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2018年09月10日
チェコ語の語順其の四(九月九日)
前回までは、基本として、単純な文の中での語順で二番目にくるものに関して説明をしたが、今回は二つ以上の文をつなげて一つの文にする場合の順番の数えかた、処理の仕方について解説をしよう。まず最初は、順接や逆接などの単純な接続の場合から。
注意しなければいけないのは、二つの文を単純につなぐ場合に使う「a」、逆接の「ale」「avšak」の三つの言葉は、語順を考える際には無視しなければならないということである。特に、「a」と「ale」は文と文の間だけでなく、語と語をつなぐのにも使われるので、語順を決める順番の対象にはしづらいという面があるのかもしれない。
例えば、「Včera jsem pracoval v Praze.(昨日プラハで仕事をしました)」「Včera jsem se vrátil do Olomouce.(昨日オロモウツに戻ってきました)」の二つの文を一つにするとして、そのままつなげるのは芸がないので、「昨日18時までプラハで仕事をして、その後オロモウツに戻ってきました」という文にすると、次のようになる。
@Včera jsem pracoval do 18 hodin v Praze
a potom jsem se vrátil do Olomouce.
文を接続している「a」の前の部分と後の部分でそれぞれ別々に語順のルールが適用されているのは理解してもらえるだろう。前半は二番目に来る言葉が過去形の「jsem」しかないのでこの語順。後半は「a」を無視して語順を決めるのだが、「jsem」と「se」という二つの二番目に来るものがあり、優先順位に基づいて二番目の部分は「jsem se」という語順にしなければならない。
そして、この文の前に例えば「朝早くプラハに行って」というのを付け加えると、最初と二つ目の部分の間には「a」は使わずに、チャールカを打って文を続ける。基本的に三つ以上のものを並列で並べるときには、「a」は最後のつなぎ目にしか使わず、ほかはチャールカで済ませるのである。これは文だけでなく、単語単位で並べるときも同様である。
AVčera jsem jel ráno do Prahy, pracoval jsem tam
do 18 hodin a potom jsem se vrátil do Olomouce.
真ん中の部分で、「v Praze」が消えているのは、前の「do Prahy」を受けて、そこでという意味の「tam」に置き換えたからで、「tam」も二番目に気安い傾向があるので、語順が入れ替わって「do 18 hodin」が後に回されている。
逆接の「ale」の場合も同様で、例えば「昨日は一日中プラハで働いたが、夜オロモウツに戻ってきた」という文は、次のようになる。大切なのは、「ale」の前にチャールカを打つのを忘れないことであろうか。
BVčera jsem pracoval celý den v Praze,
ale v noci jsem se vrátil do Olomouce.
CVčera jsem jel ráno do Prahy a pracoval jsem tam celý den,
ale v noci jsem se vrátil do Olomouce.
冒頭部分を追加した下の文で「a」を使う必要があるのは、「a」で結び付けられる単純な接続関係にあるのが、二つの部分だけだからである。「tam」が使われる理由と語順は、上のAの場合と同じ。「avšak」は、「ale」とほとんど同じように使える言葉で、硬い書き言葉的な表現ということになる。ただし、必ず文頭や、節の頭に来る言葉で、文中で使う場合には「a」を取り去った「však」を使わなければならない。
逆接の接続の場合には、接続を担う言葉は語順の順番に数えないかというとそんなことはなく、「i když」「přesto」などは、数えなければならない。例えば、「Měl jsem dost peněz(お金は十分にあった)」「Nemohl jsem si koupit auto(自動車を買うことができなかった)」を「i když」「přesto」でつないで、「お金は十分にあったけれども、自動車を買うことはできなかった」という文を作ると次のようになる。
DI když jsem měl dost peněz, nemohl jsem si koupit auto.
EMěl jsem dost peněz, přesto jsem si nemohl koupit auto.
「i když」と「přesto」は入れる位置が違うので、語順の変わり方も変わるが、それぞれ一番目に数えた上で、二番目に「jsem」「jsem si」が来ているのはわかるだろう。「přesto」の代わりに「přestože」を使うと、「i když」を使った場合と同じ語順になる。
原因理由を示す「protože」「proto」の場合も同様である。
FVčera jsem si musel půjčit peníze od kamaráda,
protože jsem doma zapomněl peněženku.
GVčera jsem doma zapomněl peněženku,
a proto jsem si musel půjčit peníze od kamaráda.
「Včera」を文頭に置いたせいで語順が変わらなくなってしまったが、「protože」と「proto」は、原因側に置くか、結果側におくかが違うだけで、どちらも語順を考えるときの数える対象になる。文全体の意味もそれほど変わらない。日本語では、原則として、一文にするときには、原因→結果の順に並べるが、チェコ語にはそのようなルールは存在しないので、F番のような並びも可能なのである。もちろん前後を入れ替えてHのようにすることもできる。
HProtože jsem včera doma zapomněl peněženku,
musel jsem si půjčit peníze od kamaráda.
問題は「Včera」をどこに入れるかなのだけど、この位置でいいのかどうかは自身がない。とまれ、これが、二つの文を比較的単純に結びつけた場合の二番目の位置の決め方である。次はもう少し複雑な場合について考えよう。
2018年9月10日8時25分。
2018年09月09日
チェコ語の語順其の三(九月八日)
承前
C人称代名詞の四格短形mě、tě、ho、ji
二番目に来るものとして、三番目に優先順位が高いのは、人称代名詞の四格である。つまり「já(私)」から作られる「mě」、「ty」からの「tě」、「on」からの「ho」、「ona」からの「ji」という四格の短い形である。このうち「ji」以外は、強調などで語順を変える場合には、長い形「mne」「tebe」「jeho」を使わなければならないから、「mě」「tě」「ho」は原則として二番目の位置に来ると覚えておくといい。他の人称代名詞の四格「vás(←vy)」「nás(←my)」「je(←oni)」も、特に強調などの理由がない場合には二番目の位置にきやすいけれども、絶対ではない。
それからチェコ語の教科書では、このグループに、一般的に「それ」を意味する「to」が入れられていることが多い。「ten」の中性の四格だと考えるのかな。ただチェコ語では文脈の中で前に出てきた名詞を受ける場合には、指示詞の「ten/ta/to」ではなく、人称代名詞を、特に四格の場合には、使うことが多いことは覚えておいたほうがいいだろう。
例
・Vidím ho před nádražím.
(駅の前にあの人が見えます)
・Před nádražím ho vidím.
・Učitelka mě poslala do nemocnice.
(先生に病院に行かされました)
・Poslala mě do nemocnice učitelka.
組み合わせた例も挙げておく。
➀+C
・Viděl jsem ho včera na nádraží.
(昨日あの人を駅で見ました)
・Včera jsem ho viděl na nádraží.
・Chtěl bych ho navštívit.
(あの人を訪問したいのですが)
※Jeho bych chtěl navštívit.
A+C
・Půjčím si ho(to) od kamaráda.
(友達からそれを借ります)
・Od kamaráda si ho půjčím.
B+C
・Předám mu ho(to) zítra.
(それは明日あの人に渡します)
・Zítra mu ho předám .
・Dej mi ho(to) hned.
(それをすぐによこしなさい)
・Hned mi ho dej.
@+A+C
・Půjčil jsem si ho(to) od kamaráda.
(それを友達から借りました)
・Od kamaráda jsem si ho půjčil.
・Snažil jsem se ho najít.
(あの人を頑張って見つけました)
@+B+C
・Včela jsem mu ho(to) dal.
(昨日あの人にそれをあげました)
・Dal jsem mu ho včera.
・Poslal jsem jí ho(to) mailem.
(メールであの人にそれを送りました)
A+B+C
・Nechce se mi ho hledat.
(あの人のことは探す気になれません)
・Podařilo se jí ho najít.
(彼女はあの人を見つけることができた)
@+A+B+C
・Styděl jsem se mu to říct.
(あの人にそのことを言うのが恥ずかしかった)
・Snažil jsem se mu to říct.
(あの人にそのことを言おうと頑張りました)
さすがに四つ並べると、Cを人称代名詞の四格にする例文が思いつかなかった。この最後の二つの文例は、「snažit se(〜しようと努める)」「stydět se(〜が恥ずかしい/を恥ずかしがる)」に、「říct mu to(あの人にそれを言う)」を組み合わせた形で、語順を入れ替えるとややこしいことになるので、このままにする。
他にも、人称代名詞の二格(on→ho、ona→jíなど)や、前置詞と人称代名詞を組み合わせたものなど、二番目の位置に来やすいものはいくつかある。ただ人称代名詞の二格を除けば、二番目に置く強制力はそれほど強くないので、とりあえず、ここまで挙げた4つを二番目にくるものとして認識して、その中での優先順位を覚えればいいはずである。人称代名詞の二格はBかCと同等に扱えばいいかな。
注意しておくべきこととしては、いずれ人称代名詞の格変化を詳しく説明するつもりだが、三人称の人称代名詞は前置詞と一緒に使うと形が変わってしまうことがある。簡単に言えば語頭の「j」が「ň」に代わるのである。だから、「on/ona」の四格の「jeho/ji」は、例えば「pro」をつけると「pro něho」「pro ni」になってしまう。この辺が無意識にできるようになるとチェコ語もかなり上級ってことになるんだろうけど、さて自分はできるのだろうか。うーん、一部の前置詞だったらできているような木がするけど、完璧にはできていないかなあ。
とまれ、ここまでが、チェコ語の語順の基本的な話である。例文を見てもわかるように、簡単な文しか挙げてないしね。ということで、次はもう少し複雑な場合についての解説である。
2018年9月9日10時30分。
2018年09月08日
チェコ語の語順其の二(九月七日)
承前
➂人称代名詞の三格短形mi、ti、mu、jí
二番目に来るものとして、三番目に優先順位が高いのは、人称代名詞の三格である。つまり、「já(私)」から「mi」、「ty」から「ti」、「on」から「mu」、「ona」から「jí」という三格の短い形が作られる。このうち「jí」以外は、強調などで語順を変える場合には、長い形「mně」「tobě」「jemu」を使わなければならないから、「mi」「ti」「mu」は原則として二番目の位置に来ると覚えておくといい。他の人称代名詞の三格「vám(vyの三格)」「nám(myの三格)」「jim(oniの三格)」も、特に強調などの理由がない場合には二番目の位置にきやすいけれども、絶対ではない。
例
・Rodiče mi dali peníze.
(両親がお金をくれた)
・Peníze mi dali rodiče.
※Mně dali peníze rodiče.
・Uvařím ti kávu.
(コーヒーを淹れてあげよう)
・Já ti uvařím kávu.
※Uvařím kávu tobě.
語順の入れ替えや主語の追加があっても、「mi」「ti」が二番目の位置から動かないのは➀Aの場合と同様である。人称代名詞を強調するために二番目以外に置く場合には、「mně」「tobě」を使うのは上に書いた通り。➀Aと組み合わされた場合には、以下のようになる。こちらも語順を入れ替えた例も挙げておく。
➀+➂
・Půjčil jsem mu peníze.
(あの人にお金を貸しました)
・Peníze jsem mu půjčil.
※Já jsem půjčil peníze jemu.
・Nemohl byste jí pomoct?
(彼女を手伝ってもらえませんか)
※Nemohl byste pomoct jí?
・Zítra bych ti uvařil večeři.
(明日夕食を作ってあげよう)
※Tobě bych zítra uvařil večeři.
A+➂
・Líbila se mi Olomouc.
(オロモウツが気に入りました)
・Olomouc se mi líbila
※Mně se líbila Olomouc.
➀+A+➂
・Snažil jsem se mu vysvětlit o japonštině.
(あの人への日本語についての説明を頑張りました)
・Styděl jsem se mu říct, že tomu nerozumím.
(あの人にわからないというのが恥ずかしかったです)
さすがに三つも並べると動詞が二つ入ってくることが多くて、語順の入れ替えが厄介になる。この語順なら正しく使う自信があるが、語順を入れ替えたらちょっと怪しくなる。それはともかく、二番目から➀A➂の順番で並べられているのはわかってもらえるだろう。
「vám」「nám」を使った場合も基本的な語順は「mi」などを使った場合と同様である。
・Líbila se nám Olomouc.
・Styděl jsem se vám říct, že tomu nerozumím.
次はまた長くなりそうなので、ここで一旦切って以下はまた明日ということにさせてもらう。
2018年9月7日15時50分。
2018年09月07日
チェコ語の語順(九月六日)
サマースクールで書いた作文の間違いの分析をしていたら、圧倒的に語順を訂正されることが多かった。語順については、これまでも機会があるたびにちょこちょこ触れてはきたけれども、ここで一度簡単にまとめておこうと思う。ということで作文はお休み。
言語学的には、印欧語族に属するチェコ語は、いわゆるSVO型の言語ということになるのだが、実際のチェコ語の文でこの「主語、動詞、目的語」なんて語順になるものはそれほど多くない。主語は、動詞の人称変化でわかるから省略されることが多いし、強調のために語順を入れ替えることも可能である。動詞は比較的二番目にきやすけれども、その結果、文頭に場所や時間を表す言葉を入れると、動詞と主語の語順が入れ替わることも多い。
一般に、チェコ語では、文頭に文のテーマにあたるものが来て、文末に一番重要な新しい情報がくると言われる。二番目に来るのが一番重要ではない情報で、そこから文末に向けて重要度が上がっていくのだとか。どれがどのぐらい重要なのか計算しながら話したり書いたりするなんてことは不可能で、チェコ人が無意識にやっていることを分析した結果そういう傾向が発見されたということなのだろうが、外国人はこれをある程度意識してやらなければならない。
あえて簡単な例を挙げておくと、例えば、普通は「Petr zabil Karla(ペトルはカレルを殺した)」となる文は、語順を入れ替えて、「Karla zabil Petr」「Petr Karla zabil」「Zabil Karla Petr」「Zabil Petr Karla?」なんて文にすることができるわけである。ではどういう基準で語順を決めるのかというと、疑問詞を使った疑問文を想定するのがいいらしい。想定できる疑問文とその一番簡単な答えを示しておく。
Koho zabil Petr? Karla.
Kdo zabil Karla? Petr.
Co dělal Petr? Zabil Karla.
Co Karlovi dělal Petr? Zabil.
チェコ語で語順を考えるときには、文脈の中でどの情報を求められているのかをこの手の疑問文をもとに考え、答えとなっている言葉を文末に持ってくるのがいいらしい。だからペトルがテーマになっている文脈で、ペトルが人殺しだとわかっていて誰を殺したかが重要な場合には、「Petr zabil Karla」となるし、カレルに対して何かしでかしたことがわかっている場合には、「Petr Karla zabil」という語順にするといいのだとか。この辺の語順の自由さは日本語にもつながるところがあるけれども、完全に同じではないので、あれこれ考えながら、どんな時にどんな語順にするのか試していく必要がある。
それに、ここで上げたのは単純な例だから、そんなに難しくはないけれども、副詞だとか、場所、時間を表す表現が追加されると複雑になるし、関係代名詞なんかを使った連体修飾節が加わるとさらにややこしくなる。文の真ん中に長い連体修飾節を入れると、文が分断されてわかりにくくなるから、特に話す時には、連体修飾節のつく名詞は文頭か、文末に持って行く傾向があるような気がする。
ここまで書いたのは、ルールがあるようなないような判然としない語順だが、チェコ語には守らなければならない語順のルールが一つある。それが、本来この記事で取り上げるつもりだった「二番目をめぐる争い」である。チェコ語の言葉の中には、「vrátit se(戻る)」の「se」のように、原則として文中で二番目の位置に来る言葉がいくつか存在している。そして一つの文に二つ以上の二番目に来る言葉が存在する場合には、二番目に来る優先順位に基づいて、優先度の高い言葉から、二番目、三番目、四番目と並べていくことになる。
これらの二番目に来る言葉は、サマースクールの先生の言葉を借りれば、弱いアクセントを持たない言葉で、代名詞の格変化形の中でも、一音節で終わる短形なんかが含まれる。「se」もいわゆる再帰代名詞の4格だしね。優先順位の高いものから順番に並べると、以下のようになる。
➀仮定法、および過去形に使用されるbýtの人称変化形
仮定法の「〜たら、〜だろう」の後者に当たる部分では、一人称単数から順に、「bych / bys / by / bychom / byste / by」という変化形を使用し、過去形では「jsem / jsi / × / jsme / jste/ ×」を使用する。この二つを同時に使用することはないので、どちらかを使用する場合には、必ず二番目の位置に置かなければならない。ちなみに仮定法の「〜だったら」の部分は、上に記した「bych」以下の前に「kdy」をつけた形を使い、これは必ず文頭、もしくは節の最初に来る。
例
・Chtěl bych jet do Japonska.
(日本に行きたいのですが)
・Já bych chtěl jet do Japonska.
・Do Japonska bych chtěl jet.
・Včera jsem jel do Prahy.
(昨日プラハに行きました)
・Já jsem včera jel do Prahy.
語順を変えたり、主語を文頭に追加したりした場合にも、「bych」と「jsem」は二番目の位置から動かないのである。それから、「do Prahy」のような前置詞と名詞、形容詞と名詞などのセットで使われるものに関しては、まとめて一つとして数えて、順番を数えるのも重要である。国語文法の文節、連文節単位で順番を数えると考えると、日本人にはわかりやすいかな。
A再帰代名詞siとse
三格にあたる「si」と四格にあたる「se」を比べると、三格の「si」の方が二番目にくる優先順位が高いのだが、この二つを同時に使うこともありえない。「se」に関しては、「bát se」のように「se」なしでは使えない動詞、「vrátit se」などの「se」が付くことで意味が変わる動詞があり、「se」を使った受身表現も存在するため、使う機会は非常に多い。「si」は「si」なしでは使えない動詞はないはずだが、「si」をつけることで自分のためにという意味を付け加えることができる。「půjčit si」は「自分に貸す」ということろから、「借りる」という意味になったと解釈しておく。
例
・Zítra se vrátím do Olomouce.
(明日オロモウツに戻ります)
・Vrátím se do Olomouce zítra.
・Dám si kávu.
(コーヒーを飲みます)
・Já si dám kávu.
語順を入れ替えても、「si」と「se」が二番目の位置で固定されるのは@の場合と同様である。@とAが同居する場合には、@が二番目、Aが三番目の位置に来る。強調などのために語順を入れ替えても、二番目と三番目は固定される。
例
・Včera jsem se vrátil do Olomouce.
(昨日オロモウツに戻りました)
・Vrátil jsem se včera do Olomouce.
・Chtěl bych si půjčit auto.
(自動車を借りたいんですけど)
・Zítra bych si chtěl půjčit auto.
最初は結構苦労した覚えがあるけれども、今ではこのぐらいまでなら問題なくというか、ほぼ無意識に語順を変えられるようになっている。関係代名詞を使った連体修飾節とか文の構造が複雑になると、今でも間違えることはあるけど。長くなったので続きはまた明日。
2018年9月6日23時55分。
2018年09月06日
サマースクール落穂拾い作文➂〈LŠSS2018〉(九月五日)
承前
„Ty jsi asi ztratil paměť po nárazuG, že? Pomůžu ti, abys ji získal zpátky“,H než to dořekl, pes netopýroviI udeřil do hlavy tlapkou.
八つ目も語順の問題。なぜか「po nárazu(ぶつかった後)」が大切な気がしてこの語順にしたが、よく考えたら、前のコウモリの言動を受けて、「ぶつかって記憶を失ったんだよね」という文脈なので、修正されたように「Ty jsi asi po nárazu ztratil paměť」と「ztratil paměť」を最後に持ってきた方がよかった。
九つ目の間違いは、七つ目と同じで河合文の末尾の処理の問題。「zpátky“, než」と一つの分でつなげたかったのだが、だめで「zpátky.“ Než」と分割された。注意しなければいけないのは文末の「.」が「"」の前に入ることだろうか。
十個目は、格の問題。動詞「udeřit(殴る/たたく)」だけだったら、迷わずにコウモリは4格にしたところなのだが、「do hlavy」と殴る具体的な場所を追加したことで怪しくなった。「コウモリの頭を殴った」だから、「友達の財布を盗んだ」と同じように、いわゆる関係の3格を使うのではないかと考えたのである。結局は何とかの考えで、3格の「netopýrovi」ではなく、4格「netopýra」を使うのが正しかった。
„Au, co blbneš? Bolelo mě to… Aha měl jsi pravdu, už jsem si vzpomněl, co jsem dělal. Vyletěl jsem ze své jeskyně, abych se vydal do světa proJ kamarády. Hele pejsku, když užK, nechceš být mým kamarádem?“ Netopýr se ptalL možného psího kamaráda, ale pes to odmítl.
十一番目は前置詞の問題。「pro」を「za」に訂正されたのだが、「za kamarády」を使うと「友達のところに行く」という意味になる。ここではコウモリにはまだ友達がいないわけだから、「友達を探しに行く」という意味で「pro」が使えるのではないかと考えたのである。「jdu pro pivo」は、「ビールを買いに行く/取りに行く」とどちらにも使えるわけだし。でも、直されたことから考えると、「pro kamarády」は「友達を呼びに行く」という意味になってしまうのだろうなあ。素直に動詞を使っておけばよかった。
十二番目は、「když už」だけで「せっかくだから」的な意味で使えないか試してみたのだが、やはり動詞が必要だった。「když už jsi tady」か「když už jsi tu」にするのがいいかな。
十三番目は、語順。前に会話文がある場合には、次の文は動詞で始めるのが普通のチェコ語の語順らしい。ということで正しい語順は、「Ptal se netopýr」。
„Víš?M Jsi nějak divný, máš křídla, ale nemáš peří. Jak to že dokážeš letět? Já se s takovým divnýmN, jako jsi ty, kamarádit nebudu. Pokud chceš kamaráda, běž za princeO, také hledal nového vzácného zvířecího kamaráda. Divný může být i vzácný“
十四番目は、間投詞的に放り込む「víš」の位置。最初に独立させるよりも、文中の強調したところの前に入れたほうがいいようで、先生が入れたのは、「Jsi nějak divný, víš, máš křídla,」という位置だった。この辺のあってもなくても意味が変わらない言葉をどこに入れるかは、普段自分では使わないだけに、いざ書こうとすると困ってしまう。これも練習、練習である。
十五番目は日本語で「そんな変なのと」というのに合わせて、「s takovým divným」と形容詞の後ろに具体的な名詞を使わずに済ませてみたのだが、やはり名詞は必要だった。いろいろ考えられるけど、「s takovým divným tvorem」と修正された。「tvor」は本来「創造されたもの」という意味で、人や動物などを指すのにもつかわれる言葉である。
十六番目は、前置詞「za」の後ろに来る格の問題である。場所や方向を表す「za」は、4格を取る場合と7格を取る場合があって、その区別は「před」と同じ、つまり4格が移動の方向を表し、7格が場所を表すものだと思っていた。しかし実際には、「〜のところに行く」という意味で使う「za」は、7格を取るのであった。だから正しいのは「běž za princem」。ということはは十番の「za kamarády」も、7格だったのである。形は4格と同じだけどね。
辞書で確認してみたところ、「za」の使い分けは「před」と比べるとはるかにややこしそうだった。時間を表す表現で取り上げるのを忘れたけれども、つまりは先生も忘れたということだが、「za」+2格で、「〜の時代」という意味を表せるのだった。一番よく使うのは、王様の名前で「〜王の治世」という場合だろうか。それに「za války(戦争中)」というのもあるか。
„Opravdu? Ale kde bydlí? Je to daleko?“
„Není to daleko“, pes pak vysvětlil, jak se dostane k princovi do paláce, ale neřekl, že právě od něho utekl, aby zpátkyP získal svobodu.
十七番目は語彙の問題。「自由を取り戻すために」という意味なのだが、「戻す」の部分を表現するのに副詞的な言葉を使うのは問題ない。ただここは「zpátky」ではなく、「opět」のほうがよかったようだ。「zpátky」だと「戻す」よりは「戻る」のイメージになるのかなあ。他にも「zpět」なんて言葉もあって、どの言葉をどんな場合に使うのか悩んでしまう。
Asi tušíte milé děti, jak to dopadlo, že? Ano, máte pravdu. Netopýr přiletěl k princovi a zkamarádiliQ se hned. Netopýr dostal nový dům, což bylR klec, kde bydlel pes, a dostával od kamaráda pravidelné jídlo a pití, ale ztratil možnost letět libovolněS sem a tam, jak to chce. Myslíte, že žil šťastně? Kdo ví, kdo ví, co bylo pravda.
十八番目は、スロバキア人のシモナがこれが一番難しいと言っていた動詞付ける接頭辞の「s」と「z」の区別である。「〜くなる」「〜になる」と形容詞や名詞から変化を表す動詞を作る場合には、変化を意味する「z」を使うことが多い。それに対して「s」は複数のものが一か所に集まる動き、上から下へと向かう動きを示す。ここは「友達になる」で変化を表すととったのだが、友達になるためには一人ではだめで、二人以上の人が集まる必要があるということで、「zkamarádili」ではなく、「skamarádili」が正しいのだろう。ワードの校正で赤で指摘されたのをあえて直さなかったのだけど、ワードが正しかった。コンピューターに負けたような気がしてなんか悔しい。
十九番目は、主語と述語で性が変わったときに動詞をどの性にするのかという問題。いつも悩んでしまって、性別で差が出ない時制に直してしまうことも多いのだが、ここはあえて過去形を使ってみた。「nový dům, což byl klec」にしたのは、関係代名詞の「což」が受ける名詞が「dům」で男性だからである。「klec」が女性名詞だと思わなかった可能性もあるか。とまれ、ここは述語の「klec」が女性名詞であることから、「což byla klec」にするのが正しいようである。この問題は、この一件だけでこうだと決めつけるわけにもいかないので、今後注意して読んだり使ったりしてみよう。
最後は、動詞と副詞の問題。動詞のほうは、飛ぶという意味で不完了態の「letět」を使ったのだけど、一回ではなく繰り返し飛ぶことを意味するから同じ不完了態でも「létat」を使う必要があった。チェコ語には一部の移動を表す動詞には、普通の不完了態だけではなく、繰り返しを意味する不完了態も存在して使い分けなければいけないのである。
副詞のほうは、あまり使う機会のない「libovolně(勝手に)」を使ってみたのだが、あまりよろしくなかったようで、「volně(自由に)」と修正された。「volně」が正しいのは問題ない。ただ「libovolně」の使い方、どんな文脈で使うのかがよくわからない。これも今後の課題だなあ。
ということでこれだけの作文に20箇所以上の間違い。これが我がチェコ語の現実である。
2018年9月5日20時15分。
2018年09月05日
サマースクール落穂拾い作文A〈LŠSS2018〉(九月四日)
二つ目は、くじ引きで当たったコウモリをテーマにして書いた作文で、似非昔ばなしである。ちょっと長くて指摘された間違いも多いので、分割しながら間違いの解説をする。あれこれ説明していたら、例によって長くなったので二つに分けて投稿する。
Malá netopýří pohádka
Kdysi dávno za desatero horami a devatero řekami byl jeden osamocený netopýr, který žil v hluboké jeskyni. Neměl rodiče ani➀ sourozence ani manželku, prostě neměl nikoho jiného než sebe. Jednoho dne se rozhodl, že se vydá do světa, protože chtěl alespoň jednoho kamaráda mítA.
最初の間違いは、「ani」の使い過ぎ。これは否定形と共に使う言葉で、「〜も(ない)」という意味で使われるのだが、肯定の場合に使う「a」や「i」と同じで二つの名詞の間で使い、名詞が三つ以上羅列される場合には、最後の二つの名詞の間にだけ入れて、その前の名詞と名詞の間は「,」で区切るのが正しい。そんなことわかっちゃいるんだけど、日本語では「も」を繰り返すので、ついついそれにひきずられてしまうのである。
二つ目は語順。チェコ語は日本語と同様に比較的語順が自由なので、あれこれ順番を入れ替えて遊ぶというか、試すことが多いのだが、ここもその一つで失敗したところ。チェコ語の語順はよくテーマとレーマなんて言葉で説明されるのだけど、難しいことは考えないで、その文の中で一番重要だと思う情報を最後に持って来れば大体問題ない。個人的には、日本語風に動詞を最後に持ってくるのが好きなので、あれこれ試すのだけど、なかなかうまくいかない。
今読み返すと、自分でも何で「protože chtěl alespoň jednoho kamaráda mít」なんて語順にしたんだろと不思議である。動詞を最後に持って行くなら、「mít」ではなく「chtěl」であるべきなのだけど、さすがに「protože alespoň jednoho kamaráda mít chtěl」という語順には抵抗を感じたのかなあ。先生が修正してくれた語順は「protože chtěl mít alespoň jednoho kamaráda」。実験しようなんて色気を出さなければ自分でもこの語順にしただろうとは思う。
Když vyšel ven z jeskyně, slunce mu do očí svítilo až moc silně a skoro ho oslepilo. Chvíli lítal zmateně sem a tam, nakonec se narazil do stromu a spadl na zem. Ležel tam tak dlouho, až přišlo další ráno a jeden unavený pes, který utekl z císařského paláce v nedalekém městě. Pes netopýra očuchalaB tak dlouho, dokud neprobudil netopýraC.
三つ目の間違いは、完了態と不完了態の問題。ここは、日本語だと変な文になるけど、「犬はコウモリを目覚めさせるまで臭いをかいだ」という意味になるから、一度嗅いでお仕舞ではなく、こうもりが目覚めるまでの間は嗅ぎ続けるわけだから、不完了態の「očuchával」を使わなければいけなかったのに、不完了態の「očuchala」を使ってしまったのである。しかも主語が犬で男性名詞活動体なのに過去分詞の女性形を使っているし……。ちなみにこの動詞、特に犬が臭いをクンクン嗅ぐようすを表す言葉である。
四つ目は、名詞を使うか、代名詞を使うかという問題。チェコ語では日本語と比べると遥かに代名詞を使うことが多いのだけど、犬とコウモリという二匹の男性名詞で表される動物が登場しているので、代名詞ではわかりにくいかと、名詞を使って「dokud neprobudil netopýra」にした。しかしよく考えてみれば、動詞の主語が犬であるのは明白だから、そこに代名詞の男性単数4格があれば、犬ではなくコウモリを指すのも明らかである。ということで、ここは「netopýra」の代わりに「ho」を使うのが正しい。ただし、「ho」は小さな弱い言葉なので、文中の二番目の位置に来やすいという傾向がある。修正後は、「dokud ho neprobudil」となるのである。
„Hele, co jsi zač? Co děláš na ležatoD na zemi, vidíš něco zajímavého?“, ptal se pes.
次の間違いは、「na ležato」を二語に分けたこと。「naležato」と修正された。「ležato」は動詞「ležet(横になる)」からできた形容詞の中性単語尾形で、「naležato」で「横になって/寝転がって」という意味になる。問題は、この手の形容詞の中性単語尾形に前置詞、もしくは接頭辞がついた場合に、二語のままなのか、一語化するのかである。チェコ人でも人によって言うことが違ったり、どちらでもいいと言われたり、ややこしいことこの上ない。
例えば、「左」だが、場所を表す場合には「v」を使って「vlevo」、方向を表す場合には「do」を使って「doleva」となる。これなんか語尾が活用されているから、二語でもいいような気がするけれども、一語化して使われることが多い。耳で聞いても区別はできないし、シモナがもらっていたチェコ語の正字法の本はこんなところを確認するのに使うのである。
„No...člověče, ani nevím, kdo jsem, ani co jsem chtěl dělat. Ty asi nevíš, že.E No…možná jsem něco hledal, ale co?“,F odpověděl netopýr poněkud smutně.
六つ目の間違いは、「〜だよね」と強く確認するための疑問文で文末に疑問符を忘れたことと、動詞の「nevíš」を受ける「to」を忘れたこと。修正後は「Ty to asi nevíš, že?」となる。「to」については、授業中に先生から、チェコ語では、特に話し言葉では頻繁に使うから、入れるかどうか悩んだときには、とりあえず入れておけという説明を受けたのだった。これ書いたときには、悩みもしなかったからなあ。
七つ目は、会話文を直接話法で示して、その後に直接文を続けるときの処理のしかたの問題。会話文だけでなく引用の場合もそうなのだが、後へのどう接続させるのか、ルールがいまいちよくわからない。会話文の場合には、日本語のように会話文だけで独立させて改行を入れてしまうのが一番簡単で確実な方法である。宿題でそれをやっても面白くない。ということで日本語の「「〜。〜? 〜?」と言った」的な文になるようにしてみたのだが失敗。「ale co?“, odpověděl」ではなく、「?“」の部分で文が終わったと判断して、「ale co?“ Odpověděl」と「odpověděl」は大文字で始めるのが正しいようである。
2018年9月4日17時35分。
2018年09月04日
サマースクール落穂拾い作文➀〈LŠSS2018〉(九月三日)
折角、サマースクールで作文をして、間違いの修正をしてもらったので、それをさらそうと思う。B2程度の一応上級者でもこんな間違いをするんだという例にはなるんじゃないだろうか。ただ、先生がどこまで厳密にチェックしてくれたかが不明なのだけどさ。とまれ、またまた、チェコ語を勉強してない人には読みずらい記事ということになってしまった。
一つ目はサマースクールの日記にもちょっと取り上げた一番最初の作文。題名は「この夏の出来事」とでも訳しておこうか。
Co jsem zažil letošní léto
Zažil jsem horko, možná lepe➀ řečeno, stále přežívám horko. Když jsem se rozhodl, že budu chodit na letní školu, počítal jsem s tím, že si musím koupit nový batoh, protože starý byl už skoro zničený, ale doufal jsem, že nic jiného nemusím. Mýlil jsem se. Horko bylo tak intenzivní, že se nedalo chodit do školy v normálních dlouhých kalhotách a potřeboval jsem mít na sobě kraťasy, které jsem měl pouze jedny ve fungujícím stavu a jedny staré v záloze. Při práci bych se snažil vydržet v dlouhých kalhotách, ale při studiiA jsem v žádném případě nechtěl. Tak jsem musel hledat nové kraťasy za rozumnou cenu a s přijatelnou barvou ve své velikosti a to bylo poměrně těžké, protože mám menší postavu než většina Čechů. Nakonec jsem si koupil jedny, ale potřeboval jsem je objednat, protože tam v obchodě neměli mou velikost.
Postupně jsem zjišťoval, že potřebuju nové boty, trička s límcem, jinak řečeno polokošile a dokonce ponožky a kupoval jsem je. Doufám, že letos už nemusím nic jiného koupit, a že jsem udělal nákupy na několik let.
最初の間違い➀は綴りのミス。「lépe」とすべきところを、「lepe」とチャールカを付けるのを忘れてしまった。ワードの校正機能を使っているので、単純な綴りミスは少ないのだが、ここは見落としてしまった。PCで書くときの綴りの間違いは、タイプミスが多いから、手書きでもこの手の間違いは同じくらいになるはずである。
二つ目の間違いAは、正しくは「studiu」にしなければならなかった。この間違いは綴りのミスではなく、二つの名詞を混同した結果発生したものである。チェコ語には「studie」と「studium」という綴りも意味もよく似た二つの言葉が存在する。
「studie」は研究という意味の女性名詞で、6格は「studii」になる。ただこの研究は活動ではなく、結果を表すものなのでここにはそぐわない。例えば、シャーロック・ホームズの短編「緋色の研究」は、この名詞を使って「Studie v šarlatové」と訳される。
それに対して「studium」のほうは、勉強とか学問、研究という意味だが、研究の結果ではなく活動を指す。だから、ここでは中性名詞「studium」を使わなければならなかったのである。
では、ここで問題。オロモウツのサマースクールの正式名称は、「Letní škola slovanských studií」である。この最後の「studií」は「studie」だろうか、それとも「studium」だろうか。「studií」が複数二格になっているのはわかるだろう。格変化を調べてみると、「studie」はラテン語起源ではあるけれども女性名詞軟変化だから、複数二格は「studií」、「studium」は中性名詞の特別な変化型で複数二格はこちらも「studií」になる。格変化からではどちらか判然としないのだが、サマースクールでは、チェコ語だけでなくロシア語やポーランド語の授業も行われていたことを考えると、「studium」だと考えるのが正しそうである。「slovanské studium(スラブ学)」の複数二格だと考えるのである。サマースクールでは研究の結果の報告やら論文やらが出てくるわけではないしね。
2018年9月3日23時55分。
2018年09月03日
チェコ語の時間を表す表現についてD残り〈LŠSS2018〉(九月二日)
これまで、4格、v + 4格、v + 6格、2格とある程度規則的に使える時間をあらわすための表現を取り上げてきたが、今回のは例外として、特によく使うものだけを覚えておくのが一番いい。どうしてこんなことになるのかなんてのは、チェコ人にも応えられないのだから、細かいことは気にせず、使うだけである。
@na + 4格
この形で使うものは二つ。一つは四季のうちの秋で、「na podzim」となる。春も「na」を使うけれどもあちらは後ろが6格になるので混同してはいけない。
もう一つは、日を示すのに、日付は使わず、その日に当てられている聖人の名前や、特別な名称を使う場合である。よく使うのは、聖人の名前だと「na svatého Valentýna」「na svatého Martina」あたりだろうか。これは所謂「名前の日」でもあるから、自分の名前、家族の名前の由来となった聖人の名前のついている日に関して使うのかもしれない。外国人にはこの聖人の名前で日を表されても、いつのことだかカレンダーを見なくちゃわからないということになる。
聖人の名前以外の特別な名称を持つ日に関しては、覚えやすいので外国人にも使う機会はあるはずだ。例えば、「na Štědrý den(12月24日)」「na Silvestr(12月31日)」「na Nový rok(1月1日)」あたりは、覚えやすく使う機会も多い。使う機会が多いから覚えやすいと言った方が正確かもしれないが。
Ana + 6格
これはもう、「na jaře(春)」、これだけ覚えておけばいい。探せば他にもあるのかもしれないが、普段の生活の中で使う言葉の中には存在しないはずである。それにしても四季は、冬と夏が「v + 6格」、秋が「na + 4格」だから、四つの季節が三つの形に分かれるという中途半端なばらけ方をしているのが残念である。いっそ、すべての季節が別な形を取ってくれればと思わなくもない。
Bo + 6格
すでに出てきたものから先にあげると、まず、時間(何時)を表すのに普通の数詞ではなく、順序数詞を使う場合に、この形が必要になる。普通5時は「v pět (hodin)」だが、順序数詞を使うと「o páté」となるのである。同様に5時半の場合にも、「v pět třicet」が「o půl šesté」となる。「půl」は扱いが厄介な名詞で不変化、しかも後に来る名詞は「půl」がないときと同じように格変化させる。「před půl rokem(半年前)」とかね。
もう一つ、すでに登場しているのは、「o půlnoci(真夜中)」である。こちらも「půl」が登場するけれども、すでに一語化している。本来は「o půl noci」と二語だったのではないかと推測する。
最後に追加するのが、「o víkendu(週末)」「o Vánocích(クリスマス)」「o Velikonocích(イースター)」「o prázdninách(夏休み)」の四つである。無理にルールを導き出すなら、一つの単語で何日かまとめて示す場合なんてことになるのだろうが、そうなると週だの月だのはどうなるんだということになるし、この四つ以外には思いつく使用例もないし、例外として覚えておけば問題なかろう。
以上、途中から書き方が完全に変わってしまったが、チェコ語を使う上で知っておいたほうがいい時間を表すための表現のまとめである。これだけ覚えていれば間違えることはなくなるはずである。間違いじゃないけど、こっちの方がいいといわれることはあるだろうけど。
この話、リハビリのつもりで気楽に書き始めたらなかなか進まなくて困ってしまった。この夏をサマースクールで比較的勤勉に過ごした弊害か、怠けの虫が体の中をうごめいていて、なかなか書くモードに入ってくれないのである。しばらく日記めいた文章ばかり書いていたのもよくないのかな。
2018年9月3日11時5分。
2018年09月02日
チェコ語の時間を表す表現についてC2格〈LŠSS2018〉(九月一日)
この時間を表す2格は、忘れている人もいるかもしれないけど、比較的初学の頃に登場する。日付を表す表現がそれである。今日が何月何日なのかを問うには、「Kolikátého je dnes?」という文を使うが、順番を問うための疑問詞の「kolikátý」が男性に付くときの2格になっているのはわかるだろう。これに対する答えは、数字を使って書けば、「Dnes je 1.9.」となるから、1格でも2格でもどうでもいいのだが、口に出して読むときには注意が必要になる。チェコ語では日付は日、月、年の順番で並べる。念のため。
問題は9月を言うのに順序数詞を使うか、月の名称の「září」を使うかなのだけど、「září」では1格も2格も同じだから、10月1日にしよう。10月は「říjen」だが、日付にすると、「1. 10.」は「prvního října」と読まれる。つまり日も月もどちらも2格にしなければならないのである。それに対して順序数詞を使うと、「prvního desátý」となり、日は2格だが、月は1格になるのである。
これは別々に説明されることが多く、どちらかを基準にしてもう一方を使おうとすると間違えることになるので注意が必要である。順序数詞を使った場合に月が1格になるのは、誤解と混乱を避けるためだろうと推測できる。月も2格にすると、例えば「dvacátého prvního」と言った場合に、単に21日を指すのか、1月20日を指すのか判然としなくなってしまう。その点、月の名称を使った場合には、勘違いが起こらないから2格でも問題ないのである。
と、これだけだと単に日付を表す場合に2格をとると思われるかもしれないが、その日付にこんなことが起こったと言う場合にも問題なく使える。普通の人が一番よく使うのは自分の生年月日を言うときだろうか。
・Narodil jsem se 28. 2. 1987.
1987年2月28日に生まれた。
この日付(年は除く)を数字を使わないで書くと、つまりは読むように書くと、次のようになる。
・Narodil jsem se dvacátého osmého druhý 1987.
・Narodil jsem se dvacátého osmého února 1987.
問題は年をどう読むかだが、これには二つの方法がある。一つは普通の数字と同じように読む方法で、2000年以降にも問題なく使える方法である。つまり、1987年は「tisíc devět set osmdesát sedm」とよみ、2018年は「dva tisíce osmnáct」と読むのである。
もう一つは、12世紀から20世紀にまで使われる方法で、前半の二桁と後半の二桁に分けて読む。1987年は「devatenáct set osmdesát sedm」となり、1192年は「jedenáct set devadesát dva」となる。ただし、11世紀の例えば1078年は「deset set sedmdesát osm」とはならず、「tisíc sedmdesát osm」となる。「set」は「sto(百)」の複数2格の形である。
この年の数字の前に「rok(年)」を2格で入れることもあって、すべてを数字を使わずに表記すると以下の通りである。
・Narodil jsem se dvacátého osmého února roku devatenáct
set osmdesát sedm.
日に関して2格で表すというのは、たまに出てくることがあって、昔、昔話っぽいもので、「或る日」という意味で、「jednoho dne」というのを読んだ記憶がある。それで、しばしば自分でも使ってみるのだけど、この場合には使わないと修正されることが多い。こういうのは母語話者は感覚で使っているので、学習者としてはあれこれ試して自分なりの規準を見つけるしかないのだが、現時点では使う機会が少ないこともあって、基準は発見できていない。
それからもう一つ、2格を使うものとしては、すでに挙げたけれども、年を、特に具体的な年号を示す場合がある。これは普通に使われる「v roce」と比べると、硬い書き言葉的な表現だと言うことなので、無理して覚える必要はないかもしれないが、「v roce 2018」と「roku 2018」は意味においては差がないことは知っておいたほうが良かろう。
ここで取り上げた時間を表す表現に加えるかどうか悩むのが、「〜間」を示す前置詞の「během」である。「během」の後に2格で時間を表す表現を置くことで、例えば、「během roku」で「一年の間(に)」などと使える。まあこの手の表現を取り上げていくと切りがないので、時間を表す2格に関してはこれでおしまいということにする。
2018年9月2日11時45分。
2018年09月01日
チェコ語の時間を表す表現について➂v + 6格〈LŠSS2018〉(八月卅一日)
この前置詞「V」に6格を合わせる形は、前置詞無しの4格と並んで、もっともよく使われる時間を表す表現である。時間を表す表現のまえに形容詞や指示詞がついた場合でも、この「v + 6格」が使われることも多い。この形を絶対に使わなければならないものとしては、月、年の二つを覚えておくといい。とりあえず例によって適当に分類しながら説明する。
➀一日のうちの大体の時間
・v noci(夜)
これだけ。他は使わない。
A週
・v tomto týdnu(今週)
ただし「tento týden(4格)」をよく使う。
・V minulém týdnu hodně pršelo, ale v tomto týdnu vůbec neprší.
先週はたくさん雨が降ったけど今週は全く降らない。
➂月、特に月の名前を使う場合。
・v lednu、 v únoru、v březnu、v dubnu、v květnu、v červnu、
v červenci、v srpnu、v září、v říjnu、v listopadu、v prosinci
・v tomto měsíci(今月)
ただし「tento měsíc(4格)」をよく使う。
・V červnu minulého roku jsem přijel do České republiky.
去年の六月にチェコに来ました。
・V Olomouci se bude konat v příštím měsíci tenisový turnaj.
オロモウツで来月テニス大会が行われます。
C季節
・v létě(夏) v zimě(冬)
ただしna jaře(6格)na podzim(4格)
・V létě bylo horko a v zimě je zima.
夏は暑く冬は寒い。
C年、年代、世紀
・v roce 2018(2018年)
ただしroku 2018(2格)も可。
・v tom roce(その年)
ただしten roku(4格)も可。
・v osmdesátých letech(80年代)
・v devatenáctém století(19世紀)
・V roce 2020 se bude konat olympiáda v Tokiu.
2020年にオリンピックが東京で開かれる。
・V příštím roce bude konec éry Heisei.
来年平成が終わる。
・V osmdesátých letech minulého století japonské automobilky
začaly stavět továrnu v USA.
1980年代に日本の自動車会社はアメリカに工場を建て始めた。
・V dvacátém století vypukla dvakrát světová válka.
20世紀には二度世界大戦が起こった。←ちょっと怪しい。
Dその他。
・ve chvíli(瞬間)、 v okamžiku(瞬間)
・v době(〜頃)、 v období(時代)、 v čase(〜時)
これらも形容詞などをつけた場合に4格と使うことが多いが
「v +6格」もよく使われる。
繰り返しになるがこの形を使う時間を表す表現は多いので、よくわからないときにはこれを使ってみるのが正しい。違うといわれた場合には、覚えればいいのである。
2018年9月1日12時35分。