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2015年06月16日

あべこべ人間

昨日はすみません……
本日は何とか
滑り込みで書いて
家を出ます笑

さてさて、本日はこちらです

遠藤周作著『あべこべ人間
あべこべ人間.png


遠藤周作さんの著作ですが

コミカルで軽い
物語展開も
あまり重いとは
言えません

痛快、という
感じでしょうか

と、いう訳ですので
ずっしり重い
ぐう、と考えさせられる
遠藤周作さんらしい(?)
作品が好きな人には
むしろ、物足りないのかも
しれませんが……


お話としてはとても
興味深いと思います

何しろ、これが
昭和に書かれた、というのが
驚嘆でした

そうか、あの時代からもう
こういう概念ってあったのか…

「ナウい」とか使っている
そんな時代背景で

東京はともかく
田舎なんて本当に
古い、とっても古い笑

東京だって、
何だか今よりずっと
時代を感じます

そんな東京で
ミックスセックス
について、論じる
人々が中心になって
展開するお話です

男が男らしく
女が女らしい

そんなのは、古い!
ファッションでも、
もっと、男女間の差が
なくなっていくだろう

男の中の女らしさ
女の中の男らしさ

そんなものを
出して、どうして悪い!!!

そんな人々が
ミックスセックスについて
あれこれ論じるのですが、

当時としては
これは、衝撃的だったのでは…

さて、そんな
活動家たちに
巻き込まれることに
なるのが

平戸で育った
平々凡々
田舎で穏やかに
変わり映えのない
日々を過ごし

芋っぽさが
溢れ出るような笑

そんな、若い男女
茂と、春江

茂の方は、
平戸でかなり
モテモテだったのですが

彼には元々
女装願望があり、
予備校のために
東京へ出て

そこで先程の
ミックスセックス!
を訴える人に捕まり
(最もこれは
茂が密かに期待していた
ことなのかもしれませんが)

女装ライフを
楽しんでいる……

春江の方は
そんな男が
忘れられずに、
東京まで会いに
行ってしまう

この、春江が
本当に、何と言いますか

少し、鬱陶しい程
一途で、独りよがりで
東京のような
世界を全く信じられず

ものを疑わず
ものを疑えず
自分の願は叶うと
信じてやまない、
そんな少女なんです

果たしてこれが
田舎の女の子らしいと
言ってよいのか
どうか、分かりませんが

しかし、勿論
茂はそんな故郷の女に
興味なんてなし。

何しろ彼には
恋人(男)がいますし……


そんな折、ミックスセックスを
売り出そう、と鼻息荒い
実業家に見出され

新発明の薬を
打ってみないか、と
打診される

なんと、その薬は
性別を転換できる
薬なのだとか。


おいおいおい、大丈夫なのか
と読者は思わずにはいられないような
話なのですが、

恋人に実業家に
散々美しさをたたえられ
女から男に変わる
薬もあるからと
宥められ、
煽てられついに、
その注射を打ってしまう

女性としてのしばしの生活を
茂は堪能するのですが……


そして、そんなこととは
露知らず、一度
平戸へ戻っていた
春江は再び東京へ


しかし、まぁ、
当然のごとく、
新発明の薬、には
欠陥があって……


春江サイドは少し
テンポが落ちるように
感じもしましたが

しかし、後半は
なかなかに痛快で
読んでいて
気持ちが良い

ミックスセックス
という最先端の概念を
描いているように見えて
その実、

遠藤さんは
やっぱり、人の身勝手さを
えぐりとるように
描き出しています

そして、そんな
身勝手さを
全く知らなかった
平戸の若い純朴な茂と春江は
そんな「東京」に
振り回されながら
「東京」の恐ろしさを知る

しかし、春江はそんな
恐ろしさを知ってなお
身勝手な人とは
全くことなるキャラクターとして
異彩を放ちながら
奮闘し続けており、
なかなか、どうなることやら、と
思いながら
読み進めてしまいます



ちょっと、軽く
読みたいわ、という時に
お勧めの、コメディな小説

ちなみに、解説がまた、
楽しい。
作品に触れず、
遠藤周作さんについての
エピソードばかりを
書かれているんです笑

そして、その解説を見て
成程、こんな小説が
出来上がる訳だ、と納得する


どうでしょうか、
楽しい人としての
遠藤周作さんを
堪能したい時に。





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