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2022年10月11日

お前リンボか?諏訪頼重(逃げ上手の若君)



諏訪頼重とは、戦国時代の武将。諏訪氏の第19代当主。諏訪頼隆の子。宮増丸…で間違いないことには間違いないのだが、そのキャラを題材にした『逃げ上手の若君』に出て来る、あらゆる困難が科学で解決するこの平成の時代 人々の閉ざされた心の闇に蔓延る魑魅魍魎が存在していた。科学の力ではどうしょうも出来ないその奇怪な輩にたちむかう 神妙不可侵にて 胡散臭い男が1人――未来を見通す目を持つ信濃国諏訪郡の神官である。


【内容】



語るより見るが易し、まずは諏訪氏の顔芸溢れるご尊顔を御覧いただこう。

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……何なんだ、このどこからどもなく漂うリンボ感は……。


ꘐ<ンソソソンンンンンン!あんまりですぞマイマスター!確かに雰囲気はどことなく似ておるかもしれませぬが、類似!酷似!だが似て非なり!


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(自身は安倍晴明だとバレッバレな嘘を語るリンボ)



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(地獄界曼荼羅の最後の最後でおじょうぎわの悪さを見せるリンボ)



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(新しい装いで朝顔をぱあっと咲かせるリンボ)



改めて見比べて、雰囲気似てて草。
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ちなみに、『逃げ上手の若君』は、あの探偵ネウロと暗殺教室の作者によって書かれている新作である。
くわしい作品内容はこちらから https://www.shonenjump.com/j/rensai/nigejozu.html

2022年03月25日

タコピーの原罪 最終回


タコピーの原罪とは、ジャンプ+にて無料で読める漫画である。
単庫本は上下二巻を想定しており、最近一巻が発売された。
2021年、下半期から連載されていたのだが、2022年3月末にて簡潔した。

今回は最終回を迎えた「タコピーの原罪」について、記載しておこうと思う。


【内容】



タコピーの原罪とは、毎週金曜日になるとジャンプ+にて更新される漫画である。
そのため、0時にてタコピーの新話が開示されると、主にTwitter上でのタコピーに関する次話の予想や、読了感想、漫画内で描写されていた細かい演出などについて、盛り上がる傾向がある。

タコピーの知名度については、あのメイドインアビスの作者である、つくしあきひとらが言及する程のものであり、雲行きの怪しい展開などについて不穏がる読者が多かった。

実際、ストーリーでの内容でも善意からなされた殺人、毒親に振り回される子供、そして主人公である「しずかちゃん」のチャーム(魅了)の能力などについて、様々な憶測が呼んでいた。

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タコピーの原罪における大まかなストーリー展開としては、いじめを受けていた主人公・しずかちゃんを、ハッピー星からやってきたタコピーが彼女を「とびっきりの笑顔」にすることを最終的な目標にしている。

しずかちゃんは、同級生のまりなちゃんに虐められているのだが、これはしずかちゃん・まりなちゃん・東くん三人の毒親による冷遇的な悪環境におかれたことにより、後戻りできない状況へ陥っていく……というものであるが、色々問題はありそうなものの最終的にハッピーエンドで終わっている。

まず、タコピーが地球にやってきた時系列から語った方がストーリーの本筋を理解し易い。

大まかな流れとして、

タコピーはハッピー星から2022年(未来)の地球にやってきて、はじめて出会った人間がまりなちゃんである。



まりなちゃんの家庭は彼女の父親がしずかちゃんの母親(キャバクラ嬢)に入れ込んでおり、生活費などがしずかちゃんの家庭に入るだけでなく、母親が精神的なショックを受ける。離婚調停中だが母親は応じることはなく、まりなちゃん自身に対して、モラハラ的な態度で接していた。



不幸ともいえるまりなちゃんの境遇の中、高校生になった東くんと出会い、束の間付き合うことを報告。母親に報告し、一時期は母親は立ち直ったものの、自殺未遂が原因で長らくその土地から去っていたしずかちゃんを通りすがりに目撃し、東くんは小学生の頃から一目惚れをしていた過去もあり、まりなちゃんと別れる事になった。



東くんと別れたことをまりなちゃんが母親に告げると、母親は彼女に襲い掛かり、幼少期の頃、トラウマ(顔の傷の原因)になっていた割れた酒瓶で争いが勃発。まりなちゃんは、母親を返り討ちにするも、その事は原因で母親は死亡。「久世しずかを殺しておけば良かった」という発言を真に受けたタコピーは自身の故郷に帰り、彼女らが小学生だった頃の時代に行く事になるが、タコピーの母親の手により記憶が欠如した状態だった。



記憶が曖昧な状態でタコピーは過去の時間で、二度目の地球に到達。二回目に出会った人間がしずかちゃんで、「とびっきりの笑顔にする」ことを約束する。この時点が、タコピー連載の第一話目となる。


一話目(過去)から連載され、徐々に回を重ねることにより、登場人物の素性や環境などが明らかになっていくのだが、本来は助けるはずであったまりなちゃんをタコピーはタイムカメラで撲殺し、証拠隠滅としてカプセルの中に閉じ込め、穴に埋めることになってしまった。

また血に濡れたタイムカメラは頭部を強く打撃したことが原因で故障してしまい、過去に戻ってやり直すことができなくなっている。

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やがて、まりなちゃんの死体が見付かるもどこ吹く風で、いじめを受けながらもしずかちゃんが生きる唯一の希望となっていた、愛犬であるチャッピーに会いに父親の元へ行くと、そこには新たな地獄が待っていた。

タコピーはしずかちゃんと別れ、東くんと最後の挨拶を交わし、彼女が戻るのを待ち続け、その後彼女は現れる。
東くんから返してもらっていた故障したハッピーカメラがあるのだが、なんともう一度だけ使える秘儀があるのだが、それはタコピーのハッピー力を使うことで過去に戻れることが出来る。
しかしその力を使うにはタコピーの存在の消滅が条件であり、タコピーと喧嘩しつつも仲直りした彼女は大切なタコピーを失ってしまう。


チャッピーが保健所送りになる前の時間帯に戻ったしずかちゃんは、まりなちゃんからイジメを受ける日常を過ごしながらも、タコピーがお花ピンで変装していないのにも関わらず「ドクダミ」といった発言を疑問に思う、しずかちゃんに入り込まない東くんなど、以前の過去とは微妙に違ったモノになっていた。

特に決定的だったのが、タコピーの落書きを目撃したまりんちゃんとしずかちゃんがタコピーに関する記憶がないのにも関わらず、タコピーに対する評価を口にし、大声で泣きながら仲直りをした点である。


【感想】

タコピーの原罪は、大変面白く一週間毎に更新されるごとにハラハラして楽しまさせてもらった作品なのであるのだが、唯一問題点があるならば、タイムカメラの起動条件がタコピーの消失というご都合主義だった点である。
個人的には故障したハッピーカメラの再起動の条件は、各登場人物の家庭環境の改善や「とびっきりの笑顔にする約束」などの条件を満たすと、カメラが使えるようになってほしかった。
続きを読む...

2022年01月17日

タコピーの原罪




タコピーの原罪とは少年ジャンプ+で連載されている漫画である。
内容は地球とは違った星、ハッピー星からやってきた『タコピー』が地球人のしずかちゃんをしあわせにするべく奮闘するという心温まるストーリーである。
タコピーはしずかちゃんに襲い掛かってくる不幸から、ハッピー道具を駆使して立ち回るのだ。


【内容】



登場人物


・しずかちゃん
とある理由があって、同級生のまりなちゃんを筆頭にクラスメイトからイジメを受けている少女。
タコピーとの出会いは公園で、給食のあまったパンをあげたことがキッカケで、タコピーはしずかちゃんがハッピーになるように尽力するようになる。
父親は東京に行っており、家には不在。母親は水商売をしており、ネグレクト気味。しずかちゃんは愛犬のハッピーをこよなく愛してより、チャッピーさえいればどのような苦境に晒されたとしても耐えきれると述べている。
しかし、しずかちゃんのことをよく思わない同級生のまりなちゃんの姦計によって、チャッピーに意図的に噛み付かれ、愛犬から離れ離れになってしまうことになってしまった。主人を守るためとは言えども、子供を噛んでしまった犬は殺処分説が濃厚だが、母親が面倒くさげに「父の元にいる」との言葉を希望にして、再びチャッピーと出会うことを望む。
タコピー鬼強えええ! タコピーの積極的な行動でまりなちゃんを解らせたあと、同じ同級生の東くんと仲良しになっていく。


・まりなちゃん
父親が風俗に通い、家庭的に問題のある少女。彼女の父親は風俗で働くしずかちゃんの母親に入れ込んでおり、実父の給金が彼女の生活費になっていることに我慢ならず、「寄生虫」とさげずみ、日常的にイジメを行っていた。
不運な境遇を持つ少女であり、母親からは「自分の味方である」と半ば脅迫的に迫られている。
タコピーが彼女に変装しておうちにお邪魔した際は、楽しそうに会話する両親の会話を偽物が場違いにもニコニコ聞いていても気付かれないほど、お飾り的な存在になっている。
しずかちゃんの愛犬のチャッピーを離れ離れにさせた後、タコピーの勇気ある行動で昏倒し、しずかちゃん・東くんと共に証拠隠滅のため地中に埋められた。
しかし……堀った穴が小さかった所為か、タコピーの持つ特殊保存カプセル諸共、出土しており……。
ちなみにタコピーが解らせた時点では生死の方は不明であり、その上カプセルは中に入れた物をそのまま保存するという能力を持っているため、死んだのではなく意識を取り戻した彼女が復活してもおかしくはない。


・東くん
しずかちゃんの男子同級生の東くん。タコピーがまりなちゃんをハッピーカメラで撲殺した後に現れる。彼としては心配で後をつけていたのだが、尋常ならざる場面に遭遇してしまうことになる。
最初はしずかちゃんに警察に自首するよう進言するも、彼女に協力して欲しいと頼まれて断ることが出来なかった。
小学生の中では頭の良い彼は、タコピーのカプセルの中にまりなちゃんを入れ、しずかちゃんと共に地面に埋めている。
実は彼がしずかちゃんの「協力して」との願いを断れ切れなかったのは、母親から埋め込まれた兄に対する劣等感ゆえの肯定力の低さが関係している。母親の教育はスパルタではないものの、徐々に自尊心を傷つけていくものだけではなく、実兄と常に比べられる状況にいた。その為、「頼り」にされる状況というのは、東くんにとってある種理想的なものであり、魅惑から逃れられなかったと思われる。


・タコピー
善意が悪意に逆転する存在。頭の悪いきゅうべぇとも言われている。
タコピー自身には一切悪意というものはなく、行動源の全ては「ハッピーにすること」であるが、地球人ではないインキュベーターであることも手伝って、人間の社会的常識が欠落している。少年院も離婚調停も知らない。当たり前かもしれないが……。
しかも最悪なことにそれだけではなく、まりなちゃんと入れ替わった際、彼女の両親が尋常ならざる喧嘩をしている様子を間近で目撃しているのにも関わらず、仲良く会話していると認識している模様。

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人間の生態を知らないがゆえのズレであるならば異星人であるがゆえ仕方ないかもしれないが、とにかく頭の中がお花畑であり、しずかちゃんをいじめるまりなちゃんに著しく恐怖するなどの様子を見せた。タコピーの一番の問題は短絡的な思考というよりも、ハッピー星において暴力という概念がなく、人間との関係に弊害が生じているのかもしれない。
タコピーは小脇に抱えることが出来るサイズでありながらも、短時間なら小学生男児である東君を持ち上げるパワーを有しており、勇気を出してハッピーカメラでまりなちゃんを「めっ!」した際に一撃で伏せるなどの尋常ならざるパワーを持っている。

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なお、ハッピーカメラでまりなちゃんを殴ったタコピーであるが、頭部を殴打した衝撃で時間を巻き戻せるカメラが壊れ、皆にとって時間を戻してやり直すことの出来ない最悪の状況を造り上げた。

もしも、今後時間が巻き戻ったとしてもまりなちゃんが死亡(推測)した状態からリスタートになるため、厳しい現実が待っているものとなっている。

2020年12月24日

デットプール


デットプールとはメタメタ的な面が特に目立ち、下ネタに快挙のないアメコミのヒーローである。ぱっと見の外見は、スパイダーマンに忍者刀の如く背中に特殊なNIHONTOUを交差させたKATANAが特徴的である。SYURIKNも投げる。アイエエエ、ニンジャ、ナンデェ!? 

【内容】


まず俺ちゃんことデットプールの超人・怪人化する以前はアメリカの小さな町で育つも劣悪な環境であったことから家出。その後、日本に来日しOYAKATAの下でSUMOUを学んだ傭兵。
暗殺者としてのギミックとSUMOUの力技を会得してアメリカに戻るが、癌に侵され思いを寄せる彼女と別れることになる。なお俺ちゃんはストリートファイトのファンのことだが、「モツを出してサインしろ」とはさすがにサイコパスが過ぎる。

癌に侵された俺ちゃんは、細胞自体が異常な活性化をし、臨死体験。デスなる神と非常に親密な仲となり一命を取り留めるも、デスなる者に出会う最中、幾度とない死亡を繰り返しており、俺ちゃんの意識外のところで弄ばれているのであった。
上記の事案に憤慨しつつ、自責の念や仲間を殺された恨みでパワードスーツを装着し、スパイダーマンやアベンジャーズよろしく人外の力を手に入れるのである。

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\俺ちゃんだけどこの記事みてる〜?╱



デップー誕生のあらすじとして、後悔や恨みを抱きながらもレッドプール本人の言動は非常にコミカルなものであり、その他、幾多に創作されているアメコミヒーローとは一線を画す、異彩を放つ存在である。なかなか死なないため、ギャグの権化とも。
特に下ネタの方は顕著であり、映画の方では年齢規制が入ったとか何とか。

独特のキャラクター性ゆえある種コア的な人気があり、日本でも妙な人気があることは内緒である。全体的に二枚目ではなく三枚目といったピエロ的キャラクター性でありながらも、小物といった印象は与えず動き回る。むしろ、カリスマ性アリ。
不死(デスに合えなくなった)ことも手伝ってか、二次創作などのクロスオーバーなどで妙に見かける人物。
どうやら、ポッと出の出演で終わる予定であったらしいのだが「どうせ使い捨てなら」と公式の悪ノリによって、そのキャラクター性を会得していった様子。\い〜えい手(チョキ)

報酬金さえ払えば下品な言動は行いつつも妙に義理堅いが、作品によっては冷徹に接したキャラクターになるなど、裏表が激しい。

なお、デットプールは癌の影響などによりマスクの下は醜い顔つきになっているが、バラバラになったりギャンブルだの何だの繰り返す最中、精神病院に収容されデットプールのファンであった一人の職員に復活させ、マスク下の顔は癌たる病気以前のものとなり完全復活を遂げるのであった――が、火傷で元に戻っている。

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超絶無責任ヒーローとしてジャンプ+で俺ちゃんの活躍が連載中だよ

俺ちゃんの活躍が気になる人はリンク先から読んでね。
https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331761415057

結婚したような描写がありつつもデットプール本人自体の行方は不明であり、詳細はようとして知れない……が、どうせ俺ちゃんのことである。今日もどこかで下品な軽口をたたいてメタ的な文句をいっていることであろう。

余談

完全なる余談になるのだが、デットプールがベッカムに対して「あの声変だよね。ヘリウムガスでも吸っているのかな?」の発言を、ベッカム本人が二度ほど再生して観るなどの様子を見せている。すぐさま俺ちゃんから謝罪のメールが送られ、アナ雪の「ドアを開けて」を彷彿とさせるようなノック音と共に謝罪に来た。
最初はミルクとクッキー、赤い風船を大量に持ちヘリウムガスを吸いながら「またきちゃった」、合唱団と共に愛を伝えるミオーレなど、謝っているのか煽っているのか分からないデップーらしさ全開の内容になっている。だが、誤っているのは誰の目にも確か。
最後は抱擁しながら「シナモンのにおい」だの「このまま二人で駆け落ちしたい」だの言われ、ベッカムはガチで嫌そうな顔をしていた。
次いでベッカムは、君が本当に謝るべきは、デップーを演じていた中の人の過去作(クソ映画)をディスるものの、最後の最後で「ザ・ブレイン」が挙げられた時は、粗ぶった態度でベッカムを罵倒している。すぐに謝ったけど。
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2020年12月11日

漂流教室


漂流教室とは楳図かずおにより執筆された非常に有名なマンガ。
ざっと内容を説明するならば、グロテスクヒューマンホラーSF作品。
地震が発生して、小学校そのものが壊滅状態となった未来へ飛ばされるものである。
なお戻って来たのは、小学生未満で巻き込まれたユウちゃん・三輪車と泥棒の腕と顔。
翔らは未来人のいないようにするため、奮闘している模様。
なお、我猛は天才で読者受けが良い。

【内容】


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ストーリー冒頭、主人公である翔は母親と喧嘩をしてしまう。ユウちゃんは翔と遊ぶ約束をしていたため、三輪車で校庭に入り結果的に巻きこまれてしまうことになる。なお助かる可能性は十二分にあった。給食費や喧嘩云々を抜きにすれば助かっていただろうが、人理の未来のことを思えば、未来に行く必要があったようにも思えなくもない。

一人だけ難を逃れた男子小学生がいるが、「息子を亡くしたショックでおかしくなった」と周囲に思われていた主人公・翔の母親の味方をするようになる。夫も最初の方は妻も妄想だと真面目に取り合っていなかったが、その後若干の協力をすることになる。どうでも良いが、野球選手の体内にペストの支援物質をブチ込むのはおかしいと思う。

早速ネタバレすると、未来へ飛ばされたのは地震が原因ではなく翔の親友である優等生・大友が空虚な日々を破壊するためにダイナマイトを自作し、学校を爆破。
「地震や台風が来て学校がなくなればいいのにな」といった程度の凶行だったかもしれないが、まさかまさか未来へ飛ばされるというとんでもない事の元凶になってしまった。


ダイナマイトによる事件は、その後も尾を引き、リーダーシップで指揮を執る翔と仲違いになるだけではなく、小学生らはグループに分裂し抗争するまでに至る。翔と大友の二人は物語終盤にて修繕されるが、大友は負い目を感じていた。

学校の外は砂一面広がる荒廃とした場所で、建物らしいものは存在していない。学校は突如として広大な砂漠に出現したような状態。
給食などで生存を図るも、直に食糧難に陥ってしまう。


そして唯一の大人であった関谷は子供達に見下されているという劣等感を抱いており、残忍な性格をあらわにする。
当初は「小学校丸ごと未来へ飛ばされた」事実を求めず、救助を待つなどの様子を見せていたが、現実を受け入れたのか学校内の支配者として君臨するため動きだすも、中田の妄想で生み出された虫に襲われ一時期幼児退行してしまう。
小学生にも不愛想ながらにも食料を分けてもらっているが、その後、自我を取り戻して最後の最後まで悪あがきを見せていた。誰も愛さない悪役。

その後、生徒が飛び降り自殺を図ったり、せっかく手に入れた解毒材が人殺しをしたのにも関わらず無に帰す、女番長が現実逃避の走馬灯をみながら死亡したり、磔にされ火炙りにされる、津波が学校を襲う、未来博物館など、当初統制の取れていた学校内の人間関係をはじめとした序列関係が崩れていく。

疑心暗鬼とパニック、猜疑心・ストレスといった様々なものが生徒らの心を蝕んでいたものだと思われるが、そんな中テレパシーが使える女子生徒が過去と未来の懸け橋となり、ペストやナイフなどの物質支援の要となる。

未来人は癌の副作用により四つん這いで歩行する奇妙な姿をしているが、未来人もテレパシーを使うことが可能。もしかしたら彼女、未来人の要素が眠っているのかもしれない。作中で明確に未来人になったのは関谷に謎のキノコを毒見された、女子生徒一人であるが……。

未来人が往来の人間を排斥する理由は、癌の副作用により人間らしかぬ姿になったこと原因であるが、人類は完全に滅んでいないことが作中から伺える。地下施設に赴いた一行だが、死肉を食らい生き延びた往来の人などの存在が実在しているも、ショック死したかのような最期を迎えている。
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2020年04月20日

本田鹿の子の本棚

『本田鹿の子の本棚』とは、佐藤将により連載されている漫画である。全体的なストーリーは、一話毎で終わる話が多い中、たまに二話連載など続くモノもある。
そんな『本田鹿の子の本棚』であるが、物語の事の発端は思春期がゆえに、ろくに娘と会話することが極端に少なくなった父親が、鹿の子と再び関係を持つために奮闘するという話である。左記の説明を聞けば、アットホームで心温まる話であるように思えるが、実際の内容はそうではない。
父親に限らず鹿の子は、どちらかと言えば無口な方で異様に山に詳しい友達はいるものの、基本的にかなりの読書家。彼女の自室には父親の身の丈以上の、天井に届くほどの高さを有した巨大な本棚が置かれており、本と本の隙間さえないほどにぎゅうぎゅう詰めに一冊一冊が押し込まれている。
かつて父親は鹿の子の誕生日に『星新一のショートショート集』をプレゼントし喜ばれた思い出があるがゆえか、その過去を基軸に無断で娘の部屋に侵入することになる。
父親いわく、彼の目の前で漫画すら読むことのなくなった、自室に引きこもりがちの彼女の本の趣向を把握するために、本棚に並べられた書物の傾向を把握するために犯罪者におけるプロファイリングよろしく、娘との関係性を冷え切ったものから仲睦まじいものとするため、娘より早く帰宅した彼は膨大な書物のある本棚の中からランダムに一冊選び、特技である『速読』を使って、趣味を合わせて中を取り持とうとするのであるが……。


【第1話】


一番はじめのストーリ。冒頭で述べたように、父親が娘よりちょっと早く帰宅して、無断で部屋に侵入し、巨大な本棚の中から一冊選び、速読するというものである。
全ての本にブックカバーが施されタイトル選びをできずに父親は適当に本棚の中から一冊選ぶのだが、運が良かったのか、それとも鹿の子の趣向を把握する上において引きが良かったのか全く以て不明だが、奇抜な内容の小説を選択することになる。

記念すべき第一冊の本の内容は、生まれ変わり出会うことを約束した男女が、再び来世で巡り合う内容。隕石の衝突で地球は滅亡したのであるが、死後、男女は閻魔大王に出会うことになる。二人は虫でも獣でも構わないから一緒の生物にしてくれと頼むのであったが、地球滅亡後、隕石に微生物か何か付着していたのか、往来の生態系を破壊して地表で唯一の生命体として存命しているのは、エイリアンの一種のみであった。このエイリアンはあらゆる環境へ高い順応性と、そうして放射線などの抗体及び単一で繁殖可能であり、同胞食いさえもする凶悪性の高いモンスターである。
閻魔大王はそれでも同じ生物として転生するのかと問い掛けるも、男女はそれを承諾するが、一度述べた通り、地球滅亡後、地表を跋扈するのは仲間さえも容赦なく食い殺すモンスター。運命的に来世での逢瀬を約束した男女はもはや人間ではないエイリアンであるがゆえに、殺し合う結末となるのであった。

読破した当然のことながら父親は「えらいもんを引き当ててしまった」と困惑の表情を表す。偶然この本の最初のストーリーが相当な内容だったと思いながら、全ページを網羅するも各短編集の内容全てが奇抜であった。
父親は自身でさえも、筒井康隆やクトゥルフなどを読んでいた時期があるが、さすがに娘の趣向に動揺を隠せなかった。鹿の子が帰宅した玄関の音を耳にした父親は、「ここまでか!」と判断し、娘の部屋から速足で脱出することになるのである。ところで鹿の子ちゃん家畜人ヤプーとか好きそうだよね。


【第44話】


物語はクリスマス前夜のイブ。暗所に監禁された彼らは「寒い」、「助けて」、「暗い」と訴える中、監禁所の室内が開きそこから顔を覗かせるのは凶悪な表情をした人間の女性であった。
人間は「あまりものの野菜炒めでいっか」と言いながら、キャベツ・モヤシ・ピーマン・ニンジンといった食材を手に取る。「寒い」、「助けて」の声を出していたのは、冷蔵庫に入れられた野菜たちの救済を求める悲鳴だったのである。
まず最初に犠牲になるのは、キャベツ。まるで頭部を真っ二つにされながらも辛うじて息絶え、苦悶の表情を示す。野菜たちが「何てこんなひどいことを!」と女性を非難する中、ニンジンはピーラーで皮膚(生皮)を剥がされ、ピーマンにあたっては身体を真っ二つにされた挙句、内臓(白いワタ)を包丁で抜き取られる。
その後、野菜の下準備を終えた人間はガスコンロに火を点け、油で炒めていくことになるのであるが、その時唯一生き残った男女のモヤシたちが悲痛と共に憤慨することになる。そして最後の犠牲者となったもやしは恋人の今生のような別れの言葉を交わした後、フライパンの中に投下され、地獄の釜の中の炎熱地獄のようにグルグルとかき混ぜられ炒められていくことになるのであった。
男性モヤシが人間に殺意を抱く中、フライパンから皿の中に入れられるのだが、その後も(食材たちにとって)凄惨な光景を目の当たりにすることになる。まず、炊き殺された白米と、腐乱死体と称された納豆。野菜炒めに納豆と白米のセットはそんなに変わりない献立内容であるが、絶望に苛まれる男性モヤシが激しい憎悪の感情を抱く中、素知らぬ顔で人間はテレビをつけるのであった。放映されている内容は料理番組であり、そこからも食材たちの阿鼻叫喚の絶叫が聞こえ、男性モヤシが人間に食べられたところで話は終わる。

父親は「ホラーか!」と至極真っ当な感想を抱きながら、あとがきを見ることになるのだが、この小説の作者はアンパンマンを見て着想を得たなど、作家でなければ危険思想極まりないサイコパスな内容が記載されているのであった。


【第54話】


話は毛利元就で有名な三本の矢。
父親は三人の息子たちに「一本の矢なら容易く折れてしまうが、三本合わせると強靭になる」と言い、息子三人協力し合うことを直々に示すも、長男は全く空気を読まず三本の矢を容易くへし折り、「やりましたぞ、父上―! 矢を折ることなど容易い!」と喜々としてはしゃぐ始末。長男のその様子に次男と三男は「いきってる」、「はしゃいでいる」など好戦的な様子を見せていた。
ムキというより自棄になった父親は、家臣たちにありったけの矢を集めてくるように命令する(これも血筋か…)。
毛利の元に三百本もの矢が集まったのであるが、「協調性を」といった趣旨からまたしてしてもズレ、元春は容易くもその矢をへし折るのであった。次男と三男は「三百本程度でおごるものではない!」と非難の言葉を向ける。
そのうち、息子たちから三千本持ってこいと挑発され、これがきっかけで完全に父親の目的と手段が逆転し、三人の息子たちの集められたのは六千本もの矢だが、念のためと称して近隣の木々を伐採する中、国が滅びかけているのにも関わらず、最終的に集まった矢の数は百万本の矢。
さすがにこれでは息子一人では矢をへし折ることができず、目的と手段が逆転したものの、兄弟三人が力を合わせることによって、ついには百万本もの矢を折ることに成功。父親が息子たちの力を合わせる姿に喜びながら死没するも、直後、他国により敵襲が行われることになる。

「毛利はこれで終わりではない!」とのラストエンディングを迎えるのであるが、このストーリを読み終えた父親は「史実無視も良いところだろう」と非常に冷徹な判断を下している。そもそも『三本の矢』におけるエピソードは作り話である可能性が高いと父親が説明するのであったが、素直にうなずく鹿の子はイマジナリーなる幻影であった。とうとう娘のおかしすぎる本棚に父親の精神がキていたのだろう。


【第59話】


話は小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)が執筆した小説を元ネタにした、バトルアクション風に描かれた耳なし芳一の後日談の話である。
内容は耳なし芳一が平家の亡霊たちに、復讐するところから始まる。いきなり苛烈な攻撃を受ける亡霊たちであるが、その攻撃は目に見えることができない。なぜなら、元ネタである耳なし芳一の話において、耳以外の全身のあますところなく般若心経が描かれていたように、その不可視性を利用した襲撃であったのである。
猛烈な攻撃を受ける亡霊たちであるが、そのうちにこの攻撃の仕業は芳一であると気付く。
芳一は両耳を奪われたことによる報復ではなく、「耳を失ったことにより以前と同じ音楽を奏でられているのか不安で、精神的に病んだ」ことが原因であった。耳を失ったことにより、芳一は心底共に自覚したのである……「音楽を愛していた」ことに。
芳一は三節棍を用いた攻撃を行うも、「見えていればわけはない」と亡霊は回避するも一番先端の部分にのみ般若心経が描かれ、直撃。実は三ではなく四節棍であったのである。
亡霊は一旦距離を保とうとするも、見えない壁に邪魔され一定距離を取ることはできなかった。なぜなら敷地内にあるあらゆる岩にも般若心経が描かれており、四節棍の巧妙なギミックだけでなく、徹底的なワナが仕掛けられたトラップ塗れの場所だったのである。
しかし、般若心経が弱点とは言えども平家の武士。復讐心を糧に邁進する芳一に泥をまき散らして可視化できるように対策するも和尚によって講じられた、

火薬による爆裂する般若心経


そして念入りに火薬の中に仕込まれた破片による、

刺さる般若心経


などで、平家の武士たちは追い込まれていく。

劣勢であることを悟ったのか、「後日再戦で」とタジタジながらに申し込むも――完全に、聴く耳なし芳一であった。


作品はこちらから http://leedcafe.com/webcomicinfo/hondakanoko/続きを読む...

2020年04月13日

少女椿

『少女椿』とは丸尾末広により執筆された漫画である。全体的な作風は、夢野久作の影響を受けている所為か、「エロ・グロ・ナンセンスが随所随所に横溢し、万華鏡のようにクルリクルリと……」といったものであり、1ページ目から閲覧注意が喚起される内容である。
ちなみに丸尾末広は、ちびまる子ちゃんに登場するキャラクターの一人、諸君私は戦争が好きだと演説する実は眼鏡を取ったら美形な丸尾くんの名前の元ネタでもある。
絵津久秋(原田浩)により自費でアニメ化されたものの、児童に対する性的虐待の内容を含んでいるだけでなく、見世物小屋が主題となっているため、地上波で放映されることはなかった。しかしアニメ内容は原作を忠実に再現しており、完成度は非常に高い。
アニメ化の他に虚飾集団廻天百眼により舞台化されるだけでなく、2016年5月、R15+指定されているものの、映画化された。
自費制作によるアニメ・舞台化、そして映画化など非常にグロテスクな内容ながらも根強いファンの多い作品である。

【内容】


時代は終戦間もない昭和13年、主人公・みどりは貧しい母親と共に生活をしていた。みどりは小学生の幼い身の上でありながら、病身である母親の治療費と生活の生計を立てるために、花売りの仕事をしていた。
父親は何かしらの理由で失踪しているが、母親亡き後、熱病に魘されるみどりの夢の中に出てくる父親はひたすらキュウリを貪り食べている姿と、みどりの不幸を呼ぶ体質が災いして、物語終盤においても『報われない』ではなく、『一巻の終わりであり救われない最後』を迎えたことから、xxxHoLiCのヒロインである両親は不幸の対象にならない九軒ひまわりよりも、その体質は相当なものだと思われる。

さて、花売りの仕事を夜な夜な行うみどりだが、その客の一人として『親切な山高帽のおじさん』と知り合うことになる。山高帽のおじさん(嵐鯉治郎)は貧しい身の上のみどりに「困ったことがあれば尋ねて来なさい」と言うも、その正体は見世物小屋である赤猫座の座長であった。

みどりは花売りの仕事だけでは母親を支えることが無理だと薄々ながら悟っていたのか、「親切にしてくれる人がいる」と喜々とした様子で帰宅し報告するも、病床の母親は体内をネズミにより食い荒らされていた。陰部からネズミが出たことから、その苦しみは相当なものであったことだろう。

父親が失踪するだけでなく母親も亡くし、完全に身寄りのなくなったみどりは鯉治郎の元へ訪れることになる。赤猫座に来訪当初、単なる客人だと思われ「嬢ちゃん、公演時間はまだ早い」と両腕が包帯塗れの男(鞭棄)に言われるも、鯉次郎の紹介でここに来たと述べた途端、態度が一変。みどりは見世物小屋に来て早々に性的虐待を受けることになるのであった。

騙される形で赤猫座の芸人の一員となったみどりであるが、彼女は容姿が美しい以外にこれといった特技はなかった。それゆえ、一応は座の一員として何らかの芸を磨かなくてはならないことになるのだが、その内容は豚や鳥の内臓を口に含むといった内容である。当然のことながら、生血が付着したナマモノであるがゆえに生理的嫌悪によって嘔吐するみどりに対して、「これぐらいで吐くようならやっていけない(鞭棄)」、「裸踊りを仕込んだ方がいい(紅悦)」など、座長のみならず冷ややかな態度を取られている。
『それつけやつけれ』なる、性行為を覗き穴で見せるなどの仕事を振り当てられることはなかったものの、雑誌の人生相談コーナーで「甘い言葉に騙されて見世物小屋の一員となりました。学校にもいっていません。これからどうしたら良いのでせう」と、頼りを送るなど精神的に結構キている描写があった。

赤猫座の中において何も出来ないみどりは、掃除・洗濯・小屋の修繕・買い出しなどの雑用を押し付けられることになる。そんな中、みどりが心の癒しとしていたのが神社内の軒下でコッソリ飼っていた子犬になるのだが、「出てきちゃダメよ。食べられちゃうからね」の言葉が皮肉にも実現することになる。
子犬と戯れた後みどりは神社から立ち去ることになるのだが、彼女の跡をつけていたのか、ポニテの女装男子であるカナブンが「みどりめ。しおらしいことを」と言いながら、犬を踏みつける形で殺害。
その後、何気ない様子で小屋に「いいものがある」とカナブンはみどりに言い、彼女のみならず座の一員全員に鍋の肉を食べさせるのだが、「よく肉を買う金があったな」との鞭棄の言葉に「買うわけないだろ、犬の肉なんか」と平然と答え、何もかも察したみどりは犬肉の入った茶碗を落とす。
「よほど苦労なさったのね」の一声に、「犬ぢゃ!犬ぢゃ!」とみどりは大声で泣くことになるのだが、このカナブン、かちかち山におけるタヌキ並みの外道である(だがしかし、子供ゆえの残虐性であり、みどりとの別れ際涙ながらに見送るなど、人の心が全くないわけではない)。

また、みどりもみどりで残酷なところがあり、雑用を押し付ける最中、ついでと言わんばかりに肉体がねじ曲がったような姿をした男性(芳一)と、四肢欠損した人たちの身体を洗うように命じられるも、その姿を目の当たりにした彼女は雑巾を芳一に投げつけながら、「ばけもの」と罵る。
当然のことながら、こればかりは完全にみどりに非があり、座の皆から折檻を受ける中、現実逃避的に「遠足にいきたい」と、小学生としては当たり前の感情をぼんやりと抱くのであった。

子犬を失い、汽車を見送ることを唯一の慰めになった不幸続きのみどりであるが、そんな彼女にも一時の束の間でありながらも、好機が訪れる。みどりが見世物小屋に入った途端、落ち目になった赤猫座であるが、西洋手品師の侏儒(小人症)の山高防を被った男性(ワンダー正光)が、新たに座に入ることになる。
まずは一芸というのか、赤猫座の全員に硝子瓶の中に入る奇術を見せる。瓶の入り口は辛うじて腕一本入るかどうかの狭さ。そうして瓶底も赤ん坊が入れる程度の狭いものであり、関節を外す、どれだけの軟体であったとしても、子供であっても非常に狭い硝子瓶の中に入ることは到底不可能である。
そしてワンダー正光は易々と硝子瓶から出、茫然とする赤猫座メンバーに反して、みどりだけが拍手を送るのだが、皆の咎めるような視線で、ハッとしたように自粛。しかしワンダー正光にとって、ロリコンの気があったのか、それともみどりの無邪気に喜ぶ姿に好感が持てたのか、彼女に親切に接するようになる。
しかしその親切心は独占欲が強くエゴ性が目立つものであり、当初はみどりの手に一瞬で花を出現させる、怪力自慢の大男(人間ポンプ赤座)に口答えしたとき、文字通りぶん回されるなどの暴行を受ける中、奇術を用いて助けたりしているが、みどりに映画のスカウトとして山高帽を被った男性が名刺を渡すも目の前でビリビリに破くなどの行動を行っている。
「私がみどりちゃんの保護者だ。ニセモノかもしれん」とのワンダー正光談であるが、そもそも見世物小屋に芸能スカウト人が来ることの不自然さがゆえの当然の反応であるが、後にみどりに対する独占欲のために殺人を犯している。

落ち目であった赤猫座がワンダー正光の瓶入りの芸で繁盛する中、何もできなかったみどりの立場が逆転していく。みどりはワンダー正光の助手(とはいっても芸のために瓶を運ぶだけ)になり、小遣いを貰って菓子を買いに行くなど多少裕福になった。
ワンダー正光による一人大繁盛の中、鯉次郎に給金の采配を取るなど事実上、座の中で実権を彼一人が握っていくことになる。鯉次郎の方も座長であるにも関わらず、ワンダー正光を「先生」と呼びへりくだった態度。客側も見世物小屋でどこにでもあるような一芸よりも、ワンダー正光による瓶入りを楽しみにしているのか、特にみどりを好いていた鞭棄は面白くなかった模様。
鞭棄は飴を食べるみどりの関心を寄せるためか謝罪し、「本当はお前が好きなんだ」と言うも、みどりは彼を全く見ておらず無関心の態度であった。
そして彼が「面白くない。みどりは俺のもんだ」と思う中、ふと地面を見るとそこには蟻が集う腕が落ちていた。鞭棄が同様する中、蟻地獄に落ち「誰か助けてくれ」と叫ぶとそこには自分と同じ姿をしながらも両腕を持つ存在(ワンダー正光)がいた。
助かりたいなら腕を伸ばせと言われる中、両腕を持つ自分そっくりの姿をした正体が誰なのか分かった鞭棄であるが、「お前はろくでもない奴だ。死ね」と言われ、後日、座の人から泥を食い窒息死した姿で発見される。
皆がなぜ泥を食ったのか、そもそも両腕がないのにどうして変死したのか疑問に思う中、みどりはその場から逃走。すぐさまワンダー正光が追いかけ、泥を口にねじ込む光景を目撃したことを見破られ、鞭棄に呪われると恐怖し、真夜中、魘される。みどりは「この人はいい人なのか疑問」に思うのであった。
償いかどうか不明だが、ワンダー正光の手によって葬儀の手配がなされる。この時、鞭棄の墓標が描写されているのだが、年齢は三十二歳と発覚。要はツンデレロリコンであった。

葬儀後、みどりの元に映画のスカウト人が訪れ追い返すも、こっそり名刺の破片を集めて布団の中でうずくまるみどり。仕事の準備だと呼びかけるワンダー正光に「頭が痛い」と言うものの仮病であり、彼が布団をめくるとそこにいるのは反抗的な目で睨み付けるみどりの姿があった。「自分の言うことが聞けないならじっとしていろ」と言われ、黒い布によって拘束される破目になるみどりだが、感情が高ぶったワンダー正光が見世物の仕事に出るも、客の煽りと暴言で瓶入りの芸を披露できず、怒りの感情の赴くまま、小屋に来た客人の肉体を思うがままに、顔を増やす・急激に老わせる・体をあらぬ方向に捻じ曲げるなどの大暴れをした。

どうやら、奇術……というより彼が使う術の正体は、ほぼ失われた幻術の継承者であり、実際に瓶などの中に入っていなかった。
物語中盤、みどりから「どうして瓶の中に入れるの?」と尋ねられたとき、

「それはね……
『夜はおどろくべき事あり
昼は飛びきたる矢あり
幽暗(くらき)にはあゆむえやみあり
日午(ひる)にはそこなう激しき疫(やまい)あり
されど汝畏るることあらじ』
……というわけさ。
分かった?」

と説明され、みどりは即答で「分かった」と述べているが、絶対分かっていない。
恐らく、『世の中には日常のすぐそこには知らなくていい事があるけど、怯える必要はない』的なことを言っているのだろうが、私にも分からない。幻術の理屈と理解が。

大暴れ後、鼻血を出して倒れることになるワンダー正光であるが、どういう心境の変化か小屋を辞めることを申し出る。鯉次郎がまたしてもへりくだった態度で「謝りますから」と述べるも、「興が削がれた」の一点張りで意見が変わることはなかった。
鯉次郎は、赤猫座がワンダー正光一人によって大儲けが出来ていると理解していたのだろう。以前と同じように落ちぶれることを悟り、金を持ち出して逃走。
鯉次郎逃走後、カナブンは女装することに意味がないと悟ったのか長く伸ばしていた髪の毛を泣きながら切る、紅悦は金持ちの男を見つける、人間ポンプ赤座は他の見世物小屋に誘われていたのか他の座員も紹介するなど、それぞれの道を見出す。
肝心のみどりとワンダー正光は一緒に行動することになり、どこに行くのか名言されていなかったが、鯉次郎が座から金を持って逃亡する直前、「もうどこにも行きたくない」と述べ、みどりに幻術で故郷である浅草の夢を見せていたことから、みどりの家に帰るはずだったのではないかと予想される。
ちなみに夢の内容は、父親の失踪・母親の死亡などがなかったことになっていたかのように、みどりにとって都合の良い夢の内容であった。「遠足に行きたい」と折檻を受ける中、密に願っていた内容を叶えるためか、父親が遠足用のおやつを買っていた。親子三人、川の字で寝り、ボンボン時計の音で幻術からみどりは目が覚める。

ワンダー正光と同行することになったみどりは座の皆と快く別れ、バス停に到着。バスの到達までまだ時間があるから弁当を買いにいった彼であるが、帰り道、殺人現場に遭遇。口封じのため腹をナイフで刺され、ワンダー正光は恐らくここで死亡したと思われる。

対して、バス停で彼の帰りを待っていたみどりは戻りが遅すぎるワンダー正光の身を案じて、街中を探し回る。しかし幾ら探し回れども、三度ほどくしゃみをする謎の荷物を背負った男性と通りすがるも肝心のワンダー正光に再会することはなく、途方に暮れるみどりの目の前(もしくは故郷の夢を見せた悪影響か)に、鞭棄を含めた赤猫座のメンバーと、そうして両親の幻影が現れる。
幻影の彼らは、まるで「一生幸せになれないみどり」を嘲笑するかのように存在しており、その事実を認めたくなかった彼女は、棒切れを片手に幻影に殴りかかるも空振り。そうして、桜の花弁と共に幻影は消え去り、その章のタイトル通り、坂口安吾の短編小説である「桜の花の満開の下」の秘密――彼女は完全なる天涯孤独になり、その現状と真相を骨の髄まで悟ったのか大声で泣くことになるのであった。

少女椿のラストでは、大量に降り積もった桜の花弁の中から福助が出て来て、

「これにて『少女椿』一巻の終わりでございます。
ではみどりちゃんに幸多からん事 せつに祈りつつ
御免なさひまし!」

との、皮肉すぎる言葉で締めくくられている。続きを読む...

2020年04月08日

ミスミソウ

鬱くしくも儚い漫画、ミスミソウ


『ミスミソウ』とは、押切蓮介により執筆された漫画。キャッチフレーズは「精神破壊(メンチサイド)ホラー」。

漫画の舞台となる場所はゲーセンをはじめとした娯楽のない過疎化した雪深い田舎町で、主人公「野咲春花」が父親の転勤に伴い転校することになる。転入当初、容姿共に美しかった彼女はすぐさまクラスのリーダー格である、美容師を夢見る小黒妙子と良好な関係を築いていたが、とある些細な出来事がきっかけで、春花を目の敵にして周囲のクラスメイトを煽動させ、酷いイジメに発展いき、放火事件でほとんどの家族を失う事になる。
春花は当初、「いじめられてまで学校に行くものではない」と、転校前イジメを受けていた妹の件もあって心配していたのだが、彼女は「卒業までもうすぐだから」と、心配させまいと気丈に振舞っていた。
イジメが過激化するにつれて、写真撮影が趣味である相場晄と交流を重ね、彼を頼りにしていく。本作のタイトルであるミスミソウだが、本作舞台である深い雪の中でも懸命に咲き、花言葉である「はにかみや」が相場いわく、春花にピッタリと言われ、その言葉にはにかむ彼女であるが……。

【大まかな流れ】


主人公であり、家族を放火により殺されたことを発端に復讐を開始する。
彼女は佐山流美(実質単独実行犯)の「人間バーべーキュー」の一言で、恐らく、放火事件にクラスメイトが関与していることに勘付いたものと思われる。

放火事件前、父親が学校にイジメの件について直訴を行うも、担任の先生は「もうすぐ卒業だから事を荒げないでください」とかなり冷たい対応が行われているだけでなく、春花の父親を廊下で上履きにつけた画鋲で蹴り飛ばすなど、異常な状況に直面する。

この件をキッカケに父親の説得により、春花は登校拒否するも、春花より前に小黒をはじめにしたクラスメイトにイジメを受けていた流美が、彼女が再登校するよう家に訪問。流美は「あなたが来ないと自分がイジメられる」と訴えるのだが、春花は応じることはなく、翌日学校で小黒により、長かった髪の毛をざんばらに切られることになる。流美は帰宅後、小黒ではなく春花に非常に強い逆恨みの感情を抱くことになり、ある意味では流美特有のドス黒い粘着性の矛先となってしまった。

流美の粘着的な性格は春花に向けられる前、クラスの中心的人物である小黒にも向けられていた。その執着心は度を越えたものであり、小黒の映った写真を所持しているだけでなく、どこか崇拝していたような様子さえ見せているが、小黒本人は相場と共に流美の存在を非常に嫌っている。
春花が復讐心を抱く根底になった事件前、流美はこれ以上イジメられたくないのか、「春花の家を放火する」との宣言を小黒にしているが、小黒は必死な流美に取り合わず「頑張って。応援しているから」と適当な態度で応じ、崇拝する彼女に期待を持たれたと勘違いした流美は本当に春花の自宅にガソリンを撒いて放火することになる。
しかし、放火してしまう事態になってしまったが、流美は本気で決行するつもりはなく、彼女の本当の目的は「放火」を建前にしているが、本音では「脅し(春花が学校に戻りイジメの標的から外れる)」が、本音だったのではないかと推測される。これは小黒により応援された地、一目置かれていると思い、自分がこれほどの凶行を実行可能といった力の誇示の双方の感情が入り混じっているのではないかと思われる。
一方、春花の母親を殺害した久賀は精神的に追い詰められた流美とは違って、愉快犯としての性質が強い。

春花の自宅に流美をはじめとした、橘吉絵・加藤理佐子・久賀秀利・真宮裕明・池川努らが乗り込んでいるとは知らず、父親から借りたカメラを使って、相場と共に自然の写真撮影を行っていた。春花はこの時点では唯一の味方だと思っていた相場との距離感が縮まり、陰ながら応援してくれている人物がいることに感謝しながらも帰宅することになるのだが、放火に怯え春花の自宅の方向から逃亡して来た加藤と三島に遭遇。春花はそのことを不審に思いながらも、嫌な予感を覚えながら帰宅し、轟轟と燃え上がる家を目撃することになる。
家の中には両親と妹がおり、半狂乱になる春花を押しのけて、果敢にも相場が火災現場に入り、妹を救出する。両親の方は助からなかったが、瀕死の重傷になるほどの大怪我(具体的には全身の皮膚が黒く焼き爛れている)を負いながらも、辛うじて生存している状態であった。

放火事件後、妹の祥子は病院に。春花は祖父の家に。
春花は毎日、意識の目覚めない全身に包帯を巻かれた――助かったとしても、今後の生活に確実に支障が出るであろう、妹の回復を願って頻繁に見舞いに行くことになる。
その内、春花にとってはイジメが続く過酷な環境に戻り、そこで通り過ぎ様、流美から作中一番の問題発言である、

「バーベキューの焼き加減はどうだった」

と、悪意たっぷりの発言を受けることになる。

その瞬間、春花の表情が豹変し、自分が優位な立場であり脅かす存在なぞいないと横柄に振舞っていたのだが、その表情は流美が思わず怯え、恐怖心を抱かせるほど。流美は即座に(計画の首謀者であるためか)、春花が犯人に気付いていると思い、復讐の対象になることを察知。
流美は放火事件の発端となった小黒に「助けて欲しい」との連絡を入れるが、「そんなことは知ったこっちゃない」と突き放した言動をしつつも、内心では転入当初、良好な仲を築いていた春花を相場に取られたくない些細な嫉妬心でイジメを煽動してしまったこと、そうして流美の「放火」を本気にせず、彼女の家族を殺める要因になってしまったことを悔いていた。

橘・加藤・三島の火災事件の関係者は自己保身か、それとも家族が燃え上がる様子に優越感を抱いたのか、それとも両方なのか、再登校をはじめた春花を校舎裏のゴミ捨て場に突き落としてガソリンを手に、彼女にここで自殺するよう灯油をぶちまける。
その際、橘は春花の家族が死ぬ様子を仄暗い興奮と共に語るが、その内容は人格破綻者そのもの。春花の大事な家族の死んでいく様子が「滑稽だった」と述べたことがキッカケとなり、彼女は本格的に復讐者として覚醒していくことになる。眼球に鋭利なものを突き刺す、鉄パイプで滅多打ちなどの因果応報自業自得による報復を連中に受ける中、加藤は「やったのは久賀」と命乞いによる情報提供するも容赦なく殺され、ゴミ捨て場にあった冷蔵庫の中に三人纏めて押し込まれ、証拠隠滅される。

次いで、復讐の対象の久賀は学校からの下校途中、ナイフを片手に襲い掛かってくる春花と遭遇することになる。春花は久賀の口を包丁で切り裂き、助けを呼ぶ声を封じた。結果的に春花は久賀を直接に仕留めることはできなかったが、追い詰めてくる彼女から逃亡すべく山中に入ったのは良いものの、『冷静な状態ではなかった・深い雪が災い』して、井戸の中に落ちることになる。春花は自力では脱出不可能なその井戸の中まで追い詰めることはなく、一命をとりとめたと勘違いした久賀であるが、そこは通常、人が立ち寄らない場所であり、声が出せない状況も合わさって、餓死。
久賀の春花に対する態度は、流美ほどではないにしろ小黒を慕い、髪まで染めてもらっていたが(小黒からすれば気まぐれ)、春花が転校してきてから優しかった小黒が変わっていく様子を春花に責任転嫁していた。

久賀の失踪に伴い放火事件に加わっていた真宮と池川は、いち早く春花の仕業だと気付き、彼女を抹殺することにする。
池川は真宮に改造したボウガンなどを貸し与え、春花を追い詰めるも彼女を狙ったボウガンが真宮の脳にあたりに当たり、中身が露出。真宮は春花に劣情の感情を抱きながら、イジメられる前からその美しさによる影響が周囲に対して毒であると認識しながらも、相場と仲良くなっていく様子に嫉妬していた。頭の中身が溢れた影響で池川を春花だと誤認し、彼の行動を阻害する。
池川は春花の手によってナイフで刺され、奪われたボウガンで背中を刺される。凍った池に逃げたものの、池の表面が体重により割れて、溺死する結果になった。


物語終盤、春花は小黒と出会うことになる。小黒は日々重責のように募っていく罪悪感と共にろくに学校に行っていなかったが、ある日、外出したところ春花と遭遇。春花は小黒が明確な復讐対象と未判明であるがゆえ報復の対象としなかったのか不明だが、久賀のようにいきなり襲い掛かることなく、落ち着いて話をすることになる。
その会話の中で転入してから両者の仲が良好であったこと、春花にあこがれていたことなどを述べ、小黒は心からの謝罪をした。その気持ちが伝わったのか、春花は小黒には復讐行為はしなかったが、二人が別れた直後、流美が小黒の前に出現。
流美は包丁を所持しており、小黒の夢であった美容師の夢を断つように指の数本を切断する。死闘の中、「キャ!って言った! あの小黒がキャっていった!」と喜ぶ流美に、小黒は「久賀もあんたも腰巾着で気持ち悪い!」と徹底的に拒絶と嫌悪感をあらわにした言葉を向け、素手の状態で健闘したものの、腹を刺されて死亡。死体は降り積もる雪に隠れる形で数日間、発見されることはなかったが、幸いなのは道路の真ん中で倒れ伏したことから、これ以上、肉体が傷つくことはなかった点であろう。


物語終盤、行方不明者多数の春花のクラスに大勢の子供達の両親が詰め寄ることになる。その親も子供と同等(もしくは橘などの異常性を持った人間を産み出した点においてはそれ以上かもしれない)の存在であり、モンペやアル中などの親がいる。
行方不明者が多く出たクラスの担当教師である南京子は、感情的に振舞う親たちに、過去この学校出身でいじめられていた過去を暴かれ、狂乱することになる。事なかれ主義の友達先生だった彼女であるが、南としての目的はどのような形であれ、この学校を『卒業』することによって、過去の自分に折り合いをつけて新しい人生をスタートさせることが目的であった。
しかしその望みが絶たれるだけでなく、思い出したくもない過去が公然に暴露され、狂乱状態になった彼女は詰め寄った保護者の目を潰し、学校から逃亡。地面に倒れ伏したところで、除雪車に轢かれ、無残な死体となった。


小黒を殺した流美は春花の妹がいる病院に、ガソリンを片手に侵入。流美は春花の容姿を「気持ち悪い」といいながら、病室にガソリンを撒き、春花が来るまで待機。
彼女が現れた瞬間、まるで全ての責任を転嫁させるように「死んで詫びろ!」と罵倒。だがその時、意識があるのか不明だが、重体状態であった妹が起き上がり、流美を指さすなどの行動を起こした。妹の容態急変に人が集まってくることを悟った流美はすかさず逃亡。
その後、雪山で春花に放火の真相を話すも、とある事情によって相場と敵対することになった春花の攻撃の肉盾となり、死亡した。


上記で、相場と敵対することになると述べた相場であるが、彼はこの作中において、流美に次ぐほどの異常人物である。
そもそも彼は母元から離れて祖母の元である舞台で暮らしているのだが、それにはとある事情があった。
相場の元々の家庭環境は母親が父親からDVを受けることで夫婦仲を繋ぎ止めていたが、母親が虐待されている状況に耐えきれなくなった相場が、父親をカッターで切りつけ、離婚のキッカケとなった。息子としては母親を、暴力を振るう父親から守ったのだが、母親から出された言葉は彼が予想していたものとは正反対なものであり、暴力面は父親から、精神の歪みは母親から受け継ぐことになる。祖母の元へ預けられるまでの間、母親に幾度となく暴力を繰り返しており、いびつな精神面がより強固なものになっていった。
自分の手には負えないと判断した母親は祖母の元(故郷)へ預けるのだが、相場に対する態度はたとえ電話越しであったとしても、恐怖をあらわにして接しないほど。
相当歪んだ精神を有した相場であるが、その本性は小黒から見抜かれており、流美以上に嫌っていたかもしれない。
母親から引き離された彼であるが、その精神面が矯正されることなどなく、祖母にまで暴力を振るうだけでなく、「一緒に東京で暮らそう」と提案した相場の提案を拒否し、「おじいちゃんと暮らす」と述べた春花に、彼女の祖父と話し合いをすると言いながら、実際行われたのは一方的な暴力で、老体を病院送りにしたほどである。相場のこうした精神的な歪みは、自分自身から離れられないか弱い存在にのみ発揮され、共依存の関係を望んでいるものだと思われる。
しかし、相場の上記の悪行はまだ優しいもので、春花のイジメ行為に加担することなどなかったものの、吐き気を催す邪悪として筆頭に挙げられる悪行は、火災現場に乗り込み妹を救ったときにある。
表面上、相場の行動は果敢だと思わしきものであるが、裏面にあるのは春花の妹を庇うように身を挺して守る父親の様子を写真撮影していた点である。しかも写真は一、二枚程度ではなく、激写さえされていたのだ。
流美との一戦でカバンの中身が暴かれ、その写真を目撃した春花は復讐者として更に感情を募らせ、彼女は偶発的に拾った真宮のボウガンを拾い、弱った春花を被写体にしようとしていたカメラごと頭部を矢で貫かれた。
全ての復讐を終えた春花であるが、既に彼女は満身創痍の状態である。
作中では明確に描写されていないが、春花は深い雪山で死亡したものだと思われる。

ミスミソウの完全版の上下巻の最後では、春花の祖父が墓参りに新幹線で訪れるのであるが、すべての家族を失ったといっても過言ではない祖父は懺悔の言葉を口にする。その時、目の前の相席に幻影か幽霊なのか、春花が現れるなど、多少、救いのあるエンドになっている。続きを読む...
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