2018年10月01日
「累 かさね」見てきました
ノーマークだったけど姪っ子が見たいって言ってたんで連れて行ったけど、予想をはるかに超えて良い映画でした。「フェイスオフ」「ブラック・スワン」はもちろん萩尾望都の「半神」を彷彿とさせる良い作品でした。
まぁ、分かる人はいないとおみますが、終盤「私は丹沢ニナ」と彼女の顔をした淵累が言ったシーンで「わしゃぁ石川じゃ!石川喬じゃ!」ってセリフを思い出した(笑)。
伝説の名女優を母に持ち、顔に醜い傷がある淵累は天性の演技力を持ちながら劣等感を抱きながら生きていた。そこにかつて母と仕事をしていた羽生田が現れ、美しい顔を持ちながら伸び悩む舞台女優の丹沢ニナを引き合わせる。
累は母から受け継いだ「それを使い、相手とキスをすれば顔を入れ替えられる」という不思議な力を持つ口紅の力でニナの顔を借りることで「美貌と演技力を兼ね備えた」大女優、丹沢ニナを作り出すことになるが、やがて互いのアイデンティティが揺らいでいく。
それでは恒例の【感想:Start】〜【感想:End】にはいります。この間にネタバレの可能性がありますんでご注意を。
【感想:Start】
まずはこの映画では累役の芳根京子もですが、ニナ役の土屋太鳳の演技がすごいという点を先に書いておきましょう。土屋については「舞台での演技がいま一つのニナ」「ニナの顔を借りて名演技をする累」「演技が成長していく累」「狂気で覚醒する累」らを劇中劇で演じ分けます。同時に芳根もではありますが、「強気の自信家・ニナ」「劣等感に憑りつかれた累」をそれぞれの顔で両者が演じるため、感情移入が難しい作品でもありました。
冒頭にも書いた通り、「フェイスオフ」などで顔が入れ替わるストーリーではいくつかありますが、今見ているシーンで「中身」が誰なのかを理解しながら、それでも顔で見る側の感情も左右されるのがなかなかいい雰囲気でした。
そしてもう一つは原作を読まずに見ていたのもありますが、ラストが読めない映画でした。ここはガッツリとネタバレになりますが、終盤に落下事故で救急車に運ばれるニナ。そのころ、舞台で踊る彼女の顔をした累でしたが、原作を知らないんでどういう設定か不明だったので、もしかすると搬送中にニナが死亡&舞台の上で自分の顔に戻る累…と言うラストかと思いましたが、これも結局分からないままで終わらせる当たり「ブラック・スワン」に似てたなぁ(笑)。
まぁ、ストーリーとして気になったのはニナを乗っ取りかけた累が、実家から来た母を取り込んだあたりがまず一つ。演出家ですら中身の違いを見抜いたのに、母子の間で騙せたのか?ってところ。もう一つが終盤で舞台の初日に備えて顔をリセットするシーン。ニナが口紅を入れ替えて累を出し抜こうとするのに対し、それを見抜いた累が時計を進めてて…ってトリック。これはちょっと粗が見えたなぁ。見抜いていたなら、本物の口紅を使えばいい事。そもそもニナが化けの皮が剝がれるのを見に来るとは限らない(それを読んでいた…としても説得力はないし)ことを考えれば、良いストーリーだったのにちょっとガッカリ。
その辺を含めても、随所に既視感のあるストーリーであることを割り引いても総合評価で80点以上は付けて良いでしょう。
【感想:End】
最後に。この映画、本物と偽物って点では今年見た「サニー/32」も類似した作品と言っても良いでしょう。この場合、対比される二人の女優が本当に大変だろうなぁ…と。
で、さりげなく「ある映画」でダブル主演みたいな扱いでメインが息ができなくなるくらいに演技が下手で、もう一方が多重人格者を見事に演じ分けて強烈なキャラクターを確立していた(これで特定できたかな(笑))二人の力量の差に戦慄したこともありましたが、ホントに両者を対比させるような映画のダブル主演って難しいだろうなぁ。
まぁ、分かる人はいないとおみますが、終盤「私は丹沢ニナ」と彼女の顔をした淵累が言ったシーンで「わしゃぁ石川じゃ!石川喬じゃ!」ってセリフを思い出した(笑)。
伝説の名女優を母に持ち、顔に醜い傷がある淵累は天性の演技力を持ちながら劣等感を抱きながら生きていた。そこにかつて母と仕事をしていた羽生田が現れ、美しい顔を持ちながら伸び悩む舞台女優の丹沢ニナを引き合わせる。
累は母から受け継いだ「それを使い、相手とキスをすれば顔を入れ替えられる」という不思議な力を持つ口紅の力でニナの顔を借りることで「美貌と演技力を兼ね備えた」大女優、丹沢ニナを作り出すことになるが、やがて互いのアイデンティティが揺らいでいく。
それでは恒例の【感想:Start】〜【感想:End】にはいります。この間にネタバレの可能性がありますんでご注意を。
【感想:Start】
まずはこの映画では累役の芳根京子もですが、ニナ役の土屋太鳳の演技がすごいという点を先に書いておきましょう。土屋については「舞台での演技がいま一つのニナ」「ニナの顔を借りて名演技をする累」「演技が成長していく累」「狂気で覚醒する累」らを劇中劇で演じ分けます。同時に芳根もではありますが、「強気の自信家・ニナ」「劣等感に憑りつかれた累」をそれぞれの顔で両者が演じるため、感情移入が難しい作品でもありました。
冒頭にも書いた通り、「フェイスオフ」などで顔が入れ替わるストーリーではいくつかありますが、今見ているシーンで「中身」が誰なのかを理解しながら、それでも顔で見る側の感情も左右されるのがなかなかいい雰囲気でした。
そしてもう一つは原作を読まずに見ていたのもありますが、ラストが読めない映画でした。ここはガッツリとネタバレになりますが、終盤に落下事故で救急車に運ばれるニナ。そのころ、舞台で踊る彼女の顔をした累でしたが、原作を知らないんでどういう設定か不明だったので、もしかすると搬送中にニナが死亡&舞台の上で自分の顔に戻る累…と言うラストかと思いましたが、これも結局分からないままで終わらせる当たり「ブラック・スワン」に似てたなぁ(笑)。
まぁ、ストーリーとして気になったのはニナを乗っ取りかけた累が、実家から来た母を取り込んだあたりがまず一つ。演出家ですら中身の違いを見抜いたのに、母子の間で騙せたのか?ってところ。もう一つが終盤で舞台の初日に備えて顔をリセットするシーン。ニナが口紅を入れ替えて累を出し抜こうとするのに対し、それを見抜いた累が時計を進めてて…ってトリック。これはちょっと粗が見えたなぁ。見抜いていたなら、本物の口紅を使えばいい事。そもそもニナが化けの皮が剝がれるのを見に来るとは限らない(それを読んでいた…としても説得力はないし)ことを考えれば、良いストーリーだったのにちょっとガッカリ。
その辺を含めても、随所に既視感のあるストーリーであることを割り引いても総合評価で80点以上は付けて良いでしょう。
【感想:End】
最後に。この映画、本物と偽物って点では今年見た「サニー/32」も類似した作品と言っても良いでしょう。この場合、対比される二人の女優が本当に大変だろうなぁ…と。
で、さりげなく「ある映画」でダブル主演みたいな扱いでメインが息ができなくなるくらいに演技が下手で、もう一方が多重人格者を見事に演じ分けて強烈なキャラクターを確立していた(これで特定できたかな(笑))二人の力量の差に戦慄したこともありましたが、ホントに両者を対比させるような映画のダブル主演って難しいだろうなぁ。