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2018年09月10日

チェコ語の語順其の四(九月九日)



 前回までは、基本として、単純な文の中での語順で二番目にくるものに関して説明をしたが、今回は二つ以上の文をつなげて一つの文にする場合の順番の数えかた、処理の仕方について解説をしよう。まず最初は、順接や逆接などの単純な接続の場合から。
 注意しなければいけないのは、二つの文を単純につなぐ場合に使う「a」、逆接の「ale」「avšak」の三つの言葉は、語順を考える際には無視しなければならないということである。特に、「a」と「ale」は文と文の間だけでなく、語と語をつなぐのにも使われるので、語順を決める順番の対象にはしづらいという面があるのかもしれない。

 例えば、「Včera jsem pracoval v Praze.(昨日プラハで仕事をしました)」「Včera jsem se vrátil do Olomouce.(昨日オロモウツに戻ってきました)」の二つの文を一つにするとして、そのままつなげるのは芸がないので、「昨日18時までプラハで仕事をして、その後オロモウツに戻ってきました」という文にすると、次のようになる。

 @Včera jsem pracoval do 18 hodin v Praze
  a potom jsem se vrátil do Olomouce.

 文を接続している「a」の前の部分と後の部分でそれぞれ別々に語順のルールが適用されているのは理解してもらえるだろう。前半は二番目に来る言葉が過去形の「jsem」しかないのでこの語順。後半は「a」を無視して語順を決めるのだが、「jsem」と「se」という二つの二番目に来るものがあり、優先順位に基づいて二番目の部分は「jsem se」という語順にしなければならない。
 そして、この文の前に例えば「朝早くプラハに行って」というのを付け加えると、最初と二つ目の部分の間には「a」は使わずに、チャールカを打って文を続ける。基本的に三つ以上のものを並列で並べるときには、「a」は最後のつなぎ目にしか使わず、ほかはチャールカで済ませるのである。これは文だけでなく、単語単位で並べるときも同様である。

 AVčera jsem jel ráno do Prahy, pracoval jsem tam
  do 18 hodin a potom jsem se vrátil do Olomouce.

 真ん中の部分で、「v Praze」が消えているのは、前の「do Prahy」を受けて、そこでという意味の「tam」に置き換えたからで、「tam」も二番目に気安い傾向があるので、語順が入れ替わって「do 18 hodin」が後に回されている。


 逆接の「ale」の場合も同様で、例えば「昨日は一日中プラハで働いたが、夜オロモウツに戻ってきた」という文は、次のようになる。大切なのは、「ale」の前にチャールカを打つのを忘れないことであろうか。

 BVčera jsem pracoval celý den v Praze,
  ale v noci jsem se vrátil do Olomouce.

 CVčera jsem jel ráno do Prahy a pracoval jsem tam celý den,
  ale v noci jsem se vrátil do Olomouce.

 冒頭部分を追加した下の文で「a」を使う必要があるのは、「a」で結び付けられる単純な接続関係にあるのが、二つの部分だけだからである。「tam」が使われる理由と語順は、上のAの場合と同じ。「avšak」は、「ale」とほとんど同じように使える言葉で、硬い書き言葉的な表現ということになる。ただし、必ず文頭や、節の頭に来る言葉で、文中で使う場合には「a」を取り去った「však」を使わなければならない。


 逆接の接続の場合には、接続を担う言葉は語順の順番に数えないかというとそんなことはなく、「i když」「přesto」などは、数えなければならない。例えば、「Měl jsem dost peněz(お金は十分にあった)」「Nemohl jsem si koupit auto(自動車を買うことができなかった)」を「i když」「přesto」でつないで、「お金は十分にあったけれども、自動車を買うことはできなかった」という文を作ると次のようになる。

 DI když jsem měl dost peněz, nemohl jsem si koupit auto.

 EMěl jsem dost peněz, přesto jsem si nemohl koupit auto.

「i když」と「přesto」は入れる位置が違うので、語順の変わり方も変わるが、それぞれ一番目に数えた上で、二番目に「jsem」「jsem si」が来ているのはわかるだろう。「přesto」の代わりに「přestože」を使うと、「i když」を使った場合と同じ語順になる。

 原因理由を示す「protože」「proto」の場合も同様である。

 FVčera jsem si musel půjčit peníze od kamaráda,
  protože jsem doma zapomněl peněženku.

 GVčera jsem doma zapomněl peněženku,
  a proto jsem si musel půjčit peníze od kamaráda.

 「Včera」を文頭に置いたせいで語順が変わらなくなってしまったが、「protože」と「proto」は、原因側に置くか、結果側におくかが違うだけで、どちらも語順を考えるときの数える対象になる。文全体の意味もそれほど変わらない。日本語では、原則として、一文にするときには、原因→結果の順に並べるが、チェコ語にはそのようなルールは存在しないので、F番のような並びも可能なのである。もちろん前後を入れ替えてHのようにすることもできる。

 HProtože jsem včera doma zapomněl peněženku,
  musel jsem si půjčit peníze od kamaráda.

 問題は「Včera」をどこに入れるかなのだけど、この位置でいいのかどうかは自身がない。とまれ、これが、二つの文を比較的単純に結びつけた場合の二番目の位置の決め方である。次はもう少し複雑な場合について考えよう。
2018年9月10日8時25分。








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