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2020年05月18日
少女地獄 2
臼杵が白鷹の奥さんが卒倒し見舞いに行くことを阻止したいのか、「三人もアデノイドの患者が来ている。自分で診察したら指を怪我した」と包帯をちらつかせると演出するだけではなく、白鷹の奥さんの見舞いに行くため自ら休みを貰い、一時期病院から離れることになる。
しかし臼杵は見舞いを中断することなく、庚戌会に赴くことになるのだが、実際その交流会は彼が想像していたものとは異なるものであった。臼杵としては医者や茶会などの堅苦しいイメージを想定していたのだが、蓋を開けば丸の内で催されていたのは、飲み会のような乱痴気騒ぎのパーティーである。
その証拠に参加者の何名かが酔った状態で現れ、白鷹の幹事のパーティーに感心したような発言をしている。
この時、白鷹はパーティーの場に相応しくない堅苦しい恰好をしていたのだが、見ず知らずの参列者に酔いもあったことだろうが、「手品をやれ」だの囃し立てられている。
参加者が出て来る前、受付けの人間に白鷹を呼ぶよう言い渡していたのだが、ここでようやくやっと本物の白鷹が現れる。
臼杵はそこでようやく安心して(顔は大学の写真集で知っていた)、白鷹に親しみを込めた挨拶をするのだが、臼杵を知らない彼からすれば、無表情になり無言にならざる得なかった。そりゃ見ず知らずの人間が馴れ馴れしく、友人知人のように接してくればそうなるのは当然であり、白鷹に非はない。
臼杵は一瞬でこの違和感を覚え困惑した態度で、数秒間、互いを凝視する結果になる。
恐縮した臼杵は「ようやく逢うことができて」とはじめの挨拶より幾分硬くなった言葉を述べた後、「奥さんが倒れたそうですね」と言ったところで、白鷹は驚き……というよりも困惑した感情を隠せなかった。
そして「あなたとは初対面。妻は倒れていない」と述べたところで、二人のやり取りを見守っていた周囲の人間は爆笑し、完全に臼杵は恥をかかされた形となる。
二度ほど周囲の爆笑を引き起こした臼杵であるが、「姫草ユリ子の奴」と述べたところで、今度は逆に白鷹が狼狽することになる。ぎょっとした様子で臼杵に「姫草ユリ子が何かやらかしたのか」と尋ねるも、混乱しているのか彼は白鷹に対して「ユリ子を知っているのか」という、噛み合っていない会話を行うことになる。
丁度その時、もはや偶然とは思えないタイミングで給仕から、「臼杵先生に急患の電話がある」と述べられるのだが、その内容は二人を引き合わせることがないようユリ子が最後のあがきとして画策したものであった。
臼杵は正体不明の恐怖と狼狽に襲われる中、気分を落ち着かせながら何とか帰宅。帰路中、頭が冷静になったのか、「白鷹は冗談が好きな性格だから、わざとこうしたのではないだろうか」と一種の懸念というよりも希望を抱く中、真夜中ユリ子と出会うことになる。
ユリ子は臼杵をその場で何時間も待ち続けていたのか、「奥さんの見舞いに行く」と休みを貰い私服に着替えたそのままの姿で待機していたらしく、どこか焦燥した様子を見せている。
そしてユリ子が臼杵に白鷹に会ったのか確認した後、「白鷹は本来あのような人物ではない」と述べ、涙ながらに「白鷹は自分を浮気相手として定めていた」、「白鷹の奥さんに実情を訴え匿ってもらうも、嫉妬心を覚えた同僚の看護師が根も葉もない噂、白鷹の恋人であるだの吹聴した」というのであった。
この時、ユリ子をどうにかしてなだめすかせ、家に帰宅することになる。
家内では不安そうな顔をした姉と妻が掴み掛からんばかりの異様な権幕を以てして、
「白鷹と会ったのか」
「ユリ子と会ったのか」
と、たずねるのである。
双方の質問に臼杵は肯定の返事を出すと、顔を見合わせて恐怖の色合いを出すのである。ユリ子の事情を聞き、ようやく一安心したところで奇妙な様子を見せる女性二人の様子にさしもの鈍感で呑気な臼杵も不安を抱かずにはいられなかったのだが、「何があったのか」尋ねてみると、以下の事実が発覚したのである。
妻と姉いわく、病気で伏していたはずの白鷹夫人から電話があったのだが、それは白鷹が臼杵の身を心配するあまり急いで家に帰り、電話をするように言ったらしく、そこで知らされる内容は多少真実が入り混じった大きな嘘であった。
白鷹の元にいたユリ子は、他の看護師を押しのけてまで患者に対して感謝の念を抱かせるようにするなど、好意を持たれるよう積極的な行動を行っていた。
その上、患者からもらった貴重品を見せびらかすだけでなく、有名人との子を成したと吹聴する他、長期間休んだ後、またしても他の有名人と関係を持ったなど、まことしやかに匂わせるといったものである。
ユリ子の虚言癖はあまりにも場を乱すので白鷹の病院からクビにされており、臼杵が家に戻る前に述べていた、「看護師が悪意丸出しで噂をしてその場にいられなくなったのは真っ赤な嘘」である。白鷹の奥さんはユリ子の悪癖に対して、一種の同情心を以て矯正するため自宅に引き取りあらゆる努力をしたものの、ユリ子は退屈さのあまりその場から逃げ出したのが真相であった。
ユリ子が病院内で握りしめていた手紙は、交流会の知らせなどではなく、彼女が白鷹の元へと戻るために催促された手紙である。手紙の宛先が分かったのはユリ子が警察沙汰にならないように、「嘘は治った」との嘘の手紙を送り、あえて潜伏先を明らかにしたものだと思われる。
手紙での嘘はそれだけではなく、臼杵の病院で世話になった人物から相当分厚い手紙を貰受けているのだが、これも恐らく自演と思われる。
ユリ子の性分を一から百まで知っている白鷹側としては、「嘘をつかない」と主張した彼女を決して信用することはなかった。しかし、既に病院内で信頼を得ているであろう臼杵側に対して、狼狽した様子を見せるなどおかしい。異様な不安感を抱きつつも、神経質な性質を持つ白鷹はユリ子の第二の被害を恐れて接触することはなく、そのままズルズルと問題を先延ばしにしたのであった。
臼杵の奥さんは形容しがたい戦慄を覚える中、確認のため「カステラや歌舞伎」などの審議を確かめるも、案の定すべてが嘘であり、そのようなことはした覚えはないとのことである。
真相を全て知った臼杵は二人に何も言わず外出し、同窓の知り合いの元へ訪れると「アカ(共産・社会主義者)ではないか」とのアドバイスを受け、警察へ連絡するように述べるのであったが、この警察である田宮は、実は臼杵家の隣近所である。
臼杵は「ユリ子がアカで間接的に隣家である臼杵に接近して、本命である警察の田宮の情報を握ろうとしていたのではないか」との推察を受け、田宮の家へ訪れる。臼杵が相談するところ、アカである可能性が高いため一度警察の方で取り調べをする方針となった。
その際、病院で警察沙汰にならず確実にユリ子を捕縛するため、臼杵は旅行で入手したアレクサンドルを宝石店へ指輪にさせるように臼杵自ら提案し、その計画が実行される運びとなった。
その夜、皆が眠れない夜を過ごす中、臼杵はユリ子に宝石の原石を渡し、約束の時間になり宝石店へと赴く彼女を見送った後、その翌日、田宮が訪れユリ子は「アカ」ではないことが判明する。
そこで更にユリ子の嘘が判明するのだが、「兄は道楽し、実家は貧しく」は一度述べたことだから省略するとして、本名は「姫草ユリ子」ではなく「堀ユミ子」だということが判明する。おまけに友人の妹の戸籍を偽造して年をごまかし、白鷹の病院に入っていたことが明らかになるが、ユリ子の嘘はそれだけにとどまるものではなかった。
自宅に戻った臼杵はひたすら謝罪を繰り返すユリ子を家に招き入れて話を聞くのだが、事情聴取の際、自身がどれだけ酷い目にあったのかを語るのであった。アカかどうかハッキリさせるため、少々圧迫したものであったことは確かであっただろうが、臼杵はユリ子の臨場感たっぷりの話を聞き終わったあと、日課としてつけている日記を読みなおし、ユリ子の嘘にはある法則性があることに気が付いた。
実はユリ子の虚言癖は生理周期に関連したものであり、精神面に情緒不安定になった際、自己を安定させるために作られた虚構であったのだ。裏付けを取るために、病院内で雇っていた看護師に話を聞くと、「生理周期は正確で月初め」であることが判明。
そのことを田宮に伝えると「臼杵がホテルに診察のとき、ユリ子を連れて行ったのか」と問われている。返答は無論、「否」であるが、ユリ子は臼杵不在を利用して電話があったと装い、大急ぎで化粧をし助手として向かわせていたなどの騒動が発覚。
その上、「まぼろしの谷」なるホテルに臼杵と行ったと思しき供述までしてほか、後に発覚したことであるが、とある看護師はユリ子に汚れ物の洗濯を押し付けられた女性から、虚構にまみれた更なる彼女の正体が明かされていくのであった。
実は臼杵の病院でモルヒネと注射器がひとつなくなっていたのだが、それはユリ子が盗み出しており、それを発見した看護師に脅しを掛けているほか、「つまらない、死にたい」と呟いていた。
向かいの蕎麦屋に向かわせ呼び出し、白鷹を演じさせ電話をさせている他、白鷹からの手紙の内容も他の人に代筆させていたぐらいである。
夢から覚めた心地で家に戻った臼杵は、ユリ子の身元引受人となっている女性の元へ訪れるのだが、「兄貴なんかいない。東京で話題になっていた誘拐を訴える謎の女の正体の新聞記事だけを切り取り大事にしていた」など、得体の知れないユリ子の前科が発覚していくのであった。
【まとめ】
物語のラストでは、身元引受人になった女性がユリ子を臼杵病院から連れ出し、その後、曼陀羅が現れるまで音沙汰のない平穏な生活が訪れるのだが、遺書曰く『何でもないことで死んだ』ユリ子は本当に自殺したのか、といった点が疑問。
モルヒネで死亡したユリ子だが、推察するまでもなく薬品の入手経路は臼杵病院でほぼ間違いない。しかし一から百まで嘘八百な彼女は、最初の方こそは曼陀羅の方でいつも通りの活躍をしていたに違いない。
だがしかし、臼杵病院で働く前、「謎の女」の一件で思わず真相を漏らし皆が薄気味悪がったという事実と、間接的な関係とはいえ、白鷹の後輩である臼杵の元へ逃げるなど、彼女の逃亡先には薄いながらも接点のある場所を選んでいる他、曼陀羅の病院で白鷹か臼杵の両方、もしくは片方の情報を漏らし、嘘を重ねるにつれて、遺書を届けなくてはいけない事態陥ったのではないだろうか。ちなみに冒頭で曼陀羅は「同業者のよしみ」と述べていたことから、先輩か後輩のいずれかもしれない。
最悪の可能性として、曼陀羅先生は遺体を火葬にしたのは事実であったにしても検視による識別を行っておらず、本当に彼女の死体なのかわからない。
殺人はといった犯罪に興味がなく理想の世界で生きること生き甲斐のユリ子は、殺人を犯し難いと考えられるが、何かの偶然か彼女の顔立ちにソックリな人間が自殺か病死し、モルヒネの中身を捨て、二十歳中ごろなのに二十歳未満と思わせていた化粧などの化けのテクニックがあれば、ソックリさんの死に便乗する形で、『悲劇のヒロイン』を装った可能性も十二分にありえるのだ。
忘れがちであるが、ユリ子は冒頭で鼻の整形を受けていたので、彼女は顔が変わっている。
殊に、ユリ子を一切疑わず騙され続けられたチョロイ臼杵の手紙なので、個人的にユリ子の死に信憑性が感じられない。白鷹・臼杵といった名前は一般的な物なのに、最後の曼陀羅の名前だけが引っかかる点も拍車をかけている。
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2020年05月17日
少女地獄
『少女地獄』とは、日本三大奇書「ドグラ・マグラ」の作者として有名な夢野久作による作品である。久作の作品の特徴としては、児童向けの作品を発表しているものの、大人向けの作品となると随所随所にエロ・グロ・ナンセンスが横溢し万華鏡のようにクルリクルリ……といったような、独特の作風をしている。カタカナと三点リーダー(…←コレ)の多様なども特徴的。
余談になるが、クトゥルフ神話で有名なハワード・フィリップス・ラヴクラフトとほぼ同年生まれで、SF作家、死後作品が評価されるなど共通点が多いだけではなく、生まれと死没の年月が近しいなど、奇妙な符号点がある(久作は1889年1月4日〜1936年3月11日。ラヴクラフトは1980年8月20日〜1937年3月15日)。
さて、今回紹介する少女地獄とは「何でもない」、「殺人リレー」、「火星の女」の三部作に分かれた短編集であるが、テーマは「少女の苦しみ」が題材になっているものの、三部作の各話には特に繋がり性はない。
夢野久作の短編集の個人的なオススメとしては「瓶詰地獄」、「医者と病人」、「死後の恋」、「押絵の軌跡」、「犬神博士(未完)」などが挙げられる。私が一番最初に夢野久作の作品に触れたのは「ドグラ・マグラ」であるが、久作の作品に慣れてから読むようにした方が無難。ちなみに作品は当たり外れが激しいように思われる。
【内容】
少女地獄の第一部である「なんでもない」とは、虚言癖を持つ姫草ユリ子が死亡したとの報せが白鷹先生から臼杵先生の元へ送られる。手紙の内容には姫草ユリ子が第三の逃亡先として潜伏していた曼陀羅先生から預かった遺書と白鷹の日記が添付されていた。
遺書の内容は「二人の先生から寵愛を受けつつも、自身を嘘吐き扱いした。曼陀羅先生には病死したように偽装工作をしてもらう」といった内容である。
白鷹はユリ子の遺書を受け取って、内容を読んでいき、曼陀羅先生にいくつかの質問を行うのであった。その内容は「どうやって自殺したのか。彼女の言う通り偽装工作を行ったのか」といったものであり、曼陀羅は「モルヒネで自殺。偽装工作を行った」と返答し、白鷹に対して、強い義憤を抱いていた模様。
白鷹はかつてある日の自分を彷彿とし、「あなたも姫草ユリ子の被害者の一人です」と言いながら、警察の方に電話をするのであったが、曼陀羅は『何か思い当たる節があるのか』逃げるような形で、白鷹病院から立ち去ることになる。
警察に一報を知らせた臼杵であるが、ユリ子が白鷹病院に看護師として働いていた時、彼女が逃亡するキッカケとなった事件に田宮特高課長が関与しているのだが、臼杵医院に働く前から新聞沙汰になるほど話題になっていた、「誘拐された謎の女の電話事件」の全科があるため、田宮は本格的に動く意向を示している。
内容は臼杵の日記内容に移行していくのであるが、ユリ子が臼杵医院を訪れたのは丁度開業直前の。その時の彼女の姿はパラソルやバスケット姿といった少し派手な格好であった。
「こちらで働かせてほしい」との意見を示す彼女であるが、開業間際で看護師の数がもっと欲しいと思ってた臼杵は面接として、幾つかユリ子の素性を問うている。
その内容をまとめるなら、「新聞で応募をみたわけではないが看板を見て来て応募。裕福な家庭で兄はビルで缶詰奉公をしており、看護師の経験がある二十歳未満の女学校を出た身の上」と述べている。
ユリ子の果敢な行動に胸打たれた臼杵の妻とそして姉は、いじらしい態度を見せる彼女を是非働かせようと訴える。もし採用されなくても女中として雇うことを姉と妻も後押している。
臼杵自身としてはユリ子の鼻筋が少し整形の手を加えれば、美人になると確信していた。臼杵の思い通り、術後を終えた彼女は、愛嬌のある顔立ちから美人といえるほどまでの美貌を手に入れ、施術を担当した臼杵自身でさえも肝をつぶすほどのものであったらしい。
そして本格的に病院で看護師として働きはじめることになるユリ子であるが、手術における補佐としての役割は完璧なものである他、病院に通院する患者の状態把握についても完全なものであった。
病院で働いている以上、患者からの真夜中の呼び出しは当然のことであるが、臼杵が開業して以来、丑三つ時の呼び出しは皆無といえるほどなかったのである。実はこれにはユリ子が密接に関係しており、薬剤の投薬や処置法などをあらかじめ行い、臼杵の負担を減らしていたのである。
彼女の病院での活躍はそれだけではなく、子供から老人を含めたほとんどの人間に好かれるものほどのものであった。感謝の意として分厚い手紙が送られるだけではなく、病院での働きぶりは臼杵を差し置いて、「ユリ子ユリ子」とねだられるほどのものである。
そんなある日、臼杵医院の元へとある届け物が届くことになる。それはユリ子の兄からの贈り物として黒羊羹が渡されたのだが、臼杵がお礼を兄に直に述べたいと発言するのに対してユリ子は「早々に帰った」との返答。
その後も贈り物は羊羹だけに限らず、酒と樽規模の奈良漬けが送られることになる。この二品は両親から送られたものであるとのことであるが、ユリ子が直々に運んできた奈良漬けに対して「三越のモノに負けない」と発言。彼女は赤面しながら退散するのだが、臼杵のこの悪意のない言葉は図星であるだけではなく、酒の方に至っては田舎臭い熨斗紙が貼られていたのであった。
臼杵はユリ子の正体を知らないため、「少ない給料でよくここまで熱心に働いてくれるな」と感心の感情さえ抱いていた。そのうち、チョロ過ぎる対応が更にユリ子を調子に乗らせたのか、「臼杵先生は白鷹先生にソックリ」だと発言。
どうやら、冗談を言う軽薄なところ似ており、臼杵は「誰に断って俺に似ているのだ」と言いつつも、ユリ子との会話が進むに従って、白鷹は臼杵の同じ同学出身であり、OBであることが判明。白鷹は臼杵のことを目にかけていたと発言し、「電話を入れてくれ」と頼み込むもユリ子の反応は非常に渋いものであった。
臼杵から見れば遠慮や謙虚な視線のように見えたが、実際はそのようないじらしい態度とは程遠く真逆なものであり、「恨めしい」に等しいものである。臼杵はユリ子の反応を媚態の一つと解釈していたため、まだこの頃は「おきゃんな娘」程度にしか思っていなかったのである。
仄暗い態度をすぐさま一変させたユリ子は、いかにも上機嫌な様子を装って白鷹に電話を掛けにいくも、電話の返送があったのは『よりにもよって白鷹が大量の患者を診察している多忙の時間』であった。
ユリ子は困った顔で「こんな時間で電話にかけるだなんて」と言いながら、電話を通じて白鷹と電話越しに対面させることになる。この時の白鷹はユリ子の言っていた通りの人物像のソレであり、臼杵が言葉を挟めることができないほどノンブレスで喋りまくるのであった。
臼杵は「丸の内クラブの庚戌会」なる医者同士の交流会に、機会があれば来るように一方的に喋り、電話を切ることになる。
通話が終わった直後、ユリ子は目敏く臼杵の前に現れ話の中身を聞き、聞えよがしに「白鷹先生好き」といいながら、ステップをしながら離れていくのである。
それから後日、臼杵が病院に出社するとユリ子は手紙を握りしめた状態でいた。どうしたのかと聞くと、先日手紙で述べていた「庚戌会」のお誘いの件であったが、仕事の都合上で来ることができないと述べるのである。
この「庚戌会」の件は一度ならず数度に渡って行われており、風邪などの理由を出しながら臼杵を交流会への出席を邪魔した。これは恐らく、一度目の庚戌会の断りの際に臼杵が「行くと思えばいつでも行ける」といった発言が、ユリ子に強い不安を覚えさせるものであり、その都度嘘を重ねる必要があったのである。
白鷹は臼杵を誘えなかったことを「すまなかった」と謝罪の意味を込めて、歌舞伎座のチケットとカステラを送るなどの自演を行っている。
ネタバレになるが、臼杵がこれまで電話で接触した白鷹なる人物はユリ子が虚構を保つために作り上げられたキャラクターであり、実際の白鷹とは異なる人物であった。
それどころか兄おろか両親さえもウソそのものであり、贈り物は彼女の給金から捻出されたものである。実際、彼女の家族は、兄は金の持ち逃げ、両親は今日食うか食えぬかホームレス当然の赤貧洗う状態ほど貧しいものであり、とてもではないが女学校を卒業できる環境だとは思えない、身の上であったのだ。
上記の事実を裏付けるように、妻は薬局で働いていたのだが、一人でいる状態のユリ子はとてもではないが、「二十歳未満とは思えないほどの年増の女性に見え、猫背の所為かミジメな身の上にしか見えなかった」と述べている。
しかし妻の言葉を信じない臼杵は、ユリ子の正体を疑う話が出る前に「白鷹の奥さんが卒倒した事件」を耳にし、丸の内クラブに行く気満々であった。
妻は嫌な予感がするから行くのはやめておけと忠告するも、臼杵は冗談か考え過ぎだろうと思い、庚戌会に参加するため準備を整えるのであった。
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2020年05月16日
謎理論(ゼロカロリー)
今回は「わけがわからないよ」と思わず言いたくなるものの、思わずその荒唐無稽っぷりには説得力を感じずにはいられない、謎理論ことゼロカロリー理論について書いていきたいと思う。内容は個人の趣味がかなり偏っているが、そこは悪しからず。
【内容】
ゼロカロリー理論とは、アメトーク内でサンドイッチマン・伊達(ヤクザやってそうな方か仕事で人を殺めてそうな方)が提言する、画期的な理論である。カロリーとあるだけに食べ物に関する理論であるが、栄養学界では認められていない様子。派生物として「悪いこと言っちゃうパンダ」、「牛は草食動物なのでステーキは野菜」。
ゼロカロリー理論前からあったと思しき類似例として、「ポテトの原料であるジャガイモは野菜なのでフライドポテトは野菜」などが挙げられる。
注意点だがこの記事は、提言の創設者たる伊達とは異なる見解が混じっているので、要注意。
・ドーナツ
ドーナツは中央に穴が開いているため、カロリーゼロ。この理論でいけば、全ての揚げ物は高熱の油でカロリーが消失するらしく、究極のゼロカロリー食べ物になると想定される。ドーナツの形状そのものが「0」を彷彿とさせるため、ゼロカロリー理論において象徴的な食べ物かもしれない。
カロリーは食べ物の中心に集まる性質があるので、中央さえくりぬいておけば全ての食べ物はカロリーゼロとなる、天才的な提言。
・アイス
アイスは基本的に冷凍し消滅化されているためカロリーはない。アイスに限らず冷めた食べ物も該当する。ガリガリくんなどのアイスは、その商品名がガリガリたる痩躯をイメージさせるため猶更のことらしい。ちなみに色のついている食べ物にはカロリーがあるが、色のないものにはない。そのためガリガリくんだけではなく、乳製品の多くはカロリーゼロ。雪見大福は少量の上カロリーはなく炬燵の上で食べる習慣が多くあるため、体温(代謝)が上がり、ダイエット効果があると思われる。
パンの多くも中身を開けば白いので、カロリーは白紙化される。それに、おいしいから大丈夫だよ。
・カロリーは強い力と速度に弱い
色のついた食べ物をカロリーゼロにする方法としては、押し潰したり新幹線などの乗り物に乗車する方法が挙げられる。色の付いたカロリーのある食べ物は押し潰すと、なんかこうふわっと空気に逃げるためゼロカロリーになるが、副流カロリーに健康被害が想定されるため、周囲の人間は注意すること。カロリーは基本的に食べ物の周囲に漂っているのか、速度の速いものには追い付けず、勝ち逃げする形で太ることなく食べられるらしい。
・辛いもの
食べていると新陳代謝が刺激され、汗をかくためカロリーゼロ。むしろ運動になり、痩せるかもしれない。
なおマイナスのカロリーであるウーロン茶があるため、それと一緒に飲食すれば、運動やストレッチのいらない画期的なダイエットになる可能性がある。ちなみに柿の種の柿の方はピリ辛な上、小さいのでウーロン茶がなくてもカロリーゼロ。
炭酸飲用水はしゅわっとして空気中にカロリーを飛ばすのでゼロカロリーだと個人的に思っている。個人的にイッキキ愛飲しているストロングゼロもプルタブの音と同時にカロリーが霧散する上、飲む福祉厚生とまで言われているので、いくら飲んでも大丈夫。しかも名前がゼロだからネ!
・霞
御存じの通り、人間を超越した仙人の食べ物。カロリーは空中に漂う性質があるため、どれだけ食べても問題ない。恐らく理屈としては、飽食の時代と呼ばれる現代、空気中に貯まったカロリーとカロリー激しいぶつかりあいにより生じたものだと思われる。
問題としては選ばれしモノしか食べられないこと。きな粉や麩菓子は食べた感じがしないから、仙人以外でも食べられる霞である。
・パッケージ
基本的に菓子やアイスなどのビニール包装とパッケージ箱に記載されているカロリーは、外装などのカロリーであるため、中身はカロリーゼロ。
じゃあ、糖分の暴力ことカロリーメイトは大丈夫だね。だってメイトって、友達って意味でしょう? 友達が裏切るワケないじゃん。一種の疑問だが、箱などはどの層に需要があるのか不明。
・皿
白い食器品ならカロリーがなくなる。その理屈でいけば、外食で焼き肉を食べる際、白い紙エプロンをつけていれば、カロリーゼロ。カロリー皆無な白米も食べられるし、サツマイモで育った鹿児島黒豚は草食動物。牛も草食動物。
もしかして焼き肉店は、ダイエット厚生施設ではないだろうか?
・空飛ぶスパゲッティモンスター教
ナポリタンやミートスパゲッティは、野菜であるトマトでコーティングされているから、ゼロカロリー。なおインテリジェントや進化論を基軸にしたスパモン教は、論理的推進を後押ししているので、ゼロカロリー理論においては欠かせないものであろう。自明の理。
なお、カツとカレーは相性が悪いためカロリーが空気中にぶっ飛ぶ上、スパモン教の祭日は毎週金曜日、日本の海軍は毎週安心してカレーを食べることが出来るため、欠かせない後ろ盾である。
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2020年05月15日
クレヨンしんちゃん『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』 2
幼稚園の送迎バスに乗ったしんのすけ一行は、ブレーキやペダル、そしてハンドル役などそれぞれ役割分担をしながら、万博に到達する。その際
しかも、譲り合いなどの律する精神性がないためか協力や協調性などは皆無で、ちょっとしたアクシデントやトラブルで場が乱れるといった有様であり、しんのすけ達の逃亡は容易なように思えたが、シロに運転を任せて犬とは到底思えないハンドル捌きを讃えるため、ワッショイと胴上げしハンドルを操作する人がいなくなった所為で、事故を起こしバス周辺は囲まれることになる。
しんのすけとひまわり以外の皆が捕まる中、持ち前の機敏な動きで相手を翻弄し、建物内に入っていく。その中で、しんのすけはひろしと出会うのだが、完全に子供と化した彼は「月の石を見る」と両親に駄々をこねている姿であった。
しんのすけが我儘を言うひろしを元の状態に戻すために、彼の靴の臭いを嗅がせるのだが、その際に回想されるエピソードは、ひろしがこれまで生きていく上で、絶対にはなくしてはならない人としての思い出であった。
青空の下、自転車の後ろに座り、親子で遊びに行く光景。
恋の相手と下校する様子と、そして失恋。
やがて新幹線に乗り上京。
新人社員として不慣れながらも働き努力する姿勢。
上司と飲み屋に立ち寄る姿。
しんのすけが誕生し、みさえに小走りで会いに行く。
家ができ、段ボールを運ぶ姿。
深夜まで会社に居残り、操作慣れしていないパソコンに挑むもデータが飛ぶ。
電車に揺られ、寝落ちしそうになりながらもどうにか持ちこたえる。
しんのすけとひまわりと一緒に風呂に入り一杯やる家庭内の様子。
かつて自分の父親がそうしてくれたように、家族四人連れ添って自転車での外出。
果たして、人生の歩みの中で、確かに苦労はあっただろうが、それら全てを捨ててまで頑是なく子供のままでいる必要はあるのだろうか? 否、無い。
全てを思い出したひろしは泣きながらしんのすけの身体を抱きしめるのだが、そこにある現実は張りぼてだらけで出来損ないの無機質な部屋であり、とてもではないが、夢にあふれたものではない作り物にすらなっていない、偽物にすら劣る紛い物。
ひろしを正気に戻した後、みさえも同様に靴の臭いを嗅がせるのだが、二番煎じか、もしくは尺の都合上、あっさりとした感じで彼女も正気を取り戻すのだが、大人が子供の遊びに興じている様子を子供映像補正なしで垣間見ることになる。
ここにいては危険だと判断した野原一家は万博から逃げ出そうとする前に、ケンが現れ、アパートに案内。チャコは野原一家に茶を出すだけではなく、犬であるシロにまでミルクを出すほど、洗脳を行っていたトップの人間にしては少し意外な優しさを見せている。
どうしてもここから出るのかと尋ねるケンに、野原一家は断固として出ていくと誓言し、作り物とは思えない夕焼けの町中を走っていくのであった。この町もひろしがいた張りぼて同様、意図的に設計されたものであり、昭和初期か中期頃のモノである。
野原一家を留めさせるために、夕飯の知らせを伝える見ず知らずのおばさんなど、かなり強い精神攻撃を受ける中、「どうしてここは懐かしんだ」と涙ながらに言いながら、靴の臭いで何とか正気を維持する。
クルマを奪取して建物から野外に脱出し東京タワーを昇っていくのだが、イエスタディ・ワンスモアの人間が襲い掛かる。
ケンとチャコは日本各地に「なつかしい匂い」を拡散するスイッチを押すため、東京タワー内のエレベータで移動を行っていた。ひろしはエレベータのドアが閉まるのを邪魔し、「俺はつまらなくなんかない。家族のいる幸せをあんたらにも分けてやりたかったぜ」と言い放ち、意地でもドアから離れないひろしに対してチャッコは蹴りを入れようとするも、ミニスカ姿で足を上げたことが
「お〜モーレツ!」と(映画冒頭でしんのすけも言っていた)といい、ひろしはチャコに対して恥じる姿を「人間らしい表情になった」と述べるも、スカートを抑えた二度目の蹴りで遂にはドアから手を放してしまう。
その場に取り残されたひろしであるが、イエスタディ・ワンスモアの隊員からフルボッコの制裁を受ける中、「色は何だった!?」との声が聞こえるが聞き間違いではない。ハッキリ言っている。
「なつかしい匂い」の拡散を阻止するため、みさえ・ひまわり・シロ・しんのすけが東京タワー内を駆け上がっていくのだが、みさえはひまわりを抱きかかえたまま隊員たちの邪魔をし、シロも加勢するために追撃をかまし、ひまわりは赤子ながらも家族同様に攻撃を行っている。
一人残されたしんのすけであるが、みさえの「早く行って」の訴えでしんのすけはエレベータでグングン上昇していくチャコとケンの二人に視線をやりながら、階段を駆け上がっていくのであった。
東京タワーの階段を駆け上がっていくしんのすけであるが、しんのすけの顔をカメラで固定しグルグル周回しながら上へ目指す場面は、ひろしが正気に戻った時の回想と同じぐらい名場面である。
転んで鼻血が出ても、ボロボロになっても諦めず、遂には東京タワーの最上階にたどり着くのであるが、もうその頃にはフラフラの状態であった。子供だから体力が低いのは致し方ないとはいえ、大人でさえ疲労困憊するであろう幾多の階段を根性のみで駆け上がった姿は驚異的である。
途中でへばってもおかしくはないのだが、「なつかしい匂い」を拡散するスイッチを押そうとするケンにしんのすけは弾き飛ばされても、しがみつく。
なぜそこまで執着するのかと問うケンにしんのすけは、「喧嘩しても家族だから、両親と妹そしてシロと一緒にいたい」、「大人になったらきれいなおねえさんと付き合いたい」と、回帰逆行のソレとは違った『未来へ邁進する』純粋な発言をするのであった。
ケンはしんのすけを無視してボタンを押そうとするも、これまで東京タワー内で監視カメラを通じて、夕焼けのハリボテの町で、未来を守るため健闘していた様子に心打たれたのか、なつかしさのパロメーターは著しく下がっていた。
たとえボタンを押したとしても、対した効果が発揮できず不発に終わることを察知したそこで、ひろし・みさえ・ひまわりが集まってくるのだが、ケンは「未来を返す」と言った後、チャコと共に高所からの飛び降り自殺を図ろうとする。
しかし、しんのすけの「ずるいぞ!」の大声により驚いた鳥が二人に目掛けて飛び、しりもちをついたチャコは本心である「死にたくない」と述べ、事は未遂に終わるのであった。ケンは「二度も家族に邪魔された」らしいが、これは自殺未遂を一度は行っていたということだろうか? 昭和に拘っていた思想と関係しているかもしれないが、特に何も語られていないため、不明。
しんのすけは二人の行動を理解しておらず、皮肉にも成人の儀式であるバンジージャンプをしようとしていたと思っている。「ずるいぞ!」の発言は、このまま逃げるような形で死亡することを咎めたものではなく、単純に「楽しいことを独り占めすること」に、ずるいと述べただけである。
物語終盤、万博に幽閉された人々は洗脳から解放されたのか、それぞれが各々帰路につき、平和な日常を取り戻すことになる。
かくして、未来は守られたのであった。
【余談】
平成の時代が終わり令和となった昨今、子供から大人になった自分としてはかなり感慨深い作品である。
『ミュウツーの逆襲 レボリューション』のように(CGアニメーションではなく絵の方が良かったとの不満点はあるものの)、基本的に双方の作品は「今の子供達に向けて」発表されたモノであり、オトナ帝国は三丁目の夕日(個人的に薄っぺらく、懐かしむ感情を想起させるための映画でありメッセージ性皆無なので好きではない)とは真逆といっても過言ではない。
というかニンテンドーは、ポケットモンスター・スマブラ・どうぶつの森シリーズなどのように、基本的に今の時代の子供向け作品であるものの、大人の購入を視野に作品を作るのが非常にうまい。さすが、花札販売の老舗やでぇ……。
懐かしさもとい、童心に帰ることは決して悪いことではないが、何事においてもそうであるが度が過ぎる振舞いは危険である。
このブログは「懐かしいネタ」を主題にし、今回の記事内容の記載文とは矛盾点があるものの、昭和や若い頃なるノスタルジーに回帰しようとしている姿は、過去の例を持ち出しつつもソレが未来に繋がらないモノは単なる欠陥品。過去の栄華たる虚飾にしがみついている姿は滑稽でしかなく、単純なマウント取りのようにしか思えない。
結論として「過去が良かった」は今の時代の流れに適応できず、楽しむ余裕といった武器をなくし白旗誓言している敗北者のようにしか、感じられない。
今回は、未来につながることを期待して、『オトナ帝国の逆襲』を紹介させてもらいました。
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2020年05月14日
クレヨンしんちゃん『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』
クレヨンしんちゃん『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』とは、2001年に発表された作品。キャッチコピーは「未来はオラが守るゾ!」。
個人的にクレヨンしんちゃんの映画の中では、一、二を争うぐらい好きな映画であり、『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』と覇を競う。ちなみに三番目は『ロボとーちゃん』。アッパレ!戦国大合戦は単純に内容が楽しめるだけではなく、ちょっとした合戦における歴史の勉強になるのも良点。実写化は認めないし、求めてない。
余談だがこの映画を通して……というわけではないのだが、散々「昔はよかった」とバブル世代に言われ続けた自分自身としては、どれだけ耄碌してもその言葉は決して言うまいと鉄の意思で心に決めている。
たまに懐かしむ程度ならいいが、個人的に「昔はよかった」は都合の悪い部分を忘れ、過去を美化したようなものであり、未来へ向けて研鑽する人々の努力を侮辱している言葉のようにしか思えない。
【内容】
映画内容冒頭は「芸術は爆発だ」で有名な国際博覧会こと万博で、映画内容を撮影するシーンから始まる。特撮ビデオの撮影が終わった野原一家は次いで、母のみさえの「私の番ね」と魔法少女の方の撮影を行うのであった。
最初の方こそは楽しんでいたしんのすけであったが、子供時代の懐かしさにのめり込んでいく両親たちに反して、連日万博に足繫く通うにつれ、「退屈さ」を覚えるようになっていた。
しかし大人たちにとっては、子供時代のアニメやおもちゃなどが非常に魅力的なのか、街中ではレトロ車や音楽などが流れるなど熱狂し、やんわりながら衰退の気配を見せていた。
万博には大人たちが気兼ねなく楽しめるように子供が預けられる施設があり、そこにはかすかべ防衛隊のいつもの幼稚園メンバーが集っていた。マサオとネネちゃんいわく「両親たちの万博への乗り込みようは異常」と、子供ながらに趣味にのめり込み熱中するモノとは一種異なった異質さを感じ取っていた。
平成の現代において昭和のレトロ物品が横溢する中で、ある日、しんのすけが目覚めると、そこには豹変したみさえとひろしの姿があった。通常ならば、みさえは朝食を用意し、ひろしは出社するため身支度を整えるなどの準備をしているはずなのであるが、そういったことはせず、朝から大量の菓子とジュースを腹一杯貪り続けるのであった。この時点でイエスタディ・ワンスモアの洗脳が完了していると思われる。
いつもと異なる様子を見せる両親にしんのすけは困惑しながら、ひろしはガキ大将の様子を見せ、みさえもどことなく不機嫌ではなく険悪そうな表情を見せ、お菓子を食べ終えた後、双方ぐーすか眠る。最早二人は、義務や抑圧から解放された身体の大きな子供。
でも正味な話、人間ってどこからが大人なのか分からない部分があると思う。二十歳を迎えて成人式を迎えれば、便宜上『大人』にはなるだろうが、大人の条件というものは存在していない。ただ、国やらの保護が抜け自己責任が生じるだけではないだろうか。私は成人して長いこと経っているが、自分のことを大人だとは思っていないし、思えない。
アインシュタイン曰く「常識とは成人するまでに身に着けたコレクション」。いろんな人間がいるだけに石宝混合とはよく言ったものだよ。
さて話を戻して、しんのすけは混乱から抜け出せない中、ひまわりのおしめを変え一人で幼稚園に行く準備を進めていた。家の前で送迎バスを待つのだが、いつまで経っても来ることはなく、三輪車でひまわりをおんぶしたまま向かうことになる。
その道中、大人たちが乗ったトラックがしんのすけの傍を通過していくのだが、そこには憧れのナナコおねえさんがウキウキ顔で荷台に乗っているだけでなく、みさえとひろしさえも乗車しており、ちょっとした恐怖を覚える。
だって、幼児退行した大人がニッコニコ笑顔で、さして疑問に思わず連れていかれているのだから。普通に考える間でもなく、怖い。
大人たちのいなくなった春日部市で、かすかべ防衛隊の皆がしんのすけの家に集まり、「オトナだけの世界を作るのでは?」と疑問に思う中、テレビで放映されている内容は二重の意味で今の子供には分からないだろう大昔流行っていた、「シェー」などの内容が流れる。映像はカラーではなくシロクロであり、相当徹底した20世紀への回帰準備に向けての用意周到っぷりが垣間見える。どうでも良いが「シェー」はおそ松くんのイヤミが発祥だったんですね。てっきり芸人のソレが発だと思っていた。
その内、みさえとひろしが冷蔵庫の中身を全て食べ終えてしまったのか、空腹を覚えたかすかべ一行はコンビニに出かけるも、そこはガキ大将に占領された場所であった。バケツなどの道具を用いて、隙を見て店内に侵入し商品を入手するも食料入手は失敗に終わり、僅かなものしか手に入れることしかできなかった。
その後、しんのすけは通常ならば子供が入れないバーに行くことになるのだが、場に酔ったのかウーロン茶しか飲んでいないのにも関わらず、妙なテンションになっていた。小林幸子の「もう一度子供に戻ってみたい」のように、大人が子供になりたい願望を抱いているのに対して、子供が大人のように背伸びするのを表現しているバーでの描写は、対比的である。マサオくんは酒乱。
バーでの一見を終えた一行は、再びしんのすけの家に戻る。しかし真夜中、ラジオを聞いていたのだが、「子供を迎えにいく。大人と会える」との放送内容に不信感を抱いた皆は、デパートに逃亡することになる。実際、エスタディ・ワンスモアの目的は大人同様、20世紀に馴染むように洗脳が目的であるため、その勘は正しかった。しかも肉親ではなく、知らない親元で暮らすなどのオマケ付きである。余談になるが、映画初の視聴当時、「デパートで過ごすなんていいなぁ」と呑気に思ったが、割と同じ感想を抱いた人は多いのではないだろうか。
オトナ帝国の下っ端たちが「迎えに行く」といった放送内容を聞き入れず、街に残った子供たちを強引に狩っていくことになる。その中、デパート内にもオトナ帝国の下っ端が侵入していくのだが、出立時間に律儀にも目覚ましのアラームをセットしたしんのすけの所為で、かすかべ防衛隊は追い込まれていくことになる。
しんのすけ達を捕らえるため、すっかりエスタディ・ワンスモア側になったひろしとみさえが、ご褒美目当てで襲ってくるのだが、洗脳ではなく実子の記憶さえも失っていた。逃亡劇を繰り返す中、かすかべ一行はデパートの駐車場にあった幼稚園の送迎バスに乗り込み、エスタディ・ワンスモアの本拠地に向かうことになるのであった。
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2020年05月13日
魅力的なお兄ちゃん系キャラクター 3
最後に紹介するキャラクターは、鬼滅の刃の登場人物である黒死牟こと継国巌勝について紹介していく。
黒死牟(鬼時代)というより、巌勝(人間時代)をはじめに説明をつらつら書いていくことになるのだが、巌勝とは戦国時代の武家の家系で生まれた縁壱の双子の兄である。
武家などの跡継ぎ問題で双子が忌まれていたのは史実上でもあるように、弟である縁壱は、生まれつき額に痣があったことを含め父親に殺されそうになるも、母親の猛反発により、「10歳になれば僧侶にさせる」ことを条件に、半ば軟禁に近い三畳間といった部屋に幽閉されるような形で過ごす事になる。
縁壱の境遇を哀れんだ巌勝は(この憐憫の感情は後の黒死牟に度々散見される傲慢な態度に繋がるのだろうか?)、本来口が利けるのに一言も発さない弟に笛を渡し「何かあったら吹くように」と伝えるだけではなく、縁壱に密通していた事実がバレ、父親に殴られても会いに行くなど、それなりの兄弟愛は見せていた。
縁壱は常に母親の傍を離れずしがみつくなどの生活を送っていたが、巌勝がいくら挑んでも勝てなかった師範を、棒切れさえ振ったこともない剣道の超未経験者であるにも関わらず瞬殺し、自分とは次元の違う才覚に全身が焦げ付くほどの嫉妬心を覚えた。
更に追い打ちをかけるように、家の中の雰囲気は「巌勝ではなく縁壱に家を継がせる」などの雰囲気が出来上がっていたが、縁壱は兄の境遇を思ってか、継国家を出るも僧侶として出家することなく、後に妻となるうたとの生活を始める。
縁壱が鬼殺隊入ったのは、子を身ごもったうたを殺されたことがキッカケ。
そして話を先取る形になるが、縁壱は花札の耳飾りを付けており、一見、炭治郎の祖先だと思われがちであるが、血縁関係はない。むしろ、霞柱の無一郎と有一郎の双子が黒死牟の遠い子孫であり、竈門家が縁壱から継承したのは、耳飾りとヒノカミ神楽。
縁壱に対して激しい嫉妬の念を覚える巌勝であるが、縁壱が家を出ていた後、発覚した事実――縁壱は常に母にしがみついていたのだが、それは「透き通る世界」という、痣同様、相当な鍛錬と研鑽がなければ習得できないはずの能力を生まれた時点から習得していた。
「透き通る世界」は人間の筋肉や血液の流れなどを可視化できるもので、透視能力を通じて、縁壱はいち早く母の肉体の不調に気が付いていた。巌勝はその事実を亡き母の日記から知ることになるのだが、本来生真面目で責任感が強い性格ゆえか、母の病気に気付けなかった己に対して不甲斐なさと、そうして更に縁壱に対して不快感と嫉妬の念を募らせていくのである。
だが、怨毒の対象者である縁壱はすでに家出をしており、巌勝の周囲にはいないため、妻を娶り子を成すまで穏やかな日々が続いていたが、ある日、継国領に鬼が現れ、鬼殺隊の一員になっていた縁壱が鬼退治に向かい、偶発的に邂逅することになる。
幼い頃からもそうであったが、成人してもなお己の力量を更に超越した縁壱に、巌勝は忘れかけていた嫌悪と嫉妬、劣等感の感情を再発。
巌勝は弟を超えることで強固なほど燻ぶっていた劣等感を克服するために、妻と子、そうして本来自身が統治すべき領地を捨て鬼殺隊に入ることになるのだが、ここでもいくら鍛錬を重ねても、そして後に鬼化して老人となった縁壱に出会っても、兄が弟を超えることは、ついぞなかった。
鬼殺隊入籍時代、縁壱に対して「気味が悪い」と思いながらも教えを乞うなど柔軟な姿勢を示し、元々努力家なのか剣技を研鑽する努力を重ね、僅かな期間で月の呼吸と透き通る世界を会得。
しかし、あらゆる呼吸の始祖的存在である縁壱が習得しているのは日の呼吸であり、「日の呼吸以外のソレは単なる派生物であり、オリジナルではない。劣化コピー」であった。日の呼吸以外は、個々人に合わせて適切なものが発生している可能性があるかもしれないが、巌勝はそう思わなかった模様。
縁壱との超えられない力量の差と、日の呼吸を会得できなかったこと、そうして人格者といえるほどの弟の様子に、巌勝は更に深い嫉妬を覚えることになる。
更に悪感情に拍車を掛けるように、「呼吸法を会得して痣が出てきたものは25歳で死亡する」というリスクが存在していた。ちなみに縁壱は、何事においても例外的な存在であるため、老体するほど長生きしている。
既に成人し、残り少ない寿命の中、巌勝は縁壱を超えることが出来ないと焦燥に駆られる中、鬼舞辻無残と遭遇し「鬼となれば永遠の時を過ごせる」と鬼化の勧誘を受け、完全に敵側に回る。
人間(巌勝)から鬼(黒死牟)となった彼は、鬼舞辻の命令により細胞レベルでトラウマが刻まれた縁壱の呼吸法である「日の呼吸」を習得した鬼狩り(無残いわく異常者)の殲滅と、青い彼岸花の捜索、鬼狩りの本拠地の発見など様々な命令を下している。
痣者は25歳で死亡するなど短命であるため、怨毒の対象者である縁壱のいない(と思っていた)世界を過ごしていたのであるが、ある日突然、年老いた縁壱が黒死牟の前に現れた。
「お労わしや兄上」と涙ながらに黒死牟を殺そうとする縁壱であったが、老体であっても一切衰えることのない戦闘力に一方的に追い詰められる。死を覚悟した黒死牟であるが、首を斬られる寸前で、縁壱は寿命により死亡。
このまま縁壱の手によって斬首され死亡していれば、救いがあったかもしれないが、更に嫌悪の感情を募らせ、黒死牟からすれば勝手な結末を迎えた縁壱の肉体を斬りつける。その際、縁壱から幼い頃、黒死牟が幼い時に手作りで渡していた笛が出てくるのだが、笛を見た黒死牟は涙を流す。
黒死牟がこの時、何を思ったのか分からないが、恐らく強い後悔の念だと思われる。
そして、月日はながれ黒死牟はあのパワハラ上司・下弦の鬼を多く葬って来た鬼柱こと無残にビジネスパートナーなどと認識されるぐらい、信頼を置かれるほどの関係性を築いている。
後に無残は「日光克服のため増やしたくもなかった鬼」などとほざいているが、黒死牟は縁壱に対するコンプレックスを払拭してくれた存在として、敬愛の感情を抱いていた模様。
本作での本格的な登場は無限城であるが、鳴柱の一員である善逸の兄弟子である、桃先輩こと獪岳と遭遇している。獪岳は上弦の中でも数百年「壱」と君臨していたためか、規格外の強さを感じ取り、命乞いをする。黒死牟は獪岳に対して、一種のシンパシー(雷の呼吸・壱の型だけが使えなかったのに対して、善逸は壱の型だけしか使用できないなどの拗らせ)を感じ取ったのか、無残の元へ連れて行き、鬼化させるなどの行動を行っている。
獪岳は善逸の手により討伐されたものの、二人の師匠であった桑島慈悟郎は事前に弟子が鬼化したことを鴉の報せで知っていたのか、単独で切腹をし、相当な苦しみを味わって自害させている他、岩柱との因縁があるなど、獪岳は鬼殺隊に入る前からあまり褒められた性根ではない。
黒死牟が明確に姿を現した際、不死川兄弟、岩柱・悲鳴嶼行冥、霜柱・時透無一郎が退治することになる。黒死牟はこの時、獪岳同様、無一郎が遠い子孫であること理由に無残の元へ向かわせて、鬼化させようとしていた。
その際、本当に生真面目なのか、わざわざ止血してやるなどの面倒の良さを見せている。人間の身体は鬼と比べて脆いので当然といえば当然の処置であるが、縁壱や鬼関係を除けば人の好さがあるような気がする……。
その後の激闘で不死川弟は「対して強くない存在は注視されない隙」をついて、黒死牟の動きを封じるも、胴体を真っ二つに切断され死亡。不死川兄は稀血という特異体質による酩酊のカウンターを発動させ動きを鈍らせ、悲鳴嶼と無一郎などの総攻撃により、どうにか勝利することができた。
無限城の戦闘中、黒死牟は不死川兄弟や無一郎についてどこか思うところがあったのか、過去を思い出しながら戦っている。追い込まれていく中、身体から刃を生やすなど肉体変化させるものの、最終形態である鬼らしい――とはいっても、鬼の中でも異形というより単純に醜悪な姿になっている。目がいっぱいある時点で気付けよ、目玉のおじさん。その容姿を不死川兄の刀身に映った自分の肉体を視認した黒死牟は、こう思うのであった。
「縁壱のようになりたかった」と後悔の念を抱きながら、死亡する。
その時、縁壱が老人になっても後生大事に所持していた、かつて自分が造った、二つに切断された笛が転がるという何とも空しい最後を迎えたのであった。
まとめとして、黒死牟もとい巌勝は何かと自己責任と卑下の感情が強いキャラクターである。縁壱と比べて唯一勝っている点はコミュニケーションの能力であり、双方持っている天賦の才が違っていたのではないかと思われる。
劣等感ゆえ嫉妬と後悔の感情の果てに地獄に落ちた黒死牟であるが、縁壱という全てにおいて規格外で例外的な存在と競うことなく、諦めの感情を抱いていれば、兄としてかなり楽な人生を送っていただろう。
巌勝に対して、「長男だから耐えられる」は禁句。
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黒死牟(鬼時代)というより、巌勝(人間時代)をはじめに説明をつらつら書いていくことになるのだが、巌勝とは戦国時代の武家の家系で生まれた縁壱の双子の兄である。
武家などの跡継ぎ問題で双子が忌まれていたのは史実上でもあるように、弟である縁壱は、生まれつき額に痣があったことを含め父親に殺されそうになるも、母親の猛反発により、「10歳になれば僧侶にさせる」ことを条件に、半ば軟禁に近い三畳間といった部屋に幽閉されるような形で過ごす事になる。
縁壱の境遇を哀れんだ巌勝は(この憐憫の感情は後の黒死牟に度々散見される傲慢な態度に繋がるのだろうか?)、本来口が利けるのに一言も発さない弟に笛を渡し「何かあったら吹くように」と伝えるだけではなく、縁壱に密通していた事実がバレ、父親に殴られても会いに行くなど、それなりの兄弟愛は見せていた。
縁壱は常に母親の傍を離れずしがみつくなどの生活を送っていたが、巌勝がいくら挑んでも勝てなかった師範を、棒切れさえ振ったこともない剣道の超未経験者であるにも関わらず瞬殺し、自分とは次元の違う才覚に全身が焦げ付くほどの嫉妬心を覚えた。
更に追い打ちをかけるように、家の中の雰囲気は「巌勝ではなく縁壱に家を継がせる」などの雰囲気が出来上がっていたが、縁壱は兄の境遇を思ってか、継国家を出るも僧侶として出家することなく、後に妻となるうたとの生活を始める。
縁壱が鬼殺隊入ったのは、子を身ごもったうたを殺されたことがキッカケ。
そして話を先取る形になるが、縁壱は花札の耳飾りを付けており、一見、炭治郎の祖先だと思われがちであるが、血縁関係はない。むしろ、霞柱の無一郎と有一郎の双子が黒死牟の遠い子孫であり、竈門家が縁壱から継承したのは、耳飾りとヒノカミ神楽。
縁壱に対して激しい嫉妬の念を覚える巌勝であるが、縁壱が家を出ていた後、発覚した事実――縁壱は常に母にしがみついていたのだが、それは「透き通る世界」という、痣同様、相当な鍛錬と研鑽がなければ習得できないはずの能力を生まれた時点から習得していた。
「透き通る世界」は人間の筋肉や血液の流れなどを可視化できるもので、透視能力を通じて、縁壱はいち早く母の肉体の不調に気が付いていた。巌勝はその事実を亡き母の日記から知ることになるのだが、本来生真面目で責任感が強い性格ゆえか、母の病気に気付けなかった己に対して不甲斐なさと、そうして更に縁壱に対して不快感と嫉妬の念を募らせていくのである。
だが、怨毒の対象者である縁壱はすでに家出をしており、巌勝の周囲にはいないため、妻を娶り子を成すまで穏やかな日々が続いていたが、ある日、継国領に鬼が現れ、鬼殺隊の一員になっていた縁壱が鬼退治に向かい、偶発的に邂逅することになる。
幼い頃からもそうであったが、成人してもなお己の力量を更に超越した縁壱に、巌勝は忘れかけていた嫌悪と嫉妬、劣等感の感情を再発。
巌勝は弟を超えることで強固なほど燻ぶっていた劣等感を克服するために、妻と子、そうして本来自身が統治すべき領地を捨て鬼殺隊に入ることになるのだが、ここでもいくら鍛錬を重ねても、そして後に鬼化して老人となった縁壱に出会っても、兄が弟を超えることは、ついぞなかった。
鬼殺隊入籍時代、縁壱に対して「気味が悪い」と思いながらも教えを乞うなど柔軟な姿勢を示し、元々努力家なのか剣技を研鑽する努力を重ね、僅かな期間で月の呼吸と透き通る世界を会得。
しかし、あらゆる呼吸の始祖的存在である縁壱が習得しているのは日の呼吸であり、「日の呼吸以外のソレは単なる派生物であり、オリジナルではない。劣化コピー」であった。日の呼吸以外は、個々人に合わせて適切なものが発生している可能性があるかもしれないが、巌勝はそう思わなかった模様。
縁壱との超えられない力量の差と、日の呼吸を会得できなかったこと、そうして人格者といえるほどの弟の様子に、巌勝は更に深い嫉妬を覚えることになる。
更に悪感情に拍車を掛けるように、「呼吸法を会得して痣が出てきたものは25歳で死亡する」というリスクが存在していた。ちなみに縁壱は、何事においても例外的な存在であるため、老体するほど長生きしている。
既に成人し、残り少ない寿命の中、巌勝は縁壱を超えることが出来ないと焦燥に駆られる中、鬼舞辻無残と遭遇し「鬼となれば永遠の時を過ごせる」と鬼化の勧誘を受け、完全に敵側に回る。
人間(巌勝)から鬼(黒死牟)となった彼は、鬼舞辻の命令により細胞レベルでトラウマが刻まれた縁壱の呼吸法である「日の呼吸」を習得した鬼狩り(無残いわく異常者)の殲滅と、青い彼岸花の捜索、鬼狩りの本拠地の発見など様々な命令を下している。
痣者は25歳で死亡するなど短命であるため、怨毒の対象者である縁壱のいない(と思っていた)世界を過ごしていたのであるが、ある日突然、年老いた縁壱が黒死牟の前に現れた。
「お労わしや兄上」と涙ながらに黒死牟を殺そうとする縁壱であったが、老体であっても一切衰えることのない戦闘力に一方的に追い詰められる。死を覚悟した黒死牟であるが、首を斬られる寸前で、縁壱は寿命により死亡。
このまま縁壱の手によって斬首され死亡していれば、救いがあったかもしれないが、更に嫌悪の感情を募らせ、黒死牟からすれば勝手な結末を迎えた縁壱の肉体を斬りつける。その際、縁壱から幼い頃、黒死牟が幼い時に手作りで渡していた笛が出てくるのだが、笛を見た黒死牟は涙を流す。
黒死牟がこの時、何を思ったのか分からないが、恐らく強い後悔の念だと思われる。
そして、月日はながれ黒死牟はあのパワハラ上司・下弦の鬼を多く葬って来た鬼柱こと無残にビジネスパートナーなどと認識されるぐらい、信頼を置かれるほどの関係性を築いている。
後に無残は「日光克服のため増やしたくもなかった鬼」などとほざいているが、黒死牟は縁壱に対するコンプレックスを払拭してくれた存在として、敬愛の感情を抱いていた模様。
本作での本格的な登場は無限城であるが、鳴柱の一員である善逸の兄弟子である、桃先輩こと獪岳と遭遇している。獪岳は上弦の中でも数百年「壱」と君臨していたためか、規格外の強さを感じ取り、命乞いをする。黒死牟は獪岳に対して、一種のシンパシー(雷の呼吸・壱の型だけが使えなかったのに対して、善逸は壱の型だけしか使用できないなどの拗らせ)を感じ取ったのか、無残の元へ連れて行き、鬼化させるなどの行動を行っている。
獪岳は善逸の手により討伐されたものの、二人の師匠であった桑島慈悟郎は事前に弟子が鬼化したことを鴉の報せで知っていたのか、単独で切腹をし、相当な苦しみを味わって自害させている他、岩柱との因縁があるなど、獪岳は鬼殺隊に入る前からあまり褒められた性根ではない。
黒死牟が明確に姿を現した際、不死川兄弟、岩柱・悲鳴嶼行冥、霜柱・時透無一郎が退治することになる。黒死牟はこの時、獪岳同様、無一郎が遠い子孫であること理由に無残の元へ向かわせて、鬼化させようとしていた。
その際、本当に生真面目なのか、わざわざ止血してやるなどの面倒の良さを見せている。人間の身体は鬼と比べて脆いので当然といえば当然の処置であるが、縁壱や鬼関係を除けば人の好さがあるような気がする……。
その後の激闘で不死川弟は「対して強くない存在は注視されない隙」をついて、黒死牟の動きを封じるも、胴体を真っ二つに切断され死亡。不死川兄は稀血という特異体質による酩酊のカウンターを発動させ動きを鈍らせ、悲鳴嶼と無一郎などの総攻撃により、どうにか勝利することができた。
無限城の戦闘中、黒死牟は不死川兄弟や無一郎についてどこか思うところがあったのか、過去を思い出しながら戦っている。追い込まれていく中、身体から刃を生やすなど肉体変化させるものの、最終形態である鬼らしい――とはいっても、鬼の中でも異形というより単純に醜悪な姿になっている。
「これが侍の姿か?」
「鬼になって何百年も負けを認めず執着する姿は生き恥」
「生まれた時から、敗北者」
「縁壱のようになりたかった」と後悔の念を抱きながら、死亡する。
その時、縁壱が老人になっても後生大事に所持していた、かつて自分が造った、二つに切断された笛が転がるという何とも空しい最後を迎えたのであった。
まとめとして、黒死牟もとい巌勝は何かと自己責任と卑下の感情が強いキャラクターである。縁壱と比べて唯一勝っている点はコミュニケーションの能力であり、双方持っている天賦の才が違っていたのではないかと思われる。
劣等感ゆえ嫉妬と後悔の感情の果てに地獄に落ちた黒死牟であるが、縁壱という全てにおいて規格外で例外的な存在と競うことなく、諦めの感情を抱いていれば、兄としてかなり楽な人生を送っていただろう。
巌勝に対して、「長男だから耐えられる」は禁句。
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2020年05月12日
魅力的なお兄ちゃん系キャラクター 2
次に紹介するキャラクターは、るろうに剣心の作者である和月伸宏によって、2003年〜2005年に渡ってジャンプで連載された漫画「武装錬金」の登場人物である、蝶人パピヨンこと、蝶野攻爵である。
武装錬金で有名なのは連載打ち切り後アニメ化及びゲームなどメディア展開を遂げた事と、錬金術を世に知らしめたといっても過言ではない鋼の錬金術師のパクリではないかと一部の読者が騒ぎ立てていた点である。
錬金術は、ちょっとしたオカルトマニアなら誰でも知っているもので、深く突っ込んでいけば、四代元素を研究する中、現代の基礎となる化学への発展。賢者の石やカバラ思想における宗教(セフィロトやクリフォトの樹)、ゴーレムやホムンクルスなど、特にアニメやマンガに詳しくない人でも一度は耳にした経験があるのではないだろうか。
少し話がズレたが閑話休題、軌道修正して武装錬金の話に戻ると、その内容はジャンプらしくバリバリのバトルモノである。お世辞ながらにもストーリー及びキャラクターの多くは陳腐かつ既視感にあふれたものであり、全てにおいてかなり好き嫌いが分かれる作品。
今回紹介する蝶人パピヨンもそうであるが、彼が好きか嫌いかで作品を読む読まないかの判断が真っ二つに分かれるほど。個人的に最早、武装錬金はパピヨンのみでアニメ化に成功したのではないかと思えるほどである。私はパピヨン見たさで作品を読んでいたぐらいである。
さて、そんな武装錬金の連載の要であったパピヨンの紹介に移りたいと思う。
舞台は学園モノで、
むしろ、頭脳面では天才といえるほどのものであり、入学試験では全ての教科を満点で合格するレベルであるが、銀成学園高校の偏差値が不明かつ、学園の登場人物が赤点を取るなど、そこまで学力の高い学校ではないことが垣間見える。しかし、攻爵は作中終盤で二度と造れないといわれた物品を、研究データを基にしつつも独自に開発するだけではなく、ゲーム版では新しい元素(パピオニウム)を発見するなど、賢さは本物の様子。
そもそも前提的に、彼の実家は
少ない情報量を基にホムンクルスになる発明した攻爵であるが、その目的は病弱な肉体を捨てることにある。しかしホムンクルスになれば、人外になる存在としてよくありがちな設定であるが、人食いの衝動に襲われる。
それゆえホムンクルスを狩る存在として、ヒロインの津村トキコが学園内にホムンクルスを製造している犯人がいると踏んで、潜入捜査することになるのだが、攻爵の狡猾な立ち回りで見つからなかったが、トキコが犯人は「少なくとも数日間休んでいる」と踏み、職員室に忍び込み出席簿を確認することで、ようやく犯人が割れる。
銀成学園高校は寮制であり攻爵の寮室に行くと、ホムンクルス製造機があった。当然のことながらトキコは、攻爵の懇願を聞き入れず製造機を破壊しようとするが、本命前(自分用)の試験作として、ホムンクルスの幼体を寄生済みである鷲尾に邪魔され、機器の破壊は未遂に終わる。
それから攻爵は、ホムンクルスの幼体の入ったフラスコ片手に家に戻り、倉の中で過ごすも、蝶野家に訪れたカズキと対峙することになるが、二人とも満身創痍の状態なので名を叫び合ったところで両者、吐血。
それから間もなく、攻爵の双子の如くそっくりである次郎が倉に訪れるのだが、兄同様賢いのか、立ち聞きしただけの内容で状況を把握し、フラスコを破壊。黒服に拘束を命じさせて、自ら病身の兄をぶん殴る。
実はこの兄弟の仲は相当折り合いが悪く、攻爵が病気になる前まで弟は不遇の身の上であった。まず名前からして適当に命名され、兄が好待遇であるのに対して普通の学校に通学させる他、攻爵は冷遇される実弟には基本的に無関心であり(でも弟の自由さが少し羨ましかった可能性がある)、恨まれるのは当然だったりする。
フラスコから出た幼体のホムンクルスは、動物や人間に寄生していないと一日待たずして死亡してしまう。特に攻爵が造っていたホムンクルスの幼体は不完全な状態であり、みるみる衰えていくのであるが、攻爵の妄執じみた「来い!」の叫び声に共鳴するかのように、火事場のクソ力を見せて、攻爵に寄生するのであった。
ホムンクルスの幼体は脳に届かない限り完全な寄生できないが、いきなりマッハで額から寄生した幼体ゆえ、攻爵のホムンクルス化は早かった。そして次郎は「BBBBBBB」と進化キャンセルボタン連打したことだろうが、時すでに遅し、あらゆる意味で変態化は終了していたのであった。
演出なのか不明だが、ホムンクルス化したと同時に弾け飛ぶ服。
ブーメランパンツ一丁(蝶のデザイン入り)。
歓喜ゆえかハイテンションで蝶のマスクを装着する攻爵こと、パピヨン。
往来のホムンクルスの例にもれず人食いの衝動に襲われるのだが、ダイソンもびっくりな手の平の孔による吸引力によって、一番最初に実弟を食い、はじめての堪能した人間の味の感想をコーヒーの名言である「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い」を元にした食レポをしながら、黒服を捕食していく。
パピヨンは父親の元へ向かっていくのだが、その道中、大量捕食する人物を攻爵ではなく次郎だと認識されていた点であろう。たった数年で自分の存在が掻き消えたシリアスなシーンのはずなのにパンツ一丁と蝶マスクの所為で、泣いていいのか笑っていいのか最早分からないシュールな展開が続いていく。
そして遂に父親の元へたどり着いたパピヨンだが、父曰く、パン一姿が「素敵なルックスだ、次郎」だと賞賛後、黒服同様殺されてしまう。パピヨンの服装(?????)の褒め言葉だが、爆爵も色違いとは言えども、独特のセンスを有した全身タイツを渡していることから、とち狂ったファッションセンスは遺伝的なことが確信できる。
父親殺害後、パピヨンは実の父にさえ「次郎」と認識されていたことに、どこか思うところがあったのか、「自分を受け入れなかった世界を破壊する」ことを定めてしまう。要は人外による大量殺人が決行されるのだが、その前にカズキが現れる。肉体的に蝶☆サイコーなパピヨンであるが、戦闘中、生前抱えていた病魔が彼を襲う。
トキコ曰く「ホムンクルスの幼体を造る際、様々なアクシデント発生し不完全なモノだった」らしく、不死身の身の上でありながら生前の病気を抱えたまま生き続けなくてはいけなくなったなど、因果応報を甘んじることになった。
しかし、この不完全さはホムンクルスとして体力面や運動能力は低いものの、「人食い」をしなくて良いという、人間・ホムンクルスといった二つの存在から離れた第三の存在となる。ホムンクルスの人食いの衝動は公式的な設定としては、「人間に戻りたい願望」の現れであるらしいが、パピヨンの場合、心からホムンクルスになったので、人間に戻りたい未練などないなどの要素が加わっている。むしろ、この意識こそが人食いをしなくて良い要かもしれない。
死闘を繰り広げる中で、病魔により大幅な弱体化で敗北してしまうも、パピヨンを殺す際、謝罪されるも、唯一自分を見てくれた存在に対して、パピヨンがトドメを刺される前に発した言葉は
「謝るなよ、偽善者」
である。
個人的にこのシーンでパピヨンを好きになったのだが、結構突き刺さる言葉だと思う。
身体が霧散し死亡したかと思われたパピヨンであるが、祖先である爆爵により密かに助けられ、培養液みたいなものに浸って、コッソリ復活していた。パピヨン復活がなければ武装錬金は更に早く打ち切りの目にあっていたと思われる。
その後の展開におけるパピヨンは、爆爵と離反し、精神的ダメージは基本といわんばかりの能力によって苦戦するも、既にトラウマや劣等感などホムンクルス化する際に克服した彼は精神世界から自力で抜け出した。精神世界内でマスクを取られた際、「あ〜ん、待って〜」など、随所随所おかしいところがあるがパピヨンだから是非もないよネ。
その後の動向としては、ハイセンスすぎる水着を着用し海辺をざわつかせる、戦闘の桶を股間にぶら下げたまま両腕を腰に当てて闊歩する、「BINBIN」とか言いながら股間ズームインからの奇怪な動き、お嬢様学校では蝶々の妖精さんなど認識されるなど、人間時代では考えられないフレンドリーかつハイテンションっぷりを見せている。自重という言葉がないのか、やたらフリーダム。
ライバルであるカズキがヴィクター化なるホムンクルスとはさらに進化した人外になるなどの展開を迎えた時には失望の感情を隠せなかったが、彼を人間に戻すなどの貢献ぶりを見せている。
漫画のラストでは「蝶☆サイコー」と叫び、自己顕示欲が十二分に満たされたのか、自分を受け入れることのなかった世界を破壊するつもりなどなくなったのか、危険な行動を行うことはなかった。
というか、人殺しは家族と黒服だけにとどまっており、ゲーム版では自分の資産を投資して危険生物が出ないように配慮するなど、良心的な行動をしているだけではなく、ゲーム版の怒涛のネタバレになるが、カズキとトキコの子供を預けられ、男手一人で育てるなど初登場時どころか終盤でさえ考えられなかった驚きの事実が発覚する。
家族仲の折り合いは悪かったが、母にはきちんと財産分与するなど真っ当な行いをしている、変態であるがわりと常識人だったりする。
アニメ版では、EDはパピヨン一色に統一し乗っ取られるだけではなく、
パピヨンに対する愛はアニメ監督とパピヨンの声優であった
なお、ニコ動ではプリキュア5GOGOの六人目としてMAD動画が作られ、回を重ねるごとに違和感が仕事をしなくなる。むしろパピヨンがいないのが不自然なほどであり、完成度はかなり高い。
まとめとして、蝶人パピヨンは単なる敵役からダークヒーローと化したキャラであり、かなり癖と灰汁が強いものの、好きな人は好きなキャラクターである。
魅力的なお兄ちゃん系キャラについて紹介3に移る。
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2020年05月11日
魅力的なお兄ちゃん系キャラについて紹介
今回の記事は(個人的に)魅力的だと思ったお兄ちゃん系キャラクターについて紹介していきたいと思う。
紹介するキャラクターは3名に分かれており、犬夜叉の殺生丸・武装錬金の蝶人パピヨン・鬼滅の刃の黒死牟となる。何れも蝶人とは名乗っているとは言え、紹介するお兄ちゃん系キャラクターは全て『人外』である。そして何かと兄弟間で強弱の差こそあれども、拗らせ要素があるが、これは決して筆者の趣味ではない。趣味ではない。
【殺生丸について】
犬夜叉とは、高橋留美子により長い間
他の面々たる七宝は狐として変化の術の試験を受けたり、弥勒と珊瑚は結婚して子宝に恵まれるなど、奈落を倒した後、それぞれがそれぞれ幸せな未来を築いている。ワンピースみたいに終わることがないだろうなと個人的に思っていたので、完結したのは少し意外に思った。
なお、2020年5月には犬夜叉と殺生丸の子供達を主人公にした半妖の夜叉姫がアニメ放送されることが判明。秋ごろに放送予定。
****
殺生丸とは犬夜叉の登場人物の一人であり、セーラームーンみたいな三日月が額にある、白?銀髪の青年。基本的に無口であまり表情を見せない。ちなみに額の三日月は彼の母親からの遺伝なのか、御母堂の方にも(素直じゃない性格を含めて)遺伝している模様。年齢は人間に換算すると二十歳未満。
余談だが、白いもふもふを肩からぶら下げられている殺生丸だが、2ちゃんなどのネット上では成人式になると毎年、律儀といって言いほど「白いふわふわを付けた殺生丸のスレッド」が立てられる。
女性のツンデレの完成形がルイズなら、男性版の完成されたツンデレは殺生丸だと趙個人的に思っている。
犬夜叉との関係は、父親が同じで母親が異なるいわゆる異母兄弟の関係。
初登場当初、殺生丸は半妖の犬夜叉の存在に対して拒絶的であり、父親の遺品である鉄砕牙の奪い合いをしていたが敗北し、深手を負う嵌めになる。殺生丸は鉄砕刃を手に入れる前から天生牙を受け継いでいたが、力こそパワーな彼は生きたモノにダメージを与えられない天生牙を役立たずのなまくらと断定して、物理的な破壊力を有する刀の方を欲していた。
ちなみに理知的でクール風な殺生丸であるが、戦い方は実際脳筋的なスタイルであり、物語の終盤、巨大な犬化し肉体が雑魚妖怪に巻き付けられ縛られた際、邪見からは「小さくなった方がすり抜けられるのでは? 犬だけに頭が弱くなったのか(意訳)」と心中で呟かれている。なお、殺生丸は遅れながら人間の姿に戻り、雑魚妖怪を一蹴して薙ぎ払ったあと、邪見を睨み付けていた。
妖怪のほとんどが四魂の欠片を狙う中、殺生丸は戦国最強なためか、欠片を求めていない点が特徴。犬夜叉との闘いで腕を欠損し、爆砕牙の誕生と共にどういった理屈なのか分からないが、両腕を取り戻すことになる。ちなみにこの爆砕牙は傷を負わせた相手の肉体を徹底的に絶えず破壊するため、掠り傷でも致命傷になりうる。縁壱と対面して、トラウマのあまりポップコーンになった特級汚物こそ無残にはこうかはばつぐんの一品だろう。
本作での爆砕牙の主な活躍は異常な再生速度を有する奈落の本体に絶えずダメージを与え続けるなど、何気に一番の功労者だったりする。でも四魂を取り込んだ奈落にはあまり効果がなかった。
なぜ、父親は自分に役立たずの刀を貰ったのか疑問に思う中、非道な面が目立つ殺生丸に慈悲の心を持つことが狙いだったのか、りんと出会う中で徐々に冷酷な面は鳴りを潜めていくことになる。
りんと出会った当初、彼女は両親をオオカミに殺されており失語症の状態であった。しかし、りんは殺生丸に食べ物を届けるなどの献身的な行いをする中で、再びオオカミに食い殺される破目になる。その際、彼女の功労を報いたのか、それとも単純に天生牙の「正者は切れず、死者のみ攻撃可能」な性質の効果を知りたかったのか、りんの周囲に集っていた餓鬼を一刀両断し、りんを蘇生した。
りんの死亡と蘇りは作中で二度ほど行われているが、いくらチート的な能力を持つ天生牙とは言えどもザオラルが一人の人間に対して効果を発揮するのは、一回のみである。
冥府でのりんの死に、表情こそ出さなかったものの殺生丸はりんの死を悲しんでいるなど、情緒面が育っている。
二度目の死を迎えたりんは、殺生丸の母の持ち物である首飾りによって蘇生され事なきを終えたが、殺生丸の持つ慈悲の心はそれだけではなく、気絶した犬夜叉が冥府へ落ちた時、毛嫌いしていた弟を助けるため危険を承知の上、冥府に自ら進んで入りぶん殴って目覚めさせているなど、父親の思惑通りかなり優しくなっている。
なお、殺生丸の唯一といっても過言ではない弱点は、りんそのもので、彼女よりも前から同行していた邪見(殺生丸に勝手について来ただけだが)よりも、立場が上のような描写が度々散見される。下手をすれば邪見は移動用の妖怪である阿吽よりも立場が下なのではないかと思われがちであるが、以心伝心というべきか妙なところで気が合っている。
ちなみに邪見もりん同様、天生牙により蘇生させられており、幾度となく睨まれたり殴られたりしているものの、仲間?としての意識はある模様。
邪見も邪見で殺生丸が危うい目にあっても見捨てたりしないどころか、涙ながらに心配するなど、信頼関係はある様子。ドラマCDではりんに求婚する際、どのような言葉をかけて良いのか相談さえしている。
殺生丸は鉄砕牙に対する執着を捨てた後、奈落を追うことになるのだが、そんな旅の中、奈落一派の一人である神楽と出会うことになる。神楽は自由を望んでいるが、心臓を文字通り奈落の手中にあるため反発的な行動が出来なかった。神楽は殺生丸と出会う中で、最初は奈落を倒す利用価値のある道具として接触していたが、徐々に惹かれることになる。
神楽は奈落から自由になることが出来たが、彼女の心臓は瘴気により蝕まれ、解放されたといっても、残された時間は本当に少ないものであった。体感時間にするならば一時間にも満たないものかもしれない。
そんな中、奈落のにおいを犬特有の嗅覚で気配を察知し、殺生丸は花畑に向かうと、そこには瀕死状態の神楽がいた。彼女が死に逝き最後を看取った殺生丸であるが、神楽の死を侮辱した赤子(魍魎丸)に対して、「くだらないかどうかは、この殺生丸が決めること」など、明確にブチ切れている。ちなみに神楽の死は、38巻の中盤で辺りである(犬夜叉は全部で56巻)。ちなみに私は、殺生丸関係で、この話が一番好きである。
本作のラストでは、りんをかごめたちのいる楓の元に預け、人間か妖怪の世界に入るのかといった選択肢を与えていた。度々人里に訪れてはりんに豪華な着物を渡す殺生丸であるが、偶然彼を見かけたかごめからは「義兄さん」と大声で呼ばれ、メチャクチャ嫌そうな顔を見せた。犬夜叉の方も「義兄さん」発言には嫌な響きだったらしく、ちょっと引いている。
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2020年05月10日
ロマサガ3のレオニード2
ロマサガ3の内容について大まかに語ってきたが、本題であるレオニードについて語っていこうと思う。
レオニードの能力はかなり尖った能力を持っており、吸血鬼であるアンデットであることも手伝って回復技を使用することができない。しかし、相手が明らかに血の通っていないゆきだるまだろうが「吸血」なる技を使用すれば、ガツガツ血液を啜って仲間のHPを奪う形で回復する。
吸血鬼なのに煌々と太陽が照る砂漠だろうが問題なく移動できるが、なぜか炎には弱い。アンデットにも弱い。
HPが低く、戦闘で死亡した場合復活できないが、LP(死亡した仲間に攻撃があたれば減っていくパロメーターであり、カウントがゼロになれば事実上死亡し、パーティに加えることが出来ない)、元々その数値が0なので決して死亡することがなく、戦闘終了後、自動的に復活する。
四魔貴族すら魅了することが可能であり、スタン以外の状態異常が無効。
技のひらめき特性が小剣と剣であるが、本領発揮できるのは弓(死の弓をリスクなしで使用できる)であるが、器用さが低い。
ヤミーを倒した後、即戦力として使用できるが、全体的に成長のパロメーターが低い。
……などが挙げられ、個人的にロマサガ3の中で一番癖のあるキャラクターなのではないかと思われる。ツヴァイクトーナメントとヤミー撃退後、仲間にできるが使いやすさならば、明らかに、エレン・ボストン・ようせいの方が良いため、強さは魅力的であるもののパーティに参加させない人は多いかもしれない。
ちなみに聖杯を主人公が所持した状態であるならば酒場でパーティから外し、城で話し掛ければ何度でも仲間に入れることはできるが、レオニード本人に聖杯を所持させた状態でパーティから外すと二度と仲間になることはない。恐らく、これはレオニードの「聖杯の所持者には従う」という考えからきているものと思われる。
なお、故意でなければあり得ないミスであろうが、持ち物が一杯の状態だとヤミーを倒した後であっても、聖杯を受け取ることが出来ず、レオニードを仲間にすることが出来なかったりする。
レオニードの過去は不明だが、元は人間であったことが判明している。人間自体は赤髪ではなく黒髪であり、どことなくベルばらに出てもおかしくない見た目。しかし人間だった頃の記憶は、長い時間過ごした所為かほとんど覚えていないのだとか。
年齢は魔王と聖王のことを知っているだけではなく、面識があることから最低でも六百歳ほどと推測される。魔王はともかくロマサガ3内で聖王と面識があるのは、ゆきだるまと巨竜ドーラいった長寿の存在のみ。ちなみに巨竜ドーラの息子であるグゥエインは、ビューネイのことを快く思っていないらしく、共闘が可能。戦闘内容は結構、胸熱だったりする。
その他に、聖王三傑であるフェルディナントはモニカとミカエルの祖先であるが、フェルディナント(あるいはミカエル)とは遠い親戚関係である。そのため、モニカと初対面時、マスカレイドの使い手である「ヒルダよりも美しい」といった発言内容に裏付けが取れる。ちなみにフェルディナントは男性であり、ヒルダを妻として迎え入れている。
またロマサガ3の魅力は、洞窟寺院跡の深部でミイラの状態になった亡骸たちの前で「死の祈り」を捧げると出現する謎のボス・闇の聖母ガラテラの抱いている赤子(闇の赤子・ピグマリオン)に魔王説が囁かされている。ガラテラの抱いている赤子は「宿命の子」であるらしいが、魔王説は恐らくソレを後押ししているものだと推察できる。
公的な設定としては、作製陣からは「宿命の子の設定は特に定まっておらず」、宿命の子にしろ、魔王であったにしろ、考察の域は出ないので要注意。
ナジュ砂漠にある神王のイベントでは、マクシムスを倒すため上層部に昇る過程で、仲間が落とし穴に落ち、最終的にボス戦では最初主人公一人が戦うことになりつつも、ターン経過毎に途中脱落した仲間が集まっていく演出も熱い。
ギドラント町長の姦計に嵌められ、無事に脱出できた際の憮然とした「私が町長です」発言にいらっとするものの、リマスター版では殴ることができる。だが、怒りの拳から逃げられる。その上、度し難いのはスマフォ版では、ガチャで出て来る点であろう。正直な話、仲間にしたくないのですが……。
本作は町から町へ移動する際、平面移動が行われているがラスボスである破壊するものを倒した際、往来の地球と同じく球体のものに変化していく演出を見ることができる。ボストンのいた果ての島には滝のようなものが見えており、恐らく、亀やら巨人やらが円盤である地球を支えていた地球平面説が使われているものだと思われる。
また、舞台化もされており、ロマサガシリーズは相当なファンが多いことが窺える。舞台化、第三回目の「“SaGa THE STAGE 〜約束のマルディアス〜”」は2020年11月に上演が予定されている。
コロナウイルスの影響が収束していけば、予定通り11月に30周年記念を祝って催されるだろう。
世界的パンデミックのコロナが収束することを願って…。
舞台の公式HPはこちらから http://sagastage.jp/mardias/
東京公演は、2020年11月12日(木)〜16日(月) サンシャイン劇場
大阪公演は、2020年11月20日(金)〜23日(月・祝) サンケイホールブリーゼ
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2020年05月09日
ロマサガ3のレオニード
ロマサガ3とは1995年11月にスクエアから販売されたゲームであり、2010年9月からWii やXbox、プレステなどでリマスター版が配信されているゲームである。
また2018年、スマフォアプリ向けとして、300年後の世界が描かれた「ロマサガ・ユニバーサル」が配信されている。スマフォアプリであるだけに基本無料でガチャなどに課金要素があるものの、SSRの排出率はそこそこ高い。戦闘法はロマサガ1、2、3とほぼ同じであるが、ストーリーがまさかまさかの誰得展開であるヒロインのダイナミック妊娠など、古来のファンにはあまりオススメできるものではないかもしれない。
ロマサガ3の魅力としては、「バンガード発進」や「四魔貴族」などの戦闘BGMのかっこよさ、妄執すら感じる女敵キャラクターのやたら扇情的なドット絵、マスコンバットなどの本編をそっちのけで夢中になってしまうミニゲーム、ストーリー進行の自由度の高さ(特にエレン)、みなしね矢・巻き割りダイナミックなどの特徴的な技名、かっこいい技として(エフェクト演出を含め)乱れ雪月花などが挙げられる。
技の他にマストコンバットやトレードなど、本編そっちのけでミニゲームに熱中してしまったプレイヤーも多いかもしれない。
また癖の多いキャラも多く、ボストンやゆきだるま、ようせいなどの亜人パーティで固めてラスボスである破壊するものに挑むなど、プレイの進行の自由度が高いだけではなく、詩人などの一度仲間に加えたら外せないキャラクターがいるものの、独自に好みのキャラクターで固められる点も特徴的。がめつさなどの隠し要素がある上に、主人公の選択次第では仲間に出来ないキャラや、イベントもある。
今回の内容は仲間にする際、かなりの難易度を誇り、条件をクリアしたとしてもチョイミスを起こしたら絶対に仲間になってくれないキャラクター、レオニードについて紹介していきたいと思う。私は一度しか仲間にできなかった……。だってプレイ当時小学生低学年だったし、ゲームのシステムとかよく分からなかったのだもの。
まず、ロマサガ3のあらすじとして、300年に一度必ず発生する「死食」なるあらゆる生命体を死亡させる驚異的な日食が発生する。
しかし、恐らく二度目の600年前の死食では一人の赤子が唯一生き残り、死を跳ね返した存在として祝福されていた。だが、死の魅力に魅入られ、生き残った赤子は四魔貴族を配下にして「魔王」として君臨し、気まぐれで人々を苦しめていたが、世を支配するつもりはなかったのか消息不明となる。
それからまたしても300年後の三度目の死食で、一人の赤子が生き残る。人々は以前生き残った赤子が「魔王」として君臨することを恐れて迫害するものの、魔王とは異なり、死の魅力を退けるだけではなく、四魔貴族が元居た世界である「アビス」に追い返し封印する。魔王とは異なる偉業が人々から讃えられ、三度目の死食で生き残った赤子は「聖王」と呼ばれることになった。ちなみに聖王は女性であることが、最近明らかになった。魔王は男性。
そして本編である四度目の死食で、二人の赤子が生き残ることになる(サラと少年)。アビスから幻影という形であるものの、四魔貴族が現れ、世界は混乱することになる。世界の突如が崩れかかった世の中、ロアーヌで反乱が発生し、ミカエルの妹であるモニカはカタリナの協力を得て内乱の報せをミカエルに伝えるため密かに城から脱出。
悪天候の中、馬を走らせるモニカであるが途中で力尽き、偶然立ち寄った宿舎にいたユリアンやハリードに護衛を依頼して、ミカエルの元へ訪れる。
しかし、未だ内乱戦争真っ只中であり、内陣とは言えどもミカエルはモニカを手元に置いておくことは危険だと判断し、ハリードを仲間に迎え入れ、ユリアンたちに彼女を託す形で、吸血鬼の知人であるレオニードのいるポドールイの町から離れたところにある、レオニードの城へ行くよう命じられる。
レオニードの城へ行くのはそう難しくない(ポドールイの町到達直前、超高速で動くブルドックみたいな顔をした身体が青い竜巻みたいな奴がいるもののそれほどの強敵ではない)。
レオニードの城へ到着すると、さっそくレオニードと対面。
その際、モニカの美しさが讃えられている。しかしレオニードの城にはやたら女性モンスターが多く、ミカエルいわく「下手な人間より信用できる」との談だが、果たして本当にそうだろうか?
ちなみにレオニードはポドールイの町から若い娘を度々招き入れているが、女性系モンスターと、どういった関係があるのか不明……いや、不明というかそう深く考える間でもなく、吸血鬼という特性上から考えるに悲劇的な結果を迎えたことが容易に推測される。
レオニードに招かれるポドールイの町の住民は、帰ってこなかったであろう女性のことについて、一人を除いて疑問に思わず、招かれることを待望している。ゲームのラストでは唯一「レオニードに招かれたくない」と発言していた女性が城に現れ、吸血鬼化(もしくはモンスター化した)ものと思われる。
どこに下手な人間より信用できる要素があるんですかねぇ。
ちなみに、城から出た敷地内(城の壁)を調べると隠しアイテムがあったりするほか、強敵かつ多くのプレイヤーにトラウマを植え付けたレオニード城地下ダンジョンのラスボスといっても過言ではないヤミーがいるものの、相当な時間と技のひらめきを駆使すれば、ツヴァイクトーナメントで優勝しなくても、聖杯を手に入れることが可能である。
ヤミーの他にツヴァイクトーナメントの優勝も難しく、多くのプレイヤーは第一の壁であるゴブリンズ(強)で脱落し、何度もリトライした経験があるだろう。しかし、アスラ道場なみに技のひらめきが優秀なため、それほどレベルが高くない内に参加するのも有りである。
モニカを主人公にした場合、トーナメントに出場できないが、彼女が仲間であった場合は問題なく参加することができる。どうでも良いが、ツヴァイクの家の中でずっと寝ている赤毛の人間とはどういった関係があるのだろうか。
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また2018年、スマフォアプリ向けとして、300年後の世界が描かれた「ロマサガ・ユニバーサル」が配信されている。スマフォアプリであるだけに基本無料でガチャなどに課金要素があるものの、SSRの排出率はそこそこ高い。戦闘法はロマサガ1、2、3とほぼ同じであるが、ストーリーがまさかまさかの誰得展開であるヒロインのダイナミック妊娠など、古来のファンにはあまりオススメできるものではないかもしれない。
ロマサガ3の魅力としては、「バンガード発進」や「四魔貴族」などの戦闘BGMのかっこよさ、妄執すら感じる女敵キャラクターのやたら扇情的なドット絵、マスコンバットなどの本編をそっちのけで夢中になってしまうミニゲーム、ストーリー進行の自由度の高さ(特にエレン)、みなしね矢・巻き割りダイナミックなどの特徴的な技名、かっこいい技として(エフェクト演出を含め)乱れ雪月花などが挙げられる。
技の他にマストコンバットやトレードなど、本編そっちのけでミニゲームに熱中してしまったプレイヤーも多いかもしれない。
また癖の多いキャラも多く、ボストンやゆきだるま、ようせいなどの亜人パーティで固めてラスボスである破壊するものに挑むなど、プレイの進行の自由度が高いだけではなく、詩人などの一度仲間に加えたら外せないキャラクターがいるものの、独自に好みのキャラクターで固められる点も特徴的。がめつさなどの隠し要素がある上に、主人公の選択次第では仲間に出来ないキャラや、イベントもある。
今回の内容は仲間にする際、かなりの難易度を誇り、条件をクリアしたとしてもチョイミスを起こしたら絶対に仲間になってくれないキャラクター、レオニードについて紹介していきたいと思う。
【内容】
まず、ロマサガ3のあらすじとして、300年に一度必ず発生する「死食」なるあらゆる生命体を死亡させる驚異的な日食が発生する。
しかし、恐らく二度目の600年前の死食では一人の赤子が唯一生き残り、死を跳ね返した存在として祝福されていた。だが、死の魅力に魅入られ、生き残った赤子は四魔貴族を配下にして「魔王」として君臨し、気まぐれで人々を苦しめていたが、世を支配するつもりはなかったのか消息不明となる。
それからまたしても300年後の三度目の死食で、一人の赤子が生き残る。人々は以前生き残った赤子が「魔王」として君臨することを恐れて迫害するものの、魔王とは異なり、死の魅力を退けるだけではなく、四魔貴族が元居た世界である「アビス」に追い返し封印する。魔王とは異なる偉業が人々から讃えられ、三度目の死食で生き残った赤子は「聖王」と呼ばれることになった。ちなみに聖王は女性であることが、最近明らかになった。魔王は男性。
そして本編である四度目の死食で、二人の赤子が生き残ることになる(サラと少年)。アビスから幻影という形であるものの、四魔貴族が現れ、世界は混乱することになる。世界の突如が崩れかかった世の中、ロアーヌで反乱が発生し、ミカエルの妹であるモニカはカタリナの協力を得て内乱の報せをミカエルに伝えるため密かに城から脱出。
悪天候の中、馬を走らせるモニカであるが途中で力尽き、偶然立ち寄った宿舎にいたユリアンやハリードに護衛を依頼して、ミカエルの元へ訪れる。
しかし、未だ内乱戦争真っ只中であり、内陣とは言えどもミカエルはモニカを手元に置いておくことは危険だと判断し、ハリードを仲間に迎え入れ、ユリアンたちに彼女を託す形で、吸血鬼の知人であるレオニードのいるポドールイの町から離れたところにある、レオニードの城へ行くよう命じられる。
レオニードの城へ行くのはそう難しくない(ポドールイの町到達直前、超高速で動くブルドックみたいな顔をした身体が青い竜巻みたいな奴がいるもののそれほどの強敵ではない)。
レオニードの城へ到着すると、さっそくレオニードと対面。
その際、モニカの美しさが讃えられている。しかしレオニードの城にはやたら女性モンスターが多く、ミカエルいわく「下手な人間より信用できる」との談だが、果たして本当にそうだろうか?
ちなみにレオニードはポドールイの町から若い娘を度々招き入れているが、女性系モンスターと、どういった関係があるのか不明……いや、不明というかそう深く考える間でもなく、吸血鬼という特性上から考えるに悲劇的な結果を迎えたことが容易に推測される。
レオニードに招かれるポドールイの町の住民は、帰ってこなかったであろう女性のことについて、一人を除いて疑問に思わず、招かれることを待望している。ゲームのラストでは唯一「レオニードに招かれたくない」と発言していた女性が城に現れ、吸血鬼化(もしくはモンスター化した)ものと思われる。
ちなみに、城から出た敷地内(城の壁)を調べると隠しアイテムがあったりするほか、強敵かつ多くのプレイヤーにトラウマを植え付けたレオニード城地下ダンジョンのラスボスといっても過言ではないヤミーがいるものの、相当な時間と技のひらめきを駆使すれば、ツヴァイクトーナメントで優勝しなくても、聖杯を手に入れることが可能である。
ヤミーの他にツヴァイクトーナメントの優勝も難しく、多くのプレイヤーは第一の壁であるゴブリンズ(強)で脱落し、何度もリトライした経験があるだろう。しかし、アスラ道場なみに技のひらめきが優秀なため、それほどレベルが高くない内に参加するのも有りである。
モニカを主人公にした場合、トーナメントに出場できないが、彼女が仲間であった場合は問題なく参加することができる。どうでも良いが、ツヴァイクの家の中でずっと寝ている赤毛の人間とはどういった関係があるのだろうか。
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