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2010年07月24日
「インセプション」見てきました
 とりあえず感想から書きますと、まったく見る価値のない映画です。それどころか映画と言って良いのか?って出来。ストーリーとしては他人の夢に入り込み、情報を抜き取る産業スパイの主人公が、抜き取るのではなく逆に植え込む(インセプション)任務を依頼されるというものですが、設定がムチャクチャで説明不足な部分も可能な限り好意的に受け取り補完していきながら見ましたが、それでも矛盾が多く、観客の理解力に甘えた設定になっています。

 この映画を良かったと言う人がいたとしたら、残念ながら私は友達になれそうにありません(笑)。そんでもって恒例の【感想:Start】〜【感想:End】に入りますが、この覚書を読んだ方がこの映画に行くようなムダな事をしないためにも、続く文章も目を通すことを強く推奨します。

【感想:Start】

 映画の開始30分で席を立とうとしました。そのくらいにダメな映画と感じましたし、上映時間も148分とムダに長く、挙句の果てには2時間過ぎ当たりから妙にバカバカしくて笑いがこみ上げてきました。

 ストーリー中の設定で夢は3層構造になっていて、夢を見ている最中はそれが現実と区別が付かず、夢の中で更に夢を見る事で一つ深い階層に下りていく。更に上位階層での数分が下位階層では数日と言う法則があるため、現実では数時間が最深層では数年の時間の流れになる・・・と言うルール。

 その設定にこだわったのか、主人公とその仲間が各階層でピンチに陥るが、危機一髪の“瞬間”が下位階層では数十分の時間的余裕となり、なおかつ上位の階層(現実を含む)での身体に関わる影響が下位(夢)に影響を及ぼす。この設定の難しさ、分かりにくさに一部の観客は付いていけなかったのか、それとも強烈に映画の影響を受けたのか自らの夢の世界に旅立った人もいました。

 総じて出来の悪い「マトリクス」の焼き直しっぽいくせに、ところどころに見るべきポイントがあるのが逆にイラッとしてしまいます。特にラストのラスト(回転するコマ)は蛇足でしかなく、最後まで見る側に判断を丸投げする甘えの様にすら感じました。

【感想:End】

 「夢」をもっと奇想天外な世界とし、それに翻弄されながらも任務を遂行しようとする中で、なぜそんな夢を見るのか?それならば次にこんな夢を見るはずだ!などのストーリーならまだ良かったんですが、作る側も見る側も「消化不良」の一言で表せそうな映画でした。




 ブログ版の「追記」機能をはじめて使うので、当然、「さるさる版」にはない文章を書きますが、ココはガチでネタバレを書きますんで、映画を見に行くつもりがある人は読まないように。(ただ、この映画を難解ではあるが最高傑作とか書いている人もいるんで、私が理解できた部分と理解できてない部分を明確にしておこうと思いまして)

 まずオープニングの年老いたサイトーとコブが対峙するシーン。これが後に繋がることは容易に分かりますが、そのあざとさが不快。また、夢の中で死ねば目が覚める事になるが、痛みはあるという設定が苦しすぎる。

 また、そもそも他人の夢に入り込むにしても、夢の主役のステージに入り込む割にはその夢の主の思い通りに行かないのは不可解だし、社長の息子ロバートが鎮静剤により深い眠りについたため、ここで彼が死ねば・・・って所の説明がよく分からない。

 そのことによりロバートの意識が「虚無」におちいるのか?そうであれば普通に鎮静剤を飲んでも(外部からの侵入者の有無に関わらず)夢の中で本人が死んだらアウトってこと?

 夢の設計って設定も不明。設計士のアリアドネの構想でロバートの夢を左右する方法がよく分からない。そのくせ、コブの想像の産物である列車があっさり割り込んできたりするが、他の登場人物がミッションを左右するようなモノを出すことはないし。

 ただ、アーサー(だったっけ?)が「エッシャーの無限階段」を使って敵を出し抜くシーンはコブ以外の登場人物のイメージが具現化されましたが、そもそも「夢の主が作り出した敵」の裏をかく事も出来るの?それなら他のピンチももっと楽に切り抜けられたはずですが。(オープニングでサイトーから情報を盗んだシーンでも夢の主を出し抜いて封筒をすり替えるってのも納得し難い)

 第一層でのカーチェイス中に睡眠により第二層へ異動したメンバー。第一層で車が落下するのにあわせて第二層では無重力状態となり、その状態で格闘しますが、その影響は第三層へ向かうべく眠った連中にも及んでいるはず。早い話、第一層の落下による無重力は第二層へも影響し、寝ている連中も目を覚ますはず。更に言えば、第二層が無重力を感じているなら第三層も・・・って事にならない?(ミッション中、現実の飛行機がエアポケットに入らなくて良かったですね(笑))

 第三層で瀕死のロバートを救う手段も、なんか場当たり的に作ったルールみたいで説明についていけない。

 更に言えば、そもそもサイトーの依頼によりロバートの会社を崩壊させるようなネタを植え込もうとしますが、もっと簡単な方法で潰せないの?このミッションのために航空会社を買収するくらいの予算があるなら。だいいち、このミッションの後、サイトーの思惑通りに事が運ぶ可能性は費用の割りに低いと思うが。

 まだまだあります。ロバートをはじめ、夢の中に侵入された場合、ターゲットになる可能性のある人物は情報を奪われないための訓練を受けているとか。その訓練の結果、マトリクスで言うところのエージェントに当たるボディーガードが侵入者を駆逐しようとしますが、それ以前に夢の主が「ヤバイ!」と思ったらすぐに自決するトレーニングを積んだ方が早いはず。

 コブとモルが現実逃避をし、夢の世界で50年も過ごしたとあるが、その後に子供に会いたいと切望するのも何かチグハグ。その後、コブがモルを諭した事が後の悲劇を生みますが、その程度で“インセプション”されるのなら、インセプション自体が難しいことじゃないし、夢を見るたびに侵入者か夢の主の作り出した登場人物かに関わらず、そのキャラクターとの会話で何らかの影響を簡単に受けそうです。

 そしてラスト。トーテムのコマが止まるかどうか、つまりはコブが子供と再会したシーンが夢なのか現実なのかを判断する手段も結論を見せずに終わってます。これって、物語の根幹をひっくり返す「夢オチ」を暗示しているようで、映画のつくりでトコトン逃げ回って「その後は各自で・・・」って宿題を出すことが良い映画と勘違いしてるんじゃないか?って邪推してしまいました。


 感想として、夢を3階層にしてそれぞれでアクションシーンを用意しているのも冗長。物語にある矛盾や疑問が気になり登場人物への感情移入もできず、それでいてコブの後悔の念を描写するシーンでストーリーに乗っかろうとするも、またまた矛盾と疑問が現れて振り落とされる。

 この繰り返しで2時間半はつらいよなぁ。空席一個あけて左に座ってた兄ちゃんは途中で確実に寝てたし(笑)。


 それにしてもこの映画を絶賛してるブログが多いなぁ。この映画を観た後に聞いた話だけど、おすぎさんは酷評してたとか。まぁ、この映画を理解できないって事は、私が理屈っぽいんでしょうねぇ(笑)。
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