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2021年11月22日

滝川クリステルの御家騒動(銀魂) 4


全ての式神の力を終結させた清明の力は、非常に強大なものであり、外法に手を出した道満とはいえども叶わないものであった。

呪詛返しなどで劣勢を強いられる道満であるが、外法に手を出した彼は過去の記憶を彷彿とさせていくのである。

その中で幼い頃の記憶として、結野と巳理家が争うキッカケとなった物語を聞かさせられることになる。


「むかーしむかし 京に悪い悪い神様が住んでいました
 闇天丸というその鬼神は京の空を
 暗い雲に包み雨ばかり降らせて
 人々を苦しめて楽しんでいました
 
 しかしこの闇天丸を京に現れた二人の旅人が
 不思議な力で封じ込めてしまったのです
 京の空は晴れ
 皇は彼等兄弟にお礼として
 京を護る者の意をこめた「御門」という性を与え家来にしたのでした

 御門兄弟はとても仲が良く
 二人の前ではどんな怪異もたちどころに逃げ去っていきました
 二人は強い絆により
 京を長らく護り続けたのです

 でも妖でさえに斬れない彼等の絆に
 ヒビ入る事件が起きました

 御門兄弟の弟は皇の妹君
 美しき姫に密かに思いをよせていました

 でも皇と御門兄弟では身分が違い過ぎました
 弟の恋は決して叶うことのない悲しい恋でした
 弟は姫への思いを胸にしまい
 遠くから彼女を見守ることしかできなかったのです

 そんな折
 弟の耳に驚くべき報せが届きました
 姫が何者かにさらわれたのです

 姫をさらったのは兄でした

 そう兄も弟と同じく姫に思いを寄せていたのです
 悲しくも兄と姫は互いに想い合う仲となり
 地位も名誉も捨てて駆け落ちしたのでした

 これに激昂した皇は兄を
 姫をさらった盗賊として討伐命令をくだしました
 その任に選ばれたのは弟でした

 複雑な思いを秘めながら兄の元へ向かう弟
 でも幸せそうに暮らす兄と姫
 そしてその赤子を見た時彼の心は真っ黒に染まってしまいました」

後は、弟の心が黒く汚れることに我慢がならなかったのか、姫と兄の我が子を見逃し、立派な役職に弟がつくも心が晴れることなく、かつてのあの日のように雨ばかりが続くことになる。

その内に、弟は気が付くことになるのだが雨を降らせているのは、闇天丸に心の隙を許してしまい同じことが繰り返されてしまうのであったが、鬼と化した弟を討ったのはかつて見逃した兄の子であったとのことである。


それ以降、怨嗟の螺旋が結野家と巳理家の間に渦巻いているとの寝物語であるが、そんなドロドロした話を聞かされて眠れるわけもなく、清明の優秀さに語るも道満は父親から非難される。

清明に勝負を幾度となく挑むのであるが全て敗北し、成人間際の年頃になる頃には清明と比較されるという劣等感に見舞われることになる。

douman.jpg


清明としては道満と仲違いしたのをどうにかして解決したいのか、クリステルを妻に差し出すも、彼女が意気消沈してから勝手に婚約破棄するという身勝手な行動に出ている。


しかも屈辱はそれだけに終わらず、初世の頃はローリエで難を逃れ(彼女曰く「これなの」)、トイレで紙がなくなった際は再びトイレのドア近くにローリエが置かれるという破目になっている。

闇天丸の囁く復讐心に我が身を委ね、最後の断末魔として道満は「ローリエばっかじゃねえかああああああ!」との叫び声の後、完全に闇天丸が甦ることになるのだが、これまでの道満の異常な強さはこの悪鬼が原因である。


清明が太刀打ちできない闇天丸の強さに、結野家と巳理家が互いが互いに手を結び合う、清明と道満がかつて約束し合った展開が皮肉な形ながらも叶い、最後にケツに木刀をぶち込まれた悪鬼は対峙されることになった。


それから後、いがみ合いながらもある程度和解した清明と道満であるが、オチとしては結野アナが生放送で「てんびん座でもじゃもじゃ頭で死んだ魚の目をした人」がついているとの放送を行っている。

ちなみに銀時はてんびん座で天パであり、死んだ魚の目をしている。
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2021年09月02日

鋼の錬金術師


鋼の錬金術師とは、荒川弘により執筆された作品である。
ハレのちグゥや、東京スパイラルなどガンガン黄金期の一つの作品である。
ホムンクルスやセフィラ・ケテル、賢者の石などを踏まえた作品であるが、決してそれら設定は荒川弘のオリジナルではないので勘違いしないように。
著者曰く、「バイト中に思いついた」らしい。
ハリポタ作者といい、何気ない時に名作が生まれるのは運命なのだろうか……。
どうでも良いが、作者別作の銀の匙は「ひたすら主人公が正しいことを描写」しているような感じがあって受け入れられなかった。
「動物のお医者さん」を呼んだ方が、勉強になりそうな感じがある(偏見)。


【内容】



痛みを伴わない教訓には意義がない
人は何かの犠牲なくして何も得ることができないのだから

「畜生…アルフォンス、持って行かれた」

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とのエピソードではじまる物語であるが、エドワード・エルリックが母親をよみがえらせる人体錬成を行って詩時点で、『真理』に何もかも搾取されていたのではなく、両手を合わせる(錬成陣を描かなくて良い超楽ちん)な技術と引き換えに、エドはかなり有益な能力を得ていたのである。


鎧に魂を定着させ、全身を『もっていかれた』アルフォンスはいがずもがな、人の中では最も真理に近い人物とされている。


アームストロング中尉の姉と接触して、アルフォンスは記憶が途切れ途切れになりながらも味方に食料を分け与える行為を行っているが、実はアルフォンスの肉体は心理の扉にあり、母親をよみがえらせる人体錬成の際にリンクしてしまい、エドの肉体は小柄かつアルの二人分の栄養素を摂取するため、よく眠りよく食べる肉体となっている。

その証拠に、第四話の扉絵をはじめとして異常な睡眠欲を発揮するだけでなく、その姿が随所にみられるようになっている。


エドとアルの肉体がリンクしていることを知ったのは、ストーリーの後編部分だが、最終回ではヒロインよりも小柄であったエドの伸長が大きくなっているなどの変化を見せている。


鋼の錬金術師の大まかなストーリーを分かり易く述べるなら、

賢者の石を探し、欠損した肉体を戻す


賢者の石の材料が人間であることが判明


軍事国家であったエドの国が引き起こしていた内乱戦争は意図的なもの


国領土を大きな錬成陣と看做して、『お父様』が神とやらに届きうる野望を達成するためだった



ということになる。
かなり大雑把な説明をするならば。


因みにラースやグリード、プライドといった『お父様』から生み出されたホムンクルスは、お父様の断片的な片割れであり、厳密に述べるならある種同胞といって差し支えないものである。
その証拠に『お父様』が真っ先に切り離した同胞が、プライド(矜持)である。


ちなみに国家錬金術師で、金(かね)の製造と人体錬成を行ってはならないとなっているが、それは単純に人道云々の関係などではなく、軍資金と個人戦力の保持が問題視されているだけでしかなく、個人の細かい心の機微は関係ないものとなっている。


なお、鋼の錬金術師そのものは最終的に因果応報に因むもので、心理の扉が個人により異なるものであるといい、その結末は後腐れのないスッキリとしたものとなっている。
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2021年08月31日

クビキリサイクル 3

早速ネタバレをするなら、「首切り死体」の時点で勘の良い読者もといミステリーマニアは犯人が誰であるのか、気付いていたものだと思われる。
ただ重要なのはどっちが真犯人であるのだが、伊吹かなみを殺したのは園山赤音である。


まず解説するならば第一の事件は、地震が発生した後に園山赤音が伊吹かなみを殺害して、その後、ペンキをぶちまけて、疑似的な密室状態を構築する。

そしてその後、容疑者として軟禁された園山赤音は共犯者である逆木深夜が掘り返した伊吹かなみの死体を窓から入れて、立ち去り、彼女は投入された死体に自身の服を着せて軟禁部屋から出ることにする。
その際、使用されたのが密室内にあった「椅子」と「死体」の二つを利用して、園山赤音は何とか外に出ることに成功。
本来ならば、完全な密室とするためドアは閉じたかったことだろうが、内側から閉めることしかできないので断念。
ちなみに伊吹かなみが埋葬される時は寝袋で、園山赤音の場合は担架といった具合に異なっている。

死体は一度しかリサイクル(再利用)しないので、二度目の埋葬の時、どれだけ汚れても構わなかったというわけである。


伊吹かなみの付添人である逆木深夜が園山赤音に協力する理由は、そもそも島に来る前に二人には交流があり、実は険悪な仲ではなかった。悪戯として二人は入れ替わり、数学者は画家として振舞い、画家は数学者として変装していたのである。

より分かり易く述べるなら、最後あたりで登場した園山赤音の正体は彼女に変装した伊吹かなみであるのだが、ラストにおいてそれは正しくないことが明らかになっている。


殺人の動機は「きみ達全員の脳を食べてやろうとしただけだ」と語る(偽)園山赤音であるが、異常な殺人事件後、半ば人攫いに近い形でいーちゃんは哀川潤のクルマに乗せられて、事の真相を知ることになる。
その事の真相は、赤神イリアの島流しにあった事件のソレではなく、園山赤音と伊吹かなみの両者が入れ替わり孤島に来る前から、既に入れ替わりが行われていた点である。

流れとしては、

1. 伊吹かなみが逆木深夜を付添人として持つ、何者かに殺される。

2.(真偽者)園山赤音が伊吹かなみに変装して、島へ行く。

3. 第一の殺人で、伊吹かなみに変装した誰でもない彼女は、いーちゃんの絵を描き終えた後、変装した本物の園山赤音を殺害し、赤音に成りすます。絵の違和感は園山赤音に変装した伊吹かなみが描いたものであり、いーちゃんが二人に出会うまで時計に些細な変化が生じており、いーちゃんはそれを違和感として抱くことになる。

4.(真偽者)園山赤音は鴉の濡れ羽島から逆木深夜共に出てから、数学者として更に精力的に活動するようになる。


といったものである。


分かり易く述べるなら

何者でもない彼女に伊吹かなみは殺害される。


密会した場所で、二人は入れ替わることを提案。


何者でもない彼女は島内で伊吹かなみとして振舞う。


何者でもない彼女は園山に変装していた伊吹かなみを殺害し、園山赤音になった。



といった具合である。
ややこしい……。

つまり、鴉の濡れ羽島において入れ替わりが三度行われており、園山赤音を殺した人物は彼女の経歴丸ごと乗っ取ったということになる。
なお、不穏なセリフとして園山赤音が作中において、彼女が最も尊敬する人物は七愚人のヒューレット助教授と述べており、「彼が女性なら歴史が変わっていた」と述べている。


なお、戯言シリーズが進むにあたって、園山赤音に成り代わった誰でもない彼女であるが、最終章では人類最強の請負人・哀川潤になることを目標に定めて行動しているものの、彼女の殺害に何度チャレンジしても成功していない模様。
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2021年08月30日

クビキリサイクル 2



タイトルがネタバレも良いところのクビキリサイクルなのだが、まず話の流れとして、


1. いーちゃんが伊吹かなみに絵を描いてもらう。


2. 逆木深夜・姫菜真姫・千賀ひかりらのいる場所で談笑。その時、地震が発生。地震は鴉の濡れ羽島においてそう珍しくなく、逆木深夜は伊吹かなみと連絡を取り、「ペンキがこぼれたものの無事」であることを確認している。


3. 翌朝、いーちゃんの絵を一晩で仕上げた伊吹かなみが首切り死体となって死亡されているところを発見される。絵の具がこぼれたのは地震後であり、伊吹かなみが死亡したのは絵具の缶が倒れた後であると断定された。絵の具の液は一超えできるものではなく、島内で起きる密室殺人のスタートとなった。


4. 伊吹かなみの遺体を逆木深夜と共に寝袋に入れた状態で、島に唯一ある桜の木の下に埋める。状況整理として皆に事情聴取を行い、昨晩誰とも一緒ではなかった園山赤音に嫌疑がかかり、軟禁状態になる。いーちゃんと玖渚友は殺人現場の調査をし、いーちゃんを描いた絵画に違和感を覚える。


5. 玖渚友の情報通により、島内で険悪な仲を見せていた園山赤音と伊吹かなみが一緒に食事をしている情報を得、疑惑を覚える。その翌日、園山赤音が伊吹かなみと同じ首切り死体となって発見された。第一の事件同様、軟禁場所も壁の上部に開いたドアがあるものの、何の道具もなしに昇れるような高さではなく、密室の状態である。ちなみに現場には椅子と死体しかなく、椅子を利用しても壁の窓に届かない高さである。ちなみに園山赤音の安否を最後に確認、施錠したのは千賀ひかりであり、彼女に殺人の容疑が掛かることになる。


6. 園山赤音の死体は担架で運ばれ処理して、玖渚の自室に戻ると彼女のパソコンが鉈か何かの凶器で破壊されていた。パソコンが破壊した人物は一連の殺人事件の犯人であると推定されるも、誰がいつ、どのタイミングで壊したのか疑問視される。玖渚の部屋に戻るまでは誰も欠いていない状態で園山赤音の死体を見て、自室に戻ったらパソコンが破壊されていたからである。


7.いーちゃん、・玖渚友・千賀ひかりが玖渚の待機する室内に、佐代野弥生が訪れ、嘘をついていたことを自白する。彼女いわく「地震のときに班田玲はいなかった」というものであった。天才が集められる島において何故呼ばれたのか、その理由は殺人を犯すことが目的で料理人である佐代野弥生が死体を材料に何かを作らされるのではないかと恐れる中、いーちゃんは殺人事件のヒントを見つけ、反撃に出るのであった。


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2021年08月27日

クビキリサイクル


クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣いとは西尾維新のデビュー作である。
戯言シリーズの第一弾。
どうでもいいが、この時点から想影真心の存在が示唆されていた。

クビキリサイクル
クビシメロマンチスト
クビツリハイスクール
サイコロジカル 上下
ヒトクイマジカル 上下
ネコソギラジカル 上中下

といった風に続いている。
全体を通じて戯言シリーズは、ラノベとしては最高傑作のひとつであるが、ミステリー小説としてみるならば下の上といったところが、個人的感想である。最終巻に至っては、一応ミステリーの要素もあるらしいのだが、傍から見れば推理なんぞしていない。


【内容】



あらすじ

「絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が
 “科学・絵画・料理・占術・工学”
 五人の「天才」女性を招待した瞬間、
 “孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!
 工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(♀)と
 その冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃん(♂)は、
 「天才」の凶行をQED(証明終了)できるのか?
 

 人に優しく慈悲深く、優秀で有能で、
 万能で、そして何より魅力的――
 その上で天才だなんて人間は会ったことがありません。
 もしいらっしゃるようでしたら、
 首を洗って待ってます。



登場人物

赤神イリア――舞台となる鴉の濡れ羽島の主人。複数ある財閥界のひとつである赤神家から、殺人の疑惑をかけられて島流しの刑に処されている。天才を招聘しては日々を過ごすという日常を送っている。

班田玲――千賀三姉妹(三つ子)の上に立つメイド長。

千賀あかり――千賀三姉妹のメイドの長女。いーちゃんに対するアタリが強い。

千賀ひかり――千賀三姉妹の次女。いーちゃんには他の「天才」の客同様、対等に接する。嘘吐き。

千賀てる子――千賀三姉妹の三女。いーちゃんに対するアタリがキツイ。嘘吐き。


伊吹かなみ――天才画家。園山赤音とは非常に険悪な仲。付き添い人として、逆木深夜を連れている。

逆木深夜――伊吹かなみの付き添い人。伊吹かなみを唯一無二の人物と捉えている。鴉の濡れ羽島に訪れた理由は、彼女を更生させるため。

園山赤音――天才数学者。かつて、いーちゃんが所属していた海外の研究部門ERシステムに所属していた。いーちゃんからすれば先輩にあたる人物であるだけではなく、世界の回答に最も近い七愚人の一人である。

姫菜真姫――未来や人の心を読み取れる占い師でもあり、超能力者。いーちゃんをからかっている。殺人事件が発生した際は、自身の持つ能力を一切使わずに傍観者として徹していた。

佐代野弥生――天才料理人。鴉の濡れ羽島に招待されており、客の立場だが屋敷の厨房で料理を振舞っている。島内の事件が連続的になるに従って、冷静さを欠くようになる。

玖渚友――「青色サヴァン」の異名を持つ天才・技術屋。人外ともいえる集中力を有しており、二本の上で三つのキーボードを操るなどといった離れ業をやってのける。玖渚機関のトップにして勘当されている。彼女が島に訪れた理由は、赤神イリアが島流しの刑にあった殺人容疑に興味を抱いたため。

いーちゃん――戯言遣い。語り部にして狂言回し。玖渚の精神病のひとつである「極端な上下移動の際、同行者がいないと暴れ出す」特性のため、逆木深夜のように介助人として連れ添い。島内で発生する連続事件を解決するため、動きだすことになる。

哀川潤――人類最強の請負人。第一事件が発生した際、島の主人である赤神イリアが哀川潤に事件解決を頼むべく、警察を呼ぶことはなかった。赤神イリアのお気に入りであり、「推理小説における探偵、怪獣映画における怪獣」だと評している。


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2020年06月04日

四畳半神話大系A



  • 樋口師匠

京大特有の極めて自由度の高い学風ゆえにありがちな、留年しまくり崖っぷちの八回生である。城ケ崎は映画サークルみそぎを忌々しい独裁体制で仕切っているのに対して、樋口の方はロクに大学に行っていない様子。基本的に半日以上、家を空けない。
茄子のようなしゃくれた顔で、毎回同じ浴衣と高下駄を身に纏い、英語が喋れるわけではないのに人種関係なく誰とでも仲良くなれる。夏には涼める場所を百個ほど知っており、尋常じゃないほどの感知能力を持ち、身体の方も凄いらしい。自由気儘に自由を謳歌し、堂々と生きることに専念している姿は、紳士の鑑か阿呆の骨頂。ちなみに「夜は短し歩けよ乙女」ではノーパンであることが発覚している。印象としては、「仙人、もしくは貧乏神」といった具合に極端であるが、中々的を得ていたりしている。
私との出会いは、下鴨神社の界隈に出没する猫ラーメンの屋台。ネコラーメンの店主と馴染みであるが、樋口・羽貫・城ケ崎・ラーメン屋のマスターは、実は同回生であり、よく見知った顔見知りである。
「私」がラーメンを啜ろうとした傍で、ナイアガラ瀑布が逆流するような勢いで麺を啜り、『かもたけつぬみのかみ』たる縁結びの神を自称し、「私」の大学生活二年のむにゃむにゃとしたキャンパスライフでの痛いところを突いている。それから、埃塗れの古びた本を取りだし、明石さんとの縁を結ぶことを口にする怪人であるが、五山(送り火)で逢引きに誘いなさいと述べているものの、明石さんと「私」の交際のキッカケは小津が計画したものである。つまり神でも何でもない。
後に、城ケ崎の暴露映画を小津と「私」が制作する時にアドバイザーとして呼び出されたのであるが、映画内容が曲解すればするほど内容を面白がる姿を見せている。
また、「私」が樋口の下へ弟子入りする羽目になるのだが、その室内は深窓の御令嬢ならば一瞥しただけで卒倒するレベルの汚染ぶりであり、未知の生態系が出来ていてもおかしくないほど汚いものらしいが、樋口は特に気にすることなく、海底二万海里を読みふけり、経路をたどっているのか、地球儀でマチ針を刺している。
樋口の他の動向としては、自転車回で盗まれた「私」のロードバイクでしまなみ杯を優勝したり、ほんわか回では彼女である小日向さんと飛行船で送り火を遊覧しようとした騒動で小津の助力に入ったりなどしているが、一番の醍醐味は城ケ崎との自虐的代理戦争だろう。
自虐的代理戦争は、太平洋戦争以前に勃発した汚い汁を汚い汁で洗うような、みみっちい争いのことである。事の発端は恋の鞘当て、もしくは濁り酒の飲み比べだったとか言われているものの、社会の動向とは関係なく発達していき、事がうやむやになることを嫌がった初代は弟子を取って、代理戦争を続行させていたのである。城ケ崎の暴露映画の製作中、面白がっていたのは代理戦争の因縁の為であろう。
不毛なキャンパスライフを取り戻すべく、小津が福猫飯店の総長になった際はおこぼれにあずかる形で、自転車整理軍のトップになった「私」に、「純愛など幻想」など割り切り、人が羨む人生を手に入れないながらも、どこか納得のできない空虚な日常を送っていた。
その時に、「私」は『もっと他の可能性があったのではないか』と、樋口に愚痴を漏らす形で正直な心情を吐露しているのだが、年長者――もしくは、似たような感性や経験があったのか、先輩なりのアドバイスをしている(余談だが、樋口の代理戦争の師匠は城ケ崎タイプで、城ケ崎の師は樋口のようなタイプだったとか)。

「なんだ、寝ぼけているのか?」

「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々が持つ可能性ではなく、我々が持つ不可能性である」

「君はバニーガールになれるか? パイロットになれるか? 大工になれるか? 七つの海を股にかける海賊になれるか? ルーブル美術館の所蔵品を狙う世紀の大怪盗になれるか? スーパーコンピューターの開発者になれるか?」

「我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根源だ。今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはならない。君がいわゆる薔薇色の学生生活を満喫できるわけがない。私が保証するからどっしりかまえておけ」

との言葉を「私」に残している。
その後、樋口は一応恋人である羽貫を世界一周の旅行に誘っているものの断られ、単独で赴くことになる。
が、最終回で不運にも「私」は樋口の下へ代理戦争の弟子入りをしたが、必死の説得により羽貫さんと一緒に世界一周の旅に出ることになった。旅費はしまなみ杯の優勝賞金。


  • 城ケ崎先輩

樋口同様、崖っぷちの八回生で無類の乳好きにして潔癖症。樋口とは異なり、水も滴る良い男。本命は香織さんであるが、羽貫さんにちょっと気があるような描写がある。潔癖症だから、歯科『衛生』士というところが高感度アップのポイントなのだろうか?
映画サークルみそぎで、独裁体制を敷いているが、それは学校の成績が低空飛行ゆえの単なる現実逃避である。マザコンかつ哺乳瓶でプロテインを飲んでいる上、おっぱいジャンキーであるために、水着審査ではおっぱいの大きさ・向き・距離を鼻の下を伸ばしながら、監督していた。距離……?
映画サークルみそぎでは「私」と小津の策略がなくとも、相島という男に嵌められ、サークルを追われるなど、基本的にどの回での運命はあまり変わりない。
しかし、ロードバイク回では高校生時代などで非活動的な男たちと燻ぶっていた「私」の貧弱な体を短期間で鍛えるなど、人の良さを見せている(しかし、その鍛錬は無駄どころか余計な結果を迎えることになる)。
また城ケ崎は香織(清楚なラブドール)を溺愛しており、髪の毛を丁寧に梳くだけではなく、化粧や香水などを施すなどの、まるで本物の女性に対するような思慕の情をかけている。「私」に自分の身の回りが物騒だからだと預けた際は、香織接待マニュアルなるものを渡すほどである。入れ込みようが凄い。一度迷い込んだら抜け出せない恋の迷宮である。
そんな溺愛されている香織さんだが、代理戦争や相島が明石さんから尊敬を得るために幾度となく攫われそうになりながらも、どうにか貞操だけは城ケ崎の「チェストー!」の掛け声と共に死守されている。
代理戦争の弟子は小津であり、羽貫さん立ち合いの元、じゃんけんで不毛ないたずら合戦を仕掛ける先攻か後攻かの勝負を決めた後(じゃんけんは城ケ崎の勝ち。つまりは代理戦争において小津が先攻)、「良い歳だし就職する」ことを発言しながら、羽貫さんと一緒に呑みに行った。


  • 羽貫さん

歯科衛生士。樋口の恋人でもあり、勤務先の上司からセクハラを受けている人。好物はカステラとエチルアルコールで、彼女との呑みに付き合う場合、地獄のエンドレスナイトを味わった上、顔をなめられるという謎の酒癖を発揮する。「夜は短し歩けよ乙女」では、タダ酒飲みの達人であり、見知らぬ会場などをしたり顔で乱入する様子が見られる。
「私」が羽貫さんと出会うのは、鴨川デルタのコンパ会場で和気藹々と飲み会をしている連中に向けてロケット花火を爆撃し、逃走の果てに小津と一緒にいた場面を目撃されている。「私」があの女性は何なんだと八つ当たりが過ぎることをしているが、彼女の正体は単なる歯医者で小津はその患者となっているだけである。
小津は「私」に「若い女性に指を突っ込まれる機会は早々ないだろうから行け」と言われ即座に断りつつも、別の回では「ねっとりと歯茎マッサージをしてくれる歯医者がある」と聞き行くなど、落ちるとこまで落ちた節操なしが見える。羽貫の元に歯医者の治療をしている小津であるが、羽貫曰く「小津は治りかけたかと思ったらいつも来なくなるから何時まで経っても完治しない」とか。
「私」とは樋口の元へ弟子入りした際に闇鍋パーティーなど、間接的なものであるが、本格的に茶飲み友達になるまで交流に至るキッカケとなったのは、英会話サークルである。サークルでは小津といった共通の知り合いがいたことから親しくなっていった。
羽貫さんの英語力は驚異のソウルトークの達人であり、「バッチーン! クルクルバッターン! ノックアウト!」といった具合に非常に壊滅的なものでありが、講師にはちゃんと意味が伝わっている奇怪さを有している。その他にも歯の知識を交えた英語力のプレゼンをしながら皆のデンタルIQが上がると同時に、セクハラ上司窪塚の悪口を言い、ある程度ストレス発散になっている模様。
しかし、英会話が終わった後、「私」と毎回お茶をする仲になりながらも、小津に彼女がいることを漏らしながら、ほったらかしにされるよりもこうして構ってくれた方が良いのではないだろうかと漏らしている。
そしてその後の英会話教室において、やけに英文が整い覇気のない羽貫を「私」が目撃することになる。「私」はそのことが気がかりになりつつも、サークルが終わったあと、はじめて飲みに誘われるのだが(酒の悪癖のため羽貫は親しい人としか飲まない)、その時の「私」は顔も知らない文通相手・物言わぬ無言の美女香織さんといった具合に、桃色遊戯の盤上ゲームの上であった。
咽喉をかきむしるほど睦言を語らなくてはいけない事態にうんざりとしながらも充実感を感じる「私」であったが、羽貫か、文通相手か、香織さんかのいずれかの選択をするにしても、友人として見捨てることが出来ないのか、緊急事態だと判断して一番最初に羽貫を選ぶ。
推測するところ羽貫が落ち込んでいた理由は、恐らく樋口が代理戦争を終わらせた後、世界一周の旅行に出ると言い、精神的な無頼漢にはよく分からないが、誘いを断りながらも相手にしてくれなかった複雑な乙女心からくるものだと思われる。ちょくちょく欄干で叫ぶ姿が度々目撃されている。
その後、「私」は羽貫さんの部屋に案内されるのだが、室内での一連の出来事でジョニーの粗ぶりが凄かった。
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2020年06月03日

四畳半神話大系


『四畳半神話大系』とは、著:森見登美彦により執筆された小説であり、後にノイタナミ系でアニメ化された作品である。基本、アニメや実写化などは成功しても原作越えするモノはそうそうないが、四畳半に限って述べるなら、原作越えをしたといっても過言ではない名作となっている。
作品はループもとい平行世界線の作風。
神話大系とタイトルされながらも、その内容は鬱屈としたキャンパスライフがバラ色にならないか夢を見つつも、悪友である小津と共にマリアナ海溝レベルの不幸のどん底に落ちる内容となっている。
小説・アニメ共に語り口調が軽快なので、読むもよし、見るも楽しいモノとなっている。アニメ回によっては主人公である「私」がほとんどセリフ台本を読むなど、声優さんが酷使されている。あと「私」は小津の声真似が巧い。

舞台は奇人変人が跳梁跋扈する京大なのだが(今ではいくらかマシになったらしいけど)、実際の京大の逸話でドイツ語の授業にドイツ人を連れてきた話と、イチゴ狩りという名のイチゴの着ぐるみを着た人間を追い掛け回す鬼ごっこで笑った記憶がある。


【内容】




下鴨幽水荘に下宿する京大の浪人生。
下宿先のおんぼろっぷりは文化遺産レベルではじめて立ち入った時、九龍城に入ったと錯覚するレベル。下鴨幽水荘は焼失以後再建されたものの、明かりがついていなければ廃墟当然で、たとえ下宿が倒壊したとしても、誰も気に留めないどころかスッキリするだろうと述べている。
生後間もない頃の「私」は純粋無垢の権化であり、光源氏の赤子時代もかくやと思われる愛らしさ、邪念の欠片もない笑顔を持っていたが、異性からの孤立・学問の放棄・肉体の衰弱化など、打たんでも良い布石を悉く狙い澄まして打ちまくった人。
下鴨神社で夜な夜なネコから出汁を取っていると噂されている(真偽の方は定かではない)屋台ラーメンで売られているネコラーメンを愛している。
サークル内で失恋以後、恋ノ邪魔モノとして、川向うにいる軽佻浮薄で浮かれた人たちに向けてロケット花火で爆撃したり、安い金毘羅群をかくやと言わんばかりに死神の出で立ちをした黒いキューピットとして根本的に間違った活動をグローバル的に行っていた。
失恋したショックか、恋愛に対する妨害っぷりは顕著で、赤外線センサーのように張られ結ばれた赤い線を東西南北に至る全方面を斬るため、あらゆる努力と労力を払い快感を覚えているなど、極めて敗北に近い勝利を収めてきた。
自分のことは棚に上げがちだが、ヒーローショーで明石さんを助けるなど、結構勇気のある行動をしている辺り、性根の先っぽ程度には腐敗していない様子。
ジョニーを放し飼いにしないように、「男女の仲は靴紐のように結ばれてはいけないと」涙ながらに説得して飼い殺しにしているが、可憐な乙女である香織さん(ラブドール)の前では、彼女を誘拐して遠い地域に行き、慣れない土地での仕事は苦しいだろうがやがて子供を設けるなど、トチ狂った妄想をしていた。
明石さんの落とし物である五組で1セットのもちぐまの一匹を所持しており、占いの婆から「好機はすぐ目の前にあります(物理)」と述べられ、小津から渡されたカステラを悪鬼の形相でもぐもぐした後、下宿内で天井から常にぶら下がっているもちぐまに気が付くも、矮小に肥大化したプライドと、石橋を粉々に打ち砕いても構わないほど慎重な性格から、肝心な一歩が踏み出せないでいる。
「できることならあの日に戻りたい!」の一声で時間が逆行し、時計台でどのサークルに入るかなど、選択を変えることが可能。
小説版では各話の終わり毎に、喫茶店で茶をしばいて仲が進展するものの、アニメ版では最終回でのみ結ばれている。


  • 小津

「私」曰くホモサピエンスの面汚しで、十人中8人は妖怪と見間違え、2人は妖怪だと納得し、顔色が悪くまるで月の裏側からきたような相貌をしたぬらりひょんのような青年。だが、後で「私」が小津のことを『妖怪と見間違えるのは相当見識の狂った人間の了見だろう(お前のことだよ!)』と述べているあたり、本来の顔は相当愛嬌の好いものらしい。小説の方でも「愛らしい莞爾〜」などと記載されている。
性格は天邪鬼で常に他人の不幸を希い、情報通で破廉恥な噂を全て把握しており、「私」が油を撒く傍から火を点けて回っている。小津の悪事はワールドワイド。
かなり社交的なのか知り合い(と敵)が多く、人から愛される秘訣を持っている。実は「私」の恋の応援者なのだが、懇々として尽きない親切心は非常に回りくどく、分かり難い。「僕なりの愛です」と小津なりに「私」に友愛の姿勢を見せているが、「そんな汚いモン要らんわい!」と無碍にされているものの、鉄でコーティングされたかのような面の厚さを持つ小津には効かない。でも、ドス黒い糸で繋がっているのでどれだけ邪険にされても大丈夫。
「私」と同じく、京大生だが電子も工学も嫌いなのに工学部に所属しており、様々なサークルに所属している所為か、成績は低空飛行。なお、しいたけが嫌いで「なんですかこのヒダヒダは」と言うだけではなく、食べている人を目撃した際、馬糞のつまみ食いを目撃しているかのような嫌悪の表情をあらわにする。
師匠である樋口を師事しており、師匠が望む無茶振りに等しい要求(ダイオウイカ)などを望むままに持って来る。だが、師匠の浴衣を桃色に塗り替えるなど、自虐的代理戦争で裏切ったりしている。
家は砂糖菓子のような見た目をしたマンションで、羽貫さんと明石さんは家にあげたことがあるが、「私」は招くどころか住所すら教えていない。だが文通回で、ダークスコルピオンと小津が命名している黒い自転車で出ていくところを住所と共に目撃されている。親からの仕送りはたんまりで、その上、実は「私」が恋慕していた小日向さんと付き合っており、彼女の前だけでは大人しいだけではなく、別れ話が出た時、羽貫さんに泣きついて相談するなど、想いは一途ではある。小日向さんと一緒に撮った写真では、笑顔が引き攣っていた。
「私」の部屋に毎回カステラを置いていく人。
小津曰く「カステラを一人で食べるのは孤独の極致」らしいが、それは真実である。


  • 明石さん

色白かつ知的で運動神経も良いが、歯に衣着せぬ物言いで同会生からは敬遠されている存在。城ケ崎先輩は冷ややかで知的な顔と乳には興味があるものの、完璧すぎる彼女を前にして自身のプライドが傷つけられることを恐れて、中々近づけないでいた。でも、城ケ崎にはもうすでに選ばれた相手がいるし……。
何をするにもそつなく万事手回しの良い彼女ではあるが、蛾だけは苦手であり、「ぎょえええ!!」の悲鳴と共に、ほとんど毎回蛾を握り潰す。「私」からは「手を放すんだ、明石さん!」と訴えるも、恐怖で混乱した彼女には聞こえていない。蛾を放した後、「むにゅっとしてました。むにゅっと!」と言いながら、もちぐまをモギュモギュするのがクセ。
「私」が映画サークルみそぎで新作映画を発表したとき、周りから非難轟轟のモノであっても、「また阿呆なものを作りましたね」と言いながらも、「嫌いではない」らしい。だが、城ケ崎の秘密暴露上演会では、さすがに品性を疑った。
また、「私」の話すネコラーメンが食べたいらしく約束しているものの、本人から忘れられている(が、天井にぶら下がったもちぐまを見る度に、「約束ってこれか……」とふと思い出す瞬間があるが)。
「私」が過去をやり直す度に、所属しているサークルが異なる。
ガチ自転車であるロードバイク回では男女総合優勝し優勝賞金をバードマンに使う、福猫飯店では映画サークルみそぎに、文通回では小津の代わりに代筆したり、樋口師匠に弟子入りしたりなど、小津ほどではないが結構活発的である。
「私」が明石さんに惚れた理由は、ところはばかることなく述べるなら、古本市でもちぐまのことを訪ねた時、これまでヨーロッパの城壁のように堅牢だった表情がほころんだ瞬間である。


四畳半神話大系Aへ移る
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