切油断ができない仕様となっている。
ダイパリメイクにおいて、多くのチャレンジャーを返り討ちにしてシロナは君臨するのであるのだが、殿堂入り後、シロナは更に暴走。
再戦ではプラチナで見られたトゲキッスだけではなく、とある条件を満たした三回目のチャレンジではポリゴンZを手持ちに入れるなど情け容赦ない。大人げない。
そのため、初戦でのガブリアスの半ガチっぷりを見て、今の小学生がクリアできるのか懸念の声があがっているほどである。今頃、ジャリボーイは泣いていることであろう。
レベルで叩き潰すか、廃人としての道を進むかの二極化が予想される。
阿部定事件
阿部定事件とは、1936年、当時男女交際を行っていた一組のカップルが引き起こした事件である。
内容は猟奇的で、被害者は男性。性向中に首を絞め殺されたあと、局部を切り取って加害者女性(阿部定)は逃亡したというものである。
阿部定は当時の県警に捕まり逮捕された後、名前を変え市井で暮らしているとされているが、警察に捕縛中、彼女に結婚の申し出を行う手紙を送った人間が多数いたエピソードが有名。
サイコパスに分類されるものなのか不明だが、女性型サイコパスは毒殺が多いのに対して直接的な殺害法と肉体の一部を切断して持ち出すなど、ややめずらしい直接型である。
【内容】
阿部定の背景として若い頃は芸者などの仕事を転々としていたが、当時交際していた人物の紹介で料理店の女中で偽名を使って働く内に、店の主人である石田(事件の被害者)に惹かれるようになる。
やがて二人は関係を持つようになり駆け落ちを行い、その道中、とある旅館に宿泊することになった。
石田が浮気性だったのか不明だが、阿部定は「女性と関係を持たないように」と凶器を持って迫っている。
二人は同意の上、阿部定に性交中に首を絞めることを求め、彼女は応じている。故意か意図的なものなのか不明だが、この窒息が原因で石田が死亡。阿部定は女性関係に関して脅迫を迫ったと思われる凶器で、石田の局部を切り落とし、その旅館を後にしている。
当時、この事件は新聞などで「女怪」などの表現が用いられているが、当時の時代において猟奇的な事件だったからだと思われる(倫理観も関係あるかもしれない)。現在ではどれだけ非道な事件とはいえども、「容疑者」などの表現で統一される傾向にある。
阿部定が石田を殺害した経緯は、実際浮気などが問題などではなく、加害者本人から「もう一度首を絞めてくれ。お前が俺を絞め殺し始めるなら、痛いから今度は止めてはいけない」と述べられ、真に受けて実行したとされている。
阿部定は旅館から逃亡後、三日で警察に捕まったのだが、石田の最後の言葉は冗談か何かだったのではないかと振り返っているが、真偽の方は定かではない。
石田殺害後、阿部定は不可解な行動として流血でシーツに「定吉二人キリ」と記し、左太ももにも同じような言葉を残している。
更に、石田の上に凶器で「定」と己の名前を刻んでいる。
その他、名前を刻むほど好いていた相手(だろう)に他の男性と肉体的な関係を持つなど、理解の及ばない行動を起こしている。
そして逮捕時の様子は、自らの元に訪れた警察に自ら犯行を自供して捕まるという、非常にアッサリしたものだという。
逮捕された阿部定の自供によると石田を殺害したのは、「彼を愛しており、すべてが欲しかった。正式な夫婦ではなく、石田は他の女性と関係を持つことが可能だった。彼を殺せば、誰のモノにもならないと思い犯行に挑んだ」と供述している。
局部の切断に関しては「いつも一緒にいたかったから」と非常に簡単な答えを返した。
一連の事件から県警側は男女間の縺れだと判断し、懲役6年(求刑10年)の判決を下している。
しかし、懲役から1936年に事件が起きたのに対して、1941年で出所しているなどかなりの待遇を受けている。
その後の阿部定の人生は、名前を変え、普通の一般男性と事実婚をしていたが、彼女の事件に関する書籍が販売されたのを機に名誉毀損で訴えるも、そのことが原因で一般男性側に正体がバレ、破局を迎えた。
その後、消息不明となっている。
個人的所感:
阿部定の行動は、サイコパスによる犯行ではなく相手を愛するがあまり言葉を本気で受け取って、犯行を実行したものではないかと思われる。
局部を切り取る内容こそ非常に猟奇的な面は否定できないが、殺害後、自分の所有物と刻印するようにナイフで刻み付けるなどの行為は、生体から死体へ変化した状態に対する新たな正印ではなかったのだろうか。まるで、自分の持ち物には名前を書くように。
元来、支配欲の強い女性で元々から各地を転々としていたことから一か所に収まることのできない性分らしきものが、凶行を後押ししたように思われる。
また、殺害後他の男性と関係を持つなどの行為は現実逃避がゆえの衝動的な行動であり、自分の肉体・精神的な面において、冷静になるために最も衝撃的なものが肉体的な関りを持つことだったのではないかと考えている。
名誉毀損を訴える行動は捉え方によっては名誉欲に囚われた人間の行動だと思えなくもないが(実際そのような行動を起こせば凶悪犯だと露見するのは当たり前である)、感情的な意味合いがやや強いように見受けられた。
これまで上記で的外れな初見を述べたかもしれないが、絞殺そのものは魔が差した……そして阿部定という女性は殺害後、非常に強い混乱に見舞われたために、猟奇的な殺人を犯してしまった「普通の人間」だったのではないだろうか。
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2021年12月06日
リゾートバイト(洒落怖) 6
おんどうから一軒家で一晩過ごした三人は、旅館の二階からついてきた化け物の正体は何だったのかを聞かされる。
お坊さんの口から直々にお祓いは済んだことを知らされ、本堂で木箱を渡されるのであるが、その箱の中にあるのは、「臍の緒」である。
お坊さんの話いわく臍の緒は母親と子のつながりが強いもので、様々な言い伝えがある。
この土地にまつわる話で、かつて漁村で漁が盛んであったのだが、この村で生まれた子供は物心つく前から漁に出ることになる。
しかし海は非常に危険なもので、子供の命が奪われることがあり、子を心配する母親はお守り代わりとして臍の緒を我が子に持たせて安全を願うと同時に、自分の元へ戻ってくるように祈った。
この「戻ってくる」は通常の意味合いも勿論あるが、旅館の影の化け物のように得体の知れない状態で戻ってくる場合もあるという。
そんなある日、三年も前に海で子供をなくした母親が我が子が戻って来たという。
子供の姿を見せて欲しいと頼むと、「もう少ししたら見せられるから待っていてくれ」との意味深な返事を受ける。
子供が戻って来た報告は村中で別の母親が口にするなど連鎖的な反応を見せ、見せて欲しいと頼んだ場合、一番最初の母親のように「まだ見せられない」と必ず決まった返事が返って来る。
やがて、母親と手を繋いで散歩する姿が目撃され非礼を詫びながらも、子の姿を見せてもらうことになるのだが……。
坊「その子の肌は、全身が青紫色だったそうです。そして体はあり得ないほどに膨らみ、腫れあがった瞼の隙間から白目が覗き、辛うじて見える黒目は左右別々の方向を向いていたそうです。そして口から何か泡のようなものを吹きながら母親の話しかける声に奇声を発していたそうです。それはまるでカラスの鳴き声のようだったと聞きます。村の者たちは、子供の奇声に優しく笑いかけ、髪の抜け落ちた頭を愛おしそうに撫でる母親の姿を見て、恐怖で皆その場から逃げ出してしまったのだそうです」
その後、事の重大さを知った寺の住職は母親と化け物になった子を引き離したものの、母親は異様な力で住職を投げ飛ばし、寺から逃走。
後日、母親の家から旅館の二階で見た札と腐った残飯が発見されている。
また、子供が見つかったと報告した別の母親ももうすでに手遅れの状態であったが、何とか寺に連れていき、子と離れ離れになり叫ぶ母親の声を追いかけて来る異形の子供に聞かせないために、大勢の人数が大掛かりでお経を唱え叫び声をかき消したのだという。
やがて母親と離れた子供は、次第に歩くことができず四つん這いになり、四肢の関節をありえない方向に捻じ曲げ蜘蛛のように徘徊したそうだ。最終的には芋虫のような姿になってしまい、最後に残ったのが臍の緒であった。ちなみに母親は完全に正気を失っていたのだという。
また別の母親は、近隣の海辺で死亡しておりなぜか食い荒らされたような跡があったのだが、その表情は笑顔だったという。
食い殺された母親の家を解体したとき、一枚のメモが見つかったらしいのだが、以下のように記されていたらしい。
〇月?日 堂の作成を開始する
×月?日 変化なし
・・・
△月?日 △△(この名前)が帰って来る
△月?日 移動が困難な状態
△月?日 手足が生える
△月?日 はいはいを始める
△月?日 四つ足で動き回る
△月?日 言葉を発する
△月?日 立つ
×月?日 変化なし
・・・
△月?日 △△(この名前)が帰って来る
△月?日 移動が困難な状態
△月?日 手足が生える
△月?日 はいはいを始める
△月?日 四つ足で動き回る
△月?日 言葉を発する
△月?日 立つ
本来、堂で復活させられた子供は本来、家族内でも存在が気付かれないもので、何故Bに見えていたのか不明だと説明される。
民宿の女将さんは、どこで子を復活させる噂を聞いたのか分からないが、唯一製造法の相違点があるならば、臍の緒がキーとなっているのではないかと推測されている。どうやら女将さんは息子の臍の緒を持たせず、繋がりが薄くなっていたものだと思われる。
奇妙な話として、民宿の二階で儀式を繰り返していた女将さんであるが、奇妙な発言として「同世代の年齢のバイトが欲しい」と述べていたらしい。
Bとお坊さんとの間で一悶着あったものの、「見せたいものがある」と言われ案内された先に在ったのは女将さんの元であった。
ただし、異常な暴れ方をしており今朝からそのような様子がずっと続いているのだという。
表面した女将さんの元から離れた一行は、「祓われたのかどうか」を問う。お坊さんは「祓うことはできた」といいつつも、Bは「影を見たのは一体だけではなかった」といい、急遽鳥居に案内され、一晩過ごすも、後日女将さんは救うことが出来なかったと知らされる。
その後は完全に祓われたか曖昧に濁されるだけではなく、この儀式にはもっと重大な真相があるらしいのだが、誰も教えてくれることはなかった。
やきもきしたまま帰宅し、やがて数年後、この一連の出来事を話した一人の友人が旅館に電話をしたらしいのだが、電話口の背後で異様にカラスの鳴き声が鳴り響いていたらしい。電話に出た人物は女性であったものの、あの女将さんかどうか確かめろと進言を受けるも行っていないらしい。
所感:
リゾートバイト、この話のクライマックスはおんどうの中で得体の知れない存在が身体をのけぞらせ壁にぶつかってきたり、暗闇の中で手を繋いでいる三人が本当に仲間なのかどうか疑心暗鬼になるところだと思う。
話に統合性を持たせるため仕方なかったのだろうが、後の後日談は「亡くした子を追い求める母親」という非常にありがちな話になっている点が残念である。リゾートバイトに限らず、洒落怖などで女性が人形を子に見立てる話は結構多い。
また、内容もだらだらと長く関係のない箇所の記載も多く見受けられ、極端に内容を縮めるのであれば、原稿用紙2〜3枚程度に収まっていたのではないだろうか。
個人的に、創作臭が強すぎるのが難点である。
2021年12月03日
リゾートバイト(洒落怖) 5
目を開けて周りを見回すと、おんどうの中は真っ暗で、ほぼ何も見えない状態だった。
そしてさっきまでのあの音は、消えていた。
恐怖の波が去ったのか、それともまだ周りにいるのか、判断がつかず動けなかった。
そして目の前に広がる深い闇が、また別の恐怖を連れて来たんだ。
目を凝らすが何も見えない。
「いるか?」「大丈夫か?」の掛け声さえ出せない。
そしてさっきまでのあの音は、消えていた。
恐怖の波が去ったのか、それともまだ周りにいるのか、判断がつかず動けなかった。
そして目の前に広がる深い闇が、また別の恐怖を連れて来たんだ。
目を凝らすが何も見えない。
「いるか?」「大丈夫か?」の掛け声さえ出せない。
書き手の傍にAはいるのだが、Bは室内のどこにいるのか分からない。Bのことが猛烈に心配になり、暗がりの中どうにかBを探し出し、三人は手をつないだままその場でじっと固まることにする。
Aが催してあらかじめ手渡されていた袋の中で用を足す中、「Bくん」と呼ぶ声が聞こえる。その声はおんどうの出入り口のすぐ近くから発せられたものであるが、旅館の美咲と同じ声をしている。
「おにぎりを作ってきたよ」といいながらも、その声調には抑揚がない。
しばらくの沈黙の後、堰を切ったように、
「Bくんおにぎり作ってきたよ」
「いらっしゃいませ〜」
「おにぎり作って来たよ」
「Bくん」
「いらっしゃいませ〜」
「おにぎり作ってきたよ」
と同じ言葉を何度も何度も繰り返すようになった。
尋常じゃないと思った。
怖かった。美咲ちゃんの声なのに、すげー怖かった。
坊さんはおんどうには誰も来ないと俺達に言っていた。
そしてこの無機質な喋り方だ。
扉の外にいるのは、絶対に美咲ちゃんじゃないと思った。
「Bくんおにぎり作ってきたよ」
「いらっしゃいませ〜」
「おにぎり作って来たよ」
「Bくん」
「いらっしゃいませ〜」
「おにぎり作ってきたよ」
と同じ言葉を何度も何度も繰り返すようになった。
尋常じゃないと思った。
怖かった。美咲ちゃんの声なのに、すげー怖かった。
坊さんはおんどうには誰も来ないと俺達に言っていた。
そしてこの無機質な喋り方だ。
扉の外にいるのは、絶対に美咲ちゃんじゃないと思った。
その無機質な声は何度も続くだけではなく、扉をガタガタと揺らし始めた。
扉を開き中に入ろうとしていることを察知した書き手は若干焦るものの、扉が無理矢理こじ開けられることなく、異様な声で喋りながらガンガンと体当たりするような状態へと変化していく。
一定時間その行動を行った後、人外のモノは左側へ移動しているのだが、どうやらわずかな隙間から侵入しようとしているらしかった。扉が開かないので、どうやら別の入り口を探しているらしい。
ヤツに気づかれたくない。
いや、ここにいることはもう気づかれているのかもしれないけど。
恐怖で歯がガチガチといい始めた俺は、自分の指を思いっきり噛んだ。
そして俺は、隙間のある場所に差し掛かったそいつを見た。
見えたんだ。月の光に照らされたそいつの顔を、今まで音でしか感じられなかったそいつの姿を。
真っ黒い顔に、細長い白目だけが妙に浮き上がっていた。
そして体当たりだと思っていたあの音は、そいつが頭を壁に打ち付けている音だと知った。
そいつの顔が、一瞬壁の隙間から消える。
そしてその後すぐ、ものすごい勢いで壁にぶち当たるんだ。
いや、ここにいることはもう気づかれているのかもしれないけど。
恐怖で歯がガチガチといい始めた俺は、自分の指を思いっきり噛んだ。
そして俺は、隙間のある場所に差し掛かったそいつを見た。
見えたんだ。月の光に照らされたそいつの顔を、今まで音でしか感じられなかったそいつの姿を。
真っ黒い顔に、細長い白目だけが妙に浮き上がっていた。
そして体当たりだと思っていたあの音は、そいつが頭を壁に打ち付けている音だと知った。
そいつの顔が、一瞬壁の隙間から消える。
そしてその後すぐ、ものすごい勢いで壁にぶち当たるんだ。
異常な光景に目を奪われながら、淡々と同じセリフを繰り返し身体をのけぞらせては壁にぶつかってくる人外の存在は、建物を左側へぐるっと一周するように移動し始める。
やがて朝を迎えてお坊さんがやってくるのだが、おんどうから移動する途中、奇妙な叫び声を聞くことになるのだが、その声は女将さんではないかとAに指摘されている。
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