2014年12月19日
検察側の罪人
雫井脩介著『検察側の罪人』
東京地検のベテラン検事・最上毅
教官時代の教え子、沖野啓一郎は最上と
同じ刑事部に配属され、意欲満々
最上は。そんな彼を頼もしく思う
最上を憧れの検事として尊敬し、
彼のように正義を貫く検事になりたいと
疑いも無く思う彼
法という剣で、犯罪人を斬る
そう話す最上には、法の下悪人を斬ることへの
ためらいは微塵もなく、
非常に芯のある人間性が伺えます
そんな折、起きた殺人事件。
被害者は老夫婦。犯人は逃走。
現場には何も残されていなかったため
老夫婦と関係のある人物をあらいざらい
見ていく警察
老夫婦は、幾人かにお金を貸していたことが分かり
お金を借りていた人物達を容疑者として捜査を進めていく
その容疑者リストの中に、最上はふと
ある名前を見つける。
この男が、最上にとっては因縁の相手、
最上だけではなく、最上と親しい人々にとって
忘れたくても忘れられない、人間、松倉です
松倉は、最上達にとって、親しい人を殺した
殺人犯ではないかと思われていたが
最後まで自供せず、時効を迎え
逃げ切った人間だったのですね
そして、今回の老夫婦殺人事件、松倉が
犯人の線が、色濃くなり
今度こそ、法による裁きを…と最上は内心息巻く
しかし、沖野は、松倉が容疑者である、という
最上らの説に疑問を感じはじめる……
真相は……?
途中からラストが見えてきて
心苦しいことこの上ないのですが、
しかし、本当に、うまくできた小説だと
思います
最上を突き動かしたのも、
そして沖野を突き動かしたのも
正義だった、はず
検事として、法の下、あくまで冷静に、と
するべきなのは勿論なのですが
そこに、感情が少しずつ少しずつ入っていき
どんどん膨れ上がっていく描写が素晴らしい
私は読んでいるうちに、
本当ならば、嫌悪感を感じなければならない
人物に同情してしまい、
同情しなければならない人物に
嫌悪感を感じてしまうことに
動揺してしまいました。それだけに、沖野の
正義とはこんなにいびつで、こんなに訳の分からないものなのか
という言葉が、ぐさっと胸にささってくる
冷たい決断を下し、全く信念のぶれない最上と
はじめての現場で様々な葛藤を経験する沖野の
対比もさることながら、
登場したキャラクター達はみな
絶妙に使われていて、本当に練られているなぁ、と感服
本当に一気読みしてしまう程
面白かったです
是非是非
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正義と信念のために
Excerpt: 小説「検察側の罪人」を読みました。 著者は 雫井 脩介 ベテラン検事・最上と教官時代の教え子 沖野は老夫婦刺殺事件の担当なる 捜査の中、一人の容疑者の名前に気づいた最上、それはすでに時効となった殺..
Weblog: 笑う社会人の生活
Tracked: 2015-11-23 16:56
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