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2016年08月25日

「実録三億円事件時効成立」岡田裕介、小川真由美、金子信雄

1968年に発生した3億円事件と言えば、その盗まれた金額の大きさとトリッキーともいえる手口、そして

犯人が捕まらずに逃げおおせたことから今なお語られる伝説的な事件である。

東映が1975年に創った「実録3億円事件時効成立」は、その年の12月に時効目前になったタイミングを狙って

東映が製作した映画である。

清水一行の「時効成立」を原作に事件の骨子はそのままに、主人公の犯人の軌跡は創作である。

競馬狂いの西原房夫(岡田裕介)は、会社の金を使い込み窮地に立たされるが、愛人の孝子(小川真由美)に金を借り

て返済しなんとかムショ行きだけは助かった。

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だが苦しい生活を送る中で、西原は一発逆転を狙って現金強奪を計画する。まず多摩農協に脅迫状を

送りつけるがこれは陽動作戦で、本当のターゲットは日本信託銀行であった。

西原の狙いは東芝府中工場で支給される従業員のボーナス3億円を日本信託銀行国分寺支店から東芝府中工場

へ輸送される車を狙って現金を奪い取る計画である。

西原は計画の準備のために、トランジスターメガホンを盗み、徽章をアメ横で入手し、衣裳も故買屋から買った。

また白バイを偽装するために、ヤマハスポーツバイクや逃走用のカローラなどを次々に盗みだし、スポーツバイク


やヘルメットも白に塗装して準備工作は入念に行ったのである。

そして伏線を張るために国分寺支店を爆破する脅迫電話をかけて、何があってもおかしくないように思わせるためあら

かじめ仕込んでいたのである。そして事件当日府中刑務所の通りの道路を日本信託の現金輸送車が横切ったとき、

1台の白バイが輸送車を停止させた。白バイ警官になりすました西原だった。西原は車に爆弾が仕掛けられている

から降りるように行員に指図すると車の下にもぐりこんだ。西原が発煙筒を仕掛けて煙を出すと行員たちが驚いて

車を置いて逃走した。西原はセドリックの輸送車のスターターキーを回してエンジンをかけてそのまま逃走した。

そしてあらかじめカローラを隠しておいた空き地へ車をすべりこませジェラルミンのトランクから現金を移し替えて

逃走したのだ。西原は現金は墓場に隠し見事逃げおおせたかに見えたが、葛城刑事(金子信雄)だけは犯人逮捕に

執念を燃やしていた・・・

この3億円事件はその計画性や陽動作戦の見事さなど推理小説の展開を思わせる事件である。

犯人はある種の快盗と言っていいかもしれない。一説によると事件は公安の自作自演で、過激派取り締まりのための

やらせだという話もある。しかし犯人は単独犯なのだろうか。今生きていたらどこで何をしているのか事件の真相を

聞いてみたいのは私だけではあるまい。盗まれた3億円は昭和43年当時だから今の貨幣にすると10億円を

超えるだろう。この映画では犯人はいかにもだらしない人間に描かれているが、これだけ緻密で大胆な犯行を実行

できるのだから並の犯罪者ではあるまい。今頃どこかで実業家にでもなり高笑いしているかも知れない。

映画の冒頭のインタビューでこの事件の刑事だった平塚八兵衛が出ている。主演の岡田裕介は俳優を引退し

東映グループの総帥となっている。監督はカルトの帝王石井輝雄。

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タグ:平塚八兵衛
posted by ハヤテ at 16:25| 犯罪映画
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