2015年05月10日
そうか、もう君はいないのか
本日は、こちらをご紹介いたします
城山三郎著『そうか、もう君はいないのか』
城山三郎さんの遺作なのだそうです
城山さんが、奥様との出会い、
結婚、そして奥様の死までを
書いておられます……
完結していたものでは
無かったようで
第2部として、娘さんが
奥様の亡くなられた後の
城山さんの余生について
語っていられます
まず、何とも素敵な出会い
文体は、かなり
さっぱりとしていて
とんとんとん。
飄々とつづられているようで
よくよく考えてみれば
奥様のことを
天使だとか、妖精だと称している
よくもまぁ、、、笑
しかし、なぜだか読んでいて
痒くならないのは、
この文体のお陰でしょうか。
かなり、劇的な出会い方!
結婚への過程も、ドラマみたい笑
飄々としているようで
幸せだというのが隠しきれていない感じ
それから、結婚
城山さんが、とにかく奥様を
大事に思っているのが
本当に伝わってくる
一方で、ちらっと書かれていることから
奥様がどれほど城山さんを
思っていたのかもよくよく理解できるんです
困ったやつだ
おかしなやつだ
そういって、笑う城山さん。
その笑いの深さが目に浮かびます
奥様をパイロット・フィッシュ役
と言っておどけてみせたり
(しかし最後にちゃっかり惚気て)
細君を管理する欧米の夫婦に
首をかしげたエピソードを
書いていたり
実際は生活はかなり大変
であったと思われるのですが
大変だ、苦しいだは
あまり印象に残らない
夫婦生活、素敵だったのだなぁ
お二人とも、本当に
仲睦まじかったのだなぁ、と
まぁ、まだ苦労らしい苦労も
したことのない若輩者だから
かもしれませんが……
眩しく感じました
本人としては、ただただ
妻とのエピソードを綴った
だけ、のつもりかもしれませんが
まぁ、お幸せそうなこと。
しかし、そこから一変して
奥様の癌が発覚する
確認してみれば
癌が発覚してから、についての
ページ数は少ないのに
非常に印象が強い
癌を宣告された
ご本人も、どんな衝撃だったろう
と思うのですが、
また伴侶を失うことを知った
城山さんにとっても
それはどれ程の衝撃だったろう…
それでも、あくまで
奥様の意思を尊重して
手術などしない、
でも、本人が効きそうと
思うサプリメントなどは許す
なんて決めているところが、
もう、なんだか胸にくる
その日は、どんどん近づいてくる
本当の最期は、
書いていないんです
書けなかったのでは
ないでしょうか
それから、奥様が亡くなった
後のことについても・・・
本人さえも驚く程の
衝撃を受けた、伴侶の死
それを、身近なところから
見ていた娘さん
彼女目線の語りからは
その喪失感の壮絶さが
これでもか、と伝わって
苦しい。
苦しいけれども、
これ程の人に出会えた
城山さんが
羨ましいように
思える
それくらい、壮絶
亡くなるまでの7年間が
どれほどせつなかったのでしょう
苦しい、読んでいるだけで苦しい
一方で、解説にも
書かれていますが
やっぱり、羨ましい
なんて、理想的な夫婦
なんだろう、って思ってしまいます
そんな、理想的な夫婦を
していた、夫が、亡き妻を
思って、ほとばしる愛惜の念を
綴っている
こんなにドストレートなのに
こうまで胸にくる手記というのも
なかなかないのでは…
人を愛した経験なんて
無い私でも
こう胸を打たれて
あぁ、こんな風に想いあえる
人と出会えたらなぁ、
なんて思ったくらいです笑
是非是非、読んでみて下さい
くさい言葉ではありますが愛だとか、
平凡な毎日のありがたさが
ひしひし伝わってくる良作です
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タグ:城山三郎
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