朝起きる時、あなたは目覚まし時計のアラームが一度鳴っただけで起きているだろうか? 多くの人が、アラームを止めても短時間で再び鳴り出すスヌーズ機能も使っているようだ。
■目覚まし時計のスヌーズ機能はお好き?
スヌーズとは「居眠り」や「うたたね」の意味だ。名前の通り、スヌーズを使って起きるまでのうたたねを楽しんでいる人もいるだろう。人によっては、実際に起きる30分や1時間前にアラームを設定しておき、起きるまでに何度もアラームを止めて、うとうとする長い時間を過ごしているかもしれない。
ところが、この便利と思われているスヌーズ機能、実はあなたの睡眠に悪影響を与えているようなのだ。
■目覚まし時計のスヌーズ機能は睡眠サイクルに合わない
米国アリゾナ州の睡眠障害センターの医療ディレクターであるロバート・S・ローゼンバーグ氏は、「朝、何度もスヌーズを使って起床するのは、あなたの睡眠に良くない影響を及ぼす。体の睡眠周期に合わない睡眠サイクルを強制するため、その後ふらふらに疲れた状態で過ごすことになるためだ」と述べている。
米国国立睡眠財団の専門家たちは、深い眠りから突然目覚め、その後のあまりにも短い眠りの繰り返しでもたらされる意識のもうろうとした状態を、「睡眠惰性」と呼んでいる。
人は、寝ている間レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返している。体温も、夜眠るときは低下し、目覚める前には上昇して、脳も体も目覚めへの準備をする(※2)。
スヌーズ機能は、実際に起きる時間より早く設定されることが多いため、本来は目覚めへの準備をするべき時間が失われる。本来の睡眠サイクルが崩されて、脳が混乱するのだ。
■スヌーズ機能による睡眠惰性で午前中が台無しなることも
他の研究で、睡眠惰性は起きてから2時間以上も続くことが分かっている。ある実験の参加者は、睡眠惰性から完全に目覚めるのに2時間から4時間ほどかかった。朝食を取ったり、シャワーを浴びたりしても、目覚めの効果は得られなかった。
このような自然生物学的に目覚める時間と、社会的に義務付けられた起床時間のずれを、ミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学のレネベルク教授(時間生物学)は「社会的時差ぼけ」と呼んでいる。
■不自然な睡眠サイクルは病気のもと
健康な人でも社会的時差ぼけがあると、アルコールやたばこ、カフェインの量が増えやすい。最も睡眠のタイミングがずれやすい夜勤労働者は、がんや心臓病、慢性疾患、メタボリックシンドロームや糖尿病になる可能性が高くなる。
「不自然な目覚めは、健康にとって現代で最も危険な行為である可能性が高い」と、レネベルク教授は述べている。
■アラームやスヌーズを使わなくても起きられるように
急にアラームなしの生活にするのは難しいかもしれないが、少しずつ改善することによって自然な睡眠に近づいていける。
まず、眠る2時間前からはスマホやパソコンを使わない。できればスマホなどを目覚ましに使わないほうがいいだろう。目覚ましとして使おうとすると、寝る前と起きた後にスマホを使うことになる。その結果、寝たり起きたりする前に少しだけメールを見たくなったり、返信したくなったりするからだ。
起きなければいけない時間に自然に起きられるようにするには、必要な睡眠時間を確保できる時間帯にベッドに入るようにしよう。