インターネットの怖さを描いたこの映画、ともすると陳腐なストーリーになりがちですし、確かに取り上げているケースは"ありがち"です。しかし、「漏えいさせてしまった個人情報」「盗まれたクレジット情報」「未成年を使ったネットポルノ」の３パターンともきっかけ以降は事件をキッチリとネットから切り離して描いていた分、（退屈で技術的な話に終始することなく）ストーリーに上手く入って行けました。



　プライベートな情報を載せすぎ、性質の悪い連中の攻撃目標にされてしまい、自殺未遂をしてしまう高校生。家庭事情を相談するチャットでスパイウェアに感染、全財産を失う夫婦。有料の児童ポルノサイトで自身の裸を晒して報酬を得る少年とそれを取材する女性レポーター。３つの事件が交錯するなか、「独り歩きし始めた情報の怖さ」を描いています。

　それでは恒例の【感想：Start】〜【感想：End】に入ります。この間にネタバレの可能性がありますんでご注意を。

【感想：Start】

　この文章を見ていると言う事ならネットに繋いでいる事は当たり前でしょうし、ある程度はネットの怖さを理解されているでしょう。さらには前述のケースは見飽きているかも知れません。しかし、ネットでこんなトラブルが発生するとの事例は知っていても、巻き込まれた人々のドラマは重いものです。

　そして改めて感じるのは、ネットはあくまでもツールであり、その先には人間がいる。だからこそ面白いのですが、善意の人ばかりではない以上、慎重さは不可欠です。

　そんな中、一般的には比較的接点の少ない話だった「児童ポルノ」のエピソード。ネタバレになりますが、ポルノサイトで働く少年、カイルと彼を取材するニーナの関係の変貌が興味深く、ラストではカイルが（取材を受けることで）裏切ってしまうサイト運営者であるボスとニーナのどちらを信頼するか、そしてその二人のどちらがカイルを大事にしているか（将来の事を考えてやっているか、ではないのがポイント）を考えさせられるシーンは見ものです。

【感想：End】

　自殺未遂の高校生の父の行動と家族との亀裂などは「プリズナーズ」と同じ構図だったり、加害者側の父親の行動、クレジット詐欺を行った相手に復讐しようとする夫婦の行動も人間臭い。ネットに端を発しているが、それを起こすのも解決しなければならないのも人。そしてそれはオフラインでの絆も必要だと言う事。

　そんな当たり前を気づかされる作品です。

　爽快感もなければ気も晴れる事のない、重い感じのえいがですが、オススメの映画です。

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