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2020年04月13日

少女椿

『少女椿』とは丸尾末広により執筆された漫画である。全体的な作風は、夢野久作の影響を受けている所為か、「エロ・グロ・ナンセンスが随所随所に横溢し、万華鏡のようにクルリクルリと……」といったものであり、1ページ目から閲覧注意が喚起される内容である。
ちなみに丸尾末広は、ちびまる子ちゃんに登場するキャラクターの一人、諸君私は戦争が好きだと演説する実は眼鏡を取ったら美形な丸尾くんの名前の元ネタでもある。
絵津久秋(原田浩)により自費でアニメ化されたものの、児童に対する性的虐待の内容を含んでいるだけでなく、見世物小屋が主題となっているため、地上波で放映されることはなかった。しかしアニメ内容は原作を忠実に再現しており、完成度は非常に高い。
アニメ化の他に虚飾集団廻天百眼により舞台化されるだけでなく、2016年5月、R15+指定されているものの、映画化された。
自費制作によるアニメ・舞台化、そして映画化など非常にグロテスクな内容ながらも根強いファンの多い作品である。

【内容】


時代は終戦間もない昭和13年、主人公・みどりは貧しい母親と共に生活をしていた。みどりは小学生の幼い身の上でありながら、病身である母親の治療費と生活の生計を立てるために、花売りの仕事をしていた。
父親は何かしらの理由で失踪しているが、母親亡き後、熱病に魘されるみどりの夢の中に出てくる父親はひたすらキュウリを貪り食べている姿と、みどりの不幸を呼ぶ体質が災いして、物語終盤においても『報われない』ではなく、『一巻の終わりであり救われない最後』を迎えたことから、xxxHoLiCのヒロインである両親は不幸の対象にならない九軒ひまわりよりも、その体質は相当なものだと思われる。

さて、花売りの仕事を夜な夜な行うみどりだが、その客の一人として『親切な山高帽のおじさん』と知り合うことになる。山高帽のおじさん(嵐鯉治郎)は貧しい身の上のみどりに「困ったことがあれば尋ねて来なさい」と言うも、その正体は見世物小屋である赤猫座の座長であった。

みどりは花売りの仕事だけでは母親を支えることが無理だと薄々ながら悟っていたのか、「親切にしてくれる人がいる」と喜々とした様子で帰宅し報告するも、病床の母親は体内をネズミにより食い荒らされていた。陰部からネズミが出たことから、その苦しみは相当なものであったことだろう。

父親が失踪するだけでなく母親も亡くし、完全に身寄りのなくなったみどりは鯉治郎の元へ訪れることになる。赤猫座に来訪当初、単なる客人だと思われ「嬢ちゃん、公演時間はまだ早い」と両腕が包帯塗れの男(鞭棄)に言われるも、鯉次郎の紹介でここに来たと述べた途端、態度が一変。みどりは見世物小屋に来て早々に性的虐待を受けることになるのであった。

騙される形で赤猫座の芸人の一員となったみどりであるが、彼女は容姿が美しい以外にこれといった特技はなかった。それゆえ、一応は座の一員として何らかの芸を磨かなくてはならないことになるのだが、その内容は豚や鳥の内臓を口に含むといった内容である。当然のことながら、生血が付着したナマモノであるがゆえに生理的嫌悪によって嘔吐するみどりに対して、「これぐらいで吐くようならやっていけない(鞭棄)」、「裸踊りを仕込んだ方がいい(紅悦)」など、座長のみならず冷ややかな態度を取られている。
『それつけやつけれ』なる、性行為を覗き穴で見せるなどの仕事を振り当てられることはなかったものの、雑誌の人生相談コーナーで「甘い言葉に騙されて見世物小屋の一員となりました。学校にもいっていません。これからどうしたら良いのでせう」と、頼りを送るなど精神的に結構キている描写があった。

赤猫座の中において何も出来ないみどりは、掃除・洗濯・小屋の修繕・買い出しなどの雑用を押し付けられることになる。そんな中、みどりが心の癒しとしていたのが神社内の軒下でコッソリ飼っていた子犬になるのだが、「出てきちゃダメよ。食べられちゃうからね」の言葉が皮肉にも実現することになる。
子犬と戯れた後みどりは神社から立ち去ることになるのだが、彼女の跡をつけていたのか、ポニテの女装男子であるカナブンが「みどりめ。しおらしいことを」と言いながら、犬を踏みつける形で殺害。
その後、何気ない様子で小屋に「いいものがある」とカナブンはみどりに言い、彼女のみならず座の一員全員に鍋の肉を食べさせるのだが、「よく肉を買う金があったな」との鞭棄の言葉に「買うわけないだろ、犬の肉なんか」と平然と答え、何もかも察したみどりは犬肉の入った茶碗を落とす。
「よほど苦労なさったのね」の一声に、「犬ぢゃ!犬ぢゃ!」とみどりは大声で泣くことになるのだが、このカナブン、かちかち山におけるタヌキ並みの外道である(だがしかし、子供ゆえの残虐性であり、みどりとの別れ際涙ながらに見送るなど、人の心が全くないわけではない)。

また、みどりもみどりで残酷なところがあり、雑用を押し付ける最中、ついでと言わんばかりに肉体がねじ曲がったような姿をした男性(芳一)と、四肢欠損した人たちの身体を洗うように命じられるも、その姿を目の当たりにした彼女は雑巾を芳一に投げつけながら、「ばけもの」と罵る。
当然のことながら、こればかりは完全にみどりに非があり、座の皆から折檻を受ける中、現実逃避的に「遠足にいきたい」と、小学生としては当たり前の感情をぼんやりと抱くのであった。

子犬を失い、汽車を見送ることを唯一の慰めになった不幸続きのみどりであるが、そんな彼女にも一時の束の間でありながらも、好機が訪れる。みどりが見世物小屋に入った途端、落ち目になった赤猫座であるが、西洋手品師の侏儒(小人症)の山高防を被った男性(ワンダー正光)が、新たに座に入ることになる。
まずは一芸というのか、赤猫座の全員に硝子瓶の中に入る奇術を見せる。瓶の入り口は辛うじて腕一本入るかどうかの狭さ。そうして瓶底も赤ん坊が入れる程度の狭いものであり、関節を外す、どれだけの軟体であったとしても、子供であっても非常に狭い硝子瓶の中に入ることは到底不可能である。
そしてワンダー正光は易々と硝子瓶から出、茫然とする赤猫座メンバーに反して、みどりだけが拍手を送るのだが、皆の咎めるような視線で、ハッとしたように自粛。しかしワンダー正光にとって、ロリコンの気があったのか、それともみどりの無邪気に喜ぶ姿に好感が持てたのか、彼女に親切に接するようになる。
しかしその親切心は独占欲が強くエゴ性が目立つものであり、当初はみどりの手に一瞬で花を出現させる、怪力自慢の大男(人間ポンプ赤座)に口答えしたとき、文字通りぶん回されるなどの暴行を受ける中、奇術を用いて助けたりしているが、みどりに映画のスカウトとして山高帽を被った男性が名刺を渡すも目の前でビリビリに破くなどの行動を行っている。
「私がみどりちゃんの保護者だ。ニセモノかもしれん」とのワンダー正光談であるが、そもそも見世物小屋に芸能スカウト人が来ることの不自然さがゆえの当然の反応であるが、後にみどりに対する独占欲のために殺人を犯している。

落ち目であった赤猫座がワンダー正光の瓶入りの芸で繁盛する中、何もできなかったみどりの立場が逆転していく。みどりはワンダー正光の助手(とはいっても芸のために瓶を運ぶだけ)になり、小遣いを貰って菓子を買いに行くなど多少裕福になった。
ワンダー正光による一人大繁盛の中、鯉次郎に給金の采配を取るなど事実上、座の中で実権を彼一人が握っていくことになる。鯉次郎の方も座長であるにも関わらず、ワンダー正光を「先生」と呼びへりくだった態度。客側も見世物小屋でどこにでもあるような一芸よりも、ワンダー正光による瓶入りを楽しみにしているのか、特にみどりを好いていた鞭棄は面白くなかった模様。
鞭棄は飴を食べるみどりの関心を寄せるためか謝罪し、「本当はお前が好きなんだ」と言うも、みどりは彼を全く見ておらず無関心の態度であった。
そして彼が「面白くない。みどりは俺のもんだ」と思う中、ふと地面を見るとそこには蟻が集う腕が落ちていた。鞭棄が同様する中、蟻地獄に落ち「誰か助けてくれ」と叫ぶとそこには自分と同じ姿をしながらも両腕を持つ存在(ワンダー正光)がいた。
助かりたいなら腕を伸ばせと言われる中、両腕を持つ自分そっくりの姿をした正体が誰なのか分かった鞭棄であるが、「お前はろくでもない奴だ。死ね」と言われ、後日、座の人から泥を食い窒息死した姿で発見される。
皆がなぜ泥を食ったのか、そもそも両腕がないのにどうして変死したのか疑問に思う中、みどりはその場から逃走。すぐさまワンダー正光が追いかけ、泥を口にねじ込む光景を目撃したことを見破られ、鞭棄に呪われると恐怖し、真夜中、魘される。みどりは「この人はいい人なのか疑問」に思うのであった。
償いかどうか不明だが、ワンダー正光の手によって葬儀の手配がなされる。この時、鞭棄の墓標が描写されているのだが、年齢は三十二歳と発覚。要はツンデレロリコンであった。

葬儀後、みどりの元に映画のスカウト人が訪れ追い返すも、こっそり名刺の破片を集めて布団の中でうずくまるみどり。仕事の準備だと呼びかけるワンダー正光に「頭が痛い」と言うものの仮病であり、彼が布団をめくるとそこにいるのは反抗的な目で睨み付けるみどりの姿があった。「自分の言うことが聞けないならじっとしていろ」と言われ、黒い布によって拘束される破目になるみどりだが、感情が高ぶったワンダー正光が見世物の仕事に出るも、客の煽りと暴言で瓶入りの芸を披露できず、怒りの感情の赴くまま、小屋に来た客人の肉体を思うがままに、顔を増やす・急激に老わせる・体をあらぬ方向に捻じ曲げるなどの大暴れをした。

どうやら、奇術……というより彼が使う術の正体は、ほぼ失われた幻術の継承者であり、実際に瓶などの中に入っていなかった。
物語中盤、みどりから「どうして瓶の中に入れるの?」と尋ねられたとき、

「それはね……
『夜はおどろくべき事あり
昼は飛びきたる矢あり
幽暗(くらき)にはあゆむえやみあり
日午(ひる)にはそこなう激しき疫(やまい)あり
されど汝畏るることあらじ』
……というわけさ。
分かった?」

と説明され、みどりは即答で「分かった」と述べているが、絶対分かっていない。
恐らく、『世の中には日常のすぐそこには知らなくていい事があるけど、怯える必要はない』的なことを言っているのだろうが、私にも分からない。幻術の理屈と理解が。

大暴れ後、鼻血を出して倒れることになるワンダー正光であるが、どういう心境の変化か小屋を辞めることを申し出る。鯉次郎がまたしてもへりくだった態度で「謝りますから」と述べるも、「興が削がれた」の一点張りで意見が変わることはなかった。
鯉次郎は、赤猫座がワンダー正光一人によって大儲けが出来ていると理解していたのだろう。以前と同じように落ちぶれることを悟り、金を持ち出して逃走。
鯉次郎逃走後、カナブンは女装することに意味がないと悟ったのか長く伸ばしていた髪の毛を泣きながら切る、紅悦は金持ちの男を見つける、人間ポンプ赤座は他の見世物小屋に誘われていたのか他の座員も紹介するなど、それぞれの道を見出す。
肝心のみどりとワンダー正光は一緒に行動することになり、どこに行くのか名言されていなかったが、鯉次郎が座から金を持って逃亡する直前、「もうどこにも行きたくない」と述べ、みどりに幻術で故郷である浅草の夢を見せていたことから、みどりの家に帰るはずだったのではないかと予想される。
ちなみに夢の内容は、父親の失踪・母親の死亡などがなかったことになっていたかのように、みどりにとって都合の良い夢の内容であった。「遠足に行きたい」と折檻を受ける中、密に願っていた内容を叶えるためか、父親が遠足用のおやつを買っていた。親子三人、川の字で寝り、ボンボン時計の音で幻術からみどりは目が覚める。

ワンダー正光と同行することになったみどりは座の皆と快く別れ、バス停に到着。バスの到達までまだ時間があるから弁当を買いにいった彼であるが、帰り道、殺人現場に遭遇。口封じのため腹をナイフで刺され、ワンダー正光は恐らくここで死亡したと思われる。

対して、バス停で彼の帰りを待っていたみどりは戻りが遅すぎるワンダー正光の身を案じて、街中を探し回る。しかし幾ら探し回れども、三度ほどくしゃみをする謎の荷物を背負った男性と通りすがるも肝心のワンダー正光に再会することはなく、途方に暮れるみどりの目の前(もしくは故郷の夢を見せた悪影響か)に、鞭棄を含めた赤猫座のメンバーと、そうして両親の幻影が現れる。
幻影の彼らは、まるで「一生幸せになれないみどり」を嘲笑するかのように存在しており、その事実を認めたくなかった彼女は、棒切れを片手に幻影に殴りかかるも空振り。そうして、桜の花弁と共に幻影は消え去り、その章のタイトル通り、坂口安吾の短編小説である「桜の花の満開の下」の秘密――彼女は完全なる天涯孤独になり、その現状と真相を骨の髄まで悟ったのか大声で泣くことになるのであった。

少女椿のラストでは、大量に降り積もった桜の花弁の中から福助が出て来て、

「これにて『少女椿』一巻の終わりでございます。
ではみどりちゃんに幸多からん事 せつに祈りつつ
御免なさひまし!」

との、皮肉すぎる言葉で締めくくられている。

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