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2016年08月28日
「昭和四十六年、群馬の春 大久保清の犯罪」ビートたけし佐藤慶
大久保清連続殺人事件である。大久保は画家を偽装して次々に女性を強姦して殺し遺体を埋めた稀代の殺人鬼である。
「昭和46年大久保清の犯罪」は、1983年当時人気絶頂のビートたけしを起用して大久保の内面を描いたTBS製作の
テレビドラマである。
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当時のたけしはコメディアンとしては認められていたが俳優としては未知数で大久保役には局内でも異論や反対が
あったらしい。
大久保の普段の物腰の柔らかさと凶暴性という一種の二重人格を演じるのはかなり難しく思われたが結果として
たけしを起用したのは正解だった。この偏執狂的な大久保の性格をたけしは見事に演じているのである。
ドラマは昭和46年の群馬で21歳の瀬間宏子(手塚理美)が行方不明となり鉄工所を経営している兄が心配して
警察に捜索願いを出すが警察が動かず瀬間の兄は仲間と手分けして車で捜索を始める。
その中で大久保清という36歳の不審人物が浮かび上がったのである。
大久保は府中刑務所から出てきたばかりの犯罪の常習者で、強姦や恐喝などで何度か逮捕服役していたのだ。
大久保は離婚した妻との復縁を願っていたが拒否され、親に買ってもらったスポーツカーで道行く女性に声をかけて
強姦や殺人を繰り返していた。しかし警察に逮捕されても大久保は容易に殺人については口を割らず取り調べに
あたった黒田警部(佐藤慶)も手を焼いていた。しかし黒田はなんとか大久保とコミュニケーションを取ろうと
大久保が自費出版した詩集まで読んで大久保の心の深層に近づこうとしたのだ。
やがて大久保も黒田に心を開き少しづつ犯行についてしゃべりはじめる。大久保は母親に溺愛されぼくちゃんと
呼ばれ育てられたが父親には元嫁を強姦されるなど折り合いが悪かった。黒田は大久保の家庭環境の悪さに
犯罪の種があるのではと考えたが大久保の自供でついに一人目の遺体が見つかった。
だがこれは氷山の一角でわかった殺人だけでも8件あり、ドラマの中でもたけし演じる大久保はまだ他にもある
ようなことをほのめかしている。たけしもかなりのマザコンであることを告白しているがそこが大久保と共通していて
好演につながった面がある。最後には黒田警部も大久保の狂気に頭を抱えていたが恐ろしいモンスターも
いたものだ。大久保は1976年死刑になっている。
しかし大久保のナンパテクニックは偏執的で何度断られてもめげずに何人にも声をかけるのは真似できないものが
ある。ベレー帽をかぶり画家を自称して言葉巧みに女性に近づき強姦する色魔である。
そして大久保はわずか2か月足らずでわかっただけでも8人も殺害しているのだ。
原作は筑波昭の「昭和四十六年、群馬の春 大久保清の犯罪」。DVDは未発売だがVHSは出ている。
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2016年08月27日
「新選組1969年三船敏郎、北大路欣也、三国連太郎、
幕末の世情騒然とする文久年間、武州多摩の剣術道場の師範である近藤勇(三船敏郎)は京都の治安維持のため
幕府の浪士隊の結成に、仲間の土方歳三(小林桂樹)や弟子の沖田総司(北大路欣也)らとともに応募する。
近藤はさっそく仲間と上洛するが京都へ着くとリーダーの清河八郎は江戸へ帰り勤王のための部隊を作ることを宣言する。
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話が違うので近藤一派は清河とは袂を分かち、同じく水戸天狗党の残党の芹沢鴨らも清河と分かれる。
しかし残ったものたちは最初の志通りに京都に残り京都防衛のため浪士隊を結成することにした。
そして近藤は京都守護の会津藩と話しをつけて後ろ盾になってもらったのである。
本格的に新選組を旗揚げすることで人数が必要なので、近藤は市中から新しい隊員を募集したのだ。
その中には商人出身で剣はダメだが算盤が得意の河合耆三郎(中村嘉葎雄)がいた。河合はあっさり入隊を
断られるが食い下がり入隊を許可されたのである。
新選組はめでたく結成されたがしかし無宿人の集まりのようなもので、近藤とともに局長をやっていた芹沢(三国
連太郎)の乱暴狼藉はひどく酒に酔っては町人を無礼うちにする無法ぶりに京都人たちは眉をひそめた。
このままで隊の存続が危ういと見た近藤は、芹沢を血の粛清をして取り除く。ここに多摩以来同志の近藤一派の
新選組支配が確立する。
だがまだまだ新選組は世間に認められたとはいいがたい日が続いたある日、監察の探索で長州藩が京都に
火を放ちどさくさにまぎれて天子様を奪い長州へ拉致しようとする陰謀を突き止めた。
長州浪士の会合は祇園祭の夜、京都の旅籠池田屋で行われることがわかったが当日頼りの会津は、近藤の
依願にかかわらず出兵しようとはしなかった。業を煮やした近藤はわずかの手勢を引き連れて池田屋へ
向かう。その中には沖田と河合もいたのだである・・・
物語は伊東甲子太郎一派の分派行動と暗殺、近藤への御陵衛士の襲撃、禁門の変、鳥羽伏見、
甲陽鎮部隊の活躍、流山での近藤の遭難と板橋の処刑までが描かれる。わずか2時間ほどの作品の中に
これだけのエピソードを盛り込むのでかなり大急ぎで進んでいくがなかなか見どころのある映画である。
しかしやはり三船が出てくると映画も重厚なものになる。近藤夫人の役は「大忠臣蔵」で共演した司葉子である。
それにしても河合の最後は哀れでむごたらしい。新選組の存在は簡単に善悪を決めつけることはできないが
内ゲバが多すぎる。内部粛清がこれほど多い組織もなかなかない。私なら絶対入りたくないと思う。
音楽は佐藤勝、監督は沢島忠。製作は三船プロと東宝である。このころはスターがプロダクションを持って映画
製作することが多かったが今そんな俳優はほとんどいない。石原プロの渡哲也ぐらいだろうか。
また沖田が薩摩の鉄砲隊の集中射撃で撃ち殺されたり、伊東が近藤に斬殺されたり史実とかなり異なる
箇所がある。
2016年08月25日
「実録三億円事件時効成立」岡田裕介、小川真由美、金子信雄
犯人が捕まらずに逃げおおせたことから今なお語られる伝説的な事件である。
東映が1975年に創った「実録3億円事件時効成立」は、その年の12月に時効目前になったタイミングを狙って
東映が製作した映画である。
清水一行の「時効成立」を原作に事件の骨子はそのままに、主人公の犯人の軌跡は創作である。
競馬狂いの西原房夫(岡田裕介)は、会社の金を使い込み窮地に立たされるが、愛人の孝子(小川真由美)に金を借り
て返済しなんとかムショ行きだけは助かった。
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だが苦しい生活を送る中で、西原は一発逆転を狙って現金強奪を計画する。まず多摩農協に脅迫状を
送りつけるがこれは陽動作戦で、本当のターゲットは日本信託銀行であった。
西原の狙いは東芝府中工場で支給される従業員のボーナス3億円を日本信託銀行国分寺支店から東芝府中工場
へ輸送される車を狙って現金を奪い取る計画である。
西原は計画の準備のために、トランジスターメガホンを盗み、徽章をアメ横で入手し、衣裳も故買屋から買った。
また白バイを偽装するために、ヤマハスポーツバイクや逃走用のカローラなどを次々に盗みだし、スポーツバイク
やヘルメットも白に塗装して準備工作は入念に行ったのである。
そして伏線を張るために国分寺支店を爆破する脅迫電話をかけて、何があってもおかしくないように思わせるためあら
かじめ仕込んでいたのである。そして事件当日府中刑務所の通りの道路を日本信託の現金輸送車が横切ったとき、
1台の白バイが輸送車を停止させた。白バイ警官になりすました西原だった。西原は車に爆弾が仕掛けられている
から降りるように行員に指図すると車の下にもぐりこんだ。西原が発煙筒を仕掛けて煙を出すと行員たちが驚いて
車を置いて逃走した。西原はセドリックの輸送車のスターターキーを回してエンジンをかけてそのまま逃走した。
そしてあらかじめカローラを隠しておいた空き地へ車をすべりこませジェラルミンのトランクから現金を移し替えて
逃走したのだ。西原は現金は墓場に隠し見事逃げおおせたかに見えたが、葛城刑事(金子信雄)だけは犯人逮捕に
執念を燃やしていた・・・
この3億円事件はその計画性や陽動作戦の見事さなど推理小説の展開を思わせる事件である。
犯人はある種の快盗と言っていいかもしれない。一説によると事件は公安の自作自演で、過激派取り締まりのための
やらせだという話もある。しかし犯人は単独犯なのだろうか。今生きていたらどこで何をしているのか事件の真相を
聞いてみたいのは私だけではあるまい。盗まれた3億円は昭和43年当時だから今の貨幣にすると10億円を
超えるだろう。この映画では犯人はいかにもだらしない人間に描かれているが、これだけ緻密で大胆な犯行を実行
できるのだから並の犯罪者ではあるまい。今頃どこかで実業家にでもなり高笑いしているかも知れない。
映画の冒頭のインタビューでこの事件の刑事だった平塚八兵衛が出ている。主演の岡田裕介は俳優を引退し
東映グループの総帥となっている。監督はカルトの帝王石井輝雄。
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2016年08月23日
「ザパシフィック」スピルバーグ、トムハンクス、太平洋戦争
本作は第62回エミー賞を受賞している。プロデューサーはスピルバーグと俳優のトムハンクスとゲーリーゴーツマン
が担当している。原作は元海兵隊のユージンスレッジの「ペリリユー沖縄戦記」と同じくロバートレッキーの回想録
を基にしている。
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ストーリーはガダルカナルから始まり、メルボルンでの滞在、グロスター、ペリリユー、硫黄島、沖縄と海兵隊の
転戦と日本の降伏までが描かれる。
あくまでアメリカ側の視点で描かれているので、日本兵はあまり顔を見せない。ガダルカナルでは銃剣突撃して
くる日本兵がアメリカの機関銃掃射で人形のようになぎ倒される。
日本人をジャップ呼ばわりしたり、スラントアイ(釣り目)とののしったり日本人から見れば気分のいいものではない。
またペリリユーでは、掩体壕に立てこもった日本兵が火炎放射器で焼き殺され、日本の戦車も相手のバズーカで
炎上するなど見ているのがつらくなる。
しかし海兵隊にとっても日本兵は決して闘うのが楽な相手ではなかったのはよくわかる。
戦闘の恐怖で夜尿症になる隊員や気が狂って、独房に押し込められる海兵たちが描かれているのだ。
また海兵隊がなぜジャップは降伏しないのかと疑問に思うのは恐怖の裏返しである。
日本兵の攻撃に頭がおかしくなり、無防備で飛び出す兵隊や憎しみで日本兵を虐待しようとするアメリカ兵の
姿も描かれている。アメリカ海兵隊たちが残虐な攻撃をしたのも日本兵という彼らからすれば得体のしれない
敵に対する恐怖が大きかったのだと思うのである。
いつ果てるとも知れぬ戦争で海兵隊員たちは、泥まみれほこりまみれで戦い死んでゆく。
最後に沖縄戦を終えて日本に新型爆弾が投下されて日本降伏のニュースを隊員たちが聞くが
白けた感想しか漏らさない。作品のトーンは最後まで暗くそれは海兵隊の戦いはそれだけ過酷だったと言える。
ロバートレッキーを演じるのは、ジェームズバッジデール、ユージンスレッジ1等兵を演じるのはジョゼフマゼロ
である。
しかし戦争がつらいのは日本人もアメリカ人も同じである。アメリカを美化していないのがこの戦争ドラマの
いいところと言える。戦闘シーンも迫力はあり太平洋戦線を知る教科書として見る価値はある。
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2016年08月05日
「やくざの墓場くちなしの花」渡哲也深作欣二梶芽衣子
同じテイストで作られた作品である。
ただし主人公の黒岩竜(渡哲也)はやくざではなく、大阪府警?をモデルにしたと思われる4課の刑事である。
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関西大組織の山城組と大阪ミナミを中心とした小組織西田組との抗争を軸に、西田組担当となった黒岩の
活動を中心に描かれている。作品の冒頭からサングラスのチンピラが、西田組の若い衆に焼きを入れるところ
から始まるのだが、このチンピラが潜入捜査をしている4課の黒岩刑事であった。黒岩の取り調べは警官とは思えない
苛烈なもので若い衆は容赦なく鉄拳やけりで半殺しにされるのだ。
黒岩の単独行動は府警の幹部からも警戒され黒岩は孤立していた。実は黒岩は何年か前に暴力団幹部のヤサに
踏み込んだ時相手を射殺したことがあったのだ。
しかも幹部の情婦を黒岩は同情から面倒を見て、今は愛人にしていたのである。
そして黒岩は西田組の若い衆を痛めつけたことで西田組幹部の岩田(梅宮辰夫)の怒りを買い、報復で殴り倒された
のだ。
岩田は一本気な男でキックボクシングジムの会長でもあった。しかし黒岩と岩田は何度か衝突するうちに
奇妙な友情が芽生えいつか兄弟杯を交わすようになる。しかも西田組幹部で今は服役している男の女房
啓子(梶芽衣子)と黒岩は恋仲になってしまう。黒岩は西田組といつしか抜き差しならぬ関係になっていく。
しかし府警本部は裏で山城組とつながっていて西田組壊滅作戦を決定していたのだ。
警察の中で孤立し西田組壊滅を進まねばならない黒岩は苦境に立つが、山城組傘下の山光興業に捕まり
黒岩はドイツで開発された自白剤スコポラミンを討たれて岩田のヤサをしゃべってしまう・・・
渡以外の警察幹部に大島渚や金子信雄、室田日出夫らが扮し暴力団よりワルに見える。
この映画はまたただのやくざ映画ではなく、在日民族問題も扱っていて深い。しかし警察と暴力団の癒着は
相当なもので脚本を担当した笠原和夫も書けないことがかなりあったらしい。
東映実録もの全盛期の映画で今ではこの水準の作品を作るには難しいだろう。
なお主題歌の「くちなしの花」は当時渡が歌ってヒットしたもので映画とは直接の関係はない。
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2016年08月04日
「幕末1970年作品」中村錦之助、吉永小百合、伊藤大輔、
伊藤大輔が監督して作った幕末ものである。
伊藤監督にとってはこの作品が最後の映画となった。
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時は幕末、土佐藩では上士と下士の対立が激しく、特に下士は上士から激しく差別されていた。
あるとき下士が上士からささいなことで切り殺されて憤激した下士が反撃して槍で突き殺した事件があった。
結局下士(古谷一行)は責任をとって切腹する。この理不尽さに下士の坂本龍馬 (中村錦之助)は土佐藩を脱藩するこ
とを決意する。土佐藩ではこのころ旧態依然とした上士がのさばり、下士の武智半平太を中心とした土佐勤王党と
激しく対立していた。竜馬はそんな土佐での小競り合いに嫌気が差し江戸へ出る。開国派の幕臣勝海舟を
斬るつもりで面会するが、勝の広い視野と学識に感銘を受けた竜馬は勝に弟子いりして海洋技術を学ぶようになる。
その後竜馬は長崎に渡り貿易商社亀山社中を起こす。
しかし饅頭屋出身の近藤が勤王党同志の叱責を受けて殺されてしまう。
失望する竜馬だったが時代は大きく激動して、竜馬は対立する薩摩と長州を同盟させようと奔走する。
竜馬の真摯な気持ちに打たれて薩摩の西郷(小林桂樹)は薩長同盟を締結する。
そして徳川慶喜の大政奉還がなりここに徳川幕府は終わりを迎える。国事にあけくれた竜馬が久々に京都の
旅館で中岡慎太郎(仲代達矢)とくつろいでいたとき暗殺者が忍び寄っていたのだ・・・
司馬の原作がコンパクトにまとめられた良作だがやや竜馬を美化しているきらいがある作品である。
竜馬の背後には、ジャーディンマセソン商会がいたのは常識だし竜馬に香具師の性向があったのも確かである。
竜馬の恋人役に吉永小百合が扮している。
しかし武士階級の間でもすさまじい差別があったのがこの映画を見るとよくわかる。
2016年08月02日
「恐怖劇場アンバランス、殺しのゲーム、仮面の墓場」岡田英次唐十郎
恐怖ドラマである。
全13回で1話完結のドラマで、オカルトとサスペンスを組み合わせた作品で実際に放送されるまで3年もの間
お蔵入りとなっていた。
当ブログでは第三話「殺しのゲーム」と第四話「仮面の墓場」に触れてみることにする。
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「殺しのゲーム」は西村京太郎原作で、主人公の中年男岡田(岡田英次)がある日突然ガンであることに気づいてしまう。
看護婦からガンであることを知らされ岡田は絶望する。死の恐怖から逃れるため岡田は町をさまよい若い男女と
ゴーゴーバーへ行ったりするが死が頭に焼き付いて離れない。そんなある日岡田の前に鈴木という同年代の
男が現れる。鈴木は自分と殺人ゲームをしようというのだ。お互いに殺し合い先に相手を殺したほうが自分の
貯金を相手に与えるという。
岡田は正気とは思えない申し入れを断るが鈴木も実はがんであると告げられる。断っても断ってしつこく食い下がる
鈴木に閉口する岡田だったが、岡田は最後に鈴木から絶望するようなことを告白される・・・
第4話の「仮面の墓場」はアングラ劇団の座長犬尾が、売れもしない芝居の練習をしていたとき団員の白浜に
悪霊の役をやらせてロープで2階から飛び降りるシーンを強要する。嫌がる白浜の尻をたたいてなんとか白浜は
飛び降りに成功するが白浜は頭を打って死んでしまう。
事故が発覚して公演が中止になるのを恐れた犬尾(唐十郎)は白浜をボイラー室で荼毘にふすが、火をつけた
瞬間に白浜の絶叫が聞こえた。白浜はまだ生きていたのだ・・・
このドラマでは現実にアングラ劇団をやっていた唐が主演で唐の現実を投影したようなファンタジーのように
なっている。ラストも現実と妄想が入り乱れたような終わり方で意味が今ひとつよくわからない。この脚本は
市川森一である。
解説役に青島幸男が出ている。比較的評価が高いドラマだが私的には微妙という気がしている。
音楽は富田勲がジャズ風のテーマを書いている。タイトルバックの黒猫と途中の血濡れのロゴは怖い。
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2016年07月19日
「八つ墓村1977年度版 萩原健一、小川真由美、夏八木勲
横溝正史原作の「八つ墓村1977年度版」は、当時一世を風靡した怪奇推理映画である。原作がやや怪奇風味は
あるものの探偵小説の枠に収まるのに対して1977年度映画の場合かなり、怨念や祟りに重点を置いた
作りになっている。
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主人公の寺田辰弥(萩原健一)は羽田空港?で働く旅客機の誘導員をしていたが、偶然新聞の尋ね人の欄で
自分の名前を発見し大阪の法律事務所まで出向いていく。事務所では弁護士の諏訪(大滝秀治)とひとりの
老人が待っていた。諏訪が辰弥に背中の火傷跡を見せてほしいと頼むとその傷跡を見た老人井川丑松(加藤嘉)
は号泣した。辰也は丑松の孫にあたり感激のあまり泣き出したのだ。しかし喜びもつかの間突然丑松は口から
泡を吹いて死んでしまう。驚愕する辰也だったが葬儀の出席も兼ねて親族の森美弥子(小川真由美)の案内で
故郷の岡山の山奥の村を訪れる。しかしそこは八つ墓村と呼ばれるいわくつきの村でもあった。
村につき美弥子から八つ墓村の名前の由来を初めて聞く辰弥だったがその話は実に怨念に満ちたものだった。
今から400年前の戦国時代にこの村に尼子義孝(夏八木勲)を頭領とする落ち武者の一行が逃げ込んでくる。
落ち武者たちははじめは警戒されていたが、そのうち危害を加える様子がないことから村人との交流も進み平和的
な付き合いが続いた。しかし尼子の残党狩りをしていた毛利から落ち武者を殺せば恩賞を与えるとの沙汰があり
金に目がくらんだ村人たちが義孝一党を酒宴にさそい、毒を飲ませてだまし討ちにしてしまった。
竹やりを身体に刺されながら最後の執念で「おのれおまえら祟って祟って祟りぬいてやる」と村人の前に
仁王立ちとなる。村人は震えながら義孝に止めをさした。一党は首を斬られ神社の境内にさらし首となるが・・・
落ち武者の祟りなのか村人たちは次々に怪死していく・・・
しかし祟りはこれで終わりではなかった。村人の子孫である多治見要蔵が28年前に村人を30人猟銃と日本刀で
殺害していたのである。そしてこの多治見要蔵こそ辰弥の父親だと美弥子が言うのであった・・・
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原作は金田一耕助(渥美清)を主人公の探偵ものだが、この映画ではそれほど活躍はしない。一応渥美が最後に
謎解きをして見せるがどろどろした復讐劇に重きが置かれているのである。この映画の見どころはたくさんあるが、
尼子義孝一党が村人に惨殺されるシーンの惨さは語り草になるほどだ。鎌で武者の胸を切り裂いたり日本刀で
首ちょんぱと村人はやりたい放題である。また首が飛んで村人にかみついたりとこのシーンの恐ろしさは
日本映画随一かも知れない。津山30人殺しをベースに横溝が作り上げた物語は伝奇ロマンの要素を加えて
独特のものになっている。辰也が美弥子と一緒の道行のシーンのロケは主に岡山県の満奇洞を中心に岩手県や
山口県や沖縄県などの洞窟を撮影してつないだものである。
このシーンのバックに流れる道行のテーマを始め音楽を担当したのは芥川也寸志で、重厚で日本的な曲
は最高の出来でいつまでも印象に残るものだ。
最後は落ち武者の祟りで、多治見家の大屋敷が大炎上するシーンも迫力がある。
しかし主演のショーケンはかっこいいがどちらかといえばおとなしく、尼子義孝(夏八木勲)や多治見要蔵(山崎努)
が目立ってしまいこっちの方が主役のように見えるのである。原作は横溝が戦争で疎開した田舎体験がベース
になっていて昔に日本が持っていた日本の原風景がここにある。しかし田舎特有の陰湿さも描かれていて
息がつまりそうになる。又監督の野村芳太郎は日本各地にロケをして大変だったと思う。
橋本忍の脚本がよかったことも本作の成功要因だと思う。しかししばらくして橋本は「幻の湖」で大失敗してしまう。
ちなみに尼子義孝は架空の人物で実際は存在しない。
八つ墓村は何度も映画化、ドラマ化されているが私見だが本作がやはり最高傑作だと思う。
そして私はこの映画を初見したときショーケンがやっている航空誘導員に憧れたものである。
また劇場での音響効果がすごくよかったのを覚えている。
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2016年07月17日
「警視K」勝新太郎、川谷拓三、奥村真粧美
主人公の賀津勝利(勝新太郎)は、型破りの警視で正義感が強く少数の部下と行動し、武器は拳銃ではなく
手錠を投げて使う技を持つ変わった警官である。縛られることを嫌いキャンピングカーで娘(奥村真粧美)と暮らして
いる。
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警察以外では昔逮捕したことのある情報屋尾張(川谷拓三)をうまく工作員として使っている。
監督も勝自身が手掛けることが多く、それ以外では黒木和雄や森一生が担当している。
ととえば第7作「太陽が上に向いている」は、建設会社の汚職を巡って情報屋の尾張が撃たれたり、取り調べで
賀津が悪どもを殴り倒したりと見どころがあるが、いかんせんストーリーがわかりづらい。
これもカツシンがわざとリアリティを出すために行った演出なのだが・・
カメラも後ろから撮ったり、下から撮ったりとルーティンではない手法を試している。音声もアフレコは使用しないで
同時録音をしているので小声で聞こえにくいのだ。
放映当時は勝の狙いを視聴者がくみ取れずずいぶんと評判の悪い演出だったが、近年この斬新な方法が
一定の評価を得るようになっている。
第8話の「わが子の捧げる犯罪」は、ゲスト出演にベテランの浦部粂子を迎えホステス殺人と裏口入学を巡る
闇を描いている。この回は森一生が担当しているので普通のドラマと変わりない描き方だがその分、カツシン色が
薄れているようだ。
ドラマの最後に流れる山下達郎の「マイシュガーベイブ」も心地よく印象に残る刑事ドラマである。
長い間DVD化されていなかったが2014年にDVDBOXが発売されている。
余談だが山下達郎の採用は勝の娘の奥村真粧美がタツロウのファンだったことから勝に助言したようである。
やはり勝は俳優だけでなく監督しても良くも悪くも突出していた。一度は見ておきたいドラマである。
2016年07月07日
「ソルジャーボーイ1972年」ジョードンベイカー、ベトナム戦争
映画が1972年の「ソルジャーボーイ」だ。
ベトナムの戦場から帰国した4人の兵隊たちダニー、シューター、ファットバック、キッドたちが元手の9000ドルで
カリフォルニアで農場をすることを夢に彷徨うが行先でトラブルの連続で、ついに追い詰められてニューメキシコの
ホープと言う町で住民や警察、軍隊相手に戦争を初めてしまう映画である。
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祖国へ帰国したダニー(ジョードンベイカー)は他の3人とともに故郷の実家へ立ち寄るが、ダニーたちの農場の夢は父
親に一蹴される。
その夢だけを糧にベトナムの地獄に耐えてきたダニーにとって父の態度は許せるものではなかった。
ダニーは仲間とともに実家を飛び出しおんぼろのキャデラックで西へとむかう。
しかし途中立ち寄ったモーテルで女衒のようなオーナーに女を世話されてぼったくりに遭う。
さらに故障した車の修理屋にもぼったくられ警官ともめて留置されるなどさんざんな目に遭っていく。
トラブルの連続でなけなしの資金も乏しくなったころダニーたちはとあるガソリンスタンドにたどり着く。
油を入れてもらおうとするが店主が留守でいらだったダニーはバールで給油機をこわし無理やり油を入れようと
する。そのときたまたま帰ってきた店主に見つかり驚いた店主はダニーをショットガンで撃とうとする。
しかも運の悪いことにパトロール中の警官に現場を目撃され逮捕されそうになったのだ。
銃に手をかけた警官を見てダニーたちがライフルやハンドガンで反撃し住民たちも殺害してしまう。
事態の深刻さを知った軍はヘリや小隊を動員してダニーたちをせん滅しようとするのだが、、、
この映画は途中までは出来の悪いロードムービーのような感じで、退屈するのだが後半に映画の雰囲気は一変する。
それまでたまったストレスを爆発させる主人公の大暴れが見るものにある種のカタルシスを与えてくれるのだ。
ベトナム帰還兵たちが立ち寄ったバーで、地元の朝鮮戦争帰還兵たちと大ゲンカになるシーンがあるが朝鮮帰還兵
たちがベトナム組を恥さらしと呼ぶのを聞いて当時アメリカではそういい見方もあったのかと思った。
ベトナムのトラウマはアメリカを大きく傷つけたことは確かだ。あまり知られていない映画だが秀作である。