アフィリエイト広告を利用しています
写真ギャラリー
検索

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2020年04月01日

絶対魔獣戦線-バビロニア-C

絶対魔獣戦線-バビロニア-C


【登場人物紹介】


・シドゥリ
トラウマその2。
史実のギルガメッシュ叙事詩においては女神説や酒場の女将説などがあるがFGO内では祭司の人間の女性。落ち着いた態度でカルデア一行に接しており、ウルクでは御馳走である「バターケーキ」を振舞うなど、非常に親切な人。
だが、エルキドゥの死に直面し不死探求の旅に向かうギルガメッシュの不在により滅んだ国の廃墟で滞在し続けた。「制裁」ことを理由に待ち続け、ギルガメッシュに鉄拳制裁を食らわせた。その後、ウルクは無事復刻しており、カルデア一行が滞在したウルクは再建された都市である。
シドゥリはイシュタルを信仰しており、イシュタルは(依り代になった少女の性格もあるだろうが)、逆らえないような様子がある。
その他にギルガメッシュからも厚い信頼を寄せられており、ウルクの民がラフムに襲われている際「助けに行く」と述べたとき、珍しく感情的な態度でその行動を止めた賢王であるが、彼女だけでなく民全員に「どうあがいてもウルクは滅びる」と宣言しており、無言ではあったものの、「死ぬのは自分も例外ではない」と暗に伝え、救助活動を許可された。
ゴルゴーン撃退後、ウルクに戻って来たカルデア一行にシドゥリはどうなったのか安否を心配され、彼女を助けに行くことになる。
ラフムに攫われたシドゥリであるが、殺されたのか、捕食されたのか、それともラフムに変貌したのか不明だが、本来自我のないラフムの中で唯一人間であった頃の記憶を色濃く残している。
白旗をあげるシドゥリは倒されることなく生き残り、背後から突き刺され、ラフムから逃亡するキングゥを追いかける。ラフムにより殺されそうになった彼を助けたシドゥリは、感謝の意を述べながら、頭を撫でた。
エルキドゥではないキングゥであるが、シドゥリやギルガメッシュなどの記憶を思い出しながら涙し、シドゥリを抱擁するような行動を起こすも、肉体の欠片ひとつ残さず塵となって消えた彼女を、抱きしめることさえできなかった。
なお、FGO内のゲームのイベントである二度目の「バトルインニューヨーク」で、主催側として登場し、非常に楽しそうな様子を見せている。幼かった頃の王の声真似をするなど、お茶目な面を見せている。


・キングゥ(クラス:ランサー)
今回の特異点における、ビーストTから贈られた聖杯の所持者。
初登場時カルデア一行を助けるなど信頼を得、騙そうと画策していたが、マーリンとアナの妨害により失敗している。
その後、ギルガメッシュと共に水質調査に来ていたカルデア一行に遭遇。明確な敵意を以てギルガメッシュを倒そうとするも、突然「思い出したエルキドゥの一部記憶」により攻撃を自ら逸らしただけではなく、撤退した。ギルガメッシュとの闘いの時、マシュから「あれは偽物です」と言われているが、本来のエルキドゥの目の色が緑なのに対して、こちらは紫色であり、区別は簡単。そして何より偽物である証拠は険悪な仲であるイシュタルに攻撃していない点であろう。
ゴルゴーンの退去後、ティアマト神に死の衝撃を与え、化かし合いが得意なマーリンさえも騙し、本来の目的であるビーストに仕掛けていた夢から覚めさせ、本格的な活動を再開させた。余談だが、ゴルゴーンのことは「彼女」、ティアマトのことは「母」と呼び分けていることから、最初からティアマト神が旧来の人類を滅ぼさせる計画に加担していたものだと思われる。それを裏付けるように人間のことを「旧人類」と呼び、自分のことを「新人類」と自称していた。
キングゥの思惑としては「不必要な争いを生じさせない、心優しい完璧な人類」を新人類と定義してティアマト神に協力していたのだが、実際生まれた兄弟であるキングゥの量産型であるラフムは……。
その後、ラフムが人間同士の殺し合いをさせる広場にて姿を現し、その醜悪さから天の楔で数体を殺害。
その後、再度マシュから「あなたは偽物で誰でもない」と指摘されるも、「だから、どうした。ぼくが母から生まれ必要とされていることには変わりない」と返答する中、周囲に包囲網を結成するように集まるラフム。マシュに対する問いに不思議そうな態度を見せる一部ラフムがおり、真後ろにいたラフムから背後を突かれ、体内に隠していた聖杯を奪われ、嘲り笑われる。
聖杯を失ったことにより極端に弱体化したキングゥに、「かわいそうはおもしろい」と言われ、実力では敵わないことを悟った彼はラフムの群れから逃亡するのだが、「狩りだ、狩りだ」と複数体のラフムが追撃する。とうとう追い詰められ絶体絶命になったキングゥだが、シドゥリの手によって助けられることになる。
そして、「母」からも必要とされていなかった事実を目の当たりにして失望と共に無意識に訪れた場所は、ギルガメッシュのいるウルク市。賢王からは「ここから去れ。屍を晒すな」と厳しい言葉を言われているが、意識がエルキドゥでなくとも二度も友の死を見たくなかったものと思われる。半ば土塊に還りかけているキングゥであったが、ギルガメッシュから聖杯を投げ渡され回復。
その後、「なぜ助ける! ぼくは敵だぞ!」と掴み掛かるが、「言わぬば分からぬか馬鹿者!」とギルガメッシュに叱責されている。ギルガメッシュがキングゥを助ける理由は、中身が異なる存在であってもエルキドゥの後継機であり、ただそれだけで助けるに値するのに充分だったのである。
「やりたいことを見つけるがいい」との言葉で別れ、ギルガメッシュはウルクの民たちに向け、ウルク滅亡の再宣言を行う中、群衆の中にいた。
それからのキングゥは、「完璧な存在など間違いである」と独白し、最長で「五、六歩」、最短で「二、三歩」ほどでギルガメッシュの元に到達するティアマト神を、エルキドゥの宝具「人よ、神を繋ぎとめよう(エヌマ・エリシュ)」を使用し、天の楔でビーストを拘束するほかに大量のラフムを倒すなど、多大な貢献をもたらした。


・ラフム
トラウマその3。
紫の身体に複数の脚と、縦に捻じれた口が特徴的なティアマト神によって生み出された、人類の悪いところだけを凝縮した存在。人類悪(ビースト)でも必要悪(アンリマユ)でもない、単なる悪。
デザインの造形はアトランダムであるが、「母として子を愛し続けたいティアマト神」としてはどのような姿になったとしても、子離れしないことを前提とし、幼稚性ゆえの残虐さを有しているものと推測される。
ラフム登場時のアニメのタイトルが「あたらしいヒトのカタチ」とは、おそらく新人類である「ラフム」を示していたものだと思われる。
新人類であるだけにどの国の言葉でない以下のような発言をしており、
「qkde! qkde! g@'fffffffffff!」
などと言っている。
結構有名な話だが翻訳可能で「楽しい!楽しい!ギャハハハハ」と発言している。翻訳方法は日本語キーボードで「ローマ字入力」から「かな入力」といった具合に法則性がある。生まれたての赤ん坊そのものであるが、時間経過するに従い成長し知能が発達し人の真似をしているのか、それとも人間がラフムに変貌するシーンがあったので元々知識があったのかハッキリしていないが、人語を喋り理解している。正直、人間の言葉を喋るよりもラフム語のままの方が不気味であったと思う。
アニメ化の際、ラフム語はどのように表現されるか分からなかったが、音を平仮名にしてそれぞれの音を五十音順で2つ前の文字に置き換えると日本語になるらしく、
「きせかなきせかな」「おしえておしえて」と翻訳することが可能。声は結構かわいいが、そこが更に嫌悪感を際立たせる。
ラフムは旧人類にはない生態を有しており、

  • 無性生殖(恐らくティアマト神がいなくても数が増える)
  • 一個体の情報がラフム全体に共通知識として伝わる
  • 旧人類の細胞を改造しラフムにリサイクル
  • 食事せずとも活動可能


などが、あげられる。

シドゥリを助けるためにラフムがいる場所に赴くカルデア一行であるが、そこで行われているのは、ラフム主導による血生臭い催しであった。
人間同士の殺し合いを嗤いながら遊覧し、生き残った人間は助けると言いながらも殺すといった所業。攻撃を仕掛けるマシュではなく、逃がそうとした人間を真っ先に殺害。アニメでは描写されていなかったが、人間を足元から切り裂きじわじわ殺す、人間の体内がどのような構造になっているのか解体するなど、残酷さについて快挙に暇がない。
このラフムの残虐性は「幼い子供が虫を捕まえてバラバラ」にするようなものであり、「自分の優位性を知っており、弱者をいたぶる」など、人間特有の悪が現れているのである。更に最悪なことにラフムは幼稚な子供を演じているだけであり、シドゥリの例外を除いて本来人格などない、ティアマト神の思うまま振舞う意思のない泥人形である。
キングゥいわくラフムは兄弟(人のような兄弟における関係性ではないが)らしく、目を覆いたくなる残酷な幼稚性ゆえ兄として指揮を執ろうとしたが、弟であるラフムからすればキングゥは旧人類と変わりない存在であった。キングゥを逃がさないように囲って攻撃し、「おまえはつまらない」と言ってケタケタ嗤うといった行いは、『自分のことを特別だと思い込んでいる哀れな存在=かわいそうはおもしろい』に繋がるものと思われる。キングゥすら旧人類と見下していたラフムだが、それはキングゥがラフムより先に目が覚めていたことが原因であると思われる。キングゥの姿は旧来の人間と変わりないものであり、残酷な振舞いをすることに躊躇いなどなかったのだろう。
なお、ラフムには種類があり、「ベル・ラフム」と呼ばれる個体がいる。最終決戦でマーリンに神霊級の強さと言及された複数の個体が、このベル・ラフムである。かなり頑丈で素早い。即死効果を持つ攻撃には極端に弱く、FGOをプレイする際には山の翁や呪腕のハサン、ニトクリスなどがいれば、楽に一掃できる。


・山の翁(クラス:アサシン)
冠位(グランド)クラスのサーヴァント、ハサン・ザバッハー。アサシンの言語の元になった人物であり、堕落したハサンを殺すハサン。彼が手にしている武器はただ大きいだけの無骨な武器であり、ベルセルクのガッツの如く使用回数が重なるにつれ、練磨していった無冠の武芸。怠惰と過度な労働を嫌い、呪腕・静謐・百貌の歴代ハサンそれぞれに厳しい言葉を向けて、最後には必ず「首を出せ」と述べている。ドリフターズの首置いてけ妖怪かな?
バビロニアではぼろ布をまとった老人、ジウスドゥラ(ギルガメッシュ叙事詩では大洪水伝説および聖書のノアと同一視されている人物の名前)と名乗り、藤丸らに「善性であっても同意してはいけない」などと助言を行っている。この助言はケツァル・コアトルと戦闘をする際、プレイヤーの回答次第では難易度が変わるものなので、これからFGOをはじめる人は覚えていた方が良い。
エレシュキガルのいる冥界でも姿を現し、藤丸を助けるなどかなり親切な人物だが、これにはあるわけがある。山の翁は決して藤丸に「ちょっと優しくされたから」といった理由で冠位を捨ててまで協力しているわけではないのだ。
山の翁は最終局面まで出番がなかったが、冥界に落ちたティアマト神の前に姿を現し、名乗り口上をあげる姿は必見。個人的にこのシーンがアニメの中で一番熱かった。
マーリンが藤丸に「きみが彼を呼んだ」と言われているが、藤丸と山の翁の初の出会いはバビロニアではなく、第六特異点―神聖円卓領域キャメロット―にて、出会っている。
キャメロットでの活躍としては、キャメロットに藤丸らが到着する以前から活動しており、神殿の中で籠っていたオジマンディアス(ラムレス二世)の首を刎ね飛ばして、牽制を加えている。藤丸らがオジマンディアスに出会った当初、首が何度かもげかけていたのは、山の翁による「首を出せぃ」による斬首だったのである。
それからアズライールの聖廟にこもり続けていたが、キャメロット城門前にいるガヴェイン太陽三倍ゴリラを赤子のように翻弄し、彼のギフトである太陽の加護をなくすため、砂埃を発生させた。
ちなみに円卓領域キャメロットは映画化が予定されており、メジェト神が見守る中、キャメロット城周辺に張られた障壁を破壊するため、オジマンディアスがピラミッドを飛ばす姿は涙なしでは語れないなどの熱い展開が待っている。何言っているのか分からないと思うが、チェイチピラミッド姫路城より理解し易いんじゃないかな?
さて、話は戻って第六特異点での因縁があるがゆえに、ティアマト神に死の概念を付与し、「生きているのなら神様だって殺せる」状態にさせた山の翁であるが、この時すでにグランドクラスは返上されており、通常のサーヴァントと変わりない状態になっていた。
現時点で判明している冠位クラスサーヴァントは、

  • アサシン:山の翁
  • アーチャー:超人オリオン
  • セイバー:名前不明
  • キャスター:ソロモン


山の翁は人間側の過度な肩入れ、二部のアトランティスで「恋人を打ち落とすためだけ」に超人オリオンの方も冠位を返上している。通常のサーヴァントが点に対する武力なら、冠位クラスは世界そのものたる面に対抗するため抑止力により選定された天の遣い、要は人類悪用の兵器であるため、行動に制限があるようだ。
冠位クラスの亜種として「グランドロクデナシ」や「グランドダーリン」などがいるらしいが、詳細は不明。
なお、ティアマトの「世界浸食」の際、ラフムに襲われる藤丸を助けるためその領域内に入った山の翁であるが、生と死の境界線である幽世を長年放浪しており、死んでいるのか生きているのか分からない状態であったため、即死することなくエンディングでちらっと姿を現すことが出来たのだろう。
ちなみに山の翁の宝具は「死告天使(アズライール)」。
歴代ハサンの宝具の読みがザバーニーヤであるのに対して、どれほど破格な存在なのか分かる。死神じみた外見をした山の翁であるが、彼により命を絶たれる際、「恐怖はあるが痛みは無く、畏れはあるが苦しみは無く、懺悔はあるが後悔は無い」とのことから、確かに天使の名を有する宝具名は適しているように思われる。その他にも魔神柱の悲鳴キャンセルなどの使い道がある。レイド戦はFGOプレイヤーによる素材の奪い合いなので効率を重視するのは是非もないよネ!
厳しい印象といかつい言動を有する山の翁だが、正月イベント『雀のお宿の活動日誌〜閻魔亭繁盛記〜』では、「華美な装飾など〜」と言う百貌に対して、「我が霊廟に生涯近づかなんだ理由はその質素な信仰故だったか、百貌よ」と言い、呪腕の趣味である寝正月に対しては、「我らの中に、”寝正月が良い”などという、山の翁にあるまじき堕落を見せた者がいるという。まさに神をも恐れぬ失言よ。心当たりはあるか、呪腕の?」と話し掛けるなど、結構意地悪な冗談を言い放っている。実は結構、お茶目なのでは……?
過激一歩手前ほど己が信仰する宗教に対して厳しい戒律を守っているが、バレンタインイベントでは、主人公が渡すチョコを面喰いながらも受け取り、お礼としてお香を贈るなど、異教の宗教であっても寛容に接してくれたりするなど、できた人物である。


・ティアマト神(クラス・ビーストU)
全ての「母」たる存在であるためか、生まれつき「死」の概念がない存在。
ビーストUとして魔術王に虚数空間からバビロニアに戻される以前、夫の存在より神々たる子供の存在を愛していたが、カンブリア爆発よろしくアトランダムに多種多様の生命体を誕生させる「母」としての役割が災いして、最愛の子供たちによって追放され、その亡骸を二つに切り裂いて、天地創造の儀式とした。
初登場時、ラフムを絶えず排出しながら歌い続けるだけの存在で、攻撃をしかける藤丸らに対した抵抗はしていない。これは子を愛する感情ゆえ、自身が破壊されれば人類において甚大な大災害が発生すると、我が子を心配する母なりの配慮だったのだろう。ティアマト神に理性はなかったが、否定拒絶され怒り狂い幾多もの魔獣を産み出し抵抗したが、子を愛する感情は本物なのである。
個人的な見識になるのだが、微かな抵抗としてティアマト神が歌を歌い続けていたのは、子に対する子守唄ではなかったのだろうかと思われる。何もない虚数空間へ落されたティアマト神であるが、我が子を変わらず愛し続け、久遠の如く長い時間の中で己を慰めていたのかもしれない。
キングゥから聖杯を奪ったラフムを追いかけ、ティアマト神の元に到達した藤丸らはイシュタルの宝具により、頭脳体(人間体)が消失。
これでバビロニアにおける特異点が修復されたのかと安堵したのも束の間、本体の方は海底にあり、巨大な体躯を現した。それから後、様々な形態に変化していくのであるが、実はこれ、シン・ゴジラを観た那須きのこが影響を受け、脚本を書き直した話は有名。ティアマト神は最終形態で、ゴジラみたいな外見と鳴き声を発している。
頭脳体を失ったティアマト神であるが、ここで箍が外れ本能の思うままに行動を開始する。ケイオスタイド(グラブルの闇パチェインによる攻撃ではない)を絶えず排出しながら、泥を滑走路にしてウルクへ真っ直ぐ直進。
他の場所に行かず、ウルク市へ赴いた理由はギルガメッシュ叙事詩において主役であるギルガメッシュが、古代バビロニアにおいて抽象的な存在である彼を殺すことで全ての生態系を塗り替え、全ての「母」として再び返り咲き、再び子離れしない子供達から愛し愛され続けるための下準備。そもそもギルガメッシュ叙事詩は聖書よりも古いだけでなく、聖書に酷似した共通点があり、ギルガメッシュそのものが神代の時代を終わらせた。太古の環境破壊(森林伐採)、青銅、古代文字として有名な楔型文字の発明など、神を頼りにしない人類独自の歴史を歩むための礎といっても過言ではないからだ。
ウルクへ進行してくるティアマト神の分析を行ったロマニいわく「弱点らしきものがない完璧な生命体。もしもティアマトが死ぬなら、全ての生命体が死亡した後」など、試合に勝って勝負に負けることさえできない、無茶振りの死亡条件を有している。
そしてとうとう、ウルク付近へ到達したティアマト神であるが、巨体ゆえ歩行できない対策として黒泥を発生させていたが、ケイオスタイドの勢いは正しく大洪水そのものであり、事前に千里眼で読んでいたのか、ギルガメッシュはウルク周辺に隠していた「ナピシュテムの牙」で、どうにか防ぐことに成功。しかし、ナピシュテムの牙は黒泥の第一波で既に半壊状態である。
休む間もなく、ウルクへ進行するティアマト神であるが、その打開策としてイシュタルの神獣である「グガランナ」を使用しようとするも物語冒頭から消失。そこで立てられた作戦が、ウルクを餌にした冥界への落とし穴である。
キングゥの楔によって肉体が拘束され、イシュタルの宝具で地上に大穴を空け、冥府に落下。エレシュキガルの許可なき冥府の立ち入ったものを冥界の刑罰でダメージを与えるも、「死の概念」がないため殺すことが出来なかった。
山の翁の冠位を返上した大剣の一撃でティアマト神に、「死の概念」を付与することに成功するも、冥界の外壁をよじ登り、外界へ出ようとするが、アーチャーのギルガメッシュの登場により、再び冥府の底に突き落とされる。
そして最後のあがきとして、「世界浸食」なるネガ・ジェネシスによるスキルを発動するも、そのスキルの効果は英霊にしか影響はなく、純粋な人間ならば侵入しても害はない。
ギルガメッシュの宝物庫により、短剣を渡され藤丸はティアマト神の頭部を狙って、攻撃した。その際、藤丸は人間体であるティアマト神の霊基に接触しているが、

「多くの命を育みました。多くの命に愛されました。
でも、子供たちは私を梯子にして、遠くに行ってしまうのです。
ずっと愛していたいのです。ずっとそばにいたいのです。
私の「愛」は間違っているのでしょうか」


と、たずねている。

藤丸はティアマト神の問いに「わからない。でも子はあなたのことを愛しているよ」と返答し、短剣を手放した。

母としての存在が強調されたアニメオリジナルの展開であるが、アプリ版のティアマト神は冒頭に「いかないで」、「もうにどと――わたしをあいさないで」と心境が描写されているものの、恐竜のような見た目になってもなお唯一言葉を発したのは我が子であるキングゥの名前だけであり、最後まで「母」としてあり続けた。

回帰の理を持つ、ビーストU。
七つの人類悪の原罪U。
地球上の生態を塗り替え、全ての母に返り咲こうとしたティアマト神だは、他のビーストとは異なり、哀れみの感情を覚えるのはどうしてだろうか?
続きを読む...

2020年03月31日

絶対魔獣戦線-バビロニア-B

絶対魔獣戦線-バビロニア-B

 
【登場人物紹介】


・レオニダス一世(クラス・ランサー)
スパルタ教育という言葉の言語の元になった、王。彼、いわくスパルタ兵の中で唯一、計算ができると言っているが、通常の兵たちが腕立て伏せを百回数えることが出来るのに対して、レオニダスは肉体の鍛錬において効率の良い方法を算段出来るといった程度もので、結局彼も脳筋であることには変わりなかったりする(比喩表現です)。
数学(筋肉)が通じないことから、自分は英であるのに対して、『空の境界線コラボ』においてオガワハイム内の幽霊にビビリながらも、主人公一行の助けとなるべく自ら苦手なものに挑むなど、結構果敢。しかも性格は紳士的で、王であることに拘りはなく主人の命令にも忠実。パンイチに全裸マントであるにも関わらず、仮面の下の素顔は結構いぶし銀の男前だったりする。
マシュはレオニダスが登場する以前から、「盾持ちのサーヴァント」には悪い人はいないと述べていたが、シャルルマーニュ伝説に登場するブラダマンテおよびアシュヴァッターマン並みに名前が覚え難いマンドリカルドなど、確かに盾持ちのサーヴァントに悪い奴はいないようだ。
基本脳筋なレオニダスであるが、力技で敵をごり押しするタイプではなく、強靭な肉体を有した耐久型であり、非常に粘り強い。ウルクの城塞を守るにあたって、ウルク兵を防御特化に鍛え上げ、サーヴァントではない一般兵でありながらも、ゴルゴーンが攫い人間を元に産み出した魔獣ならば、ある程度撃退可能なほどに鍛えあげるなどの貢献を残している。レオニダスの耐久力のステータスがAなので、物理的な攻撃を行うものならばワイバーンの類いでも、ワンちゃんのようなものらしい。
城塞構築のほかに、複数の特異点を解決しながらも未だ戦うことに恐怖心を抱いているマシュに対して、「自身も殺し合いが恐ろしい」などと語りかけている姿が非常に印象的。
「空を飛べとは言いません。煉瓦を積み上げることは誰にもできることであって、できない」と言い、藤丸にも諦めない心と、どんな些細なものでも努力を怠らないことを説いた。藤丸がウルク襲撃の際に、崩れた城壁に煉瓦を埋め込んだのは、レオニダスのそういった精神性を汲んだ表現だったのかもしれない。
ゴルゴーンの襲撃で早々に退場してしまったレオニダスだが、宝具「炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)」で石化の魔眼を防ぐだけでなく、これまでティアマト神を騙っていたゴルゴーンの正体を看破している。恐らくこれは、レオニダスがアテネと一種の関連性を持っていたことにより、正体を見破ることが出来たのだろう。しかも、彼の誠実な性格を裏付けるかのように、オリュンポスの神々によって化け物に貶められたゴルゴーンに対して、敵でありながらも真正面から向き合った。
宝具の展開も空しく足元から石化し退場してしまったレオニダスであるが、肉体は朽ち果てても魂の方は敗北しておらず、上記にも述べた通り、彼の意思はカルデア一行とウルクの民に引き継がれている。


武蔵坊弁慶(クラス:ランサー)
日本において、牛若丸共に非常に有名な人物……なのだが、どこぞのアサシンよろしく、本当の姿は自分を弁慶だと思っている一般男性。正直、牛若丸の際ど過ぎる格好に対して「破廉恥」や「色魔」などの感想を抱いている。
FGOの性能的には、レオニダスと似ておりゲオルギウスと共に盾役で、縛りプレイ等でよく使用されるサーヴァント。低レアサーヴァントだが、第二部のアトランティスで大英雄であるアキレウスが弁慶のことを評価するようなことを言っており、その実力は買われている様子(本物の弁慶について言及したのか、彼のことなのか不明だが)。
アニメ・バビロニアではただでさえ出番の少ない彼が、時間的な問題もあるだろうが更に削られており、扱いがちょっと不憫。牛若丸がゴルゴーンと激戦を繰り広げ攫われることになり、生前同様、臆病風に吹かれた……わけではないのだが、牛若丸失踪時、ウルクから消え、その後の動向はアニメでは描写されていないものの、魔獣に襲われている一般市民を一宿一飯の礼として助けていた。
そしてその後、ティアマト神が絶えず排出するケイオスタイドの影響を受けた牛若丸と対峙することになるのだが、宝具「五百羅漢補陀落渡海(ごひゃくらかんふだらくとかい)を使用し、牛若丸と共に消失。ちなみに五百羅漢補陀落渡海とは、モノノ怪の「海坊主回」に出てくるうつろ舟のようなものであり、脱出不可能な密閉された空間の中、海を漂い続け極楽浄土に至るものである。
彼は本物の弁慶ではなかったものの、自由気儘に振舞っていた主人が怒りに囚われる姿が耐えられず、死を覚悟して再登場した。ラフムよろしく無限増殖した牛若丸の薄緑にめった刺しにされながらも、主人が囚われていた怒りから解放するだけでなく、ラフム以上の知性とサーヴァントであり非常に厄介な敵になってしまった主人を封印することによって、解放することに成功した。


・牛若丸(クラス:ライダー)
本作のトラウマその1。細胞レベルでティアマト神の眷属になったことではなく、FGO内のゲームにおいて彼女の無限増殖と、宝具「壇ノ浦・八艘跳(だんのうら・はっそうとび)」による連続攻撃。幸いだったのは単体攻撃でどうにか対処可能という点であるが、ただそれだけである。すぐゲージが溜まり、宝具を使用されるため鬼畜使用であることには変わりない。
一目見たら分かる通り、上半身はほぼ裸であり、水着姿(クラス:アサシン)の方がよほど着込んでいると思われるほど。
アニメ・ウルクにおける牛若丸は、ギルガメッシュに召喚されたサーヴァントであり、ウルクを守るため襲撃したゴルゴーンと激闘を繰り広げる。その際の戦闘シーンは非常に見もの。
ゴルゴーンに倒されたかと思われた牛若丸であるが、実は生きた状態で攫われていた。魔獣を産み出すため利用する予定であったが、「戦の素人」とキングゥ双方含めて敵陣を挑発したのが最大の仇となり、「母の元へ連れていく=黒泥に浸された」。
その後、アナの捨て身の自分殺しの特攻により、ティアマト神とラフムが現れるまでの間、姿を現していなかったが、かつてギルガメッシュと共に水質調査に来ていた海辺にて再登場。
黒泥(ケイオスタイド)にわずかでも触れた存在は、細胞レベルで忠実なティアマト神の僕になるため、藤丸になぜそうなったのかと尋ねられた時、「私には資格があったのだろうな」と述べているが、これはオルタ化(反転)などではないことを断っておく。
増殖を繰り返しながら浜辺での戦闘が終わるも、ケツァル・コアトルが黒泥を燃やそうとしたところで登場し、積極的な妨害を行う。浜辺でも初戦と二戦目と良い、特徴的なのは真っ先にマスターである藤丸を狙っていることから、サーヴァントとして最後のマスターが人理修復においてどれほど重要なものなのか理解していたがゆえの行動であると思われる。
最後は弁慶諸共消失したが、散り際の態度には怒りや憎しみがある程度軽減した、本来の牛若丸に近いものであった。


・イシュタル(クラス:アーチャー)
豊穣の女神にして、天の女主人。
初登場時、藤丸に対して「落とし物はなかったか」などと尋ね、その後前代未聞のまさかまさか買収された女神。「日記を書くから」と適当な理由をつけて、日夜グガランナを探し回っていたようだが、別次元のイシュタルが「無断拝借」していたため、ウルクのどこを探しても見つかるはずもなく、その事実が発覚した時には罰として「わたしはダ女神です」と書かれた粘土板を持たされた。
依り代として憑依し召喚されたイシュタルであるが、マシュのデミ・サーヴァントとは似て異なる、疑似サーヴァント。FGO内ではイシュタルの他にも(葛飾孔明)など英霊が憑依した疑似サーヴァントが多数出てきており、意識を依り代ではなく英霊側が主導権を握るか、人間に一任させるかなどの違いがある。イシュタルおよびエレシュキガルは、英霊(正確には今回の場合、神霊)側が意識の主導権を握っており、FGO内で二柱の女神の召喚に成功した際、オカンエミヤからは「女神に意識乗っ取られるなど…!」と非常に驚いた反応を示している。
なお、意識の大半をイシュタルが占めているが依り代になった少女(遠坂凛)の優等生じみた自制心により、本来のイシュタルほど感情的ではなく、その変貌ぶりに険悪な仲であった、ギルガメッシュとエルキドゥは依り代の少女に感心しているほどである。ギルガメッシュいわくイシュタルの変わりように「父親を殺された〜〜」などとほざいているが、凛の遠坂を見殺しにしている。ちなみに妹である養子に出された桜もパールヴァーティと人類悪の片割れであるカーマの依り代となっている。
アニメ・バビロニアにおける活躍ではグガランナを探しつつも、魔獣に襲われている人々を助け、報酬として宝石を強奪。同じく金星の女神であるケツァル・コアトルとは宝具をホームランのごとく打ち返されることから、非常に相性の悪い相手として認識している。
ギルガメッシュ王の宝物庫の財宝で買収され、その後の活躍は過労死したギルガメッシュ王を蘇生させるために、冥界の入り口を開けた。神代であるゆえに、あの世とこの世は物理的に繋がっているのだそうだ。地表に穴をあけたとき、金星が出ていなかったことから、宝具による攻撃ではないものと推測される。
冥府に降り立ったカルデア一行とイシュタルであるが、七つの門による問いをクリアしてエレシュキガルと対面し、地上に戻ってから一括して人類側の味方をし続けた。
そして、復活したティアマト神の元へ赴き、「山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)」を容赦なくぶつけている。海さえも穴を穿つほどの大威力を有しているが、この宝具はかつて女神・イシュタルが霊峰エビフ山を、気に食わないただそれだけの理由で無に帰した逸話が昇華した宝具なので、高威力は当然かもしれない。
しかし、宝具をティアマト神にぶつけて一時的な活動停止させたのは良いものの、人間型のソレは単なる頭脳体でしかなく、海底に人類悪である回帰のビーストを解放する楔を破壊してしまったのである。
遠坂家のうっかり遺伝子が作用して「やらかしちゃったか〜」と思われがちであるが、ラフムによって聖杯(望みを叶える願望器)がティアマト神の手に渡っていることから、最善策。イシュタルによる迅速な対応はなければ、早々に「成体」となり、すべての母としてビーストが地球上を蹂躙していたかもしれない。
その後イシュタルは、ウルクに宝具を容赦なくぶつけてティアマト神を冥府に叩き落すなどの健闘を見せた。
物語終盤では依り代が本来いる時代が古代ウルクではないにしろ、その時代にとどまることに。
イシュタルは地に結びつけられたティアマト神の残骸と、ラフムの動向を常に監視し続けていることが、エルキドゥの幕間のクエストで判明した。


・エレシュキガル(クラス:ランサー)
冥府の女神にして、地の女主人。
FGO内で『冥界のメリークリスマス』に合わせて実装され、たった二日で二部のストーリー設定の都合上、英霊の座に戻ってしまった可哀そうな女神である。ちなみに彼女の宝具演出には一定確率であるものの、冥府繋がりでメジェト神と山の翁のどちらか、もしくは両方が出演する。
神霊の依り代になった少女は同じ。だが、ポンコツ度表現が比較的多いが、バビロニアで鬱展開の続く中で癒し成分となっている。しかし本来はかなり暗い性格らしい。ギルガメッシュとエルキドゥからはイシュタルとは異なり、悪印象はない様子。
ウルク出現はイシュタルとほぼ同期であり、実はエレシュキガルが三女神同盟に加入していた。エレシュキガルはクタの祭司により召喚され、イシュタルは連鎖的に古代ウルクに現れたに過ぎない。神話上の二柱の女神の関係は同じ神格や同一人物ではなく、別々の神であるが、依り代が同一人物のためか、カードの裏表のような状態になってしまっている。
イシュタルのグガランナ探しの隙を狙って、藤丸の前に姿を現しているが、くしゃみで解ける変装といい、口調が素である「だわだわ」だの、自信満々なイシュタルと比べて弱気な態度を見せるなど、別人と察するのは非常に容易である。これも遠坂家のうっかり遺伝子か……。
ギルガメシュを蘇生させるためにイシュタルと共に冥界下りを行ったカルデア一行に、
「死後、人間が安らかに眠れるように」
「埃と粘土が何よりのごちそう」
「冥界に花が咲いてほしい」
だの、非常に心優しい女神なのであるが、「冥府という悪辣な環境において絶えず仕事を行い、自分のやっていることを否定するのであれば何もいらない」と攻撃を仕掛けるも、マシュの宝具の前で心が折れ、敗北。
その後、ウルク落とし穴作戦までほとんど出番がなかったが、ティアマト神がキングゥの鎖に縛られ冥界に落ち、刑罰を執行。この時、藤丸とマシュに冥界での生存権や浮遊権など様々な権利を貸し与えているが、実はこれ神格を剥奪されるほど禁忌を犯しているのである。
ティアマト神が猛攻撃を受ける中、「世界浸食」なる「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」より上位変換の能力を使用する際、宝具「霊峰踏抱く冥府の鞴(クル・キガル・イルカルラ)」によるネルガルの白熱神殿で時間稼ぎを行った。
この咄嗟の判断が功を奏し、マーリンの「泥を無害な花にする魔術」であるものの、冥界に花が咲いたことを喜びながら消失した。消失以前、イシュタルから心配されているが、本来二人の仲はかなり険悪。依り代になった人物が同じ人間であった為、そこまで悶着はなかったのだろう。


・ケツァル・コアトル(クラス:ライダー)
南米の神。本来は男性神なのであるが、女神として顕現。
初登場はイシュタル門を破壊する形で登場。ムーチョムーチョしながらウルクの民を殺すと同時に瞬間的に生き返らさせ、飛竜(ケツアルコアトルス)に乗って退場。去り際、「また明日、来マース」と言いながら、自分の本拠地に100人もの人間をジャガーマンをパシらせ、運送させている。
やたらとジャガーマンに対する当たりがキツイがこれは、ケツァル・コアトルが毛嫌いしているテスカトリポカ系統(生贄などの儀式)を踏んでいる存在であるため。
蜘蛛が嫌いだが(一部ではORT疑惑あり)、ルチャブルは霊基に刻まれるほど好んでいるため、鋸のような見た目をした武器(マカナ)よりも肉弾戦を好んでいる。サーヴァントは仮初的に現世に受肉している状態で、一度退去すれば、よほどのことがない限り、マスターや聖杯戦争における記憶を忘れる。記録として英霊の座に経験が刻まれているが、本人からすれば他人事でしかない。現場猫よろしくほとんどの事を良しとするあのインドの施しの英雄・カルナさんでさえ、月の聖杯戦争でぼんやりとした程度しか前マスターのことを覚えていないのに、明確にルチャブルを覚えているケツァル・コアトルはよほど格闘技が好きなようだ。ちなみにカリティスコという実際のプロレスラーのファンであるらしい。
ウルクの民を100人ほど誘拐したケツァル・コアトルを追いかけるカルデア一行であるが、彼女の本拠地で行われていたのはスパルタ以上の徹底的な戦闘力の教育であった。
藤丸のことは一目で気に入っており、アニメではなかったが投げキッスをしたりしている。太陽神殿で藤丸が空から落下したとき(FGO内ではイシュタルに突き落とされた)身を挺して庇ったことから、その入れ込みようがわかるが、ケツァル・コアトルは善性の心優しい神であり、人間に対して優しいのは当たり前のことなのである。
なお、ゲス顔が印象に強く残っている視聴者がいるだろうが、ゴルゴーンいわくアヴェンジャーの適正があると言われている(なのに、底抜けて明るいことから怖がられている原因か)。彼女はすべてが善というわけではなく、ケツァル・コアトルがゴルゴーンの復讐に真摯に向かい合ってほしかったという願いは、そういったことが関係しているのかもしれない。
バビロニアでの活躍では、ゴルゴーンの鮮血神殿にクソほどでかいマルドゥークの斧を回転させながら投擲し、敵の弱体化に成功。
その後ウルクに乗り込んで来た、生まれたてで一番弱い状態であるにも関わらず、マシュでは倒しきれなかったラフムを一撃で屠るなどの健闘を見せている。人間を惨殺する一部ラフム以外に対して、怒りの表情を示していた。
それから、藤丸らを自分の騎乗物である飛竜に乗せて、ラフムと共に乗り込んでくるティアマト神に向かうため牛若丸と戦った後に、黒泥を蒸発させ進行を食い止めるために、「太陽の石(ピエドラ・デル・ソル)」を使用。ちなみに太陽神殿を藤丸に破壊されていたら、この技は使えなかったらしい。隕石の衝突を再現するような大技だが、マーリンの手によって神性が低下していない状態であれば、ウルクが焦土と化していたと、イシュタル談。
それからメソポタニア神話の道具が通じないティアマト神に対して、宝具「炎、神をも灼き尽くせ(シウ・コアトル)」を使用し、ゴルゴーン(アナ)の宝具「鮮血神殿(パンデモニウム・ケトゥス)」により角に生じていた罅が入った角の一本を破壊することに成功した。この時はじめて進行するだけだったティアマト神は、ATフィールドみたいな防御行為を行った。
決死の覚悟で玉砕したケツァル・コアトルだが、ジャガーマンの助力により黒泥に呑まれることなく無事生還し、最終話で藤丸らの前に姿を現した。マーリンに関節技を食らわせないことを唯一の心残りにして、役目を終え、古代ウルクから退去。
ケツァル・コアトル自体、結構好き嫌いの分かれる癖の強いキャラであるが、初登場時のギャップと合わせて、好感を抱いた人は多いだろう。


・ジャガーマン(クラス:ランサー)
冬木のいずこかで見たことのある、藤村的なタイガー。前職は教員でした?
アナと同じ野良サーヴァントであるが、ケツァル・コアトルのおこぼれを頂戴する形で太陽神殿周辺に滞在。恐らく、森林調査を行っていたギルガメッシュのサーヴァントである天草四郎と風魔小太郎をボコって退去させたのは彼女。天草四郎はアポクリファでジークくんと激闘を繰り広げたのに対して弱体化している感が否めないが、森林のフィールドはジャガーマンにとって非常に有利な環境かつ、ウルクが紀元前の神代で低級ながらも戦闘系の神霊であるなどの要素が味方していたのだろう。それ以前にアポクリファの天草は膨大な魔力を有する聖杯のバックアップを受けており、通常よりも強かったし、聖杯にかける願いがヤバすぎることから退去して正解だったと思う。
ケツァル・コアトルに対して「ククるん」と綽名で読んでいるが、彼女からは嫌われている……が、あまり気にしていない様子。
アニメでの活躍ではパシリとギャグ要員としての印象が強いが、実力はゲーム内でも結構ガチだったりする。
ティアマト神に特攻を仕掛け黒泥に呑まれかけたケツァル・コアトルを助けるだけではなく、アニメでは最終局面である冥界に来なかったが、アプリ版では颯爽と登場するなどの余裕を見せている。
ちなみに黒泥は少しでも触れるとヤバい代物なのに、男性と比較してもかなりの高身長であるケツァル・コアトル(181p)を抱えるなど、ギャグ要員ならではの活躍を見せている。
FGO恒例のサンタイベントでは、サンタではなく勘違いでサンバになったケツァル・コアトル(クラス:ルーラ)の宝具に一定の確率で出演するだけでなく、プロレスの実況を行っている。


記事四に移る続きを読む...

2020年03月30日

絶対魔獣戦線-バビロニア-A

絶対魔獣戦線-バビロニア-

 
【登場人物紹介】


・藤丸立香
主人公である人類最後のマスター……とはいっても、魔術師としての腕前は素人に毛が生えたもので、とてもではないが優秀とは言えない。マシュをファーストサーヴァントとしているが、様々な特異点を攻略するにあたって、両者における関係は良好。どこにでもいる普通の学生とのことだが、女の子を抱えてヘラクレスから逃走したり、ローマー兵を自力で追い返す一般人って何ですかね……。
デフォルトネームの由来は恐らく、FG(ふじ)O(まる)。
魔術師としての実力は乏しいが、型月世界においてスリザリン的な性格を持つ同業者と比べ物にならないぐらい善属性だが、この善良さが周囲に良い影響を与え、特異点を乗り越える重要な要素となっている。ちなみに藤丸はレイシフト適正を持つ珍しい体質のため、補欠の補欠としてカルデアに在籍することになっていたが、元凶の差し金であるレフ教授のカルデア施設爆破によりほとんどのマスター候補生が死亡し、唯一生き残った彼が「人類最後のマスター」として世界を救うため、特異点に赴くことになる。
 

・マシュ・キリエライト(クラス:シールダー)
薄い紫色の髪の毛が特徴的な少女。藤丸のサーヴァントであるが、正式なサーヴァントではなく、デミサーヴァントと呼ばれるホムンクルスのデザイナベビー。
デミサーヴァントとは簡単に説明するなら、「英霊を人体に憑依させ戦わせる」といったもの。マシュの性格が基本的に順々かつ素直であることからカルデアは……いや、やめておこう。
盾をぶん回す姿が特徴的だが、この武器はマシュの物ではなく、彼女の身体に憑依した英霊「ギャラハッド」のもの。ギャラハッドとは「アーサー王伝説」に登場する人物。所説あるものの、円卓の騎士の一員であるパーシヴァルと共に聖杯探索を行い、聖杯を入手し昇天した。父親(ランスロット)との仲は非常に険悪である。ちなみに、男版の藤丸立香の姿に非常に似通っている。
彼女の宝具は盾を使用し、白亜の城を顕現させるもの。彼女の心が折れなければ、堅牢な防壁として顕現し続けるが、逆に精神状態が弱っていれば、容易く破壊されてしまう。
宝具名は「人理の礎(ロード・カルデアス)」から、「いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)」といった具合にコロコロ名前が変わっている。
マシュはFGOの内容を進めて行く度に、人形のような精神状態から人間らしい感性に変化していくのだが、マシュの回想で度々登場した「自身は悪党と承知しているフランシス・ドレイク」の言葉、魔獣戦線終戦時にギルガメッシュ王が最後に述べた発言などにも影響を受けている模様(マシュが人間らしくなるにつれて影響を受けているのは、この二名だけでないのですがね。特に顕著なのが、ドレイクとギルガメッシュだと個人的に思います)。
実は、英霊を憑依させられたことから、バビロニア開始当初、ただでさえ少ない寿命が数える程度のものになっている。


・フォウ(キャスパリーグ)
どことなく、マーリンと似た姿をしたキツネかネコなのか判別の付かない、獣。カルデアのレイシフトによく同行する小動物だが、かつてはマーリンが所持していた使い魔。
ちなみに「フォウ」はマシュが何となくといった理由にならない理由で名付けているが、その正体は、後述にて説明。
出会い頭、マーリンを「マーリンシスベシフォーウ!」と男子を足蹴にしたフォウだが、これにはあるワケがあったりする。フォウがカルデアに訪れる前、マーリン自ら幽閉塔に引きこもり千里眼で世界を傍観しながらネットでネカマ(マギ☆マリのHP更新)をする以前、お得意の王の話が終わった後に、かなりの高さを有する幽閉塔から突き落とされている。野に放たれたフォウであるが、どういった経緯でカルデアに行き着いたのか不明。
【ネタバレ】
さて、そろそろこいつの正体を明かすなら、平行世界では「プライミッツ・マーダー」と呼ばれていた、比較の理を持つ災害の獣。要はティアマトと同じビースト(Z)であり、妬みなどの感情を糧に、「相手より強くなる」といった特性を持つ。人類の殺害権利を有しており、冠位(グランドクラス)のサーヴァントでなければ、倒すことは非常に困難であり、カルデアの特異点修復において少しでも善良さに欠け、一歩どころか半歩間違えるとビーストとして顕現していた可能性が高い。殺したかったが死んで欲しくはなかった? 陳宮システム考案? 採集決戦? 知らないな〜。
本来フォウは小動物の姿ではなく、かなり大型の犬に似た獣であったが、円卓の騎士らによって倒され、小型化したと思われる。
なお、一部の最終章、冠位時間神殿ソロモンでは、とある理由によって理性を失った。


・ロマニ・アーキマン
レフ教授のカルデア襲撃によって、生き残った数少ない人物。現在彼が、平社員しか生き残っていないカルデアの状況ゆえ、ドクター職でありながらも、カルデアの所長を兼用している。バビロニアだけではなく全ての特異点修復で、ほぼ二十四時間体制で藤丸のメディカルチェックを行っており、慢性的な睡眠不足と過度な疲労を抱えている他に、ティアマトの分析を行う際、ギルガメッシュにその弱点のない完璧さから「貴様はティアマトの太鼓持ちか!」と、理不尽にも逆切れされている。
基本的に各自特異点における野良サーヴァントに対して丁寧な態度で接するが、善の性質を持つ英霊からの印象は良くない。だが、マーリンとギルガメッシュ(双方、千里眼持ち)にだけは気安く話しかけており、最終話では究極の似たもの同士であるマーリンと煽り合いをするほどである。キットナニカフカイワケガアルンダナ〜。
アニメでは渡されたコーヒーの種類を職員に尋ねたり、「十数年ぶりに頭痛がする」といった発言をしているが……。
ちなみにFGO内ではよくお菓子を食べている上に、よく「話の途中だが、ワイバーンだ」と言っている。ちなみに「ダ」の付く羊飼いの目に似ていますねえ……。
二部のアトランティスにも登場しているが、本物かどうかは不明。推測だが、インド異分帯で村人の治療を行った……?


・レオナルドダヴィンチ(クラス:キャスター)
なんかもう誰があるかなんて説明する必要のない、三又フォークやガドリング砲と思われる兵器の開発を行っていた万能の天才。カルデア内での役職は技術顧問で、ロマニが唯一といっても過言ではないほど信頼している人物。
見た目がダヴィンチの代表作といって過言ではない、「モナ・リザ」に酷似した姿をしているが、これはFateあるあるの女体化などではなく、カルデアに「三番目」に召喚され、自ら女性にTS化した経緯があるため。ちなみにモナ・リザは、男女を意味する言葉だとか。
FGOの物語がはじまるカルデアに召喚された当初は(藤丸がカルデアに来る前)は、とある非人道っぷりを目の当たりにして即座に英霊の座に帰ろうとしたが、今回の英霊召喚における異常性を察知したのか、ロマニの苦悩を考慮したか、単純にカルデアに興味を持ったのか、そのまま居座ることに。基本的にロマニと同様、主人公のサポートに回っているが、FGO内で召喚に成功すれば問題なく使用可能。
ゲーム内ではマナプリズムを対価に便利グッズを交換してくれるので、親の顔より見たプレイヤーは多いだろう。
ちなみに二部でダヴィンチは麻婆神父に霊基を破壊され、バックアップとしてあらかじめ用意していた少女の姿になり、ますます性別不明の状態になった(通称、ロリンチちゃん)が。一番の性別不明は始皇帝である「朕」。大人のダヴィンチ背後から殺した麻婆神父であるが、その後、シャドウボーダーを追い詰めるため、ロケラン片手に時速90キロ以上の速度で追いかけて来た。
ちなみにロリンチの宝具は、キャスターからライダーにクラスチェンジ。
宝具である「境界を超えるもの(ビューティフルジャーニ)」は、非常に使い勝手が良い上に、剣スロ並みに宝具が大回転する。通称、上流国民アタック。


・マーリン(クラス:キャスター)
グランドロクデナシ。
夢魔と人間の混血児であり、幽閉塔に引きこもり千里眼で藤丸の特異点修復を見守っていた。作中では感情豊かそうに見えるが、本質は昆虫のように無機質な性格であり、人間の感情を味わい消費する非人間。幽閉塔に引きこもるキッカケとなったのは、アルトリア(女性版アーサー王)の別れ際の言葉が、非人間であるマーリンを以てしても「痛かった」からである。
幽閉塔はマーリンが造ったものではなく、彼を憎む性質の悪い妖精が創造したもの。門には「罪なき者のみ通るべし」と記され、マーリンはただの何となくの気分で自ら幽閉塔に入り込み、ブリテンが滅ぶ未来を千里眼を通して見守ることにした。
カムランの丘で、ロンゴミニアド(エヴァで有名なロンギヌスの槍の別名)で、息子(娘)であるモードレッドが起こした反乱の際トドメを刺し、抑止力(世界の安全装置。サーヴァント化)と契約して、生きながらにして英霊となったアルトリアの動向を見守っていた。しかし、アルトリアが長い聖杯探索の末で、聖杯を手に入れながらも自らの意思で手放したことに心から喜んだ(アルトリアが聖杯にかける願いは、ブリテンの未来のやり直し。自分自身の存在否定)。
その後、マーリンはカルデアで特異点修復を行う藤丸の姿を千里眼で発見したのか、マシュがクーフーリン・オルタに殺されそうになった時、幻影を通して彼女を守っている。FGO内で初期から存在が示唆されていたが、明確に表れたのはこの時。
後のバビロニアでキングゥに騙されそうになったカルデア一行の前に、アナと共に姿を現すが、これもまた幻影である。実はマーリンはギルガメッシュの召喚当初から目覚めかけていたティアマトに夢を見させ続け、活動を阻止していた(ゴルゴーン襲撃の際、石化されるとまずいと柄になく狼狽していたのはそのため)……が、結局、キングゥが持つ聖杯の力でティアマト神と同調していたゴルゴーンのアナの捨て身の特攻(ゴルゴーンの首をはねたハルペー)による攻撃で死の衝撃が伝わり、わかるようでわからない理屈でティアマトは目が覚め、幻術をかけ続けていたマーリンは離脱(こちらの方も本体ではない)。
幻影が消えたマーリンではあるが、ティアマト神が「自分の望む子そのものであるラフム」が海から無限増殖する中、長すぎて覚えられないセリフを「ギルガメッシュ王に伝えるんだ」と言った直後、自らの信条を曲げ幽閉塔から出て、ブリテンから徒歩でウルクにマラソン。
「おーい、こっちこっち。アーテガスベッタ」とケツァル・コアトルが投擲したマルドゥークの斧をゴルゴーンが根城にしていた神殿に誘導しているが、これは彼が非力なためだったと思われる。ウソ付けケツァル・コアトルと同じ筋力Bだゾ!
それゆえ最終話ではケツァル・コアトルによる制裁が待っていたのだが、千里眼による回避か、アニメ放送にあわせてあらかじFGOで予習をしていたに違いない。ちなみに原作ではコブラツイストを食らっている。
実は魔術は噛むから苦手らしい。本人いわく「殴った方が早い」とか。


・アナ(クラス:ランサー)、もといゴルゴーン(クラス:アヴェンジャー)
ビーストUのいる特異点で暴れ回るゴルゴーンを阻止するため、抑止力のカウンターとして召喚されたサーヴァント。
藤丸と出会った当初は「人間は嫌いです」と言って、なるべく関わりを持たないようにしていたが、ゴルゴーン同様ツンデレ。
早速ネタバレするが、真名はメデューサ。桜ちゃんのサーヴァントとして有名なスレンダーなライダーの幼少期である。
彼女は上姉様のステンノと、下姉様のエウリュアレは見分けが付かないほど瓜二つであるが、メデューサは二人の姉と違い、成長する特徴を持っており、上姉様と下姉様がアイドルなら、メデューサは女優といった具合になっている。三姉妹はアテネ関連の問題により、 『かたちのない島』に逃亡するも、本来地母神であったのにも関わらずオリュンポスの神々によって化け物扱いされている。しかも三姉妹は穏やかに暮らしたいだけなのに襲い掛かる勇者に対して戦闘力を持たない姉とは異なり、戦うことのできるメデューサが撃退していた。
かたちのない島に乗り込んできた人間を殺す中でメデューサは更に成長していき、その果てに反英霊であるゴルゴーンとなり、最終的には姉二人を疎ましく思い、自身の髪の毛に取り込んだ。それから後、ペルセウスに倒されるまでの間、かたちのない島で襲い掛かる人間を殺し続けたものだと思われる。
しかしバビロニアにおけるアナは、『もしもの可能性』であるイフの存在であり、ゴルゴーンの姿で、終盤ティアマト神の角に罅を入れた。アヴェンジャーであるゴルゴーンとは異なり、藤丸を「マスター」と呼び、マシュの戦えない状態を指摘した。たとえアナが成長しゴルゴーンになったとしても、イフたる存在であるため、善心を持っていたのだろう。
個人的な見解になるが、化け物になりながらも善心を忘れなかった最大の分岐点は、老婆から「町一番の美人になる」、「手向けに贈られた花冠」などが挙げられる……かもしれない。
ちなみに、アナ・メデューサ・ゴルゴーンのいずれであったとしても、姉二人の存在を苦手としている。そし偽ティアマトのゴルゴーンはケツァル・コアトルの底知れない明るさに恐怖心を抱いている模様。
さて、ティアマト神と騙ったゴルゴーンであるが、魔物を産み出す点においてエキドナなどの共通点があるため、マーリンの幻影で目が覚めないティアマト神をたたき起こすため、キングゥに似たようなところを利用されたのだろう。でもキングゥとしては、旧人類に恨みを抱いているゴルゴーンに対して、悪感情や見下しの態度はない。


・ギルガメッシュ
慢心しない、ファッションセンスがヤバく、そしてキャストオフ(全裸)にもならない方の王様。イシュタル曰く「スイッチを切り替えているだけ」のことらしいが、2019年の年末で過労死し、その後、アニメ・バビロニアにおけるおさらい編として一回目の「総集編」が入り、クリスマス・大晦日・正月の年末年始を冥界で過ごし、ツイッターで話題になった(通称、年越死)。シドゥリが深刻な顔で走りながら王の死を藤丸に告げたのに、「王が眠りから覚めるとそこは冥府の底であった……などと言っている場合か、本当に死んでいるではないか我―――!」と、叫ぶ姿はシュールな笑いを誘う。観る価値あり。とんだ千秋楽だな。
そしてFGOのアイアイエー島のイベントの最終周回クエストでは過労死だけではなく、「漂流しているではないか我―――!」と、海辺で叫ぶ姿が多数目撃されている。うっかり舟を漕ぐとロクな目に合わないみたいですねえ、この人。二重の意味で。
その他に、おまけにFGO内のバトルインニューヨークでは、「ごめんなさいね」の壮絶な煽りをして、ネロ・クラウディウスが貯め込んでいた素材を無断で強奪したが、「地面にキッスして、グッバイ! おのれおのれおのれー…!」とセリフエコーしながら、ビルの最上階から突き落とされている。
話を戻して、ギルガメッシュの死は、ウルク全体が生命力の弱い者(特に子供や老人)死に易い環境であったこと、外見は若々しいがかなりの高年齢、そして度重なる職務によって勝手に死んで冥界にやってきただけである。エレシュキガルの仕業だと思われていたが、とんだとばっちりなのだわ!でも、エレシュキガルはウルクを長年コツコツと恨み続けたので存外無罪ではない。
さて、ギルガメッシュを復活させるために、エレシュキガルのいる冥界に訪れ、「こやつめフハハ」の高笑いと共に参上。瞑想に浸りガルラ霊をやり過ごすという何気なく凄いことをやっているが、本人いわく「ランサー以外の適正がある」と豪語。恐らく、ランサー以外の適正は唯一の友であるエルキドゥに配慮している可能性が……何せ、別人であったとしても、ラフムに聖杯を奪われ弱体化したキングゥに自分の聖杯あげてるぐらいだもん。
その後、藤丸がエレシュキガルを懐柔し、無事蘇った賢王。
そして、ティアマト神が完全に復活してラフムの襲撃を数度耐え、民たちに「ウルクはいずれ滅びる」と再宣言し、「享楽に浸るも良し、逃げるも良し」と民に選択肢を与えていたことが発覚する。
冬木の聖杯戦争ではアーチャーのギルガメッシュが召喚されていたが、その当時の彼は大変不機嫌だった。これにはある理由があり、「奴隷にも役割があった。何者でもない者などいなかった。お前たちは薄々勘付いているのでないか。人間は増え過ぎた」と言い、聖杯の泥で人類を直接間引こうとしていたが、『滅びることを知ってもなお戦うことを選んだウルクの民は強かった』。神代の時代たる人間の幼少期を終わらせ独り立ちさせたのに、現代において人々が退化している現状が許せなかったのだろう。
最終局面では、ケイオスタイドと共にウルクに直進してくる壊滅的な状態にも関わらず背を向けず、はじめて攻撃を行ったティアマト神から藤丸を庇い、「たかが致命傷だ!」と啖呵を切り、「王の号砲(メラム・ディンギル)」を絶えず連発。死ぬ気になれば、一人でも宝具を使えるらしい。
その後、キングゥが現れ、エルキドゥの宝具である「人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)」を使い、天の楔を用いてティアマト神の動きを封じた。その際、絶えず連発されていたギルガメッシュの攻撃が止まったのだが、恐らく、神罰で無残にも殺されたエルキドゥではなく、決死の覚悟で戦う友と同じ肉体を持つ雄姿を見たかったのだろう。
その後、冥界にて「サーヴァント化した」状態で復活し、宝具「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」でティアマト神を撃退し、藤丸に至高の宝である聖杯を手渡した。


第三記事に移る。
続きを読む...

2020年03月27日

絶対魔獣戦線-バビロニア-@

絶対魔獣戦線-バビロニア-


絶対魔獣戦線-バビロニア-とは、スマートフォン向けアプリであるFate/Grand Order(以下、FGO)の第六特異点をアニメ及び舞台化されたモノです。今回の場合は、アニメの方を取り上げたいと思います。
 
 
個人的にアニメ・バビロニアにおける個人的な評価としては、総集編が二度に渡り行われたこと、キャメロットの映画化に伴いアルトリア(Fate内における女性版アーサー王)の声優である川澄綾子さんが、直接イギリスに赴き聖地巡回した回など、露骨な引き延ばしが気になりましたが、全体的なバビロニアの評価において神作とは言えずとも良作であったと思います。
総集編のナレーターが、事実上未登場である巴御前や風魔小太郎などの声優さんが担当していれば、評価が変わったかもしれませんが、川澄綾子さんの聖地巡礼を入れるのではなく、原作未プレイの視聴者にとって理解が難しいところを説明してくれれば良かったかなあと思いました。

三月末、アニメ終了したバビロニアですが、バビロニアの説明不足だったところの理解の助力になれば…と思い記事を作成しますが、原作未プレイの方に取って恐らく分かり難かったところを数度に渡って解説していきたいと思います。
 
 
【大まかな粗筋】

 
絶対魔獣戦線-バビロニア-は、2000年代から古代ウルクにレイシフトします。ちなみにレイシフトとは、特異点の生じた場所へ時間素行……物凄く分かり易い表現をするなら、ドラえもんの「タイムマシン」のようなものだと考えてもらって構いません。ちなみにレイシフトには適正がなければ、どれほど優秀な魔術師であっても使用できません。特異点が出現した際、レイシフトを使用して問題のある地域の問題を解決するのですが、その「タイムマシン」の機器の名前が「コフィン(棺桶)」であることから、かなりきな臭さが漂う道具。
 
さて、絶対魔獣戦線バビロニアは第六特異点ですが、その他の特異点はどういったものかというと
 
 
  • 特異点F   炎上汚染都市 冬木
  • 第一特異点  邪竜百年戦争 オルレアン
  • 第二特異点  永続狂気帝国 セプテム
  • 第三特異点  封鎖終局四海 オケアノス
  • 第四特異点  死界魔霧都市 ロンドン
  • 第五特異点  北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
  • 第六特異点  神聖円卓領域 キャメロット

 
 
といった特異点を修復して、バビロニアに到達しました。
特異点の修復とは歴史改竄を阻止し正しい歴史に戻すといったものですが、生歴史を改竄すべく特異点たる歪みを生み出した元凶たるビーストTは、第四特異点「死界魔霧都市 ロンドン」にて明確に姿を現し、第Uビーストである「回帰」の理を持つ、メソポタニア神話において様々な神々を産み出し、不必要と判断され虚数空間(死後の世界でもない何もない空間)に追いやられ、永い時間を過ごしていたティアマト神を復活させます。
 
後にカルデア一行が出会うことになる、人類悪であるビーストの存在を察知したウルクの王であるギルガメッシュは来るべきティアマトの災害に備え準備を行いますが、「まだ」英霊ではないギルガメッシュは、マーリン・レオニダス一世・天草四郎・風魔小太郎・巴御前・茨木童子・牛若丸・武蔵坊弁慶らを召喚。

カルデア一行が到着する以前、召喚されたサーヴァントのその後は、
 
・天草四郎と風魔小太郎は(恐らく)ジャガーマンにボコられ退去。
・巴御前は敵と同士討ち(特異点修復後、茨木童子の幕間のクエストでほぼ死霊化した状態で再登場したが、茨木の介錯により消滅)。
・茨木童子はギルガメッシュの指示に従わず、牛若丸に脅され逃亡。後に、バビロニアの何処かで盗賊団を結成。
 
など、牛若丸・弁慶・マーリン・レオニダスを残して、戦力が低下している状態でした。なお、召喚した英霊にはある共通点があり、それは「自身がどれだけ不利な状況になったとしても諦めなかった人物」が選ばれています(牛若丸の実兄からの迫害、弁慶の仁王立ちなどの故事、スパルタ教育の元になったレオニダス一世)。

ちなみに敵との同士討ちで退去した巴御前ですが、彼女の決死の特攻による時間稼ぎがなければ、カルデア一行が到達する前に、人類史において重要な四大文明のひとつが滅んでいた可能性が大です。

やたら日系サーヴァントが多いですが、死後、英霊化(サーヴァント)した、首にハッピーターンを巻いているアーチャーのAUOは、ギルガメッシュは冬木(Fate/Zero)の聖杯戦争に召喚され汚染された聖杯(この世全て悪・アンリマユ)の泥を克服し、数十年ほど日本で受肉し、未来を見通す千里眼で遠い未来において日本で強い縁を持つことを知ると同時に、メソポタニア神話ではティアマトを倒せないと判断し、日系サーヴァントを多く召喚したのでしょう。
アーサー王伝説や、シャルルマーニュ伝説などに深い関係を持つマーリンの方は、個人的な見解ですが、ギルガメッシュの父親が夢魔説であることから召喚された可能性があります。レオニダスはゼウスの末裔であり、ギリシャ神話と関係を持つゴルゴーン対策だったのかもしれません。

さて、アニメ冒頭で特殊クラス「シールダー」であるマシュと共に藤丸は空から落下した状態で古代・バビロニアに到着しましたが、これは訪れる時代が有史以前の時代であったことから生じたミスであると考えられます。
 
マシュの宝具(サーヴァントにおける必殺技みたいなもの)で、大きなケガを負うことなく無事地面に着地したカルデア一行ですが、いきなり女神・イシュタルに遭遇し「落とし物がなかったか」と尋ねられますが、これは借り物ではある、聖牛・グガランナを探していました。ちなみにこのグガランナあまりの巨体ゆえ、どうあがいても簡単になくせるようなものではないのですが、これは別の平行世界であるイシュタルが、「自分のものだから無断で借りてOK」という理由によって、無断拝借されたことにより生じた弊害です。ちなみに「イシュタルは年に一回、天災級のやらかしを行う」と明言されています。


第二記事に移る。
続きを読む...

2020年03月10日

モノノ怪―のっぺらぼう―

モノノ怪の謎多き「のっぺらぼう」を紹介。
個人的に初回、「化け猫」と同じぐらい好きな話です。


モノノ怪とは2006年1月に放映された「化け猫」の人気を皮切りに、2007年の7月〜9月27日の間まで、ノイタミナ系のアニメとして人気を博した作品です。全体的な作風としては、浮世絵のようなタッチと独特の色使いとストーリ冒頭に薬売りの名乗り口上や、背景や小道具などに考察の余地のある小ネタがちりばめられた作品で、イタミナ15周年企画、「〜あなたが選ぶ思い出の3作品〜」の2005〜2009年度内の発表作品の中で、1位に選ばれました。しかし残念なことに、公式がトークショーや上演会を企画されていたのですが、コロナウィルスによって開催が中止されています。おのれぇ……。

モノノ怪の作品における時代設定は基本的に江戸時代ですが、最終話にあたる化け猫は大正、もしくは昭和時代が舞台設定となっています。恐らくこれは現代でも、主人公である薬売りなる男性が現代でもモノノ怪退治をしている事を示唆していることを意味しているのかもしれません。


【登場人物】


薬売り「お聞かせ願いたく候」
主人公である、正体不明・住所不定の薬箱を背負ったキャラクター。炭治郎。
薬箱の他に隈取の化粧と頭巾、蛾をイメージした女性物の着物を身にまとい、穏やかな物腰のミステリアスな男性。変身後を含め本名はおろか、どういった過去・経緯でモノノ怪を退治しているのか明らかになっていません。主に「薬売り」と呼ばれています。やたら間を置いた喋り方が特徴。
自己申告ながらも、本人曰く「人間」らしいですが、変身するなど明らかに普通の人間とは異なります。
しかし海坊主回では海座頭に「本当に恐ろしいものは何か」と尋ねられた時、「モノノ怪が尽きない世の中(意訳)」と答え、自分の身体が徐々に消え、衣服のみが取り残される幻影を見、肉体が消える恐ろしさにあまり動じないながらも、一応、人間らしく恐怖を感じることはあるようです。恐怖心の他に本人いわく「うっかり」で毒である夾竹桃を煎じる他、初対面の女性(加世)に春画を見せようとするなどセクハラ未遂。咄嗟に「年で物忘れが多いだけだ」という言葉を聞いた時は、「物忘れに効く薬は…」と言い薬箱を漁るなど、結構お茶目な面があります(一応、名誉のためセクハラについて断っておくと、春画に処方箋を包んで渡すなどの文化があったそうな)。

・商売道具
ご存じの通り、身の丈ほどの薬箱。中身は先ほどもふれた春画、普通の薬や火薬が入っています。中でも特徴的なのは、モノノ怪の距離や位置を測る白い天秤が無数に出てくることから、普通の木製の箱ではないかもしれません。なお、天秤は無数にあるだけでなく、「加世さんのこと、気に入ったみたいだよ」と言った発言から、意思があると推測されます。
その他に大きさを変える事が可能な円形の鏡の他、結界を張れることが可能な札を所持しモノノ怪の気配を察知すると顔のような赤い模様が浮かび上がります。札の中心部にあたる部位には、目とも唇とも付かない特徴的な見た目をしていることから、経が書かれた普通のお札とは違うのでしょう。

・ハイパー(一応「薬売り」名義だが、制作スタッフが呼んでいたことから)
モノノ怪退治の武器として、鬼のような顔が付いた退魔の剣を所持していますが、探偵のように真相(形と真と理)を本人が明らかにしない限り、柄から抜くことはできません。薬売りに向けて一直線に飛んできたこともあります。
話が『噛み合う』と金属音を立て「ト キ ハ ナ ツ」の号令で卍解ようやく抜刀可能になり、変身可能、本格的なモノノ怪退治を行います。
なお、退魔の剣を抜いた時の隈取が消えた顔は無表情で不気味であり、ハイパーは本人の分身なのか別人なのか不明です。ハイパー時、頭巾を被った薬売りは消え、色黒で金色の模様が浮き出た姿になります。基本的に入れ替わる形で出てきますが、本記事の紹介になる「のっぺらぼう」で同じ場面に出てきたことがあり、益々不明。


本題の「のっぺらぼう」について


「のっぺらぼう」は、とある武家屋敷に嫁いだ女性・お蝶さんが、牢獄に入ったところから始まります。
お蝶さんは突如、モノノ怪退治の薬売りと対面するのですが、突如「のっぺらぼう」最大の謎である、「誰を殺したのか」と問われます。嫁入りした先の家族を皆殺しにして梅の木に吊るしたのかなどの質問を受けますが、お蝶さんは要領を得ない曖昧な返事をするばかり。

そんな中、薬売りはお蝶さんに対して「ほら、あるじゃないですか。本来人には纏うべき顔が」といった発言のように、この回では仮面(外を含めて)を被った様々な人物が登場します。
誰を殺したのか……そんな押し問答の中、キセルを持ち紫煙を燻ぶらせながら金色の狐面の男性が登場し、仮面の男の姿を見た瞬間、これまで無気力だったお蝶さんが「あの人は大丈夫」といい男の元へ向かおうとしますが、薬売りは「ここは(お蝶さんの気持ち次第で)出ようと思えば檻に、出たくなければ城になる」と言って、檻(脱出可能)である牢獄の中に押しとどめますが、狐面の男に「自分の顔を忘れてさまようが良い」と言われ、薬売りは「へのへのもへじの面」を被って、倒れ伏します。

場面は切り替わって、桜や梅の木が入り混じった外に出ます。狐面の男は「あなたが元のところに戻らないと打ち首獄門に処される」と言い、お蝶さんにとって地獄である武家屋敷に戻るように勧めますが、本人はこの提案を拒否。
そして「このままならば死んだ方がいい」と悲嘆に暮れるお蝶さんに、男は「じゃあ俺の女房になってくれ」といい、それから婚約の儀を行います。その時、四角い部屋の壁に沢山のお面が出てきて、お蝶さんとの結婚を祝福しますが、そこで「ハイ…ハイ」との拍手と共に逆さまになったパグの上に座り、薬売りが乱入。狐面の男は再起不能にさせたはずの薬売りの早過ぎる復活に狼狽を隠せませんが、「おもてと書いて面。自分が認めれば、己の顔になる」と言い、確固たる自分を持っている薬売りとしては顔を失ったとしてもさして問題ではなかったのでしょう。

そこでまたしてもシーンが切り替わり、またしても四角四隅の赤いお札に包まれた場面に変わります。

それから後の展開は、台所と囚人が癒しを求めるように眺める窓、お蝶さんが幼い頃稽古部屋、お蝶さんの母親が武家屋敷に嫁入りを頼む場面、子供が楽しみだと言いながら立ち去る母親など、台所・窓・和室・浮世絵などにしても、とにかく四角いところが目立ちます。
個人的に、薬売りが冒頭で「ここは(お蝶さんの気持ち次第で)出ようと思えば檻に、出たくなければ城になる」と言っていったように、お蝶さんが何らかの気持ちに囚われていることを意味しているように受け取れました。
推測ですが、檻が出られる理由は罪を負いながらも自由の身になれるから、檻なら出られる。逆に城ならば、立場や役目などの問題があるので例え脱出したとしても引き戻されるなどといった意味があるのかもしれません。

そしてお蝶さんは四角い囲いがなされた赤い札の結界の中、薬売りによって辛い過去が暴かれる中、子供の頃から本心を押し殺して仮面を被って来た彼女は、「母上のことが好きでした」と、過去形で述べています。非常に何気ない発言ですが、時々、お蝶さんの名前が匿名を意味した「お嬢さん」の発音に聞こえる事から、彼女の本心において非常に重要な発言だったのではないかと、思えるのです。

さて、お蝶さんの本心が明らかになっていく中で、薬売りが「狐面の男にモノノ怪がとり憑きあなたを縛る城になった。本物ののっぺらぼうは、お蝶さんあなたです」と言い、手鏡を見せ、狐面の素顔を見せます。鏡面に映されているのは、お蝶さん顔。彼女が真相を自覚した瞬間、素顔であるお蝶さんは絶叫をあげます。

それからまたしても場面が切り替わって、桜や梅の木も、畳も青い空もない、白無地の空間になります。

罪人の証である白い衣を着たお蝶さんは、背後から退魔の剣を差し向けられていました。まさに死刑を受ける前の罪人のような様子ですが、お蝶さんの態度はモノノ怪として退治されるにも関わらず、非常に落ち着いたものです。

そんな中、お蝶さんは背後の退魔の剣を持ったハイパーに「どうしてのっぺらぼうは、私を助けてくれたのですか」と話しかけるのですが、少々厳しい声で「救われたなどと思っているのか」と答えます。
そうして、ハイパーじゃない方の薬売りが、お蝶さんの正面で背中を向けながら、穏やかな口調で「強いていうなら恋でもしたんじゃないんですかね。叶うはずがないのに哀れなモノノ怪だ」と答え、紙吹雪(化け猫を退治した際にも降って来たことから、のっぺらぼうを退治した証かもしれません)が降る中、お蝶さんは「ありがとう」と涙ながらに礼を言います。

ラストでは、お蝶さんが台所で散々聞いて来た、罵倒の声が響きます。これまで同じ言葉しか繰り返されていなかったのですが、新しいセリフも出てきています。物事が進展したということでしょうか?
罵倒が飛び通う台所で薬売りはキセルで白い煙を吐きながら、「しかし……ここには誰もいない」という言葉で締められ、外の風景が映し出されるのですが、ラストシーン出てくる、まるで首吊りでもしたかのような梅の木と思わしき、下を向いた枝が映り込みます。

総論として、色々な説や解釈のある謎の深い「のっぺらぼう」ですが、一般的に多い解説としては全てお蝶さんの心の中の出来事であり、武家屋敷の人間を殺していたのはストレス解消法であった……というものです。
その他にハイパーと狐面の男が似ているといったもの(この件だけ冒頭の名乗りがお蝶さんと一緒なのも要因なのでしょうか)や、母親の悲願を叶えるためお蝶さんは実は首を吊って死んだ武家屋敷の前妻を殺したのではないかなどといった、様々な説があります。

正直「のっぺらぼう」回は色々な考察が可能な作品で、考えれば考えるほど面白い作品です。常に閉じ込められた空間にいることから、夢野久作の「ドグラ・マグラ」のように、読み手によって作品の考えが違うように作られ、明確な回答というものはないのかもしれません。アニメ

2020年03月09日

美しいタッチで描かれるシリアルキラーマンガ、「キラーズテイル」

キラーズテイルとは、シリアルキラーを題材としたCAPRICORN氏により執筆された創作マンガです。

そもそもシリアルキラーとは、サイコパスと混同されがちですが、厳密にいえばこの二種類のソレはかなり違ったモノです。

たとえば『サイコパス』は心理異常の傾向のありつつも必ずしも、犯罪者になるとは限りません。ただ、結果的に犯罪者になっただけであり、その結果論の具体例を挙げるなら、

「食べる以外の目的で人を殺すのは信じられない」
「事故を起こすことはいけないが、人を殺すことはどうも思わない」

などと説明可能です。

対してシリアルキラーは、サイコパスの「結果的犯罪」とは異なり、「殺すことを目的」としています。シリアルキラーにおける犯罪行為の理由は「殺人行為に一種の使命・征服感、快楽を見出している点」です。
シリアルキラーにおける細かいカテゴリは複数のタイプが重複しているため、明確な区分に当て嵌めることが難しいものです。シリアルキラーは大きく分けて、先天的・後天的に分かれています。中にはサイコパスの面を有したシリアルキラーなどもいますが、割愛。

さて、長々とサイコパスとシリアルキラーの違いを場違いにも乱暴な例などを用いて説明しましたが、本題である『キラーズテイル』の紹介を行っていこうと思います。こちらが本題です!


【登場人物】

ヘンリー・リー・ルーカズ(シリアルキラー)
恐らく、後天的にシリアルキラーとなったと思わしき男性。見た目はデスノートのリュークやワンピースで若かりし頃のゲッコー・モリア的な見た目をした、パンクな青年です。マンガで初登場時、被害者女性の写真を舌なめずりしながら「アラァ、かわいい」といった発言を行っていますが、個人的な意見を述べれば、ヘンリーの方がかわいい。どこかひょうきんで愛嬌のある人物です。
物語冒頭、ヘンリーは明らかに自分が犯していない犯罪を喜々として認め、空前絶後のシリアルキラーとして有名になりますが、彼の事情聴取を行っていた弁護人が「なぜ、冤罪と濡れ衣を良しとするのか」と尋ねたところ、物語の元凶にして、キーパソンになるナゾの組織「死の腕」について話をします。物語のはじまった当初、「死の腕」なる組織は壊滅状態となっていますが、そこからストーリーが掘り下げられるのです。

メアリー・ジェン・ケリー(美少女。かなり重要。厳密には美しいだけの少女だからではなく、設定的な意味として)
メアリーは黒髪が特徴的な少女で、「死の腕」により死ねない身体になっています。「死の腕」はシリアルキラーに対して、ボランティアと称して無償で少年少女を貸し与えています。彼女は「死の腕」におけるお試し期間の商品であり、幾度となくシリアルキラーに拷問をはじめとした猟奇的な行為を受けています。
運良くメアリーは「死の腕」から逃亡することに成功し、組織に報復するため、用心棒兼殺し屋である青年を雇います。青年を雇用するはじめとして、少女の外見とは似つかわしくない言動と大胆な行動・ドライで冷徹な様子さえ見せるメアリーですが、「ママ……」と呟き泣きながら眠っている姿を見せたことがあるため、彼女は感情を押し殺すなどの相当な無理をしているのかもしれません。

ジャック・アーロン・コスミンスキー(居眠りな青年。この居眠りは何か原因がありそうだが……?)
メアリーが用心棒兼殺人行者として雇った、精悍な顔つきをしたイケメンな青年。初登場時、依頼された仕事が「居眠り」により失敗してしまい、上司と思わしき男性たちから暴行を受け、処分さえ検討されていました。しかしメアリーがジャックを雇うことによって、結果的に助けられ、「死の腕」に対するメアリーの報復がはじまるのです。彼はどうして自分が殺し屋になったのか、記憶喪失によりハッキリと覚えていません。居眠り癖と関連がありそうですが、詳細は不明です。


その他に、メアリー・ジャック以外にも、女装をした大食いのキャラクターや、少年の拷問を趣味とするピエロなど、本作では魅力的なキャラクターが登場します。

キャラクターの過去や設定の他にも、シリアルキラーを題材とした作品であることから当然ですが、様々な殺人鬼が登場します。その殺人鬼は「あれ? この人物を知っているかもしれない」と思うほど有名な殺人鬼の登場が示唆されていますが、今後、どのような展開を迎えるのか、非常に楽しみです。

キャラクターや設定の他にも特徴的なのは、非常に美麗なタッチで描かれる点も魅力的です。画の一つひとつを観察すれば、かなりヤバ目な家具や行方不明になった美少女の張り紙など、他に見どころがあります。

さて、キラーズテイルの魅力について説明を行ってきましたが、私が本作を発見したのはイラスト・マンガ投稿サイトであるpixivでした。作品を閲覧当初、「プロの作家さんが趣味で描いている作品だろう」と思い、次話を楽しみにしていたのですが、何とこのキラーズテイルは大手企業を介さない自費出版だったのです。
しかも、本作は英訳さえされており、海外発行を向けて作品を創作する熱意は舌を巻くものです。

私がキラーズテイルを鑑賞するにあたって、この作品が良作だと一番感じた点は、メアリーがジャックに対して、涙ながらに「死の腕を壊滅させたら私を殺してくれ」と最後の殺人依頼を行っているシーンです。個人的にこの場面が、作中で一番美しいと感じました。

ジャックとは海外において「太郎」といったほどメージャーな名前で、かの有名な劇場型犯罪の原点となった切り裂きジャックにも名無しの権兵衛的な意味合いで綽名されています。しかも、作中を読むにあたって、メアリーといった名前の二つの点を結ぶとそこから出る答えは……。

キラーズテイルの購入に関してはこちらから https://makatsuq.booth.pm/items/1807554 
定価: 2100円。全190ページ。
お一人様、2冊まで。

早く二巻が出てほしい、作品ですね。
次回作のために購入しましょう。

奇祭・宮田のジャガー炎上祭

「どうあがいても絶望」

奇祭・宮田のジャガー炎上祭とは文字通り、宮田司郎 の乗り物であるジャガーが炎上する一連の出来事である。正確な発生起源は不明ですが、2015年頃から確認されている民間催事です。

そもそも奇祭の犠牲となるジャガーの持ち主である宮田司郎(役: 満田伸明)とは、和風ホラーゲームSIRENに登場するキャラクターで、作中において一、二位の人気を持ちます。ちなみに名前の元ネタはピーコである。ちなみに兄にあたるヘタレな兄・牧野慶の本名の元ネタはオスギ。双子だからってなんでそこ起用したの?

SIRENが販売されたのは相当昔(約十年以上前)なのに根強いファンが今でも健在な点です。作品の魅力としては、昭和の年号が続き、舞台が外出に懐中電灯が必要なほどガチの田舎であることも手伝って、昭和のにおいさえ感じるほど。

その他に難解な作中の補足情報であるアーカイブ収集などのやりこみ要素・視界ジャックといった特徴的な能力・赤い雨・バイオハザードのようなゾンビとは異なり死人でありながらも生前の行動を繰り返し親切心で人間を殺しにかかる頭の悪い屍人・海還りなる異界に赴き人型をベースにしながらも人間から逸脱したクリーチャー(羽根屍人・犬屍人・蜘蛛屍人)・魅力的なキャラクター・ハタから見れば何が目的かわからない奇行・食品の説明からして腐った食べ物としか思えないゴムのような弾力を持つマズそうな羽生蕎麦・非常に細かいネタや背景設定など、色々挙げればキリがありません。

そんな長年根強い人気を持つSIRENの欠点といえば、些細な操作ミスで死亡することです(そもそもキャラクターの耐久度が低い)。しかも志村じいさんのタイムアタックなど、ゲームをクリアするにあたって避けて通れない難所が多く、ストーリーの終了条件の達成条件が予想外過ぎたり、死んで敵の行動パターンを覚え繰り返す死にゲーなど、完全クリアまでかなりの根気と時間が必要とされます。

SIRENは堕辰子の鳴き声がそれこそ時報のように鳴り響きますが、シレンと呼んでもあながち間違いではないほど、非常に難しいゲームなのです(SIREN2は武器を複数所持できるようになった他に初代と比べて難易度が下がったが、それでも難しいことには変わりない。著者は未だに2ともども完全クリアできていません)。

さてSIRENにおいて大まかな設定について述べたてきましたが、ホラーとギャグは表裏一体のようにシュールな場面が度々出てきます。

その代表例として、

  • 武器になりそうな一斗缶を持ちながらも敵を殴らないヘタレ牧師
  • 「これ宮ちゃんの」(正しくはヒロインの一人である美耶子であり宮田ではない)
  • いつ死んでもおかしくない危機的な状態なのに手拭いを凍らせる(この行為は宮田が終了条件を達成するためのものだが、別に凍らせた手拭いを使わなくてもクリア可能)
  • 「お姉ちゃんは武士なんですか!?(幻聴)」
  • 「トップアメリカ(幻聴)」
  • 「フクラハギィ!(幻聴)」
  • 「はるみちゃんのにおいがするよ〜(幻聴ではない)」
  • ラスボスよりも強い和風マルフォイ
  • 「タスケテヒトガシンダー」(SIREN:New Translationネタですが、面白いので抜粋)



などが挙げられますが、一番のネタは奇祭になっている「ジャガー炎上祭」でしょう。



さて、SIRENの大まかな説明をこれまで行ってきましたが、本題である「ジャガー炎上祭」とは一体何なのか触れていきたいと思います。

SIRNとは主人公であるオカルトマニアである須田恭弥(SDKやジェノサイダーとも)が、夏休みの長期休暇を利用して、二十年ほど前、土砂災害が発生した羽生蛇村を自転車で訪れます。須田は、羽生蛇村到着直後、ナゾの物体を潰している盲目の美少女・美耶子に出会い、速攻で逃げられます。実はその日、羽生蛇村ではこの村だけにある独自の儀式を執り行っており、ヒロインである美耶子は生贄に捧げられるところでした。

しかし、奇祭の神主である須田をもってしても奇抜な儀式を目撃した須田は「何だあれ」と言ったあと、部外者がいることがバレて逃走。儀式は乱入者の存在で一時中断します。

本能的に恐怖を感じた須田は儀式の場から全速力で逃亡するのですが、突如、目から血を流している警察に遭遇。なぜか即座に発砲されるも須田は機転を利かせて危機的な状況から脱するも、8月3日の00:00、生き物の鳴き声のような不気味なサイレンが鳴り響きます。

この瞬間、ツイッターなどをはじめとしたSNS上でSIRENクラスタは「異界入り」と称して、三日の間、リアルタイムでゲームの世界を疑似体験していくのですが、とうとう八月四日の早朝の07:03に「宮田のジャガー炎上祭」が催されるのです。中にはフライングして活気良くジャガーを炎上させ、七時を迎えるころには鎮火していることさえあります。

この「ジャガー炎上祭」は八月四日の07:03になるたびに、ツイッターでは上位にトレンド入りするだけでなく年々加速度的に有名になり、SIRENクラスタの勇士によって炎上ネタをいじった様々なコラ画像の投稿、須田を演じた役者・篠田光亮さんまでも反応を示すなど、半ば公式化した奇祭となっています。篠田光亮さんは「そのジャガー…何だか死んでるっぽいし」との公式発言から、美耶子の愛犬・ケルブとジャガーの色が同じ白色であったことから、火葬の意味を込めて炎上させたのでしょう。
ツイッター上で宮田のジャガー炎上祭のトレンド入りを初めて目撃した人は、何事かと思ったに違いありません。逆に、この炎上祭をキッカケにSIRENの存在を知り、ハマったという人さえいます。
ちなみにゲームの開発者陣営から、「このようなことは予想すらしていなかった」と困惑した反応を示していました。

宮田のジャガーを燃やすのは主人公である須田ですが、これにはあるわけがあり愉快犯としてイタズラに炎上させているわけではないのです。

八月四日の早朝、犬屍人(女性のみがなれる屍人)が須田の前に出現するのですが、人間の身体的特徴は残しつつも、犬特有の俊敏さを持っています。犬屍人は素早いだけでなく非常に攻撃力が高く、戦わず逃亡を優先した須田は犬屍人誘導のため、ガソリンを宮田のジャガーにぶっかけ、ライターで着火し盛大に燃え上がるクルマを犠牲にその場を去るのです。

拳銃よりも重たい一撃を有するネイル(NEIRU。ローマ字をそのまま逆から読むと屍人を唯一殺せるうりえんになる)ハンマーを持つ宮田先生が、自分の愛車が燃え上がるところを目撃したら、全速力で須田を追いかけ、殺すまで追い詰めそうですが、幸か幸いか宮田は愛車が犬屍人の注意をそらすためだけに、須田によって燃やされていることを知りません。それどころか、発火物である切り札・うりえんを「受け取れよ」と渡すほど……。

総論として

  • 八月四日の早朝になれば必ず燃やされるジャガー
  • 少なくとも2015年から開催される奇祭
  • 止められない負のループ



今の季節は春ですが、夏のジャガー炎上祭に参加するため、一度SIRENをプレイしてみてはいかがでしょうか?
羽生蕎麦を食べながら、愉悦に浸るのも悪くありません。
続きを読む...

2020年03月07日

早良親王に関する考察

「王の話をするとしよう」

↑の発言は間違いではない。より正確に言えば、王ではなく親王であり皇族の一人、早良親王の話である。マーリンは今、塔からバビロニアに徒歩で移動しながら王の話をしているから是非もないよネ。


三大怨霊の頂点に位置する早良親王について


早良親王(崇道天皇)とは、菅原道真・平将門・崇徳天皇よりも頂点に位置する日本最大の怨霊です。怨霊における早良親王を分かりやすく表現するならば、ポケットモンスター金・銀で初登場した準伝説の徘徊ポケモンである、スイクン・ライコウ・エンテイを復活させたホウオウのようなものです。
奇しくも、スズのとうがあるのはエンジュシティ(京都がモデル)かつ京の都を追放された因縁と、くわばらの語源となった清涼殿落雷事件など共通する点があります。もしかすると(考え過ぎですが)、ゲーム開発陣は三大怨霊のことを意識して、スイクン・ライコウ・エンテイを生み出したのかもしれません。

さて、ポケモンの話から離れて、早良親王の来歴について軽く説明していきます。

早良親王は西暦750〜785年の間生きた奈良時代末期の人物にして、平安時代の幕開けとなった重要人物です。約35年しか生きることが出来なかった早良親王ですが、死後すさまじい負の猛威をもたらしましたとされています。

具体的に早良親王が脅威を振るった例として代表的なのは、怨霊の常套手段である疫病の発生に洪水、奈良時代において重要だった長岡京を廃させ、挙句の果てには富士山を噴火させています。早良親王が最も三大怨霊の中で特異なのは、日本の歴史上ではじめて『怨霊』と明記された点です。

早良親王は幼い頃から出家しており、親王禅師と呼ばれ慕われていましたが、温厚な人物をキレさせるとヤバい――といいたいのは山々ですが、早良親王について深く考察すればするほど、「本当にそうなのか?」といった疑惑が尽きません。先ほど述べたように早良親王は幼少期から東大寺に出家し、後に立太子したのは良いものの、妻も子も持つことはありませんでした。早良親王の境遇を考えるほど、陰謀らしきものがちらほらと垣間見えるのです。

そもそも怨霊とはその当時、身分が高い人物であればあるほど呪いの力が強いと考えられていました。それゆえ、日本三大怨霊の中で一番強いのは崇徳天皇と多く言われている通り、早良親王も天皇になれる可能性を充分に有していたがゆえに、最大の怨霊だと昔の人々が考えていたとしても不思議ではありません。

怨霊とはじめて明記された早良親王ですが、非業の死を遂げた死者の魂が亡霊となって祟りを成すといった考え方は、奈良時代より昔から存在する概念でした。実在の有無について不明ですが、かの有名な聖徳太子も怨霊の一人であると後世の人間に噂されています。

早良親王は怨霊になる流れを簡単に説明すると、藤原種継が賊に暗殺され、生来より不仲説のある早良親王が関与しているのではないか疑惑を持たれました(所説ありますが、早良親王が即位するように複数の人間に担ぎ上げられたものだといわれています)。

藤原種継の暗殺事件以降、早良親王は乙訓寺に幽閉されました。ちなみに乙訓寺とは聖徳太子が建てたものであり、怨霊繋がりで奇妙な因縁を感じます。幽閉後、淡路国への追放が決定した不遇な身の上の早良親王ですが、その移送中、無罪を訴えるためか絶食していたことが原因で餓死、もしくは衰弱死しました。

早良親王死後、様々な怪奇現象が発生しましたが、一度記載したことなので割愛。重要なのは祟りと呪いの規模ではなく、『御霊信仰』と『彼岸会』なる新しい習慣の発生と、陰陽五行を元にした風水の古都である京の都が造られた点です。

まず『御霊信仰』とは、恨みを抱いて死んだ亡霊を神として奉るものです。菅原道真が学問の神と太陽神としての側面を有し、現代でもなお深く信仰されているように連綿と続く習慣ですが、非業な死を迎えた人間への信仰が生まれたのは奈良時代の終わり、平安初期の時代になるのです。

早良親王は奈良末期と平安初期の時代に渡って、様々な祟りをもたらした怨霊です。死人に訴える口がないように祟りのほとんどは言いがかりに等しいものだと言えますが、その証拠として桓武天皇は実弟を寺に幽閉し、一説によれば餓死させています。早良親王死後、怨霊に怯え京都に移り住んだといっても、737〜806年と割と長生きしています。年に換算するなら、約69歳。平安時代の人間の平均寿命については不明ですが、現代の日本男性の平均寿命が81.09歳とデータが出ているように、当時の時代の人間としては天寿を全うするほど長生きしたと考えても良いでしょう。もしも早良親王を死に至らしめた元凶であるならば、恨みを持たれて当然。突然死を迎えても不思議ではないでしょう。

次に『彼岸会』なる催事がありますが、この催しは年に二回行われているお彼岸です。彼岸会――お彼岸の成立は平安時代初期頃であり、早良親王に密接に関係した行事で、西暦806年、早良親王の霊を供養するために行われたものです。

民間において先祖供養としての側面もあるお彼岸ですが、長い間、現代に渡ってもなお続く習慣で長い期間鎮魂が行われていたにも関わらず、早良親王の不遇な境遇に変化はなく、最も恐ろしい怨霊として認知されています。一時期、その存在が抹消されたほどです。

三大怨霊の一人である菅原道真は、子煩悩、飛梅伝説、そうして根っからの詩人であったなど人間味溢れたエピソードがあるのにも関わらず、早良親王にはそういった人間らしい話はほとんど聞きません。人物像の記載の少なさには、歴史上から存在が抹消されていたことが手伝っていたかもしれませんが、他の怨霊が歌舞伎などによる物語化されているのに対して、早良親王はそういった行為さえ忌避されています。

最後に、風水を元にして造られた京都ですが、そこでも早良親王は不遇の扱いを受けています。四神相応(青龍・白虎・朱雀・玄武)を元にして、計画的に造られた京の都において、丑寅の方角である鬼門に座しています。大怨霊を鬼門に宛がった理由として、悪しき魍魎が溢れないように門番としての役割を持たせたと充分に理解することが可能ですが、私から見れば、更に早良親王が恐ろしい存在であると印象付けているようにしか思えませんでした。もっと言えば、怨霊であると意図的に強調しているのではないかと、疑いを覚えるほどです。

徹底的な印象操作、存在抹消、疫病における濡れ衣……。

総論としてあらゆる人間が理不尽な目(災害や突然死など)に直面したとき、負の感情の行き場や受け皿としてその存在を確立したかったのではないかと思うのです。その根底には、人間が神や仏などの信仰だけでは不幸を乗り越えることが出来ない、誰か実在する人物に責任を負わせないと我慢の限界たるキャパシティを超えて、不測の事態を招くのではないかと懸念され、意図的に怨霊として造られた存在だったのではないかという考えです。

それゆえ早良親王のイメージ、畏怖にして恐怖の化身として存在が揺らいではならない……災禍にして災害の威信が損なわれてはならない……。

菅原道真は学問の神、平将門は武神、崇徳天皇は四国の守護神であるなど、恐ろしい以外にも善神としての側面を有していますが、早良親王だけは一向に怨霊であると押し出されています。六所御霊の一柱として祭られていますが、善たる側面は著しく少ないのです。

独自に早良親王について調べて分かったことですが、第二次世界大戦時、核爆弾が投下されましたが、その候補地として京都が挙げられていましたが、爆弾が落ちることはありませんでした。もしかしたら、鬼門に座しながらも早良親王が護ってくれたのかもしれません。

その他に奈良時代の終わりと、平安時代の幕開けといった日本の歴史のおいて重要なキーパーソンになっています。後に万葉集の元となる歌集が早良親王に献上された事実から、案外、読書家なのかもしれません。

さて、独自に早良親王に関する考察をつらつらと書き連ねてきましたが、考え過ぎなところや強引な解釈があるかもしれません。しかし、怨霊以外のイメージ、名誉回復の一環として、妄想のような考察を行いました。
FGOでキャラ化しないかな〜。




京都,早良親王,お彼岸,怨霊
<< 2024年06月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
最新記事
カテゴリーアーカイブ
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。