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2024年03月21日

天地茂・中川信夫「憲兵と幽霊」

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1958年製作の新東宝映画「憲兵と幽霊」は、怪談映画の巨匠中川信夫が天地茂を主演に

迎えて摂った軍事サスペンス映画である。

 有能だが冷血な性格の波島憲兵少尉(天地茂)は、惚れていた女性を部下の田沢伍長に

取られて嫉妬心で爆発しそうだった。

 田沢と明子(久保菜穂子)の結婚を表面では祝福しながら、波島は二人に復讐しようと

虎視眈々と機会を伺っていたのである。

 そして自分に心服する部下の高橋軍曹に命じて、機密書類を盗まれた事件を田代になすり

つけたのである。

 当然身に覚えのない疑惑を田代(中山昭二)は否定するが、高橋は田沢に拷問を加えて


自白させようとする。

 だが無実の田沢は断固否定するので、手を焼いた波島は、田沢の母と妻を呼び出して

田沢の前で拷問し、たまりかねた田沢は罪を認めたので無実の罪で銃殺される。

 しかも波島はそれだけでは気が済ます、田沢の母を飛び降り自殺に追い込んだ上に田沢の

妻の明子まで強姦する。

 また田沢の弟は田沢の不審な死に疑問を抱き、自ら憲兵に志願し事件の真相を暴こうと

波島と対決するのである。

 この作品は怪談映画の要素を含みながら、戦時中の軍隊の不条理や横暴さを描いた秀作

であり、幽霊はほとんど出てこない。

 天地茂が冷酷非道な軍人を演じていて愛国者を気取りながら、裏では敵国のスパイと通じ

日本の軍事機密を流す売国奴の役をうまくこなしている。

 映画はもちろんフィクションであるが、現実にもこのような国を売り私腹を肥やしていた

卑劣なものもいただだろう。

 そう考えるとなかなか深い映画と言える。


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posted by ハヤテ at 12:19| ホラー映画
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