2020年06月03日
四畳半神話大系
『四畳半神話大系』とは、著:森見登美彦により執筆された小説であり、後にノイタナミ系でアニメ化された作品である。基本、アニメや実写化などは成功しても原作越えするモノはそうそうないが、四畳半に限って述べるなら、原作越えをしたといっても過言ではない名作となっている。
作品はループもとい平行世界線の作風。
神話大系とタイトルされながらも、その内容は鬱屈としたキャンパスライフがバラ色にならないか夢を見つつも、悪友である小津と共にマリアナ海溝レベルの不幸のどん底に落ちる内容となっている。
小説・アニメ共に語り口調が軽快なので、読むもよし、見るも楽しいモノとなっている。アニメ回によっては主人公である「私」がほとんどセリフ台本を読むなど、声優さんが酷使されている。あと「私」は小津の声真似が巧い。
舞台は奇人変人が跳梁跋扈する京大なのだが(今ではいくらかマシになったらしいけど)、実際の京大の逸話でドイツ語の授業にドイツ人を連れてきた話と、イチゴ狩りという名のイチゴの着ぐるみを着た人間を追い掛け回す鬼ごっこで笑った記憶がある。
【内容】
- 私
下鴨幽水荘に下宿する京大の浪人生。
下宿先のおんぼろっぷりは文化遺産レベルではじめて立ち入った時、九龍城に入ったと錯覚するレベル。下鴨幽水荘は焼失以後再建されたものの、明かりがついていなければ廃墟当然で、たとえ下宿が倒壊したとしても、誰も気に留めないどころかスッキリするだろうと述べている。
生後間もない頃の「私」は純粋無垢の権化であり、光源氏の赤子時代もかくやと思われる愛らしさ、邪念の欠片もない笑顔を持っていたが、異性からの孤立・学問の放棄・肉体の衰弱化など、打たんでも良い布石を悉く狙い澄まして打ちまくった人。
下鴨神社で夜な夜なネコから出汁を取っていると噂されている(真偽の方は定かではない)屋台ラーメンで売られているネコラーメンを愛している。
サークル内で失恋以後、恋ノ邪魔モノとして、川向うにいる軽佻浮薄で浮かれた人たちに向けてロケット花火で爆撃したり、安い金毘羅群をかくやと言わんばかりに死神の出で立ちをした黒いキューピットとして根本的に間違った活動をグローバル的に行っていた。
失恋したショックか、恋愛に対する妨害っぷりは顕著で、赤外線センサーのように張られ結ばれた赤い線を東西南北に至る全方面を斬るため、あらゆる努力と労力を払い快感を覚えているなど、極めて敗北に近い勝利を収めてきた。
自分のことは棚に上げがちだが、ヒーローショーで明石さんを助けるなど、結構勇気のある行動をしている辺り、性根の先っぽ程度には腐敗していない様子。
ジョニーを放し飼いにしないように、「男女の仲は靴紐のように結ばれてはいけないと」涙ながらに説得して飼い殺しにしているが、可憐な乙女である香織さん(ラブドール)の前では、彼女を誘拐して遠い地域に行き、慣れない土地での仕事は苦しいだろうがやがて子供を設けるなど、トチ狂った妄想をしていた。
明石さんの落とし物である五組で1セットのもちぐまの一匹を所持しており、占いの婆から「好機はすぐ目の前にあります(物理)」と述べられ、小津から渡されたカステラを悪鬼の形相でもぐもぐした後、下宿内で天井から常にぶら下がっているもちぐまに気が付くも、矮小に肥大化したプライドと、石橋を粉々に打ち砕いても構わないほど慎重な性格から、肝心な一歩が踏み出せないでいる。
「できることならあの日に戻りたい!」の一声で時間が逆行し、時計台でどのサークルに入るかなど、選択を変えることが可能。
小説版では各話の終わり毎に、喫茶店で茶をしばいて仲が進展するものの、アニメ版では最終回でのみ結ばれている。
- 小津
「私」曰くホモサピエンスの面汚しで、十人中8人は妖怪と見間違え、2人は妖怪だと納得し、顔色が悪くまるで月の裏側からきたような相貌をしたぬらりひょんのような青年。だが、後で「私」が小津のことを『妖怪と見間違えるのは相当見識の狂った人間の了見だろう(お前のことだよ!)』と述べているあたり、本来の顔は相当愛嬌の好いものらしい。小説の方でも「愛らしい莞爾〜」などと記載されている。
性格は天邪鬼で常に他人の不幸を希い、情報通で破廉恥な噂を全て把握しており、「私」が油を撒く傍から火を点けて回っている。小津の悪事はワールドワイド。
かなり社交的なのか知り合い(と敵)が多く、人から愛される秘訣を持っている。実は「私」の恋の応援者なのだが、懇々として尽きない親切心は非常に回りくどく、分かり難い。「僕なりの愛です」と小津なりに「私」に友愛の姿勢を見せているが、「そんな汚いモン要らんわい!」と無碍にされているものの、鉄でコーティングされたかのような面の厚さを持つ小津には効かない。でも、ドス黒い糸で繋がっているのでどれだけ邪険にされても大丈夫。
「私」と同じく、京大生だが電子も工学も嫌いなのに工学部に所属しており、様々なサークルに所属している所為か、成績は低空飛行。なお、しいたけが嫌いで「なんですかこのヒダヒダは」と言うだけではなく、食べている人を目撃した際、馬糞のつまみ食いを目撃しているかのような嫌悪の表情をあらわにする。
師匠である樋口を師事しており、師匠が望む無茶振りに等しい要求(ダイオウイカ)などを望むままに持って来る。だが、師匠の浴衣を桃色に塗り替えるなど、自虐的代理戦争で裏切ったりしている。
家は砂糖菓子のような見た目をしたマンションで、羽貫さんと明石さんは家にあげたことがあるが、「私」は招くどころか住所すら教えていない。だが文通回で、ダークスコルピオンと小津が命名している黒い自転車で出ていくところを住所と共に目撃されている。親からの仕送りはたんまりで、その上、実は「私」が恋慕していた小日向さんと付き合っており、彼女の前だけでは大人しいだけではなく、別れ話が出た時、羽貫さんに泣きついて相談するなど、想いは一途ではある。小日向さんと一緒に撮った写真では、笑顔が引き攣っていた。
「私」の部屋に毎回カステラを置いていく人。
小津曰く「カステラを一人で食べるのは孤独の極致」らしいが、それは真実である。
- 明石さん
色白かつ知的で運動神経も良いが、歯に衣着せぬ物言いで同会生からは敬遠されている存在。城ケ崎先輩は冷ややかで知的な顔と乳には興味があるものの、完璧すぎる彼女を前にして自身のプライドが傷つけられることを恐れて、中々近づけないでいた。でも、城ケ崎にはもうすでに選ばれた相手がいるし……。
何をするにもそつなく万事手回しの良い彼女ではあるが、蛾だけは苦手であり、「ぎょえええ!!」の悲鳴と共に、ほとんど毎回蛾を握り潰す。「私」からは「手を放すんだ、明石さん!」と訴えるも、恐怖で混乱した彼女には聞こえていない。蛾を放した後、「むにゅっとしてました。むにゅっと!」と言いながら、もちぐまをモギュモギュするのがクセ。
「私」が映画サークルみそぎで新作映画を発表したとき、周りから非難轟轟のモノであっても、「また阿呆なものを作りましたね」と言いながらも、「嫌いではない」らしい。だが、城ケ崎の秘密暴露上演会では、さすがに品性を疑った。
また、「私」の話すネコラーメンが食べたいらしく約束しているものの、本人から忘れられている(が、天井にぶら下がったもちぐまを見る度に、「約束ってこれか……」とふと思い出す瞬間があるが)。
「私」が過去をやり直す度に、所属しているサークルが異なる。
ガチ自転車であるロードバイク回では男女総合優勝し優勝賞金をバードマンに使う、福猫飯店では映画サークルみそぎに、文通回では小津の代わりに代筆したり、樋口師匠に弟子入りしたりなど、小津ほどではないが結構活発的である。
「私」が明石さんに惚れた理由は、ところはばかることなく述べるなら、古本市でもちぐまのことを訪ねた時、これまでヨーロッパの城壁のように堅牢だった表情がほころんだ瞬間である。
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