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2015年01月15日

少年兵の碑「海軍特別年少兵」

戦前の帝国海軍には、通称特年兵と呼ばれる14歳の最年少兵士たちがいた。

昭和16年に海軍が16歳以上としていた志願兵制度の年齢を引き下げ15歳以上16歳未満としさらに一年引き下げて

14歳としたのである。14歳といえば現在の中学生である。

この幼い少年たちが、硫黄島の地獄の戦場へ投入されるところから映画は始まる。

しかし映画の中身は、戦闘シーンより横須賀での訓練シーンが大半である。

ハンモックで眠り、早朝から夜まで激しい訓練が続く。幼い彼らは教官に怒鳴られながらも必死で食らいついていく。

当時の海軍の様子が忠実に描かれていてリアリティがあるのは、製作当時の70年代は軍隊経験者がまだたくさん

生きていたからであろう。

特年兵を演じる若い役者たちの動きもきびきびしていて好感が持てる。少年たちは様々な背景を持っていて

父が共産主義者であることに反発して志願した少年、貧しさゆえに軍隊に志願して家に仕送りをする少年、

会津武士の家系で代々戦死者をだしたことを誉とする家に生まれた少年、彼らを鍛え一人前にしてゆく鬼教官に

地井武男が扮して素晴らしい演技力を見せている。

特年兵の姉で娼婦の役に小川真由美、共産主義者で戦争に懐疑的な父親に三國連太郎が扮しこれまた
達者な演技を見せている。

陛下の帯剣を失って顔面蒼白になる少年に、中村まなぶ、今の中村梅雀が演じている。

監督の今井正は反戦主義者で平和への強い思いをこの映画で表現している。

特年兵の少年たちの碑は現在東郷神社にある。碑文には次のように刻まれている。


やすらかに
ねむれとぞ思ふ
君のためいのちささげ志
ますらをのとも


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posted by ハヤテ at 14:01| 戦争映画

2015年01月14日

沖雅也の異色刑事ドラマ「はぐれ刑事」

70年代に活躍した今や伝説になった俳優 沖雅也が主演した日本テレビの刑事ドラマに「はぐれ刑事」がある。

後の藤田まこと主演の「はぐれ刑事純情派」とは全く関係ない作品である。

正確にいえば主役は、沖の上役風間刑事を演じる平幹二朗が主演なのだが。

舞台は、東京の下町にある台東署、ベテラン刑事で人情派の風間と組んだエリート新米刑事影山(沖雅也)が

犯人逮捕のとき間違って影山が風間を誤射してしまう。

風間の胸には、弾がめりこんだままで時折発作に苦しめられるがあえて摘出しようとしない。

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なにかと暴走しがちな風間や影山を本庁の圧力から守る滝川刑事課長に小沢栄太郎が扮し、馴染みのシカゴ帰り

の新藤医師に田中邦衛、その助手の若者に火野正平、下町娘お京にホーンユキと個性派が脇を固めた隠れた名作

である。

第11話の「氷雨」では、暴力団の内部争いで、若い衆が誤って兄貴分を撃ってしまいパニックになった若い衆たちが

兄貴分を助けようと新藤医院に無理やり押し入り患者らを人質にとり新藤に手術を強要する。

風間は、さっそく出動して食料品屋に化けて様子を探ろうとするが、犯人にばれるがどさくさにまぎれて

影山は新藤医院に潜り込むのだが自分の経験とそっくりな展開に愕然とする・・・

沖が「太陽にほえろ」のスコッチ刑事を演じる前の作品で生意気だけの若者が先輩や事件にもまれて次第に一人前

になってゆく成長物語である。

地味だが、沖を始め登場人物のキャラクター設定も俳優陣の演技もよくドラマもじっくりと描かれていて

いい作品である。

ドラマの最終回は、衝撃的な展開で終わる。視聴率はあまり伸びず13回で終わった。

脚本監修に黒沢作品で知られる菊島隆三、音楽の担当はティンパンアレーとマニア好みである。

主題歌の「陽かげりの街」をペトロ&カプリシャスが歌ってヒットした。高橋真梨子の歌はほんといい。

端正な顔立ちで気品があり演技力も高かった沖雅也、1983年養父の日影忠夫宛に「親父涅槃で待つ」の

謎の遺書を残し沖雅也は京王プラザホテルの47階よりダイブした。

惜しい役者を失ったものである。合掌。



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posted by ハヤテ at 16:40| テレビドラマ

2015年01月12日

東宝特撮変身人間シリーズ「美女と液体人間」

東宝の変身人間シリーズ「美女と液体人間」は、俳優の海上日出男が原作の異色の映画である。

雨の降る街で、麻薬密売犯の三崎が、まるで溶けたように跡形もなく消え去った。

三崎には、キャバレー「ホムラ」の人気歌手千代子(白川由美)がいたが、三崎の行方を追って三崎の相棒のギャング内田(佐藤允)

生物科学専攻の学者政田(佐原健二)があらわれる。
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政田は、水爆実験の結果、人間が液状化するのではないかと疑いを持っていたので、三崎が水爆実験のとき

船に乗り込んでいなかったのか千代子を尋ねるのだった。

政田が、ガマガエルに放射線を照射して液状化に成功していたので、人間も水爆実験のときに放射能を浴びると

液状化するのでは考えたのである。

政田は、大学の同級生で友人の警視庁の富永一課長(平田昭彦)に相談するが、富永は戯言としてまともに取り合おうとはしない。

だが、水爆実験当時、近くにいた、第二龍神丸に乗り込んだことのある船員たちを病院に訪ねたとき船員が

液体人間を見たことを証言する。疑い深い富永もようやく政田の意見を取り入れるがそのころギャングの内田は


千代子を拉致して地下下水道に潜り込む。

しかし、そんな二人を追って液体人間の影が迫る・・

液体人間を倒すべく捜査陣は、下水道にガソリンを流し込み焼き払おうとするが・・・

監督は、本多猪四郎、特撮はおなじみ円谷英二、佐藤勝の軽快なマーチ風のサントラが楽しい。

ゼリー状の液体人間のシーンは後の怪奇大作戦の「人食い蛾」のチラス菌のシーンによく似ていると思う。

またこの1958年製作の映画もご多分にもれず東宝特撮のお約束というべきキャバレーシーンが出てくる。

そのあたりが60年代特撮と違ってどこかフィルムノワールの雰囲気を漂わせている。

なお原作者の海上日出男は、前作の地球防衛軍の撮影中に亡くなっている。佐藤允の個性的な容貌もギャング役

がはまっていた。
posted by ハヤテ at 13:27| 特撮

中丸忠雄の怪演技特撮「電送人間」

東宝の変身人間シリーズでガス人間の前に作られた作品が「電送人間」である。遊園地のお化け屋敷で銃剣で

人が殺される謎の事件が発生。東都新聞記者桐岡勝(鶴田浩二)は、現場の遺留品から戦争中に戦局挽回のために

物質電送装置を開発研究していた仁木博士の存在を突き止めた。

仁木博士は終戦の日、金の延べ棒を横取りしようとした軍人たちに護衛の須藤とともに生き埋めにされてしまったが

密かに生き延びて電送装置を完成させていたのである。須藤(中丸忠雄)はこの装置を悪用して自分を抹殺しようとした一味に

復讐を開始したのである。遊園地で殺されたブローカーに続いて軍国キャバレーダイホンエイを経営してい隆の他大西、滝が須藤のターゲットとして狙われていた・・・

正直言って中途半端なできだと思う。電送人間がテレポーションするのに、いちいち移動先にも

電送装置を設置しなければならないためあらかじめ装置を配送しておかなければならない。そのため電送人間須藤は

犯行現場から装置のある場所まで官憲の追跡を走ってかわすのである。これがどうもスピード感にかけ間延びした印象になる。
当時の技術的な問題からそういう設定になったのか。もう少し工夫がほしかった。

また特撮出演が珍しい鶴田浩二もなぜ鶴田なのか使いかたを間違っているような気がする。

須藤が電送機械からテレポーテーションするシーンで青い走査線が螺旋状に走るシーンはその後のSFや特撮で

多用される原型になった思える。電送人間の断末魔のシーンは「スキャナーズ」や「ヴァーチャルウォーズ」にも影響を

与えたのではないだろうか。

軍国キャバレーでの女性ダンサーの金粉ショーも60年代を感じさせるエロいシーンである。そして時代背景か作品に戦争の影が
色濃く現れている。

中丸忠雄の怪人の演技力で作品の欠点をカバーしたと言えるだろう。

やはり福田純の演出も今ひとつという気がする。特撮は円谷英二。
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タグ:中丸忠雄
posted by ハヤテ at 13:26| 特撮

2015年01月01日

円谷英二本多猪四郎「ガス人間第一号」

明けましておめでとうございます。昨年はあまり更新しなかったのに、訪れてくれた方に感謝します。

本年レビュー第一回は、東宝の変身人間シリーズの「ガス人間第一号」です。主演のガス人間に名優の土屋嘉男

ヒロインの日本舞踊の家元藤千代に八千草薫が扮し、特撮ものでは怪獣映画とはまた違うテイストで楽しめるように

なっている。謎の犯人による銀行強盗が起こるが日本舞踊の名取藤千代の住むあばら家に犯人が逃げ込む。

あばら家では、般若の面をつけた女性が鼓の音に合わせて舞っていた。岡本警部補(三橋達也)は犯人を追って藤千代のあばら家を

訪ねるが藤千代はシラを切り捜査は暗礁に乗り上げる。しかし岡本は最近藤千代が外車を乗り回し金回りがよくなって

いることを怪しみ銀行強盗事件の犯人と関係があると睨んで身辺を探り始めた。案の定藤千代の所有しているお札と

強盗犯のお札の番号が一致し藤千代は拘留される。そんなころ犯行予告の電話があったが犯人はあっさり捕まる。

しかし真犯人は他にいた。図書館に勤める水野という男が自ら犯人を名乗りでて警察立会いのもとで犯行を再現しようというのである。
その犯行の手口は驚愕すべきものだった。水野は自らをガス状の気体に変えて厳重な警備の金庫室に侵入して

見せた。だが水野がガス人間になったのは自らの意思ではなく人体実験の犠牲者だったのである・・

監督は、おなじみ本多猪四郎、特撮は巨匠円谷英二の名コンビ。

後の人気テレビシリーズ「ウルトラQ」や「怪奇大作戦」の原型がこの作品にあると思う。

音楽は宮内国郎でテーマ局が「ウルトラQ」そっくりである。

水野に扮した土屋嘉男の怪演と八千草薫の美しさが光るが脇を固める今はなつかしい松村達雄や左卜全の演技もいい。
人間がガスに変わる特撮もCGのない時代にも関わらず映像に違和感がない。円谷を始め東宝特撮陣の工夫のたまものである。

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posted by ハヤテ at 13:58| 特撮
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