2012年02月19日
「ピラミッド 5000年の嘘」見てきました
今日は予告どおり、映画を見に行きました。しかもダブルヘッダーでしたが、まずは1作目、「ピラミッド 5000年の嘘」について。こちら、かなり完成度の高い、そして教科書どおりの「ミスリード」映画とでも言いましょうか(笑)。
懐疑論者を自認する人にはオススメですし、はなっからこの映画の主張を否定するのではなく、程よくこの世界に乗せられながら見ていくのが正しい観賞の仕方でしょう。そしてどこまで笑わずにいられるかって感じで(笑)。
それでは恒例の【感想:Start】〜【感想:End】で。この間にネタバレの可能性がありますのでご注意を。
【感想:Start】
正直なところ、まずはこの映画をニュートラルな気持で見に行きました。まずあれっ?って思ったのは吹き替え。まぁ、説明が羅列しそうな映画なので、字幕は厳しいか・・・と考えるとコレは評価ポイント。で、冒頭から誰もが納得する(って表現に違和感がありますが)疑問を羅列し、物語に引きこみます。
そしてピラミッドの謎を解き明かそうとする中で、考古学が如何に閉鎖的で異端を許さない体質、それでいてそれまでの定説を妄信する姿勢を批判します。彼らが排除する異端の説と同様に奇異な説明を受け入れるチグハグさも紹介されていましたが、同時にピラミッド上空をチャチなUFOが飛ぶ映像を見せながら、この様な神秘主義なども一笑に付します。(ヘリコプターや戦車のヒエログラフを見事に否定して見せるあたり、巧みな誘導の道具に使っています)
ふむふむ、この後どのようにストーリーが流れるか?と見ていくと、微妙にトンデモの方向に引っ張っていく。ピラミッドの面積や高さ、内接円やら外接円などなどの数値を“こねくり回し”てπ(円周率)とφ(黄金数)を導き出し、挙句の果てには光速の値をも見出している。
いちいち数式を覚えていませんが、中には単位の違うものも計算に使ったりとムチャクチャ。そもそも当時使われていた長さの単位であるキュビットではこの数字が出てこないからか、単位がメートル。その上で「当時、メートル法が使われてなかったと言いきれるか?」などと言いだす始末。いや、むしろメートル法からキュビットが作られたと言いたげ。
例えば半径1メートルの円からコンパスを使って円周を6等分すると約0.52360メートルでほぼ1キュビット、6等分の円周から1個を引くと約2.61799メートルで黄金数の二乗であ2.618033・・・に近くなる!って、わざわざメートル法が確立してて、何でそんな回りくどい物差しを使うの?
そして疑問を感じた人、感じず受け入れた人をひっくるめ、最後はトンデモの世界に加速して行きます。イースター島を始めとする巨石文明がギザのピラミッドと幅100キロの線上に並ぶ!との説明の中に「高度な天文的知識を持つドゴン族」の集落も入れてました。もう説明は省略しますが、ドゴン族って・・・。
もう笑ってしまいましたが、この暴走を真に受ける人もいるんだろうなぁ。
ちなみに映画の中で、1キュビットをメートル法に直した時の長さとして「0.52360メートル」を提唱している人物を何人か紹介していましたが、wikiで調べる限り幅はかなりあり、映画では自説に都合のいい数値の主張をピックアップしただけのようです。
キュビット
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88
しかし、「これらの説に疑問を持つのも当然でしょう」と言いながらも、この映画の主張を疑うものは正解を用意してみろ!と言うニュアンス。批判を受け入れる様な姿勢を示しながらも、強烈な予防線を張って話を締めくくっています。この映画曰く、私の様な文章を書く人間は「重箱の隅をつつくだけで何も生み出さない人間」のようです。
この映画の流れを整理すると、ピラミッドには謎が多い。そしてその謎を解くべき考古学がなっていない、しかし馬鹿げた理論も相手にするつもりは無い、ゆえに自分は目の前にあるモノを真摯に解析し、この論を展開している。批判は受けるが、ならばコレを越える説明をしてみろ!という感じですが・・・
科学は万能ではない。それまで常識と思っていたものが覆ることもあるが、疑似科学に飛びつくのはバカ。しかし自分のやっている研究・観察は事実に即しており、コレを覆すなら・・・って、トンデモさんのロジックそのまま。進化論では説明がつかない部分がある、ゆえに創造論が正しいって言う乱暴さとも通じる部分があります。
森達也著の「スプーン」(現在は改題した「職業欄はエスパー」)にも似た感覚がありました。
いやいや、誰も答えを出せない謎をテーマにムチャクチャな事を言い、批判するなら正解を持ってこい!って最強の理論(笑)。ちなみにこの映画で取材している多くの専門家のインタビュー、面白いくらいに不自然なタイミングで編集がかかっています。これもこの映画の見所かも?
映画としては評価しづらいなぁ。とりあえず70点くらい付けとこう。
【感想:End】
最後に。明日はもう2本ほど映画を見に行こうと思っていますが、そうすると今週は映画の感想で占められてしまいそう。とりあえず明日は「ベルセルク」の感想を予定しています。
・ピラミッド 5000年の嘘@ぴあ映画生活
v
懐疑論者を自認する人にはオススメですし、はなっからこの映画の主張を否定するのではなく、程よくこの世界に乗せられながら見ていくのが正しい観賞の仕方でしょう。そしてどこまで笑わずにいられるかって感じで(笑)。
それでは恒例の【感想:Start】〜【感想:End】で。この間にネタバレの可能性がありますのでご注意を。
【感想:Start】
正直なところ、まずはこの映画をニュートラルな気持で見に行きました。まずあれっ?って思ったのは吹き替え。まぁ、説明が羅列しそうな映画なので、字幕は厳しいか・・・と考えるとコレは評価ポイント。で、冒頭から誰もが納得する(って表現に違和感がありますが)疑問を羅列し、物語に引きこみます。
そしてピラミッドの謎を解き明かそうとする中で、考古学が如何に閉鎖的で異端を許さない体質、それでいてそれまでの定説を妄信する姿勢を批判します。彼らが排除する異端の説と同様に奇異な説明を受け入れるチグハグさも紹介されていましたが、同時にピラミッド上空をチャチなUFOが飛ぶ映像を見せながら、この様な神秘主義なども一笑に付します。(ヘリコプターや戦車のヒエログラフを見事に否定して見せるあたり、巧みな誘導の道具に使っています)
ふむふむ、この後どのようにストーリーが流れるか?と見ていくと、微妙にトンデモの方向に引っ張っていく。ピラミッドの面積や高さ、内接円やら外接円などなどの数値を“こねくり回し”てπ(円周率)とφ(黄金数)を導き出し、挙句の果てには光速の値をも見出している。
いちいち数式を覚えていませんが、中には単位の違うものも計算に使ったりとムチャクチャ。そもそも当時使われていた長さの単位であるキュビットではこの数字が出てこないからか、単位がメートル。その上で「当時、メートル法が使われてなかったと言いきれるか?」などと言いだす始末。いや、むしろメートル法からキュビットが作られたと言いたげ。
例えば半径1メートルの円からコンパスを使って円周を6等分すると約0.52360メートルでほぼ1キュビット、6等分の円周から1個を引くと約2.61799メートルで黄金数の二乗であ2.618033・・・に近くなる!って、わざわざメートル法が確立してて、何でそんな回りくどい物差しを使うの?
そして疑問を感じた人、感じず受け入れた人をひっくるめ、最後はトンデモの世界に加速して行きます。イースター島を始めとする巨石文明がギザのピラミッドと幅100キロの線上に並ぶ!との説明の中に「高度な天文的知識を持つドゴン族」の集落も入れてました。もう説明は省略しますが、ドゴン族って・・・。
もう笑ってしまいましたが、この暴走を真に受ける人もいるんだろうなぁ。
ちなみに映画の中で、1キュビットをメートル法に直した時の長さとして「0.52360メートル」を提唱している人物を何人か紹介していましたが、wikiで調べる限り幅はかなりあり、映画では自説に都合のいい数値の主張をピックアップしただけのようです。
キュビット
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88
しかし、「これらの説に疑問を持つのも当然でしょう」と言いながらも、この映画の主張を疑うものは正解を用意してみろ!と言うニュアンス。批判を受け入れる様な姿勢を示しながらも、強烈な予防線を張って話を締めくくっています。この映画曰く、私の様な文章を書く人間は「重箱の隅をつつくだけで何も生み出さない人間」のようです。
この映画の流れを整理すると、ピラミッドには謎が多い。そしてその謎を解くべき考古学がなっていない、しかし馬鹿げた理論も相手にするつもりは無い、ゆえに自分は目の前にあるモノを真摯に解析し、この論を展開している。批判は受けるが、ならばコレを越える説明をしてみろ!という感じですが・・・
科学は万能ではない。それまで常識と思っていたものが覆ることもあるが、疑似科学に飛びつくのはバカ。しかし自分のやっている研究・観察は事実に即しており、コレを覆すなら・・・って、トンデモさんのロジックそのまま。進化論では説明がつかない部分がある、ゆえに創造論が正しいって言う乱暴さとも通じる部分があります。
森達也著の「スプーン」(現在は改題した「職業欄はエスパー」)にも似た感覚がありました。
いやいや、誰も答えを出せない謎をテーマにムチャクチャな事を言い、批判するなら正解を持ってこい!って最強の理論(笑)。ちなみにこの映画で取材している多くの専門家のインタビュー、面白いくらいに不自然なタイミングで編集がかかっています。これもこの映画の見所かも?
映画としては評価しづらいなぁ。とりあえず70点くらい付けとこう。
【感想:End】
最後に。明日はもう2本ほど映画を見に行こうと思っていますが、そうすると今週は映画の感想で占められてしまいそう。とりあえず明日は「ベルセルク」の感想を予定しています。
・ピラミッド 5000年の嘘@ぴあ映画生活
v
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image