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2011年10月27日

日本の食糧自給率40%はカロリーベース、では生産額ベースだと?

今朝10/27(木)のモンサテで「賛否二分TPP問題の本質は?」という特集がありバークレイズ・キャピタル証券チーフエコノミストの森田京平氏が解説してくれた内容が私にとって分かり易く勉強になったので記事にしておきたい。

昨日(10/26)千代田区で『TPP交渉参加に反対し日本の食といのちを守る全国決起集会』が開催されTPP断固阻止向けて3,000人の農業従事者とその関係者、161人の国会議員が参加した。

参加農業従事者へのインタビューがあった。
 Q「反対の一番の理由は食の安全面か」
 A「安心なものを消費者に国民の皆様に食べてもらうのが我々の責務」
 Q「所得を確保するには関税が必要か」
 A「そうです。それは否めない」
 A「日本農家の平均面積1.4ha、アメリカは140倍、オーストラリアは1500倍なので太刀打ちできっこない」

森田氏は「TPPはそれ自体が目的ではない。国内の雇用機会の安定化と確保が重要」と語る。
日本企業が抱える6重苦(問題点)
 1)円高 2)高い法人税率 3)厳しい労働規制 4)環境制約 5)電力制約 6)関税自由化の遅れ(グローバルな競争条件の平準化の遅れ)
をあげ「雇用機会が海外(の売り上げ)で確保出来るのか、(雇用が)海外に流出するかその岐路に立っている」と言う。アナウンサーも「課題があるのなら海外に出て企業活動がしたほうが良いということになる」と述べた。

「農業保護の重要性として自給率の問題が取りざたされるが」と言って提示されたグラフの内容は以下の通りだった。
 1)生産額ベース:日本国民の食費の70%以上は国産品に支払われ、この比率を15年以上保っている。
 2)カロリーベース:輸入した家畜飼料や作物肥料を使った生産物は含まないから率が低くなる。95年以降40%前後で推移している。
「日本の特徴としてTPP反対者はカロリーベースの数字を前面に押し出して農業政策を語る。2001小泉改革市場原理主義で自給率は低くなった訳ではなく既に下げ止まっている。」

森田氏は「農業の雇用をこの先どう考えるのかが大切だ。雇用を増やすには農業が儲かる必要がある。それには市場を広げなくてはならない。だが国内は今後人口減少と高齢化により消費カロリー量が減る。よって海外に市場を見つけ売る機会を得る必要がある。」と分析している。

「TPP参加で関税が無くなると海外の安い農産物が入り利益が出せなくなる。」との声には「TPPは特定産業の利益を出す為のものではない。雇用機会を考えるたった一部のことでしかない。農業が産業として発展していくためには国内市場だけで伸びていくとは思えない。」と将来を見据えた意見を述べた。

TPP反対者の一部からは「FTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)ならテーブルに付いてもいい」という声があるがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉加盟国9カ国の経済規模を見れば、日本が交渉参加表明すれば事実上日米FTAと同じだと言えるとのことだ。

「民主党は2009年マニフェストで日米FTAを進めると謳っていた。日米FTAとTPPの違いを国民に説明しないといけない。日米FTA対策として農家個別所得保障は段階的に進んでいる。」
アナウンサーの「TPPに参加しないのであれば雇用をどうするのか対案を持って臨む必要がある」との発言に森田氏は「雇用政策は別途示される必要がある」と締めくくった。


「政治と野球と宗教の話はブログでNG」とイエスは言っていた(聖☆おにいさん第4巻29話参照)ので扱うつもりは無かったが既得権益を守ろうとする人達とその票田を守ろうとする国会議員の多さに対してTPP推進派の集会が400人だけというニュースを見て思わず取り上げてしまった。食料自給率でカロリーベースの数字ばかりアピールすることは嘘ではないが誠実ではなく一消費者として不信感を持った。消費者はバカではないのだから"安全な食品"or"安い食品"を選ぶ自由が欲しいと思う。
posted by バンブーヤン at 23:39| ビジネス
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