2016年02月16日
秋の牢獄
今日はすう、と
冷たい作品です。
恒川 光太郎著『秋の牢獄』
短篇集です
収録されているのは
秋の牢獄
神家没落
幻は夜に成長する
の3篇。
どのお話しも、
少しこわい。
何気ない日々が、ふっと、
何か不思議な世界へ
変ってしまう
おそらく偶然なのだけれども、
不思議な世界
(これは様々な意味で)
の側へうつってしまって
自分が特別な
存在になってしまって
どうすればいいのか
分からなく、
如何ともしがたい。
3作品とも
そんなお話ではないか
と思います
雰囲気を味わい楽しむ
作品で、内容があるかと
言われたら、ほとんど
そこに意味はないのでは
ないかと。
けれども
この、ちょっとひんやりする
雰囲気がたまらん
個人的には、
表題以上に
最後の
「幻は夜に成長する」
が好きです
一番禍々しいのは、
このお話。
けれども、好きですね、
このあり得ない感じがいい。
なのに登場する人間がやたらと
現実くさいのが、またいい。
多分、実際こういう人って
いるんだろうなぁ、
と思ってしまったり
そうすると背筋がすこうし
ぞくり、としたりして。
ネタバレにならないために
禍々しい、とだけ
言っておきたい。笑
表題の「秋の牢獄」は
最初に載せられていますが
うん、とても自然に
この本の世界へと
入っていける作品です
突然、いつも通りの日々が、
繰り返しを始めてしまう。
原因は不明。
突然、訳の分からない
世界の人間になってしまって
それだけでも恐怖であろうに
さらに輪をかけての恐怖が……
誰にも真相が
分からないまま
主人公は、ただ
待つことしかできない
澄み渡る過ごしやすい、
良い秋の日のはずなのに、
その冷ややかなすずしさだけが
こちらに伝わってくるような。
どれも、何となく、
こわい童話、みたいな印象
童話、というのは
おかしな話なのですが
受けるイメージといいますか
読んでいる時の感触が
ホラーというほど
怖ろしい訳ではなく、
むしろ、この少しこわい
という雰囲気を楽しむ
余裕が残されています。
読みやすくて
どなたにも、
お勧めできる一冊です
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